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【院生紹介】Phung Vu Thuy Linhさん(OSIPP博士前期課程)

OSIPP Graduate Reflection: A Journey of Discovery and GrowthBy Phung Vu Thuy Linh(Photo: The author is the third person from the left; Birthday celebration with people from OSIPP.) Reasons for Choosing OSIPP: Bridging the GapMy journey at The University of Osaka began in the School of Human Sciences. Upon completing my undergraduate degree, I found myself at a common crossroads: I possessed a deep passion for learning but lacked a definitive map for my long-term career. I was caught between the allure of continued academia and the fast-paced world of the corporate sector. I chose the Osaka School of International Public Policy (OSIPP) precisely because it offered the intellectual sanctuary I needed to explore those two paths simultaneously.What drew me to OSIPP was its uniquely interdisciplinary curriculum. The ability to engage with economics, public policy, and international law—taught in both Japanese and English—offered a level of academic flexibility that is rare to find. For a student like me, who wanted to bridge the gap between theoretical social science and practical policy application, OSIPP was the perfect fit. Since joining, I have had the opportunity to dive into rigorous coursework in law and economics that was unavailable during my undergraduate years. These courses didn’t just fill gaps in my transcript; they fundamentally reshaped how I view global structures. Research: Analyzing Media Narratives in VietnamMy research at OSIPP has been a deeply personal and academic deep-dive into the “Watchdog” role of the press within a restrictive political environment. Specifically, I focus on the evolution of corruption narratives in the Vietnamese press. To understand how media functions under party-state control, I conducted a comparative quantitative and qualitative analysis of news reporting from two prominent Vietnamese domestic outlets. By comparing data points from 2016 and 2024, I have been able to trace how the language, frequency, and framing of corruption stories have shifted over nearly a decade. Complementing this data, I performed a chronological review of the laws and policies targeting the Vietnamese media system. This dual approach—analyzing both the “text” of the news and the “context” of the law—has provided a well-rounded overview of the mechanisms of media control in Vietnam. This research has taught me the importance of critical thinking and data integrity, skills I know will be invaluable in the professional world. Life at OSIPP: A Global CommunityBeyond the library and the lecture halls, my “everyday life” at OSIPP has been defined by the people. One of the school’s greatest assets is its international diversity. On any given day in the Refresh Room, you can find students from every corner of the globe sharing coffee and perspectives. These informal gatherings provided some of my most profound learning moments, allowing me to widen my horizons far beyond my own cultural upbringing. The friendships I have forged here are not just “networking” connections; they are deep, beautiful bonds that I will treasure for the rest of my life. Having a dedicated space for students to gather and support one another through the rigors of thesis writing and job hunting made the challenges of graduate school feel like a shared adventure rather than a solitary struggle. Future Outlook: From Osaka to TokyoAs I prepare to graduate, I am excited to announce that I will be moving to Tokyo to begin my career at a global Human Resources company. Growing up and studying in Japan, I often felt a lingering shadow of doubt regarding my language abilities. I was frequently “scared” that my Japanese would not be sufficient for a professional environment. However, the inclusive atmosphere at OSIPP changed that. By participating in seminars alongside Japanese peers and engaging in high-level academic debates, my confidence grew alongside my fluency. In fact, I credit the communication skills I honed here with helping me “nail” my job interviews. In my new role, I hope to leverage the company’s global network to explore the world and realize my full potential. Looking back on these two years, I am overwhelmed with gratitude. OSIPP didn’t just give me a degree; it gave me the time to find myself, the tools to understand the world, and the courage to step into my future.
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【院生紹介】山口真有美さん(OSIPP博士後期課程)

【院生紹介】山口真有美さん(OSIPP博士後期課程) 博士後期課程2年の山口真有美です。9年の看護師経験を経て、大学病院での臨床から看護学部教員となりました。修士課程では研究に専念し、大阪大学大学院にて看護学の修士号を取得したのち、他大学の博士課程でさらに知見を広げました。現在は実務の場で看護政策に携わる傍ら、再び阪大の門を叩き、OSIPPで研究を続けています。看護学から公共政策へ。現場の実感を政策の議論に耐えうるかたちに整え直したいと思っています。(写真:ENA Emergency Nursing Conference 2019, Austinにて。下段左から二人目が筆者。) 1. 研究テーマ私の研究テーマは救急外来看護師の役割です。一次から三次救急対応の救急外来で働いていたとき、先輩たちの知識の豊富さとそれを支える勉強量、それでいて細やかな気遣いに圧倒されました。自分も先輩たちのようになりたいと思う一方で、どこかで追いつけなさも感じており、この現場の看護師たちが思う存分力を発揮できるよう、場を整える側となる研究者を志しました。 もう一つ、「緊急で重症度の高い2割の患者を見極めるのはもちろんのこと、残り8割の軽症受診を減らす努力も不可欠である」と常々感じていました。救急外来を受診される方々にとっては、その時その場がまさに一大事であり、受診時の興奮や混乱、帰宅後の不安から再受診に至ることも少なくありません。そこで、看護師が最後にかける「何かあったらいつでも来てくださいね」という言葉だけではなく、家庭でのケアに繋がる判断材料を一つでも持ち帰ってもらえたら、状況は変わるのではないか、と考えていました。こうした臨床から立ち上がった臨床疑問をもってから、もう20年になります。当時はトリアージやドクターヘリがテレビで盛んに取り上げられ、救急外来を受診して帰宅する患者は救急医療の対象ではない、と言われた時期もありました。それでも諦めず、糖尿病看護の研究室に所属しながら研究を進めました。他領域の研究者とのディスカッションを通して問いの形を変えながら、次第に医療資源の配分や地域の救急外来のセーフティネットとしての役割を俯瞰して見たいと思うようになりました。 2. OSIPPへの入学看護の博士課程在籍中は、学会の医療政策委員となり救急外来看護の診療報酬獲得を目指し、調査を行なってきました。臨床家の現場感覚は、そのままでは政策の議論に乗りにくく、政策決定において通用するエビデンスをどう示すかという壁にぶつかっていました。看護学では「看護は実践の科学」と教えられます。これは単に客観的なデータのみを追うのではなく、患者さんやご家族の置かれた状況、さらにはその場の対人関係といった個別のナラティブの中で最適なケアを探究することを意味します。一方で政策は、集団や制度、資源配分を扱い、比較可能な指標や説明責任が求められます。現場の実感がそのままでは届きにくいのは、この根拠の形の違いが大きいのではないかと感じました。看護の実践を検証可能な問いに整える必要性を強く意識するようになり、修士時代から慣れ親しんだ緑豊かな環境や、落ち着いて研究に没頭できる空間がある阪大で政策を学ぶことにしました。OSIPPには、研究生としていくつかの講義の聴講をしてから、翌年に入学しました。現在はOSIPPでの学びと実務の現場で得る気づきから、理論と実践を往復する日々を送っています。これは周囲の理解とOSIPPの先生方のサポートのおかげであり、本当に感謝しています。OSIPPの仲間たちの研究は広く看護政策にもつながることが多く、いろいろな刺激とインスピレーションをもらっています。 3. OSIPPを目指す皆様へ現在は東京で働きながら、月に一度のペースで豊中キャンパスに通っています。遠距離での両立において、講義の受け方は非常に重要です。とくに私の場合は、経済学も政策学も初めての学びです。先生方にご相談しながらアーカイブ視聴やレクチャーノートで自学するほか、本務に支障のない夕方からの講義や短期集中講義を柔軟に組み合わせることで、本務と学業のバランスを保っています。一方で、社会人学生が学びやすいよう昼休憩の時間や土曜日にゼミ開催を調整・協力してくださる指導教員や院生仲間の配慮にはいつも本当に助けられています。キャンパスへ足を運ぶ際は、指導教員との対面での打ち合わせや、院生仲間とのディスカッションに集中します。東京と大阪という物理的な距離はありますが、むしろ「OSIPPに行けば、分野や国籍、立場、世代を超えて議論できる」という醍醐味が、今の私の大きなモチベーションになっています。その中で、Facebookやメールなどで届くOSIPPからの発信にもいつも励まされています。画面越しに流れてくる先生方や院生の論文発表のニュース、活気ある研究会、そして楽しそうなパーティーなどOSIPPの熱量が伝わってきます。専門外のためゼロからのスタートですが、周囲に助けてもらいながら少しずつ学んでいます。院生室には、共に課題を解決し合えるピア・メンターのような仲間が揃っており、これまでの院生生活の中で今が一番楽しいかもしれません。ぜひ、お待ちしています。
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【院生紹介】原田嵩弘さん(OSIPP博士前期課程)

今回は、OSIPP博士前期課程に所属する原田嵩弘さん(M2)にインタビューを行いました。原田さんは4月からOSIPPの博士後期課程に進む予定で、博士前期課程の間には研究活動に積極的に取り組んできました。今回はその研究活動と学業との両立や研究内容について伺いました 博士後期課程に進まれるとのことですが、いつ決心しましたか。またなぜOSIPPの博士後期課程を選択しましたか。入学した当初の2024年4月の時点では、博士後期課程に進むことを考えていませんでした。いよいよ周りの同期が就職活動に取り組もうとしているときに、私が所属している赤井伸郎先生の研究室の先輩方と研究を始め、その研究が楽しかったので、博士後期課程に進もうと考えるようになりました。その研究で、自分が学部生のころに読んで蓄えていた論文の情報を用いながら、研究の貢献の位置づけを提案できたことで研究を楽しいと思いました。周りの人々に恵まれ、研究を楽しく続けられる環境がOSIPPにはあると感じたため、博士後期課程に進学することを決めました。 原田さんは積極的に研究活動を行われて、その成果も多くありますが、どのようにして授業などの大学院生活と両立してきましたか。  OSIPPが楽しみながら研究できる環境だからだと思います。OSIPPに入ってからは先輩方をはじめとした周りの学生と日常的に研究について話す機会があり、そこで「一緒に研究してみよう」となって、共著での研究活動をしてきました。身近にロールモデルとなる先輩方がいらしたことで、過度に身構えることなく、自分が関心のあることについて追究し、研究に向き合うことができています。この心理的なゆとりが、結果として研究と学習活動の両立につながっていると感じています。 先輩方と共同研究しているともちろん自身の知識不足を感じますが、同時に自分の強みを生かすポイントも見つけられました。OSIPPでは実証研究に取り組んでいる学生が多いのですが、私は学部時代から経済学の分野で理論研究をしてきました。OSIPP入学後に、実証研究についての講義を履修し、自身の理論的知見と実証的な視点を融合させることで、多様なバックグラウンドを持つ学生との議論ができるようになりました。これからも実証・理論の両面から研究の知見を増やしていけるようにがんばっていきたいです。 論文をたくさん読まれてきたとのことですが、好きな論文はありますか。 私が好きな論文はGalor and Zeira (1993) “Income Distribution and Macroeconomics” です。この論文は学部時代の指導教員と初めて輪読した論文なので、特に思い入れがあります。当時は数学などが難しく理解できなかったのですが、その1年後に読み返すと、シンプルなモデルを用いながらも1つの事象に対して様々なインプリケーションを提示する論文であることに気づきました。 この論文を読むことで、今までの自分の視点とは異なる、経済学による社会の捉え方を理解することができました。今でも私の研究のモチベーションの一部となっている論文です。 OSIPPの中で好きな場所はありますか。 リフレッシュルームと自分のデスクが好きです。リフレッシュルームにはテーブルやホワイトボードがあり、OSIPPのほかの学生たちと談笑したり、研究アイデアのディスカッションをしたりできます。一方で、院生室の中にある自分のデスクでは、完全に自分の研究や作業に集中して取り組むことができます。僕は一日のほとんどを大学で作業しているので、そのONとOFFを切り替えられるこの2つの場所の存在に助けられています。 今の研究の関心 今は、政治経済学とパブリックファイナンス(公共財政)の研究領域に関心があります。 学部時代は、経済が成長するために「政府がどうやって市場の失敗をフォローしていくか」といった、政府の役割について学んできました。OSIPPに入ったのも、その政府の役割をもっと深く知りたかったからです。 しかし、研究を続けるうちに「政府」という一つの大きな組織があるわけではなく、そこには実際に働く人がいて、意思決定をする政治家がいること、そして政府も失敗することを改めて実感しました。現在は、特に政治家の意思決定が政策に与える影響が大きいと考えています。 これまでの先行研究では「有権者が政治家の動きを見て、誰に投票するか決める」というのが一般的でした。でも、その逆の考え方もあるのではないかと考えています。つまり、政治家のほうが「どうすれば有権者に好かれるか」を考えて、戦略的に政策を打ち出しているのではないか、ということです。そのような政治家の「学習」のプロセスについて興味をもって、日々研究を進めています。 OSIPPの学生の皆さんに一言お願いします。いつも仲良くしてくれるOSIPPのみなさんに感謝です。これからもよろしくお願いします。 (筆者)原田さんとは同じ学年で、特に修論の時期には、私の研究に役立つ文献を教えてもらっていました。 論文を読むのが好きで、研究に打ち込む原田さんのこれからの展開がとても楽しみです! (OSIPP博士前期課程 奥野愛理)
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12月・1月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の12月・1月の研究業績をご紹介します。 ・川窪悦章 先生  ・和仁健太郎 先生 ・髙田陽奈子 先生 ・二杉健斗 先生 ・赤井伸郎 先生 Takafumi Kawakubo (論文) Nicholas Bloom, Takafumi Kawakubo, Charlotte Meng, Paul Mizen, Rebecca Riley, Tatsuro Senga, John Van Reenen “Do Well Managed Firms Make Better Forecasts?”The Review of Economics and Statistics, accepted in November 2025.(査読あり)https://doi.org/10.1162/REST.a.1692 Abstract: We link new forecast and management data on over 20,000 firms to data on productivity in manufacturing and services. The panel survey was administered in the UK in July 2017 and November 2020, coinciding with two periods of considerable uncertainty from Brexit and Covid. We find that better-managed firms make more accurate forecasts for firm level turnover and macro-level GDP. Uniquely, we show better-managed firms are also aware that they make more accurate forecasts and have greater confidence in their predictions. This highlights how superior forecasting ability enables well-managed firms to make improved operational and strategic choices. 和仁健太郎 (判例研究) 「国際司法裁判所 東エルサレムを含む被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの政策および慣行から生ずる法的結果(勧告的意見・2024年7月19日)」『国際法外交雑誌』124巻3号(2025年)81-96頁(査読なし) 概要:国連総会は2022年12年22日の決議により、被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの政策・慣行が同地域におけるイスラエルの占領の法的地位に及ぼす影響等について、国際司法裁判所(ICJ)に勧告的意見を要請した。本稿は、この要請に応じてICJが与えた勧告的意見の研究である。本勧告的意見の最大の特徴は、被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの政策・慣行が国際法のさまざまな規則に違反することから、同地域におけるイスラエルの所在そのものの違法を導き、イスラエルが同地域における継続的所在をできる限り速やかに終了させる(要するにヨルダン川西岸地区等から撤退する)義務を負うと結論づけた点にある。他方で、この結論に至る裁判所の論理には相当な不明瞭さがあり、その点に本勧告的意見の最大の問題がある。本稿では、裁判官らの少数意見などを手がかりに、本勧告的意見の合理的な読み方を追求した。 北村朋史・田中佐代子・若狭彰室・藤澤巌・森肇志編『国際法で世界がわかる:ニュースを読み解く33講』新版(岩波書店、2025年12月)(書籍の分担執筆)https://www.iwanami.co.jp/book/b10153349.html 髙田陽奈子4.「夫婦別姓を認めない日本の民法は条約違反?――国内法秩序における国際条約の実施」34-43頁 概要:本書は、「国際ニュースの疑問から国際法を学べるユニークな入門書」である。髙田が担当した章では、夫婦別姓を認めない日本の民法が女性差別撤廃条約等の人権条約に違反するかという問題を手がかりとして、国内法秩序における国際条約の実施の方法について解説した。具体的には、まず、日本の法秩序における国際法の位置づけを概観したうえで、条約の実施における国会、行政府、そして裁判所の役割についてそれぞれ説明した。 和仁健太郎17.「EUが日本企業を規制する?――国家管轄権の域外適用」166-175頁 概要:EUの制定するAI法(2024年5月)や一般データ保護規則(GDPR)(2018年)がEU域外の企業にも適用され、EUの設定する規範・基準が世界中に広まっていく(いわゆる「ブリュッセル効果」)という話題から導入して、国家管轄権の域外適用(国外の人や企業に対する法令の適用)に関する国際法の規律内容について一般読者向けに解説したもの。拙稿「国家管轄権に関する議論枠組みの再検討」森田章夫ほか編『国際法の理論と実現ー岩沢雄司先生古稀記念』(信山社、2025年11月)における主張内容ーー国家管轄権問題を論ずるに当たって管轄権分類論も「○○主義」も不要であり、むしろ有害であるとの主張ーーを、一般読者向けの文章で実践するという隠れた意図もある(本稿において、「立法管轄権」、「執行管轄権」、「属地主義」、「属人主義」、「効果主義」等の概念は一切使わなかったが、国際法学の既存の議論枠組みに毒されていない一般読者にとっては、それでまったく何の支障もないし、むしろその方がすっきりした議論になることがわかるはずである)。 二杉健斗23.「自由貿易協定で環境や労働者を守る?――自由貿易協定の新展開」229-237頁 概要:現代の自由貿易協定(FTA)には、貿易当事国が自国の労働者や環境の保護の水準を引き下げることで投資や貿易を促進することを防止するためのルールが設けられることが増えている。本ブックチャプターでは、そうしたルールが求められる経済的要因とルールの基本的な仕組みを、実際の適用事例とともに紹介し、経済条約を通じた経済価値と非経済価値の調整のあるべき姿についての論点を提示している。 赤井伸郎 (その他の記事) 「日本の政策支える財源どこに?」『十字路』日本経済新聞(2025年12月11日付夕刊) 要旨:大型の新政策が見込まれるものの、その財源は見えていない。ガソリン関連諸税の暫定税率廃止で1兆5000億円、私立を含めた高校無償化拡充で4000億円必要だ。その財源はどこから生み出すべきだろうか。第一は、歳入の増加である。大企業や富裕層への課税強化が候補となろう。第二は、租税特別措置の縮減である。優先度から見て、目指す効果が見えにくい部分は見直しが求められよう。第三は、歳出の縮減である。効率性や効果性の乏しい事業を見直すことになろう。最後に、財源が確保できない場合に頼るのが国債である。国債市場には歳出の増加に対する危機感が高まっている。安易に国債に頼れば、将来のインフレや国家財政の不安定要素が増え、国家財政に対する市場の信認が揺らぐことになろう。いつ、どのように負担するのか。エビデンスを基に、透明性のある議論を重ね、国民が納得できる財源確保策の提示を期待したい。 Takafumi Kawakubo (Discussion Paper) Kyoji Fukao, Tetsushi Horie, Tomohiko Inui, Takafumi Kawakubo, Young Gak Kim, Hyeog Ug Kwon, Hongyong Zhang “Offshoring Bias in Productivity Estimates: Evidence from Japanese Customs Data”RIETI Discussion Paper Series 25-E-129, December 2025https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/25120027.html Abstract: This study examines the extent to which imported intermediate inputs lead to biased estimates of firm-level total factor productivity (TFP) growth, a phenomenon referred to as “offshoring bias.” To this end, we construct a novel firm-level dataset by linking the Japanese customs data with the financial information. We newly develop firm-specific import deflators at the granular Harmonized System 9-digit product level and use them to deflate import values. Comparing TFP estimates based on this approach with those based on commonly used industry-level deflators reveals that the conventional method tends to overestimate TFP growth. Moreover, our regression results indicate that the offshoring bias is more pronounced among firms with higher import shares. This suggests that conventional TFP estimation methods may systematically overestimate productivity growth for firms that rely to a greater extent on imported intermediate inputs.
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OSIPP Student Workshop の紹介

今学期から、毎週金曜日の昼休みに OSIPP Student Workshop (以下、ワークショップ)を開催しています。ワークショップは、学生によって自主的に企画・運営されているもので、OSIPPに所属し、主に経済学・政治学の実証研究を行う学生が参加しています。 今学期から、毎週金曜日の昼休みに OSIPP Student Workshop (以下、ワークショップ)を開催しています。ワークショップは、学生によって自主的に企画・運営されているもので、OSIPPに所属し、主に経済学・政治学の実証研究を行う学生が参加しています。 ワークショップを始めたきっかけは、わたしがアメリカの大学を訪問した際に、部局が主催するセミナーに加えて、学生が企画し参加する学生主導のセミナーやワークショップに参加したことです。そこでは教員がいないため、研究の初期段階や未完成の結果に対しても、学生が活発にコメントを行い、気負わず率直な議論がなされているのが印象的でした。このように、学生が研究を発表するだけでなく、他の学生の研究にコメントする練習の機会を設けたいと考えたことが、ワークショップを立ち上げた理由です。日常的な交流の延長線上にありながらも、適度な緊張感を保ち、研究について腰を据えて議論できる場を目指しています。 秋冬学期のワークショップでは、博士前期課程の学生と博士後期課程の学生それぞれ7名、合計14回の発表が行われました。発表内容は、研究の途中経過の発表、研究アイデアの発表、因果推論手法に関する論文の解説など多様であり、議論することを重視しました。結果的に、修士論文提出前に幅広くコメントをもらいたい博士前期課程2年の学生、発表機会を設けることで研究を進めたい学生、学会発表に向けて質疑応答の練習をしたい学生、修士論文のアイデアを構想中の博士前期課程1年の学生など、さまざまな立場からのニーズがあることが分かり、それぞれの発表者の目的に合わせてワークショップが活用されました。発表内容の関心に合わせて、多様な年次の学生が毎回15名ほど集まり、45分の時間の中で発表と議論を行いました。昼食を取りながら参加できるリラックスした環境でありつつ、リフレッシュルームで友人同士が話す場よりはフォーマルな、ほどよい緊張感のある雰囲気です。 実際に開催してみて、いくつかの利点がありました。まず発表者にとっては、完全な発表を目指す場ではないため、研究で行き詰まったときに相談の場所として機能していた点です。ワークショップは、OSIPP Lunch Seminarのように教員から鋭いコメントをもらう場ではないかもしれませんが、その分気軽に途中経過について議論できました。実際、医療経済学分野における修士論文の構想を発表した博士前期課程1年の学生が、医療分野で働く他ゼミの社会人学生から現場の話を聞くといったやり取りなどもありました。また、発表者と参加者両方にとっては、それぞれの学生の具体的な関心や、現在取り組んでいる研究内容を互いに知ることができたことも大きな利点でした。履修している授業等を通じて大まかな研究関心を知ってはいても、同じゼミでない限り、各自の具体的な問いや研究内容までは把握できないことがあります。その点で、このワークショップは研究をめぐる対話が深まる貴重な場となりました。さらに個人的には、「コメントをしなければならない」という適度な緊張感を持って発表を聞き、積極的に発言することで、他の人の研究に対してコメントをするよい練習にもなりました。ワークショップでの経験を通じて、今後、他のセミナー等でもより自信をもって議論に参加できるようになりたいと考えています。 OSIPP Student Workshop は、2026年度も開催予定です。発表者・参加者ともに、それぞれの研究段階や目的に応じて活用してもらえればと思います。4月上旬にOSIPP生に向けて案内を行う予定ですので、関心のある方はぜひご参加ください。 (OSIPP博士後期課程 池内里桜)
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韓国 慶煕 (キョンヒ) 大学超短期プログラム (2025年度)

2025 OSIPP Special Winter Program on Society and International Relations of Contemporary Japan (Jaunuary 5 – 9, 2026) 2026年1月5日~9日の5日間、韓国の慶煕(キョンヒ)大学から20名の学生を受け入れ、超短期学生交流プログラムが開催された。慶煕大学はOSIPPと部局間交流協定を結んでいるパートナー校の1つである。 初日は大槻恒裕研究科長による開講の挨拶に始まり、その後は”Young Generation in Korea and Japan”と称し河村倫哉教授の学部ゼミ生と慶熙大学の学生との学生間交流が行われた。2日目は南和志准教授による講義: Japan’s “History Problems”と佐藤治子特任教授による講義: Yasukuni and Japan’s Foreign Relationsが行われた。両講義には、OSIPPの学生も参加した。 3日目には、西蓮寺隆行准教授の講義: Recent developments in EU digital regulations and their impact on Japanのほかに、二杉健斗准教授による講義: Global Business and International Law – Free Trade Agreements (FTAs) and Workers’ Rights -が行われた。メキシコにある日本企業の工場で、労働者の権利侵害が疑われ、労働者の権利保護を目的にアメリカが介入した事例を取り上げた。この事例をもとに、自由貿易協定と労働問題の関係について講義をした。授業後半では、そのようなアメリカの強制的な介入の是非を議論し、「市場メカニズムとして合理的だ」という意見や、「覇権国家であるアメリカが悪用する可能性がある」という批判的な意見など、様々な意見が飛び交った。ある生徒は「自分達の生活や仕事にも関係の深い実用的な内容で興味深かった」と終了後に話した。 4日目には生藤昌子教授による講義: Environmental Policies in Japanと瀧井克也教授の講義: Japanese Labor Market、5日目には宮野紗由美准教授による講義: IPE (International Political Economics) in East Asiaが行われた。 最終日である5日目には、大槻研究科長から参加した学生に修了書が授与された。参加した学生の一人は、「経済、政治、法学と、トピックが多岐にわたり面白かった。特に阪大生と議論をしたことが印象に残っている。」と述べた。また他の学生もトピックの多様さに共感しつつ、「実践的な授業が多く楽しかった。」と笑顔で締めくくった。 (OSIPP博士前期課程 山本葉月)
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【院生紹介】井筒穂奈美さん(OSIPP博士後期課程)

【院生紹介】井筒穂奈美さん(OSIPP博士後期課程) 博士後期課程1年の井筒穂奈美です。私は現在、兵庫県庁で行政職員として勤務しながら、政治学の研究に取り組んでいます。今回は特に、社会人として働きながら大学院への進学を考えている方に、これまでの経験を共有できればと思います。(写真は井筒穂奈美さん) 1.これまでの経歴大学卒業後、新卒で東京に本社のある総合電機メーカーに就職しました。発電所のタービンや発電機を製造する電力・エネルギー部門で、国内外の拠点の内部監査や国際規格の取得、M&A等を担当しました。3年間勤務した後、より公共性の高い仕事がしたかったこと、また地元である関西に戻りたかったことから兵庫県にUターンし、県庁に入庁しました。兵庫県庁では、高齢者政策、人口政策、税務、内閣官房への出向、予算・労務管理を経験し、その後、自己啓発等休業制度を利用してOSIPPの博士前期課程に入学しました。昨年3月に修了し、職場に復帰するとともに博士後期課程に進学しました。現在は休職前から在籍していた部署に戻り、地方創生の事業を担当しています。学部生の頃から大学院で勉強したい気持ちはあったのですが、早く経済的に自立したかったことに加え、当時は関心分野が定まらなかったことから、就職を選びました。一方で、いつか大学院に進学したいと思っていたため、働きながら勉強をしつつ、機会をうかがっていました。OSIPPに入学した時には、最初の就職から10年が経過していました。 2.研究テーマとOSIPPを進学先として選んだ理由女性の政治参入について、計量的な手法を用いた研究に取り組んでいます。具体的には、なぜ女性の政治家が少ないのか、どのような条件が整えば女性が選挙に立候補・当選するのかに関心があります。学生時代は性別による違いを意識することはありませんでしたが、いざ社会に出てみると、女性が働き続けるには多くのハードルがあることや女性のリーダーが少ないことを実感し、なぜ男性と女性でこのような違いが生じるのか、その背景にある要因を知りたいと思ったのがきっかけです。ジェンダー問題を研究テーマにすることは決まったものの、どのようなアプローチで研究しようかと悩んでいた時に、兵庫県庁から内閣官房へ2年間出向する機会を得ました。自治体向けの交付金事業の担当として、予算配分をめぐり国会議員や首長から寄せられる「要望」に対応する中で、政治家が持つ権限と影響力の大きさを目の当たりにし、政治が社会のあり方を左右していると強く認識したことから、政治という切り口でジェンダー問題を研究しようと考えました。 進学先を決めるにあたって政治学の本を読んでいたところ、OSIPPの松林哲也先生が計量的な分析手法を用いて政治を研究されていることを知りました。業務でデータを扱う機会が多く、データ分析についても学びたいと思っていたため、松林先生の研究室であれば、ジェンダーと政治の研究に取り組みながら計量分析のスキルも習得できるのではないかと考え、進学を決めました。 3.仕事と研究をどのように両立しているのか 授業については、1学期に1科目(2単位)ずつ履修する計画としています。先学期は土曜日に開講された小原美紀先生の労働経済学の授業を履修しました。今学期は休日出勤が多くなることが事前に分かっていたため、金曜日の午後に代休を取得し、北村周平先生の計量経済学の授業を受講しています。論文指導はオンラインでのやり取りに加え、授業で通学した際に時間を取っていただき、対面での指導も受けています。また、年に数回ある学会や研究会は週末に開催されることが多いため、業務に支障をきたさずに研究活動に取り組めています。時間の確保が容易ではない面もありますが、職場の上司や同僚、そして指導教員の松林先生をはじめとするOSIPPの先生方・スタッフの皆さんの理解と応援をいただきながら、何とか仕事と研究を両立しています。OSIPPには社会人学生が多く、情報交換をしたり、励まし合ったり(時には飲み会も)しながら、ともに学べる仲間がいることも支えになっています。また、社会人以外の学生の皆さんも院生室で気軽に声をかけてくれたり、私の関心分野の論文を教えてくれたりと、OSIPPでのつながりが研究の励みになっています。 4.社会人経験は研究にどのように活かせるか 現場の実態を知っていることは、研究を進める上での足掛かりになっていると思います。特に私の場合は研究テーマと業務が関連しているため、現場での実感と照らし合わせながら研究の問いや仮説を考えられることは強みになると感じています。実際に修士論文では、行政の施策が女性の政治参入に与える影響について研究しました。また、仕事を通じて培った資料作成やプレゼンテーションのスキルも研究発表等で活かせています。 反対に、研究を通じて得たものが日々の仕事に活かせていると感じる場面もあります。例えば、担当する施策の効果検証では、様々な制約から厳密に因果効果を測ることは難しいものの、「誰に対して、どの経路で、どのような効果を及ぼすのか」という視点を常に持つようになりました。また、業務で課題に直面した際には背景に構造的な要因がないか考えたり、同様の事例が既に研究されていないか文献を調べたりする習慣が身につきました。目の前の仕事と適切な距離をとり、俯瞰的に見られるようになったことは自分にとって大きな変化でした。 5.社会人学生としてOSIPPへの入学を考えている方へ 仕事では多くの場合、テーマは組織や上司から与えられますが、研究は自分自身の興味・関心を起点として取り組むことができます。そこが仕事と研究の違いであり、研究の魅力の一つだと感じています。仕事とは別に自分の中に積み上がり、生涯を通じて取り組めるテーマを持つことは、大きな喜びにつながると思います。 OSIPPには様々な分野の先生や幅広い関心を持つ学生が集まっており、自分の視野を広げられます。長期履修制度やオンラインでの授業・論文指導など、仕事と研究を両立するための制度も充実していて、個人の状況に合わせて柔軟に研究計画を組み立てることが可能です。大学院進学に関心をお持ちの方はぜひ思い切って、一歩踏み出してみることをおすすめします。
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【院生紹介】齊藤弘晃さん(OSIPP博士前期課程)

【院生紹介】齊藤弘晃さん(OSIPP博士前期課程) OSIPP博士前期課程に在学中の齊藤弘晃さんにインタビューを行いました。齊藤さんは、メーカーで海外営業企画の仕事をしながら長期履修制度を利用してOSIPPの博士前期課程に入学され、3年目となる今年修士論文を提出されました。(写真:齊藤弘晃さん) 社会人学生になろうと思ったきっかけ、OSIPPに入学した理由やきっかけを教えてください学部生時代に台湾へ留学し、多様な民族が共存している社会を目の当たりにしました。それがどのように実現しているのかに強い関心を持った為、学部卒業時から大学院進学自体には興味がありました。一方で、当時は周囲から「大学院に行くと就職が難しくなる」といった話をよく聞いていたこともあり、まずは就職することを選びました。ただ、大学院進学という選択肢はその後も常に意識していました。社会人として仕事をしながら大学院に通う人は身近にほとんどおらず、最初は自分にできるのか不安もありましたが、「人生で後悔しないように一度挑戦してみよう」と思い、社会人10年目頃の仕事が少し落ち着いたタイミングで大学院進学を決意しました。OSIPPを選んだ理由は主に二つあります。一つは、国際政治をより専門的に学びたいという関心があったこと。もう一つは、OSIPP出身の友人から話を聞き、自分の関心分野を深く掘り下げられる環境だと感じたことです。 社会人をしながらの出願や学生生活をどのように両立されましたか社会人として働きながらの出願準備は、ちょうど社内の昇格試験の勉強時期と重なっていたこともあり、正直大変でした。研究計画書を書くのは初めてだったので、参考書を読んだり、関連論文を探して読んだりしながら、自分が取り組みたい研究テーマを具体化していきました。 授業については、集中講義や土曜日の授業もあるものの、平日の昼間に開講されるものも多く、仕事との調整が大変でした。OSIPPの長期履修制度を利用し、通常の2年ではなく、3年で単位を取り切りました。入学当時は実務担当者だったので、与えられた仕事をこなし、残りの時間を授業の課題や研究に充てていました。例えば、当時は在宅勤務制度の「中抜け制度」を使い、1時間半ほど中抜けしオンラインで授業を受け、その後すぐ業務に戻り繰り越された定時まで働くといった形です。2年目の半ば頃までは、有給休暇を使って対面のゼミにも参加していましたが、途中から職場で責任者の立場になり、会議や業務が増えて時間のコントロールが難しくなったことで、オンライン参加に変更したこともありました。週末には友人と出かけたりする時間も取っていたので、工夫次第で仕事と学業は両立できると感じています。 研究とお仕事の関連について教えてください 私の研究では、台湾における多文化主義政策がどのような歴史的背景のもとで形成され、社会統合の理念として機能してきたのかを分析しています。台湾社会には、福建系や客家系といった漢民族内部の多様性に加え、先住民族、戦後に中国大陸から移住した外省人、さらに近年増加している東南アジア系の新住民など、複数の集団が存在します。日本統治期には、中国本土とは異なる経験を共有する中で「台湾人」という意識の萌芽が生まれましたが、戦後は国民党政権の下で中国本土のナショナリズムが強く押し出され、多様な文化やアイデンティティは抑圧されてきました。その後、1980年代以降の民主化を契機に、先住民族や客家文化の復興が進み、多文化共存を重視する傾向が強まっています。私の研究では、こうした歴史の積み重ねを通じて、台湾がさまざまな集団を排除するのではなく「包摂」を重視し台湾人としての社会統合の枠組みを形成してきた過程を歴史資料や政策文書を読み込みながら分析しています。 仕事では、メーカーで海外営業企画を担当しています。いわゆる営業というよりも、本社側から海外拠点をサポートする役割です。海外拠点の財務状況を把握し、赤字拠点への改善提案などを行っています。現在は中国担当の責任者を務めています。研究テーマ自体は業務と直接結びついているわけではありませんが、担当国が中国であることから、米中関係や中国の政策動向などを調べる必要があります。その際、一次資料や先行研究の探し方などの研究で身につけた「研究者的な視点」が役立っています。単にニュースを通じた「誰かがこう言っている」という情報にとどまらず、その国が何を目指し、どのような政策を打ち出しているのかを、自分の力で情報にアクセスし自分の言葉で説明できるようになった点は大きな変化です。また、論理的に考える力が身についたり、部下のレポート添削がしやすくなったりと、間接的に業務に活かされている部分も多いと感じています。反対に、仕事を通じて文章を書く機会や報告の経験を積んでいることが、研究において役立っているとも感じます。一度社会人を経験した上で、自分の意思で大学院に進学しているため、「どの授業も無駄にしない」という意識が強くなり、有意義に学習したり学生時代には見えなかった視点から物事を捉えられるようになったりした点も大きいです。 仕事と研究の両立はやはり大変そうですが、社会人として学ぶモチベーションは何ですか仕事と研究の両立は確かに大変ですが、仕事とは別の軸として「研究」があることで、仮に仕事でつまずいたとしても「自分が本当にやりたいことを学べている」という実感が支えにもなっていました。もともと研究テーマへの強い関心があり、その分野の授業を受けたり、先生方のお話を直接聞いたりできること自体が大きなモチベーションで、好きなことをしているからこそ続けられた面もあります。結果的に、仕事と研究の間に相乗効果が生まれていたと感じています。また、OSIPPには社会人学生も比較的多く、社会人同士で仲間ができたり情報交換ができたりする利点もありました。留学生とも交流でき、人とのつながりが広がったことも大きな魅力でした。 社会人で大学院進学を考えている方にメッセージをお願いします 社会人として働きながら大学院に通うのは、決して楽ではありませんが、時間の使い方や工夫次第で十分に両立は可能だと思います。「学生時代は研究を諦めたけれど、やはり挑戦してみたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。思い立ったら吉日です。ぜひ一度、チャレンジしてみてほしいと思います。 (OSIPP博士後期課程 池内里桜)
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OSIPPピザパーティー開催

2026年1月13日、OSIPP棟6階会議室にて、国際交流委員会と院生会の共催でピザパーティーが開催された。当日は学生と教員合わせて40名ほどが参加し、賑わいを見せた。世界各国からの留学生も多く参加し、国際色豊かな雰囲気となった。 会場では皆がピザを囲みながら、和気藹々と食事や会話を楽しんだ。研究科内の親睦を深める貴重な機会となり、良い新年のスタートとなった。 (OSIPPライブラリー)
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【同窓会主催】修了生インタビュー(末村祐子さん)

2008年にOSIPP博士後期課程を修了された末村祐子(すえむらゆうこ)さんにインタビューを行いました。末村さんは現在、大阪市天王寺区長を務められ、24区の区長会議会長としても大阪・関西万博やSDGsほか政策実現に向けた企画立案や調整業務に取り組まれています。インタビューには赤井伸郎先生も同席しました。(写真:インタビューの様子。右上が末村さん。) 今の職種に就職しようと思った理由を教えてください。 振り返ってみると、だいたい10年から12年ごとに三つのステージがありました。最初の12年間は、企業・海外・NGO・国連会議フォーラム事務局での経験です。最初の就職先は旭化成でした。男女雇用機会均等法が施行されて間もない頃のことです。人材育成に力を入れてくださる会社で、組織とプロジェクトマネジメントの基礎を学ぶことができました。その後、海外でNGOの経験を積み、最後に携わったのが阪神淡路大震災の復興事業でした。2番目の12年間は、OSIPPでの研究と複数自治体への有識者的参画を並行した時期です。OSIPPでは行政経営・行政改革・防災・NGOといった領域を中心に研究を深めながら、実務にも関わってきました。3番目の約10年間は、政策に係る知識・情報を活用した実社会での取り組みです。東日本大震災の被災自治体の復興支援から始まり、復興庁、岩手県岩泉町での副町長を経て、現在は大阪市の区長を務めています。 これら職種を選んできた理由としては、社会の成熟や全体への関心、進化することや公正であること、そのバランスなど、望ましい解への関心が強かったからだと思います。知識と経験の双方を持つ専門人材になることを個人の目標としてきました。 どうしてOSIPPへ入学することを決断したのか、詳しくお聞かせください。 阪神淡路大震災の復興事業にNGO職員として携わった後、国連会議に出席する機会がありました。当時、日本の国連会議への出席は、霞が関の職員と政治家によるチームで編成されていました。しかし阪神淡路で活動した民間企業やNGOも一緒にチームを組んで出席する体制にすべきだと、当時所属していたNGO側からアプローチしたんです。 その結果、私はNGOから国連会議の事務局に出向し、事務局次長を務めることになりました。ところが、実際に国連会議に出席してみると、海外の方々の活躍のレベルが高く、自分の知識・経験の不足を感じました。海外では、政府・企業・NGOが日頃は利害が異なっていても、国のチームとして一つになったときには協力してアジェンダを獲得していく。そういうアプローチをしっかりされていたんですね。この経験が大きな転機となり、公共政策の領域で活躍するには学際的な理論を理解する必要があると感じ、社会人にも門戸を開いていたOSIPPに入学することを決めました。 現在の天王寺区長としてのお仕事について教えてください。 現在の天王寺区区長職では、区役所業務の管理、組織管理、危機対応等の統括業務を所掌しています。大阪市は「ニアイズベター」という理念を重視しており、住民に最も近い区でさまざまな調整を行うことから、区長はそのマネジメントの統括役を務めます。また、区長は区の教育委員会事務局次長も兼任しており、この点は他都市にはない特徴です。さらに、市の各局や24区間、官民の連携を担保するために「区長会議」という仕組みがあり、昨年度からその会長職を務めています。24区で連携しながら大阪・関西万博の機運醸成やSDGsの推進などにも取り組んでいます。 大阪市の特徴として、平成24年6月施行の要綱に基づき、区長の民間からの公募制が十数年続いています。日本の公務員の世界では珍しく、こうした仕組みを継続している自治体は今のところ大阪市だけかと思います。銀行や鉄道、教育ほか多様なバックグラウンドを持つ民間出身者と、市の職員出身の方が一緒に24区の業務に取り組んでいます。 これまでのお仕事の魅力と大変なところを教えてください。 どんな仕事でも、企業でも非営利でも、人も物も資金も、これらが投じられた先では、やはり社会全体が良くなっている、安定もし、進化もしているというところにつながってほしいと考えています。その点、税を財源に、直接貢献できる、そこが地方行政の仕事の一番の魅力だと思います。 大阪市のような政令市が都市計画や環境保全などより広域的な行政を担うのに対し、基礎的自治体の場合は、福祉や教育、保健衛生などを中心に、人が健やかに生きていくということに直結する仕事ができます。行政を通じた資金やサービス、社会ニーズへの取り組みの多くが、他者や社会への貢献に直結している。これは業務上の大きな魅力です。同時に、無尽蔵かつ変化もある多様なニーズに対して、資金も職員も資源は有限です。これらを複合的に網羅し、現実の社会における最適解を見出すには、理論・知識・情報・経験による総合知という縦割りではない専門性が必要です。これまで様々な行政機関で経験を積んできましたが、それでもまだまだ自分の成長の余白がある。そこも仕事における魅力の一つです。 一方で、OSIPPで勉強すると、税をいかに正しく使うかということがとても気になるようになります。「正しい使い方」とは何か、人によって違う。そこに正面から向き合うことになります。2040年を境に人口が本当に縮小していく中で、投じたものがただ右から左に流れるだけでなく、日本社会の成長や持続可能性につながる使い方になっているかどうか。最適解を見つけることは大変ですが、そこは常に考え続けています。 最後に、現在のOSIPP生にメッセージをお願いします。 学部を卒業してすぐにOSIPPに入学する方が多いことを前提にお話しすると、国際的、そして学際的な学問の場であるOSIPPを若いうちに経験できることは、変化の時代にはことさら幸運だと思います。阪神淡路大震災の時でさえ、「これから大きく変化しなきゃ」と社会では言われていました。その後、失われた30年と呼ばれる時期を経て、今また日本は大きな変化の局面にあります。人口の2040年問題を筆頭に、高齢化が進展し、これらを背景に今まで以上に社会課題も広範かつ深刻化が増すことを考えると、限りある資源が投じられた後、ただ右から左に流れるだけでなく、全く違ったステージに突入します。地球全体でも、国際関係の変化やテクノロジーの進化など、本当に変化の時代です。そのことに正面から向き合いながら、小さくまとまらず、おおらかに、多様に経験を積んでください。 私自身も卒業した後、これまでの公共や非営利とは真逆のメカニズムを持つ市場や企業、営利の経済活動を網羅的に理解し直したく、MBAを取得しました。そこでも学問も大変進化していると気づかされましたし、出会った人たちの考えにも刺激を受けました。皆さんが生涯ずっと何かしらの形で社会に貢献できるように、いいチャレンジをともにできたらと思います。 大きく変化する時代を、OSIPPでの経験を胆力に、自己実現と利他の両方で社会に貢献されることを願っています。 (OSIPP博士前期課程 原田嵩弘)
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【新刊:和仁健太郎教授】『国際法で世界がわかる : ニュースを読み解く33講 』 編者北村朋史 [ほか]

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した和仁先生の新刊をご紹介いたします。 和仁健太郎先生『国際法で世界がわかる : ニュースを読み解く33講 』編者北村朋史 [ほか](岩波書店, 2025年12月) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら なお、この本の第4講を髙田陽奈子先生、第17講を和仁先生、第23講を二杉健斗先生が執筆しています。https://www.iwanami.co.jp/book/b10153349.html (OSIPPライブラリー)
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【ポスター報告】上村成さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程1年次の上村成さんが、2026年1月6日に早稲田大学で開催された 計量・数理政治学会 (JSQPS) 2026年冬季集会においてポスター報告を行いました。 <報告論文>Title:  ”Do Sanctions Change Hearts ? : Evidence from Universal Periodic Review”Author: Jo KamimuraAbstract: Economic sanctions aimed at improving human rights conditions in target states often exacerbate the situation by diminishing the state’s economic capacity. However, this argument focuses solely on a state’s capacity, overlooking potential shifts in its willingness to improve. Using recommendation data from the Universal Periodic Review (UPR), I analyze how human rights sanctions influence target states’ attitudes toward human rights. The results indicate that both currently sanctioned states and those with a record of such sanctions significantly improve their acceptance rates of human rights recommendations. Specifically, sanctioned states tend to accept lower-cost recommendations to appeal to the international community. In contrast, as economic capacity recovers, following the end of sanctions, states show a greater tendency to accept more demanding recommendations.
  • 在学生
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2025年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会

2025年12月3〜5日、博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)論文の「2025年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会」がオンライン形式で開催された。(上記写真:鈕奕昊さんの発表の様子) 口頭報告審査会では、修士号申請者34人と博士号申請者3人が発表を行い、博士論文進捗状況報告会では、博士号取得を目指す24人の学生が、それぞれの研究成果について報告した。発表時間は、博士前期課程の学生には20分、博士後期課程の学生には40分が振り当てられた。学位申請者は、審査委員の先生からのコメントを踏まえ、1月の論文最終提出に向けて加筆・修正を行う。 博士前期課程2年次である鈕奕昊さんは、「領域紛争にみる決定的期日の類型とその法的効果」と題した論文を発表した。この論文では、決定的期日(critical date)という国際法上の概念について、領域紛争に関する主要な判決の再検討と学説の整理を通じ、これまで一貫性が見えにくかった適用のあり方を明らかにすることを目的としている。その検証の結果、裁判所による決定的期日の運用は、「客観的日付型」と「紛争結晶化型」という二つの類型に整理できること、また、その法的効果は実体面と証拠面という二つの側面において有することを示した。発表後には、主査および副査の先生から論文構成についての指摘がなされ、決定的期日をめぐって活発な議論が行われた。 同じく博士前期課程2年次である原田嵩弘さんは、“Learning from Electoral Competition: How Politicians Adapt to Voter Preferences”と題した論文を発表した。報告では、選挙が政治家の行動を規律づけるメカニズムを、政治家が選挙を通じて有権者の選好を学習するという視点から説明した。これまでの研究が、有権者が政治家のタイプを見極める過程に焦点を当ててきたのに対し、政治家自身もまた、有権者が政策の成果を重視するのか、党派的立場を重視するのかといった点について、不確実性を抱えている点を強調した。その上で、政治家の私的利益を追求する行動は、競争的な選挙に直面することによって直接的に抑制するだけでなく、選挙を通じた有権者の選好に関する学習によっても抑えられることを示し、選挙競争が政治家の行動を規律づける2つの経路を示した。 今回の報告会も例年通りオンラインでの開催であったため、事前に設置されたZoomルームに自由に出入りすることができ、発表者以外の多くの学生も聴講していた。筆者自身は法学を専門としているが、他分野の報告を聴くことで、それぞれの研究がどのように構成され、どの点が評価の対象となるのかを具体的に知ることができた。また、来年に向けた自身の準備を考える上でも、有意義な機会となった。 (OSIPP博士前期課程 WANG Hsin Ni)
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【ポスター報告】後藤 匠さん、古屋 航平さん(OSIPP博士前期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士前期課程1年次の後藤 匠さんと古屋 航平さんが、2025年12月14日に早稲田大学で開催された行動経済学会第19回大会においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時の後藤さんと古屋さん) <報告論文>Title: ”Texting for Taxes: Field Evidence on Loss-Framed Nudges in Japan”Author: 後藤 匠、古屋 航平、花木 伸行Abstract:兵庫県尼崎市で、2025年度第1期市県民税の納付遅延者を対象に、納税督促SMSへのナッジ介入効果をランダム化比較実験で検証した。データの収集は2025年8/13, 8/25の二度行なった。ナッジを用いたSMS単体では納付率の有意な改善は見られなかった一方、その後に送付される警告書と組み合わせると納付率が約5%ポイント向上し、ナッジSMSの遅延効果と警告書との補完性が示唆された。
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【ポスター報告】原田嵩弘さん(OSIPP博士前期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士前期課程2年次の原田嵩弘さんが、2025年12月7日に北九州市立大学で開催された 公共選択学会第29回大会においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時の原田さん) <報告論文>Title: ”Complete Loss of Competition: Uncontested Elections and Political Rents”Author: Naruki Notsu, Asahi Semma, Shuko HaradaAbstract:This study examines how the complete absence of electoral competition shapes politicians’ behavior. To explore this, we focus on uncontested elections, which are common in democracies worldwide yet understudied. We develop a dynamic model with belief updating in which uncontested politicians lower their perceived risk of future challenge and raise their optimal salary. We test these predictions using the context of Japan’s uncontested elections, which operate under shared electoral institutions. We find that mayors who win office without a contest subsequently increase their salaries. The pattern also extends to pivotal stakeholders. The salary response is largest after the first uncontested win and smaller thereafter, consistent with belief convergence under learning. These findings suggest that when public conflicts, such as the existence of other candidates, do not exist, politicians are more likely to seek personal gain, highlighting the fundamental role of elections in disciplining officeholders.
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OSIPPオンライン大同窓会2025 開催

OSIPPオンライン大同窓会 2025年11月30日、OSIPPオンライン大同窓会2025が開催された。この会は赤井伸郎教授をはじめとする同窓会実行委員会の尽力により企画され、OSIPP修了生のネットワークの強化・および現役生や教職員との交流を目的としている。当日は修了生に加えて、現役生や現職・退職教職員が参加し、画面越しながらもにぎやかな雰囲気となった。 開会にあたっては、まず赤井教授から、OSIPP30周年記念式典をはじめとするOSIPP同窓会「動心会」の直近1年の活動報告が行われた。続いて、動心会会長の辻本賢氏の挨拶が、動心会事務局長の小林義彦氏により代読された。その後、大槻恒裕研究科長からOSIPPの現状について、教育・研究活動や学生の状況などを含めた報告があり、博士後期課程の制度改革や学際プログラム、高大連携など近年OSIPPが力を入れている取り組みについての紹介があった。 卒業生による特別報告として、田中弥生氏(前会計検査院長)による講演が行われた。実務と理論を往還しながらキャリアを重ねてきた田中氏ならではの視点から、会計検査院の役割と財政民主主義の重要性について語られた。 会計検査院は、「財政民主主義のインフラ」として機能する憲法第90条に基づき設置された独立性の高い憲法機関で、日本で唯一の財政監督機関である。検査の対象は日本銀行のバランスシートや国債発行の動向、東京オリンピック・パラリンピック関連事業、農業政策や年金制度、租税特別措置の効果など、多岐に亘る。田中氏は2024年1月に内閣総理大臣から任命され、院長としてその職務にあたった。 在任中に行ったこととして、田中氏は戦後初めて補正予算の執行状況を体系的に把握したことに触れた。そしてその結果、予算が翌年に全額繰り越しているものがあり、その半分強が執行されていないことが明らかになったと述べた。緊急に必要だという理由で組まれたはずの補正予算に執行されていないものが多いことは、どういう根拠で、どういう積算をして補正予算の要求をしているのかについて確認し、見直す必要があることを示唆する。田中氏は検査を通じて日本の財政運営に新たな視座を与えたことも強調した。 講演の後半では、田中氏のキャリアの背景にあるピーター・ドラッカーとの出会いについても紹介された。田中氏にはドラッカーから授かった2つの大きなテーマがあるという。1つは「非営利組織のマネジメントと評価」、もう1つは「ナチスの全体主義と民主主義」であり、この2つがその後の転職や生き方を大きく方向づけてきたそうだ。このうちの「ナチスの全体主義と民主主義」というテーマを通じて、田中氏は個人の関心がどのように公共の問題とつながっていくのかを考え続けてきたことが語られた。その延長線上に、財政民主主義を支えるインフラとしての会計検査院での仕事への就任があり、田中氏は「これまでやってきたことを一度すべて手放して、その役割に飛び込んだ」と振り返った。 田中氏のキャリアには、テーマを追い続けるために学びと実践を繰り返す姿勢が一貫している。非営利組織のマネジメントや政策評価を学び、国際協力銀行や会計検査院といった現場でその知見を活かしてきた。講演では、こうした学びと実践の往復運動を通じて自らのテーマを深めてきた歩みが語られた。その経験を踏まえ、OSIPPには学生や卒業生にとっていつでも戻ってきて学べる環境を提供してほしいこと、またOSIPPの現役生・修了生に向けて、「自らの関心を追求し続けること」「好奇心を大切にし、多様な人と出会うこと」「本務とは別に自分のテーマを育てる“2枚目の名刺”を持つこと」の重要性が力強く語られた。「まず望み、チャレンジすれば、必ず得るものがある」というメッセージは、参加者の心に深く響いたようだった。 同窓会の後半では、少人数に分かれてのグループ別交流会が行われた。各グループでは、ファシリテーターの進行のもと、参加者が近況を報告し合いながら、OSIPPネットワークの活用方法や今後の同窓会のあり方について活発な意見交換が行われた。参加者からは「社会人学生が履修しやすいような柔軟な学修環境を整えてほしい」といった声などが寄せられた。こうした意見に対し、現役教員からはOSIPP内で進められている議論などについて説明があり、現場の声と大学側の取り組みが交差する場ともなった。 今回で3回目となるオンライン同窓会は、地理的制約を超えて気軽に参加できるというオンラインの特性を活かし、国内外で活躍する修了生や教職員、現役生が世代を超えて集う貴重な機会となった。久しぶりに顔を合わせた教員と修了生が旧交を温める場面も多く見られ、再会を懐かしむ和やかな雰囲気に包まれていた。参加者の声や意見を通じて、OSIPP修了生の多様なニーズを把握する機会にもなった本会は、今後の同窓会活動のさらなる発展に向けた重要な一歩となったといえるだろう。 OSIPP同窓会「動心会」公式ページ:https://www.osipp.osaka-u.ac.jp/ja/graduates/#section-01/ (OSIPP博士後期課程 辻本篤輝)
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第10回大阪大学豊中地区研究交流会 -知の共創-

OSIPPからは宮野紗由美准教授、川窪悦章講師が発表 2025年12月5日、豊中キャンパス基礎工学国際棟にて、第10回大阪大学豊中地区研究交流会が開催された。この会は、人文社会科学系から基礎科学を重んじる理系まで、幅広い部局を有している豊中キャンパスにおいて、各分野で活躍する研究者が集い、互いの研究を知り合う場として2016年から開催されている。 約4時間半にわたり開催された今回の交流会は、熊ノ郷淳総長による挨拶から始まり、続いてポスター発表形式での研究発表や情報交換会が行われた。OSIPPからは宮野紗由美准教授と川窪悦章講師が参加し、ポスター発表をおこなった。 第10回大阪大学豊中地区研究交流会 -知の共創- <宮野紗由美 准教授の発表>「How Japanese Business Managers See the U.S.–China Rivalry: Balancing Economic and Geopolitical Stakes⽇本企業の管理職層から⾒た⽶中競争: 経済的利害と地政学のはざまで」Abstract: As U.S.-China tensions rise, businesses in middle-power countries like Japan face difficult trade and investment decisions. This study examines how Japanese firm managers weigh geopolitical risks, through a December 2024 survey experiment conducted during Donald Trumpʼs second presidential term. Results show firms are highly sensitive to the risk of U.S. retaliation when engaging with China, while Chinaʼs security threat itself is less influential. Although most oppose trade restrictions, many accept U.S.-led measures targeting China, even at their own expense, while rejecting Chinese-led restrictions. These findings highlight how private-sector actors internalize geopolitical alignments, offering insight into business decision-making amid great-power competition. <川窪悦章 講師の発表>「Geopolitical Risks and Global Supply Chains: Evidence from Shipping Data」Abstract: More than 90% of Japanʼs trade activities relies on maritime supply chains facilitated by vessels. In recent years, maritime logistics has been increasingly vulnerable to geopolitical risks, large-scale natural disasters, and the enforcement of new environmental regulations. This study plans to analyze how these developments affect shipments and global supply chains by using the AIS data. Eventually, the project aims to provide evidence to support the realization of stable and resilient maritime transportation.
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【インターンシップ体験談】赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程)

【インターンシップ体験談】赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程) 私は2025年9月初旬に、シンガポールのコンテナ船運営会社Ocean Network Express(ONE)のJEWELS Programに参加しました。 ONEは、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が2017年に定期コンテナ船事業を統合して設立した日本発の大手外航コンテナ定期船運営会社です。2018年4月からサービスを開始し、シンガポールに本店を構え、世界第6位の輸送能力を持っています。衣類や機械部品、食品など多様な貨物を輸送して世界の経済活動を支えており、環境対応やDX化を積極的に推進している企業です。実際に本社を訪れると、多国籍の社員が働いており、社内カフェの共有スペースでは活発な意見交換が行われ、透明性の高いオフィス環境が印象的でした。 プログラム内容 プログラムは5日間にわたり、基本的にすべて英語で実施されました。参加者は日本人中心の35名で、1日目はコンテナ業界とONEの事業について学び、業界理解を深めるミニゲームを通してアイスブレイクを行いました。2日目から5日目までは、実際の業務に近い「新規航路開拓ワーク」にチームで取り組みました。このワークでは、ONEが現在運航している航路から新たに拡張するべき最適な港を探り、最終日に社員の方々にプレゼン形式で提案することが求められました。まずアフリカ大陸か南アメリカ大陸のいずれかを選択し、ONEのサービスがまだ行き届いていない港を選定しました。その上で、インターネットや企業から提供されたデータをもとに、その港の需要や将来性を分析しました。3日目には中間報告を行い、各チームの進捗を共有しました。興味深いことに、すべてのチームが異なる港にアプローチしており、着眼点の多様性を実感しました。社員の方々からの的確なフィードバックはワークを円滑に進める大きな助けとなりました。また、中間報告後には実際の港を視察する機会があり、普段見ることのできない港の効率化の工夫や細部の作り込みを拝見でき、貴重な経験となりました 学んだこと チームでのワークでは、一貫して楽しみながら課題に取り組むことができました。しかし、「新規航路」という以外に明確な制約がなかったため、最初は何から手をつければよいか分からずなかなか進まないことがありました。また、競合他社やその港の政治状況・貿易産物など考慮すべき要素が多すぎて、議論が発散し、方向性の解釈の違いから意見がぶつかることもありました。それでも、何を強調すべきか、なぜその港でなければならないのかを何度もチームメンバーと話し合い、最終的には全員が納得できるプレゼンテーションを社員の方々に行うことができました。 このインターンシップを通して、貿易特にコンテナ業界の概要を知ることができ、一本の航路を運航開始するまでのプロセスがどれほど綿密に計画され、チームで結論を出すことがどれほど困難かを実感しました。慣れない異国の地でこれまで取り組んだことのない課題に挑戦し、さらに英語でプレゼンテーションを行うという経験は、私にとって非常に貴重なものでした。ほとんどのインターン生が留学経験を持つ中、留学経験のない私にとって、多様な考え方に触れられたことは大きな学びになりました。また、このインターンに参加することで、海外で働くことのイメージを強く持つことができ、確実に自分の成長につながったと感じています。 最後に このプログラムに申し込む前は、シンガポールで英語を使ってインターンシップに参加することに不安がありましたが、今では参加して本当によかったと思っています。ONEのJEWELS Programは確実に私の視野を広げ、成長につながりました。また、5日間ともに励んだチームメンバーや他のインターン生とは仲を深めることができ、今では定期的に会うほどの友人関係を築いています。貴重な経験と素晴らしい出会いを得ることができたこのインターンシップは、かけがえのないものでした。これからも様々なことに挑戦していきたいと思っています。
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第31回OSIPPアドバイザリーボード開催

2025年12月2日、「第31回OSIPPアドバイザリーボード」を開催した。アドバイザリーボードは、OSIPPが社会に開かれた教育研究機関として地域および国際社会の発展に資することができるよう有識者より助言を得ることを目的とするものである。 現在のアドバイザリーボード委員は9人であるが、今年度は、大田弘子氏(政策研究大学院大学学長)、小林義彦氏(OSIPP同窓会「動心会」事務局長)、庄秀輝氏(日本貿易振興機構大阪本部長)、田中雄一郎氏(朝日新聞社本社論説副主幹)、原隆浩氏(大阪大学大学院情報科学研究科長)の5人の委員が出席した。 会合では、まず大槻恒裕研究科長より、アドバイザリーボードの概要およびOSIPPの現状について報告があった。続いて、河村倫哉教務委員長からは入学者の概況、留学生の出身国の割合、修了生の進路状況について、小原美紀副研究科長からはOSIPPの財政状況および支出内容について、それぞれ説明が行われた。 その後、本年度アドバイザリーボードの議題である「変化する社会のニーズと公共政策人材育成について」を踏まえ、昨年度に創立30年を迎えたOSIPPが、今後いかなる形で教育を展開していくべきかが、「学際性」および「専門性」の観点から話し合われた。議論においては、課題を俯瞰的に把握すること、そして統合的に解決策を構想することが重要である点や、産学連携によるインターンシップの実施やインターンシップを経験した学生のキャリアパスの提示など、多岐にわたる有意義な意見が委員より寄せられた。 これらの意見を受け、研究科長からは、今後学生にどのような学修機会を提供し、社会に貢献し得る人材として育成していくかを、委員からの助言を踏まえつつ検討を進めたい旨の展望が述べられ、会は閉会した。
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11月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の11月の研究業績をご紹介します。 ・松島法明 先生 ・和仁健太郎 先生  Noriaki Matsushima(論文) Jiajia Cong, Noriaki Matsushima (2025) “The effects of personal data management on competition and welfare”, Management Science, Forthcoming. (査読あり) Abstract:This study examines the impact of consumers’ personal data management on firm competition in the data collection and application markets, as well as on welfare outcomes. Consumers purchase products from differentiated firms in these two markets. Initially, in the data collection market, firms compete to collect consumer data to predict preferences in the data application market, enabling them to offer personalized prices to their targeted customers. Before firms set prices in the data application market, targeted consumers can erase their data at a fixed cost, thereby becoming untargeted. We show that personal data management leads to higher prices, lower firm profits, negative externalities among consumers, and reduced consumer surplus in the data application market. In the data collection market, personal data management intensifies competition and improves consumer surplus. Our analysis further explores extended scenarios of personal data management—including the rights to opt out of data collection, data portability, and data ownership—and reveals that firms’ two-market profits and total consumer surplus change non-monotonically with consumers’ data rights. Specifically, granting consumers data rights beyond simple data erasure can reverse the effects of erasure alone, benefiting firms while harming consumers. Moreover, data management influences cross-market competition quite differently depending on which market consumers exercise their data rights. Finally, we discuss proactive strategies firms can employ to maintain profitability under personal data laws. 和仁健太郎 (論文) 「国家管轄権に関する議論枠組みの再検討」、森田章夫・寺谷広司・吉田脩・岩月直樹編『国際法の理論と実現ー岩沢雄司先生古稀記念』(信山社、2025年)211-229頁、(査読なし)https://www.shinzansha.co.jp/book/b10153266.html 概要: 国家管轄権に関する国際法学の従来の議論は、①国家管轄権をいくつかに分類する(2分類または3分類)、②いくつかに分類したもののうち「執行管轄権」は他国領域内で行使(域外行使)できない一方、「規律管轄権」(「立法管轄権」)は一定の条件の下で「域外適用」できる、③規律管轄権を行使(特に域外適用)するためには、「属地主義」、「属人主義」、「保護主義」といった「管轄権の根拠・原則(bases/principles of jurisdiction)」に基づかなければならない、という3つの共通認識を基盤として展開されてきた。本稿は、このような議論枠組みの適切性を再検討し、国家管轄権問題を論ずるためのより適切な枠組みを提示するものである。具体的には、国家管轄権分類論(①)は不毛な議論であって止めるべきであること、従来の学説が「執行管轄権」の問題および「規律管轄権」の問題と呼んで論じてきたのは(②)、それぞれ、(a)「他国領域内で、または他国領域内の人や物に対して、当該他国の同意なしに行ってはならないのはどのような行為か」、(b)「人や企業の行動を国が法令により規制の対象にしてよいのはどのような場合か」という問題として定式化できるが、これら2つの問題は、「法令の制定・適用・執行に関わる問題」という点において共通するだけで、性質としては相互に連続性のない、2つのまったく異なる問題と考えるべきであること、(b)の問題を論ずるための枠組みとして「◯◯主義」アプローチ(③)は適切ではなく、法分野ごと・行為類型ごとの検討が必要であること(例えば、「個人情報保護について国際法はどの国に管轄権を配分しているか」、「競争制限行為の規制について国際法はどの国に管轄権を配分しているか」といったように、「問題(単位法律関係)の側から」考えるアプローチの必要性)を論じた。
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【ポスター報告】Gaius Ilboudoさん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程1年次のGaius Ilboudoさんが、2025年11月8日に金沢大学で開催されたJapan Association of Human Security Studies (JAHSS)においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時のIlboudoさん) <報告論文>Title: “Digital Diplomacy of the Economic Community of West African States: Defending Legitimacy amid Sahel Crisis”Author: Gaius Ilboudo, Virgil HawkinsAbstract: Escalating violence by extremist groups was used as one of the justifications for military coups in Mali, Burkina Faso, and Niger. Despite the dire security challenges these countries face, the military takeovers prompted the Economic Community of West African States (ECOWAS) to impose economic sanctions on these countries. However, the sanctions backfired, leading to the formation of the Alliance of Sahel States (AES) and its state members’ withdrawal from ECOWAS in 2025. This development challenges ECOWAS’s legitimacy, raising critical questions about its response to extremist groups’ violence and unconstitutional changes. In the current digital era, social media could be one means for ECOWAS to defend its legitimacy amid this diplomatic crisis.This study examines ECOWAS’s digital diplomacy, specifically its use of social media to defend its legitimacy and manage its relations with AES. The research uses a mixed-methods approach, gathering posts from the Facebook account of ECOWAS and conducting interviews. It is thought that international organizations could enhance their perceived legitimacy through social media by adopting a dialogic communication model. However, my study found that ECOWAS did not effectively leverage these tools to foster dialogue and build relationships with its online followers.The findings underscore the need for international organizations in Africa and globally to adopt more proactive digital engagement strategies with their citizens to improve their perceived legitimacy.
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