専門分野
マクロ経済学
研究テーマ
金融政策
研究紹介
私は、主として金融政策に関する理論分析を行っています。特に、金融政策と財政政策の相互作用に関心を持っています。2008年に発生した世界金融危機以降、多くの先進各国において公的債務対GDP比が急激に上昇しました。日本のみならず米国においても、この傾向が今後も続くことが見込まれる一方で、公債安定化のために必要な財政調整(政府支出の削減および増税)の計画は公表されていません(図1参照)。今後も現在の財政状況が続けば、公債安定化への財政当局の意思に対する人々の信認が失われ、財政の持続可能性を維持するために金融政策の変更が必要となり、それがインフレ率や経済活動に大きな影響を及ぼすことが懸念される帰結の1つです。
図1:米国の公的債務対GDP 比(出所: Congress Budget Office )
標準的な(多くの教科書で学ぶような)金融政策分析においては、財政当局が財政の持続可能性を維持することに対して責任をもつことが暗黙理に仮定されています。この仮定の下であれば、中央銀行は財政の持続可能性に気を払うことなく自身の政策目標(インフレ目標など)を追求することができます。このような標準的な分析は、金融政策の役割に関する基本的な理解を深めるためには極めて有益なものです。
しかし、財政の持続可能性が危ぶまれる状況において、標準的な仮定を前提として政策分析を行うのは必ずしも適切とは言えないと考えています。私は、財政当局が財政の持続可能性の維持に必要な財政調整を行わないという仮定のもとで、財政金融政策の分析を行ってきました。最近は、上述の問題意識のもと、非伝統的金融政策、その中でも特に中央銀行による長期国債買入れ、をテーマとして研究に取り組んでいます。
二羽 秀和
NIWA, Hidekazu
助教:Assistant Professor
学位:博士(経済学)(一橋大学)
niwa@osipp.osaka-u.ac.jp