専門分野
アメリカ政治外交史、国際関係史
研究テーマ
フィランソロピーとアメリカの対外関係、モンロー・ドクトリン
研究紹介
アメリカ政治外交史・国際関係史・日米関係史。近年はカーネギー、ロックフェラー、フォードといったアメリカ合衆国の大財団が、20世紀のアメリカの対外関係にどのように関わったかに焦点を当てて研究を進めています。
具体的には1.カーネギー国際平和基金による渋沢栄一の対米民間外交(例.日系移民問題が日米関係の懸案として浮上する中での新渡戸稲造の日米交換教授としての派遣)、2.ロックファラー財団の助成で実現したアジア・太平洋地域における国際NGOの先駆、太平洋問題調査会(Institute of Pacific Relations)の活動――日中戦争や太平争戦争への道において、関係諸国の知識人に対話の場を提供した――や戦後冷戦期の国際文化会館(東京・六本木)の開設(1955年)・運営、3.1960年代以降におけるフォード財団による日本の知的交流への助成等です。
自国政府と特に戦後は連携したアメリカの民間財団の資金を通じて、広く日本の人文・社会科学がどのような影響を受け、それが日米関係にどのように反映されたかを明らかにすることが目的です。
学生へのメッセージ
アメリカ外交と現代世界
皆さんはアメリカ合衆国について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。自国の利益のみをしばしば独善的に優先するアメリカ第一主義のイメージでしょうか。それともGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)が様々な新しいツール、メディアを生み出していることに象徴されるような、世界の最先端をゆく国というイメージでしょうか。
実際のところそういったイメージの双方が、アメリカという国の光と陰を代表しているとも言えるのでしょう。私の授業や演習、また有志で開いているワークショップ(研究会)では、グローバル化が進む現代世界で未だに大きな力を保持しているアメリカの外交と同国を取り巻く国際関係を、主に歴史的アプローチから検討しています。
近年、アメリカではインターネット上でも外交関連資料の保存・公開が大幅に進展し、比較的最近の外交交渉の舞台裏を垣間見ることが容易になってきています。
皆さんと一緒に歴史を検証して、国際社会の将来について思索する機会を持てれば幸いです。
中嶋 啓雄
NAKAJIMA, Hiroo
教授:Professor
学位:博士(法学)(一橋大学)
nakajimh@osipp.osaka-u.ac.jp