専門分野
産業組織
研究テーマ
個人情報が企業間競争に与える影響
研究紹介
通常、多くの企業は競合相手の活動を考慮しながら自身の活動を決定していると思います。街の小売店であれば、大型店の出店計画に直面した時に、それに対抗するための方法を考えると思います。出店されることを見越して、商品の戸別配達などで顧客の利便性を高めることもあるでしょうし、何らかの陳情をして、出店計画を撤廃させるように働きかけるかもしれません。このような相互依存関係を考慮して、企業の活動が企業の利益や消費者の利益(全部合わせれば社会全体の利益)へ与える効果について分析しています。
最近は企業の価格付けにおける個人情報の役割に関心を持って理論分析を行っています。情報技術の進展より、小売店をはじめとする最終消費者に製品を販売する企業は、顧客情報を活用した価格差別を行いやすくなっており、実際、複雑な料金体系を設定したり、個人ごとに異なる割引等を設定したりするなど、企業の価格付けは巧妙になっています。インターネット経由の製品購入であれば、顧客のウェブ閲覧履歴の追跡や個人を特定することが容易になっています。個人ごとの価格差別が行えることで、販売促進活動が活発になる一方で、支払意欲の高い特定の顧客に対して非常に高い価格が設定される可能性も指摘されています。個人情報を活用した価格付けが経済厚生にどのような影響を与えるか理論分析しています。
他にも、企業間取引関係にまつわる各種取引慣行が経済厚生に与える影響を分析するなど、その時々で重要と思われる課題を設定して理論分析を行っています。

松島 法明
Matsushima, Noriaki
教授:Professor
学位:博士(工学)(東京工業大学)
n.matsushima.osipp@osaka-u.ac.jp