専門分野
開発経済学
研究テーマ
開発経済学、国際貿易
研究紹介
私は開発経済学・国際経済学を専門に研究を行っています。経済学の視点から開発途上国の貧困の原因を究明し、経済発展への有効な政策を模索しています。
グローバル化が進むにつれ、一国の政策が他国に与える影響が無視できなくなってきています。そのため、それぞれの国の経済政策も国家間の利害を調整しつつ進めていかなければならないケースが多くなっています。例えば、発展途上国の工業化を推し進めれば地球温暖化ガスの排出が増大しますが、このような場合、CDMとして知られているように温暖化ガスの削減義務のある先進国による低排出技術導入の支援を受けながら工業化を目指すなど、互いにメリットを享受できる協調のあり方を模索することが重要です。
また、開発途上国の経済発展のためには、企業や農業生産者の国際競争力を高めることが不可欠ですが、そのためには高い環境基準や安全基準(総じてスタンダードと呼ばれる)を求める海外市場に対して、適合する技術を持ち製品を供給し続けることが必要です。これら基準は消費者安全という観点からは望ましいのですが、適合のための技術的費用が非関税貿易障壁となり得るので、各国間の利害の調整が必要となります。
このように、グローバル社会では国々が互いに影響を及ぼし合うことを理解しつつ、メリットを享受できる仕組みを考えるという発想が求められており、私の研究においては、実証手法を用いて、様々な国際的な問題に対して適切な政策を提案できることを目指しています。講義やゼミでもそのような発想を持ちながら、個々のテーマに関して政策のあり方を議論できるような機会を提供できれば幸いです。
学生へのメッセージ
経済学は数学を多用するのでとっつきにくい印象がありますが、実際に観察される経済現象に対して、ありきたりの説明で満足せず、見えること見えないことを含め経済現象の背後で起こっていることを理論や実証分析を用いて解明していくところに経済学の強みがあるように思います。
学生のみなさんには、経済学の授業や文献を通じて知識を学び、応用する力を養っていただきたいと思います。また、分析結果や政策提言を論文にまとめるための「書く力」と、セミナーなどで自身の考えやその意義を他者に伝えるための「話す力」の両方が重要ですので、1年次から積極的に取り組んでいただきたいと思います。
大槻 恒裕
OTSUKI, Tsunehiro
教授:Professor
学位:博士(農業資源経済学)(メリーランド大学)
otsuki@osipp.osaka-u.ac.jp