専門分野
国際法
研究テーマ
国際法
研究紹介
国際法の昔から変わらぬ重要課題は戦争の管理で、本職の主要研究対象もそれである。その関連で国際刑事法、海洋法や航空宇宙法も眺めているが、本欄では戦争に関する研究を記す。
国際法は、戦争を合法とする規則を持っていた。戦争は合法であるから戦争のやり方の規則を考えることができ、これを戦争法と称した。しかし、20世紀半に至り、戦争を原則として禁止する規範が確立し、今では自衛や国連の制裁を除いて武力に訴えることはできない。とはいえ事実に於いて戦争は絶えず、そこで国際法は、戦争は違法ながら起こったら「仕方ない」の論法で戦争のやり方に関する従前の戦争法を維持する。尤も、違法な戦争のやり方を法が定めるという矛盾から気が引けるためか、戦争法と呼ばずに武力紛争法とか国際人道法(却って欺瞞的)と称す。
違法行為を規則に従ってやるという論法自体頗る奇妙な上に、(戦争法改め)国際人道法も風変わりである。普通なら法は殺人と破壊を非難するが、国際人道法は、戦争中の戦闘員による敵国の戦闘員殺傷と軍事目標破壊を許容し、そこから戦闘員に法的責任が生じないという。更に、敵戦闘員が結局落命するとしても、その際「過度の傷害や無用の苦痛」を与えてはならないと命じ、文民と民用物は保護されねばならぬとしつつ軍事目標攻撃に伴いそれらに生じる巻添損害は過度でなくば問題ないという。互に矛盾すると思えるこうした規則を抱えつつ全体を整合させていくのはなかなか興味深い作業である。ここで国際人道法が如何なる問題を扱うかを写真二葉を伴う想定で示す(完全回答者講義出席無用也)。
[想定]
(国名等全部架空) 写真上は市ヶ谷防衛省北側運動場展開防空ミサイル(PAC3)で、某国からの弾道弾攻撃に備えている(二発射機西向で仰角をかけ、爆風転換用コ字型ハコ後方にあり。日本庭園敷石様のものは発射機がめり込まぬよう敷いた鉄板。右下角の黒い物体はレドームに見えるが撮影階防衛省食堂定食容器が写り込んだ)。某国は、これが目障りで空挺降下で破壊せんとし、某日深更、日本民間機を装う輸送機(YS11輸送機。写真下はその操縦席で着座搭乗員も文民の外見。風防越に見えるはC1輸送機)から部隊章階級章付野戦服着用コマンド少数が降下し破壊に成功した。しかし、同時に防衛省北隣内閣衛星情報センター(写真上の左奥の大日本印刷高層ビル手前下)、国際協力機構(JICA)(その右で夕日が当たった建物)と日本学生支援機構(JASSO)(JICAすぐ右)が爆風で大破した(深夜残業無く人的損害無)。コマンド隊員はその後会社員に変装し払暁逃走したが市ヶ谷駅で警視庁機動隊に拘束された。某国日本間には他に戦闘はなかったとし、拘束隊員刑事弁護を貴君がかって出たとして、警察検察の拘束は不当で、PAC3破壊は勿論JICAやJASSOの損害に関しても法的責任は隊員に一切ない旨の弁論を試みよ(某国日本ともジュネーヴ諸条約とその第1追加議定書の締約国)。
[学生への助言]
(1)阪大院生は基礎知識がない者多く、論文執筆も困難になる。入学前にせめて国際法教科書1判例集1を徹底学習のこと。(2)阪大全国際法教員はOSIPP所属ながら法学研究科教員を兼ねるから、どちらに入学しても国際法を専攻可である。但し、学位は修士博士(国際公共政策)と修士博士(法学)と異なり、いずれを選ぶか受験前に検討されよ。
真山 全
MAYAMA, Akira
教授:Professor
学位:修士(法学)(京都大学)
mayama@osipp.osaka-u.ac.jp