専門分野
ドイツ現代政治、平和研究
研究テーマ
ドイツ現代政治、平和研究
研究紹介
日本における外国政治研究の中で、ドイツ政治研究は特別の意味を持っています。なぜなら、かつて日本とドイツは、他国、他民族を殺し、焼き、奪う侵略戦争を行ったうえで、自らも殺され、焼かれ、奪われるという悲惨な体験を共有し、それが戦後の政治にも重要な意味を持っているからです。ところが、二つの世界大戦の記憶が薄れ、新自由主義のイデオロギーが蔓延している反動で、日独のみならず世界各地で右翼ポピュリズムが喝采を浴びているのは、つとに指摘されているとおりです。
私の研究は、ドイツ政治の諸問題を、平和研究の知見を織り交ぜながら分析することにあります。平和研究における「平和」とは、戦争の不在ではなく、暴力(戦争・テロなどの直接的暴力、飢餓・貧困・差別などの構造的暴力、直接的・構造的暴力を容認・正当化する文化的暴力)の不在を意味します。そこで私は、今日のドイツにおける歴史意識、右翼ポピュリズム、貧困、軍事化(連邦軍の国外派兵、武器輸出)などの個別のトピックに即した分析を行いつつ、それらを総合し体系化することをめざしています。そして、さまざまな矛盾・紛争の解決に自分なりに提示した処方箋が、態度における「共感」、行動における「非暴力」、対立における「創造性」という原則に即しているか、常に自問するよう心がけています。

木戸 衛一
KIDO, Eiichi
教授:Associate Professor
学位:博士(学術)(ベルリン自由大学)
ekido@osipp.osaka-u.ac.jp