専門分野
マクロ経済学
研究テーマ
資金市場・金融システムに焦点をあてたマクロ経済分析
研究紹介
最近は、少子高齢化がマクロ経済に与える影響について、若年世代と高齢世代がリスクのある経済活動に対して、それぞれどのような態度・行動をとるのかに焦点をあてた研究を主に行っています。
少子高齢化は、日本・ドイツ・イタリアを代表に多くの国々が直面している人口動態の変化です。少子高齢化が、経済全体にどのような影響を与えるのか?少子高齢化のもとで、経済は成長していくことができるのだろうか?といった問いに答えることは、私たちが経済活動を行っていく上で、重要な課題となっています。こうした大きな問いかけに答えるために、もう少し具体的にこれらの問題を考えてみます。
技術進歩や資本蓄積は経済成長を促進させる大きな要因ですが、そのための生産や投資は、様々なリスクを伴う活動です。少子高齢化社会で経済成長を促進させるためには、誰がそれらのリスクを担えばよい(担うことができる)のでしょうか?若者でしょうか?人口の多くを占める高齢世代でしょうか?
幾つかの実証研究では、「人は年をとればとるほど、リスクを取らない傾向にある。」ことが示されています。これらの視点から、次の問いが浮かびます:
高齢世代が人口の多くを占める社会は、リスクを取らなくなって、リスクを伴う活動が促進されない?
とすると、少子高齢化社会では、資本が蓄積されない?経済が成長できない?
現在取り組んでいる研究では、若者と高齢者(若者と比べてリスクを取らない傾向にある)がそれぞれ、リスクのある生産活動を行う、マクロ経済モデルを構築しました。構築したモデルから得られた結果(解答)は、高齢世代がリスクをあまりにとらなければ、少子高齢化により、資本は蓄積されない(若者が貯蓄を減らす)が、高齢世代が少しでもリスクをとるようになれば、資本が蓄積されるというものです。
上記の研究では、貯蓄と投資をむすぶ資金市場に目をむけたマクロ経済の分析を行っていますが、他には、金融機関の行動を明示的に取り組んだマクロ経済モデルを構築して、各国(金融市場の制度等に違いがある)にとって望ましい自己資本比率規制についての研究も行っています。
須永 美穂
SUNAGA, Miho
助教:Assistant Professor
学位:博士(経済学)(大阪大学)
sunaga@osipp.osaka-u.ac.jp