専門分野
国際法
研究テーマ
国際法、国際人権法
研究紹介
研究の関心は、一言でいえば、人権保護に関する条約(人権条約の)の国内的実施の問題です。人権条約を国内で履行しているのかどうか、どのように履行しているのかといったことです。その背後には、条約の規定を国内の裁判所においても援用することができるよう、その規定内容をより明確化するようにその解釈を展開することにより、日本の人権状況の改善に資するようにしたいということでした。従来の具体的な研究分野は大別して2つにわかれます。ひとつは、人種差別の撤廃であり、もうひとつは出入国管理です。
人種差別の撤廃については、特に人種差別撤廃条約を中心に研究をすすめてきました。この条約にいう人種差別の範囲は広く、日本でいえはアイヌ民族やいわゆる在日韓国・朝鮮人、外国人一般さらには、非差別部落出身者などに対する差別の撤廃が含まれます。従って、日本にも大いに関係のある条約です。第2の出入国管理の分野については、特に人権条約による外国人の追放制限の問題に関心をもってきました。外国人の追放については、これまで国家に広い裁量が認められてきましたが、これを人権条約によって制限するようになってきています。追放の制限理由としては、家族の保護や、追放先において拷問などの非人道的取扱いを受けるおそれのある場合などがあります。
人権条約の最終な目的は、各国の人権状況の改善ですから、それを研究する私の最終目標も、上記のように日本の人権状況の改善にあります。そのため、日本の実際の裁判にかかわったりするなどもしてきました。最近では、人権条約への関心や理解も徐々に広がってきており、研究室内にとどまらない活動もますます重要になってきていると感じています。


村上 正直
MURAKAMI, Masanao
教授:Professor
学位:博士(国際公共政策)(大阪大学)
murakami@osipp.osaka-u.ac.jp