専門分野
アメリカ外交史
研究テーマ
冷戦期米国宇宙政策
研究紹介
私の研究は、冷戦期アメリカの宇宙政策についてです。具体的には、「兵器の存在しない、全人類にとって開かれた宇宙」を維持するという、宇宙の平和利用の歴史的展開について、科学者の役割に着目しながら解明するものです。ここで言う科学者とは、主に政権内科学者のことを指します。
Nanzan Review of American Studiesに掲載された論文では、アイゼンハワー政権期のアメリカ初の人工衛星計画「ヴァンガード」計画について取り上げました。従来この計画は、1950年代後半の冷戦競争におけるソ連への敗北(スプートニク・ショック)を招いた「失敗」と見なされる傾向にあるのですが、「平和のための宇宙」(Space for Peace)政策の維持という観点からみると、むしろ「成功」であったということを示しました。
現在査読中の論文では、アイゼンハワー政権によるNASA設立の経緯について、科学者が果たした役割に着目しながら、大統領図書館やアメリカ議会図書館の史料をもとに分析しています。
また、最近は、研究の射程を1960年代のケネディ政権期・ジョンソン政権期に広げています。アイゼンハワー政権を起源とする「平和のための宇宙」政策が後続政権によって、なぜ・どのように引き継がれていったのかを解明することが目的です。
アイゼンハワー大統領図書館に隣接するミュージアム
田渕 有美
TABUCHI, Yumi
助教:Assistant Professor
学位:博士(国際公共政策)(大阪大学)
y-tabuchi@osipp.osaka-u.ac.jp