専門分野
政治行動論
研究テーマ
ジェンダーと政治、政治行動、政治心理
研究紹介
日本国内における女性政治家の比率は、現状では極めて低いままであり、男女間の格差は未だ是正されていないのが現実です。では、なぜ女性政治家の数がこれほど少ないのでしょうか。このような男女格差が生じる理由の一つとして、日本の有権者の中に女性政治家に対するジェンダーステレオタイプに基づくバイアスが存在していることが考えられます。
しかし、ジェンダーステレオタイプがどの程度、いかなる形で存在し、いつ、そしてどのように有権者の政治行動に影響を与えているかは、依然として解明されていない状況です。私の研究は、日本の有権者の政治的行動とジェンダーステレオタイプの関係に焦点を当て、これらの問題を解明することを目的としています。
Endo and Ono (2023)の研究では、オンライン調査を用いて、日本の有権者の間におけるジェンダーステレオタイプを詳細に調査しました。この研究では、以前アメリカで実施された調査の質問形式を踏襲し、日本人とアメリカ人の有権者間でのジェンダーステレオタイプの傾向を比較しています。
図に示されている通り、日本の有権者は、アメリカの有権者と同様、政治家に対するジェンダーステレオタイプを抱いています。これは、政治家の性別に基づいて、個々の政策領域や個性に特定の強みがあると認識していることを意味します。この結果から、日本の有権者が候補者を評価し、投票する際に、ジェンダーステレオタイプを一つの指標として利用している可能性が示されます。
Figure 2, Endo, Yuya, and Yoshikuni Ono. 2023. “Opposition to Women Political Leaders: Gender Bias and Stereotypes of Politicians Among Japanese Voters.” Journal of Women, Politics & Policy, February, 1–16.
Figure 3, Endo, Yuya, and Yoshikuni Ono. 2023. “Opposition to Women Political Leaders: Gender Bias and Stereotypes of Politicians Among Japanese Voters.” Journal of Women, Politics & Policy, February, 1–16.
私の現在の研究は主に、ジェンダーステレオタイプが有権者の政治行動に、いつどのように影響を及ぼすかに焦点を当てています。たとえば、女性政治家が一般に期待されるステレオタイプから逸脱した行動を取った場合、有権者はその女性政治家をどのように評価するのでしょうか?ジェンダーステレオタイプによる有権者の政治行動への影響は、多くの面で未だ明らかになっておらず、その解明を通じて、政治における男女の格差縮小へ繋がる手がかりや方策を発見し、社会全体の発展に寄与できることを目指しています。
参考文献
Endo, Yuya, and Yoshikuni Ono. 2023. “Opposition to Women Political Leaders: Gender Bias and Stereotypes of Politicians Among Japanese Voters.” Journal of Women, Politics & Policy, February, 1–16.
遠藤 勇哉
助教:Assistant Professor
学位:博士(情報科学)
endo@osipp.osaka-u.ac.jp