専門分野
近現代東アジア、アメリカ外交、国際関係史
研究テーマ
米中関係、東アジア石油外交、中国核戦略、非国家アクターと広報外交
研究紹介
現代アメリカ—東アジア関係を、歴史的観点から研究しています。外交史研究は主に政治家、外交官及び軍部を分析対象としますが、私の研究は、これまで注目されていなかった非国家アクターの役割を明らかにすることで、現代東アジア国際関係への理解を深めることを目標にしています。
現在はPeople’s Diplomacy: Non-State Actors and the Transformation of U.S.-Chinese Relations in the Cold Warというタイトルの本を執筆中です。この本はアメリカと中国の史料を利用し、冷戦後期の米中関係再構築を分析するものです。その際、「人民外交」、すなわち、非国家アクターが独自に、もしくは国家の庇護の下、他国とインフォーマルな関係を構築する外交過程に焦点を当てます。
最近Diplomatic Historyに掲載された論文では、1970年代の米中関係における石油の役割を分析しました。そこでは、東シナ海・南シナ海の巨大海上油田という神話が、両国のパートナーシップ形成に貢献したことを立証しました。また、今秋The Journal of Women’s Historyに掲載予定の論文では、主流派である男性の視点とは異なる、アメリカ人女性の声から、冷戦時代の米中関係を再考しました。そして、彼女たちが中国を、共産主義の敵国としてではなく、アメリカ社会に蔓延する不平等や不正義を克服した社会として、描いていたことを明らかにしました。
学生へのメッセージ
現代東アジア、ひいては全世界の国際関係を考える上で、歴史を理解することは必要不可欠です。歴史は我々の視野を広げ、我々はどうやって現在に至り、どう未来に進んでいくのか、という問いへの理解を深めてくれます。
しかし、歴史学は最も軽視され、最も誤解されている学問分野の一つでもあります。人々は往々にして、歴史をエンターテイメントとして消費するか、退屈な事実の羅列として敬遠してしまいます。現代の政策議論に資する英知の源泉として、我々は歴史をもっと真剣に、もっと創造的に学ぶべきではないでしょうか。
国籍、ジェンダー・アイデンティティ及び政治思想に関わりなく、歴史と政策のつながりを探求する熱意のある、全ての学生を歓迎します。歴史学と政治学の両分野で、アカデミック・キャリアを目指す学生も、民間、公務員及びNPO就職を目指す学生も、ともに切磋琢磨していきましょう。
南 和志
MIANMI, Kazushi
准教授:Associate Professor
学位:博士(歴史学)(テキサス大学オースティン校)