専門分野
政治学、国際関係論、紛争研究
研究テーマ
国内紛争に関する理論的・統計的分析
研究紹介
私の興味関心は国内紛争に関する理論的・実証的分析にあります。世界各地の様々な国々について色々なアプローチから研究していますが、特に関心があるのは交渉理論・因果推論・GISデータを用いて国内紛争を研究することにあります。
紛争の交渉理論
世間一般では、「香港の人々が政府に不満を持ったために、原因で抗議活動が発生した」とか「プーチンがクリミアを編入したいから、ロシアはウクライナに侵攻した」とかいった言説をよく耳にします。しかし、近年特に注目を集めている紛争の交渉理論(bargaining theory of conflict)の視点からすると、こうしたナイーブな思考は不完全で、誤った結論に至る可能性があります。というのも、これらの考え方は戦略的思考を欠いており、「政府が人々の不満や他国の地政学的な狙いにどのように対応し、なぜ平和裏に紛争を解決できなかったのか」という問いにきちんと答えていないからです。研究プロジェクトでは、紛争の交渉理論という視点から選挙と紛争の関係、特にインドにおける選挙参加が抗議活動に与える影響について分析しています。
因果推論
どういった場合に「XがYの原因だ」ということができるのでしょうか?例えば、もし内戦発生後に森林が減少した場合、「内戦が森林破壊の原因だ」ということはできるのでしょうか?実は必ずしもそうではありません。というのも、もし内戦が起こらなければ、その国はより高い経済成長を経験し、その結果として材木資源への需要が高まり、より深刻な森林破壊へとつながっていったかもしれません。もしそうであれば、逆説的ではありますが、「内戦は森林を保護した」ということになります。研究プロジェクトでは、こうした因果推論の問題を解決するため、特にコンゴにおける「アフリカ大戦」に注目し、Synthetic controlという統計的な方法を用いて分析を行っています。
GIS データ
近年の地理情報システム(GIS)の著しい発展により、色々なテーマに関する膨大なデータにアクセスすることができるようになっています。こうしたGISデータをいかに使えば、紛争をより正しく理解できるようになるのでしょうか?研究プロジェクトでは、紛争の位置情報に関するデータに機械学習の方法を応用することで、紛争ゾーンの地図化を行っています。こうした新しいデータをもとに、より正確に紛争の位置を理解し、ひいては海外渡航情報などに役立てていければと考えています。
学生へ
私の研究概要をご覧になってくださり、ありがとうございます!皆様がOSIPPに入学し、政治学の「面白さ」を体験していただければと願ってやみません。もし大学院生あるいは研究生としてOSIPPに入学し、私の指導を受けたいと考えておられる場合には、以下の論文への批評をA4一枚もしくは二枚(英文; doubled spaced)にまとめてEメールにてお送りください。
また、データ分析もしくはゲーム理論に関する授業を履修したことがある場合には、それらの科目名と成績についてもお知らせください。繰り返しになりますが、私の研究に関心を持っていただき、ありがとうございます!
菊田 恭輔
KIKUTA, Kyosuke
准教授:Associate Professor
学位:Ph.D. in Political Science (The University of Texas at Austin)
kikuta@osipp.osaka-u.ac.jp