専門分野
国際関係論 比較政治学
研究テーマ
軍縮・不拡散、体制変動
研究紹介
なぜ、核兵器はなくならないのか。なぜ、国家は核兵器を手に入れるのか。なぜ、広島と長崎に原爆が投下されたのか。なぜ、核兵器は戦後の武力紛争において使用されないのか。どうすれば核抑止は機能するのか。これらの問いは、既存研究で設定されているものです。これまでに核兵器に関して様々な研究が行われ、それぞれの問いに関して厚みのある研究群が形成されてきました。私は、その中でも主に核兵器の軍縮・不拡散問題について研究しています。
核兵器の拡散について、博士後期課程において私は、国際制度と国際規範の観点から研究を進めました。博士論文では、核不拡散という規範に対する逸脱行為、すなわち新たな核兵器開発国の出現が、各国の政治指導者の認識を変化させ、核不拡散制度の変容をもたらすという理論を提示しました。
博士後期課程修了後に指導教員の先生と研究室の同僚とともに体制変動に関する共同研究を進めたことで、その定量的手法が核兵器の問題、特に核兵器の拡散問題の研究に応用できることを学びました。実際に、Journal of Conflict ResolutionやJournal of Peace Researchといった海外のジャーナルには、核不拡散の要因を定量的に検証する研究が多く掲載されています。これらの既存研究から着想を得つつ、共同研究の成果を生かし、現在私は、これまでの核軍縮・不拡散研究では見過ごされてきた、留学経験といった政治指導者の来歴に着目する研究を進めています。これまでの核軍縮・不拡散に関する研究は、国際レベルもしくは国内レベルにおける議論が中心でした。これに対して、政治指導者の来歴という個人レベルにおける要因を検討することは、新たな発見が期待されるため、大変興味深いです。

Matsuura, Y., Kubota, M., Hidaka, K., & Yukawa, T. (2024). Who Pursues the Bomb? Leaders’ Education Abroad and the Development of Weapons of Mass Destruction (No. 24E005). Osaka School of International Public Policy, Osaka University.
久保田 雅則
助教:Assistant Professor
学位:博士(国際公共政策)(大阪大学)
kubota.masanori.osipp@osaka-u.ac.jp