専門分野
国際関係論、紛争解決学、平和研究
研究テーマ
内戦の終焉と平和構築、内戦における介入
研究紹介
国家間の戦争は減少している一方、内戦は今も世界で起きています。内戦はどうしてなくならないのか。和平合意が締結されても、どうして内戦は再開するのか。どのような条件の下で、内戦における市民への暴力は減るのか。内戦の終焉及び平和構築を、主に第三者の介入という観点で研究しています。第三者は国連や第三国を想定し、第三者の介入により、どのように内戦終焉過程に影響があるのかを研究しています。
例えば、第三国が介入する場合、第三国自身の選好は、支援を受けているターゲット国とは異なることがあります。過去の研究では、第三者の選好とパワーシェアリングの和平合意の関係を理論的に分析した上で、データを用いて検証しています。政治改革を妥協できない内戦国政府が、ターゲット国の民主化に関心のある民主主義国から支援を受けることにより、パワーシェアリング合意が生じやすくなることを示しています。しかし、時には第三国の介入は平和を促す効果とは反対の効果をもたらすこともあります。最近の研究では、軍事介入は反政府武装勢力の正統性の追及の在り方を変え、反政府武装勢力の統治に影響を及ぼし、結果としてその勢力が統治する地域の人間の安全保障に短期的には負の影響をも与えることを、事例分析を用いて示しています。
内戦には、国際機関も介入します。国連も内戦に介入するアクターの一つであり、先行研究では、国連平和維持活動は内戦での市民への暴力を減少させ、紛争の再発を防ぎ、ローカルレベルでの暴力を和らげるといった、平和への貢献を示す研究がなされてきました。過去の共同研究では、これらの先行研究に加えて、国連平和維持活動がInvoluntary defectionから生じるコミットメント問題を和らげ、和平合意の履行を促すことでも国連平和維持活動が平和に貢献していることを、データを用いて検証しています。
Figure (a). Maekawa, Wakako, Barış Arı, and Theodora-Ismene Gizelis. 2019. “UN involvement and civil war peace agreement.” Public Choice 178: 397-416.
最近は、国連平和維持活動の展開と紛争後選挙のクオリティの関係や、国連平和維持活動の撤退戦略と平和の関係、国連平和維持活動の展開により変化するforeign aidにより、紛争後のガバナンスがどのように変化するのかを研究しています。
前川 和歌子
MAEKAWA, Wakako
准教授:Associate Professor
学位:Ph.D. in Government(エセックス大学)
maekawa.wakako.osipp@osaka-u.ac.jp