専門分野
EU法
研究テーマ
EU法と国内法の関係、EU法の実効性、EU裁判制度
研究紹介
私の主な研究分野は欧州連合(EU)法です。とくに、EU法と国内法の関係や、EU法の実効性確保のための諸原則に関する研究を行っています。
EUの法制度では、EUレベルで制定された立法は原則として構成国によって実施されますが、構成国が実施に必要な措置をとることを怠ったり、EU法に違反する国内法を制定するといったことがあります。そこで、EUの裁判所である欧州司法裁判所は、各国におけるEU法の実効性や統一的な適用を確保するための基本原則を発展させてきました。例えば、EU法に違反した構成国の損害賠償責任は基本条約には明記されていませんが、条約の制度に内在するものとして判例で承認されました。これまでに行った研究の中には、この原則に関する判例を分析して、その責任成立要件の明確化を試みたものがあります。
また現在は、司法制度の観点からEU法の履行に関連する諸問題を検討する目的で、EUの先決裁定制度を研究しています。先決裁定制度とは、国内裁判所が付託したEU法上の解釈や効力に関する質問について欧州司法裁判所が回答する手続です。とくに取り組んでいるのは、国内裁判所が先決問題を付託する義務に違反した場合における救済の問題で、EU法のほか、欧州人権条約や国内憲法上の救済手段に関する判例の分析を行っています。
西連寺 隆行
SAIRENJI, Takayuki
准教授:Associate Professor
学位:修士(法学)(上智大学)
sairenji@osipp.osaka-u.ac.jp