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南和志先生『People’s Diplomacy: How Americans and Chinese Transformed US-China Relations during the Cold War』出版・大阪大学賞受賞インタビュー

2024年3月に著書 People’s Diplomacy: How Americans and Chinese Transformed US-China Relations during the Cold War を出版し、同年12月には大阪大学賞を受賞した南和志准教授にインタビューを行いました。 著書 People’s Diplomacy: How Americans and Chinese Transformed US-China Relations during the Cold War の内容についてお聞かせください。 冷戦期の米中関係について、特に1970年代「米中和解」のプロセスを分析したものです。従来、米中和解といえば1972年2月のニクソン訪中など、両国の政策決定者に焦点を当てるものが多かったのですが、本書は幅広い米国人・中国人に分析対象を広げ、米中関係が敵対から協調に変化した過程を包括的に描き出しています。具体的には、両国の企業家、科学者、学生、ジャーナリスト、アスリート、音楽家など政府関係者ではない人々が、どのように米中関係を再構築したのかを論じています。昨今、米中対立が激化する中、米国の対中「エンゲージメント(関与)」が失敗であったという論調が目立ちますが、本書では、そもそも「エンゲージメント」は米国政府の政策ではなく、米中国民の主導で形成された思想なのだと結論づけています。また、本書の特徴として、米国だけではなく、中国の一次史料も網羅的に使用していることが挙げられます。その中には、残念ながら現在は様々な理由からアクセスできなくなってしまった史料も多く含まれています。本書では、政府関係者ではない非国家アクターに着目していることで、伝統的な外交史では捉えられてこなかった広義な国際関係を分析しています。 歴史系の研究は長期間かかり、忍耐強く取り組む必要がある印象を持っているのですが、研究のスケジュールの組み方など、特に大事にされていることはありますか。 確かに、歴史系の研究は成果が出るまで時間を要する場合が多いので、のんびりしているといつの間にか時間ばかり経ってしまいます。研究のスケジュールに関しては、私は特に秘策があるということはなく、毎日できる限り読んで、書いて、いつの間にか終わっているという場合が多いです。強いて言うなら、研究成果に関して短期目標に固執しすぎてしまうと研究の柔軟性が失われる恐れがあるため、ある程度余裕を持ちながら、中・長期の目標を意識するようにしています。 今取り組まれている研究や今後の研究の展望についてお聞かせください。 現在は、戦後東アジア全体を対象に、石油外交に関する研究を進めています。「東アジアの奇跡」とも称される同地域の急速な経済成長は、1950年代のエネルギー革命により燃料の主役に躍り出た石油に依存していましたが、石油資源に乏しい東アジア諸国は、供給源確保のため、東西冷戦の垣根を超えた競争・協調を展開しました。石油資源をめぐる外交交渉、石油開発のための技術協力、海外プロジェクトにおける政治家・商社・銀行の相互依存関係を調査することで、石油が戦後東アジアの国際関係に絶大な影響を与えたことを明らかにしたいと考えています。 研究中の困難はどのようなものがありますか。 研究に必要な資料を集めることが困難になってきています。私の研究で使用する資料は現在の政情が不安定な地域を対象としている場合もあり、予算制約がありながらどれだけ柔軟な発想をしてクリエイティブな方法で問題を解決するか、ということが求められています。そのため、都度試行錯誤しながら研究を進めています。 政治学の研究をするうえで必要な心構えはありますか。 歴史研究の観点から考えると、最も大事な力は基本的な読み書きの能力だと思います。歴史研究は入り口は広いですが、読み書きの能力や、大量の情報を処理・分析して争点・論点を絞る能力が必要です。また量の面でいうと本を何百冊と読む必要があり、次には読む人がいることを意識しながら、伝えたいことがきちんと伝わるよう緻密に検討しつつ文章を書く能力を磨くことと、それを成し遂げる強い意思が必要です。歴史研究を志している学生さんにはぜひ上記の点を踏まえた上でがんばってほしいと思います。 この度は大阪大学賞の受賞、おめでとうございます。ご感想をお聞かせください。 非常に光栄です。(くらいしか言えません笑)  大阪大学HP:令和6年度大阪大学賞表彰式を開催 OSIPP公式HP:令和6年度大阪大学賞若手教員部門 受賞 先生のお話を聞いて 研究活動には忍耐力と実行力が不可欠であることを改めて実感しました。先生から資料収集の方法について伺い、世界情勢に左右される難しさや、時間と思考を駆使して取り組んでいる姿勢を知り、歴史研究の困難さを改めて感じました。筆者もデータ収集活動で苦労することが多いのですが、まだまだアプローチする方法やできることの可能性について考える余地があることを認識しました。また、研究アイデアは頭の中だけに留めず、他者に伝えて進めることの重要性についても教えていただきました。この姿勢は、分野を問わず研究活動において共通する重要な考え方だと思います。 (OSIPP博士前期課程 奥野愛理)
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韓国 慶煕(キョンヒ)大学超短期プログラム(2024年度)

2024 OSIPP Special Winter Program on Society and International Relations of Contemporary Japan, January 6-10, 2025 (photo:The welcome remarks by Dean Nakajima) The Special Winter Program on Society and International Relations of Contemporary Japan was held from January 6 to January 10 at OSIPP/ Osaka University. OSIPP hosted 20 students from Kyung Hee University, a partner school with an inter-departmental exchange agreement with Osaka University. On the first day, Dean Hiroo Nakajima welcomed the students in Korean and provided brief information about the programs and activities of OSIPP. After the welcome remarks, Associate Professor Maekawa Wakako delivered a lecture on “Japan’s Approach to Peacebuilding”. The next day, Professor Michiya Kawamura and Specially Appointed Professor Haruko Satoh gave lectures on multicultural policies in Japan and Japan’s state identity, respectively. The thought-provoking lectures encouraged the students to ask questions during and after the sessions. On the third day, Associate Professor Kento Nisugi and Associate Professor Hinako Takata discussed contemporary law issues in East Asia. Associate Professor Nisugi lectured about foreign direct investment and trade issues, while Associate Professor Takata focused on human rights protection in the region. After Associate Professor Takata’s lecture, the students were divided into four groups to discuss whether Asia’s human rights protection system is desirable. The representatives from the four breakout groups made brief presentations based on their discussions with fellow students. On the fourth day, Professor Takuro Yamashita and Professor Masako Ikefuji from the Economics department at OSIPP delivered lectures on “Introduction to the Economic Theory of Institution Design” and “Environmental Policies in Japan.” On the last day, Associate Professor Sayumi Miyano discussed “the International Political Economy in East Asia”. The guide questions, “Can economic integration prevent conflicts in Asia?” and “What are the pros and cons of bilateral foreign trade agreements?” helped the students articulate their insights and relate their ideas to what they had learned in the past five days. Following the lecture, the certificates were awarded to the students, presided by Dean Hiroo Nakajima and faciliated by Professor Michiya Kawamura. The 2025 OSIPP Special Winter Program has been a fruitful learning event for Kyung Hee University students to discuss East Asia’s contemporary societal, political, legal, and economic issues. (OSIPP Doctoral Program Alastair Erfe)
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【My Favorite】松林哲也 教授「釣り」

【My Favorite】このシリーズでは、OSIPP教員の“推し”をご紹介します。 松林哲也 教授「釣り」 自分の“推し”は、とりあえず「釣り」とします。 この記事の執筆を依頼された時に、ビールを飲む以外に「推す」ことは特にございませんと一旦お断りしました。ただ、よく考えたら好きかどうかわからないけれど、釣りは頻繁にやっているということを思い出しました。 息子と自分の日課の一つは、夕食後に近隣の釣り公園の釣果をチェックすることです。大阪湾沿いには、尼崎、鳴尾浜、平磯(冒頭の写真)、須磨など、豊中から車で1時間以内に訪れることのできる海釣り公園がいくつもあります。それらの公園のウェブサイトでは毎日の釣果情報が更新されるので、その日の釣果を見ては「この種類がこんなに釣れたのか」とか「どうやって釣ったのか、エサと仕掛けは何か」といったことを息子と確認します。 釣果を見るのは、上手な釣り人たちと同じように、自分たちも大きくて美味しい魚(例えばアジ、タイ、ハマチ・ブリ、ヒラメ、イカなど)を釣ってみたいと心から願っているからです。他の人が釣っているのであれば、自分たちにも可能性があるはずです。 ただ、現実は厳しいです。先日は、2018年の台風被害を経て昨秋営業を再開した須磨海づり公園を訪れましたが、風が強く寒いなかでがんばったのに、魚のアタリを感じることもなく、完全なボウズ(一匹も釣れないこと)でした。2023年のサバティカル中にはカナダのオンタリオ州にある湖でトラウトを釣ることを夢見ていましたが、それも叶いませんでした。2024年には北海道、大阪湾、徳島などで釣りをやってきましたが、その多くで何も釣れない・釣れても小さいのばかりという感じです。 過去数年間の我が家の釣果を振り返ると、釣りたい魚はほぼ釣れていません。釣りを始めた数年前はサビキ釣りで小サバやコノシロが大量に釣れて大喜びしたりしていましたが、処理の大変さと味の単調さに辟易し、釣りたい魚のみに集中することに決めました。釣りたい魚を釣るには知識と技術と装備が必要ですが、特に知識と技術が追いついていないのが現状です。下手の横好きとは自分たちのことだと認識しています。 それでもなぜ釣りに行くのかなと頻繁に自問します。暑い・寒い、早起きしないといけない、遠い、準備が大変など、とにかくハードルが高いです。それでも頑張って釣りに行こうと思うのは、何も求めず、何も考えず、でももしかしたら釣れるかもという淡い期待を抱きつつ、息子(とときには妻)と共に海や湖を見ながら釣り竿を垂らしている時間が貴重だからだと思います。 息子は成長とともに自分のことに忙しくなり、一緒に釣りに行かなくなるだろうと覚悟しています。その時には、釣りのエキスパートでもある経済学研究科のO先生にぜひご指南をいただいて、腕を磨きたいと思います。釣りに関しては、息子とも話題をずっと共有できそうなので。
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片桐梓准教授 法学部国際公共政策学科ゼミ生がポスター発表

2025年1月5−6日にカリフォルニア大学サンディエゴ校東京オフィス(東京都中央区)で開催されたJapanese Society for Quantitative Political Science (計量・数理政治研究会)冬季研究集会で、OSIPPの片桐梓研究室の法学部国際公共政策学科ゼミ生がポスター発表を行いました。 1,Bui Nhung Anh, Takanori Kurose, Yuma Nishihara, Rina Shirai, Nanae Takeda, Ayaka Wada, and Azusa Katagiri. “G20 Summit Diplomacy Data: Exploring the Multifaceted Effects of Leaders’ Attendance at G20 Summits.” <Abstract>Why do state leaders prioritize foreign visits despite their tight schedules and the significant political and economic costs involved, rather than delegating these tasks to other government officials? If summit diplomacy offers distinct benefits, how can its effects be measured with clarity and precision? A growing body of research addresses these questions through the lenses of costly signaling (Smith and Malis 2019; McManus 2023) and public diplomacy (Goldsmith et al. 2021). However, a persistent challenge in this field is the selection bias inherent in bilateral state visits, which complicates reliable estimations of summit diplomacy’s impact. This paper seeks to address this methodological issue by leveraging instances of last-minute cancellations by state leaders at G20 summits. We introduce a novel dataset on leaders’ attendance and relevant outcome variables at G20 summits. Our analysis highlights the multifaceted impacts of summit diplomacy, including the number of bilateral meetings with other top leaders on the summit’s sidelines, media coverage, and leaders’ visibility in official photo sessions. Although the empirical investigation is ongoing, this study aims to provide fresh insights by bridging the gap between the practice of real-world diplomacy and theoretical accounts of summit diplomacy. 2.Yuki Kogane, Akari Uchita, Mizuki Nakano, Michiaki Hioki, Rin Miyake, Yuto Morita, Chihiro Yasuda, Yuki Yamane, and Azusa Katagiri. “Do Time Constraints Escalate Interstate Crisis?” <Abstract>Crisis escalation is a cornerstone of conflict studies. However, empirical research systematically investigating the escalation process remains limited, largely due to a lack of observational data. Classical works on interstate conflict (e.g., Snyder and Diesing, 1977) suggest that time constraints—among other factors—affect policymakers’ decisions during international crises. Despite these theoretical insights, empirical evidence on the role of time pressure remains sparse. This project explores how temporal constraints, such as deadlines imposed by adversaries, shape decision-making processes and influence conflict escalation pathways. To empirically examine these patterns, we leverage the recently developed Interstate Crisis Behavior Events dataset (ICBe). This innovative dataset enables detailed analysis of crisis events, capturing the evolution from diplomatic tensions to military engagements. We identified and analyzed sentences related to time constraints from the ICBe dataset. Using propensity score and interrupted time series analyses, we assessed their impact on escalation dynamics. Our findings reveal that time constraints have no significant association with the escalation of conflicts. This research contributes to a deeper understanding of the mechanisms underlying conflict escalation.
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2024年12月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の12月の研究業績をご紹介します。 ・生藤昌子 先生  ・石瀬寛和 先生・前川和歌子 先生 ・大久保邦彦 先生・赤井伸郎 先生 Masako Ikefuji(論文)Masako Ikefuji, Yoshiyasu Ono, “Environmental policies and stagnation in a two-country economy”, Economic Modelling, 141, December 2024, 106904(査読あり)https://doi.org/10.1016/j.econmod.2024.106904 Abstract: Global warming poses a serious and acute threat to our planet. However, negotiations over the allocation of permissible carbon emissions often lead to conflicts of interest between developed and developing countries. Developing countries claim that global warming results from long-term pollution emissions by developed countries, while developed countries demand that developing countries should make adequate efforts to reduce carbon emissions. Both developed and developing countries generally agree that stricter emission limits will strain their economies due to the associated extra abatement costs. Using a two-country model with wealth preferences, we find that the impacts of a country’s emission limit on real consumption and pollution emissions in both countries vary depending on the combination of their business situations. If both countries achieve full employment, one country’s stricter emission limit decreases real consumption in both, as expected. However, if one country faces aggregate demand stagnation while the other achieves full employment, a stricter emission limit imposed by the stagnant country increases real consumption in both countries. Hirokazu Ishise(論文)“Religion as an informal institution: A case of true pure land Buddhism and missing women in early modern Japan”, Journal of Economic Behavior & Organization, Vol. 229, January 2025, 106823(査読あり)https://doi.org/10.1016/j.jebo.2024.106823 Abstract: In early modern Japan, infanticide was used for birth control and sex selection. However, some historians hypothesized that people who believed in the True Pure Land (TPL) sect of Japanese Buddhism were less likely to commit infanticide. I statistically examine this hypothesis using a quasi-natural experiment of hinoeuma (fire-horse) year with a two-way fixed-effects estimation. Girls born in a hinoeuma year were reckoned to be inauspicious and subjected to sex-selective infanticide. In 1846 and 1906 hinoeuma, TPL-dominant areas experienced a smaller increase in the male-to-female ratio in the cohort than the areas with less TPL dominance. Additional regressions support the hypothesis that the TPL’s prohibition of infanticide led to this smaller effect.<大阪大学プレスリリース:ResOU>https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20241205_2 Wakako Maekawa(論文)Wakako Maekawa and Kana Inata, “Consequences of civilian victimisation: does pro-victimisation sponsorship affect the survival of intervening leaders?”, Contemporary Politics, 11 Dec 2024(査読あり)https://doi.org/10.1080/13569775.2024.2440216 Abstract: Are political leaders penalised for sponsoring foreign governments inflicting violence against civilians? Foreign policy literature illustrates that involvement in international crises boosts incumbent support via rally effects, while war casualties literature demonstrates that citizens are sensitive to punishing their political leaders for negative foreign policy outcomes. We argue that sponsoring inhumane foreign governments is more likely to promote irregular penalisation, such as protests, rather than regular punishment, such as loss in elections, for security threats emphasized during election periods may induce the public to condone civilian victimisation in a third country. Using data on political leaders from 1991 to 2009, we find that as the levels of indirect civilian victimisation increase, leaders are less likely to be terminated in a regular manners. Although the corresponding effect on irregular exit is less robust, our extension analysis shows that indirect civilian victimisation increases protests, which could impose costs on incumbent leaders. 大久保邦彦(論文)「原始的不能」、鎌田薫・加藤新太郎・松本恒雄 編『債権法改正講座 3巻』 第1部 契約総論・契約の成立、日本評論社(2024年12月)https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9402.html 概要:特定物売買の締結時に目的物がすでに滅失していた、という事例が原始的不能の契約の典型だが、2017年改正前民法典は、原始的不能の効力について特段の規定を持たなかった。伝統的通説・判例は「原始的不能の給付を目的とする契約は無効である」という考え方を支持していたが、1960年代以降、反対説が有力になり、近時の比較法的動向も同様の傾向にあった。2017年の改正法は、原始的不能というだけでは直ちに契約は無効とはならないという新ルールを採用することを前提に、民法412条の2第2項を新設した。本論文は、改正時の議論を概観し、改正法によって変わった点や決まったことを確認した後、残された課題や改正法の下で生じうる諸問題に検討を加えた。 赤井伸郎(その他の記事)「103万円の壁、上げ「理解」44% 経済学者47人に聞く」『日経エコノミクスパネル』日経新聞(2024年11月29日朝刊), 日経新聞電子版2024/11/29https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD205G40Q4A121C2000000/?msockid=07cc35830fa26d800f6f21fb0e296c6d
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【新刊:中嶋啓雄教授】ジョン・T・ダヴィダン 著、中嶋啓雄 監訳『西洋化の限界(The Limits of Westernization)』

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した中嶋先生の新刊をご紹介いたします。 中嶋啓雄先生 ジョン・T・ダヴィダン著、中村信之, ミラー枝里香, 伊藤孝治, 竹澤由記子, 周游 訳、中嶋啓雄 監訳『西洋化の限界 : アメリカと東アジアの知識人が近代性を創造する : 1860-1960 = The limits of westernization : American and East Asian intellectuals create modernity, 1860-1960 』(大阪大学出版会, 2024年) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
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2024年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会

2024年12月4~6日、博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)論文の「2024年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会」がオンライン形式で開催された。(写真:井筒穂奈美さんの発表の様子) 口頭報告審査会では、修士号申請者33人と博士号申請者5人が発表し、博士論文進捗状況報告会では、来年度の博士号取得を目指す15人の学生が日々の研究の成果について報告した。 博士前期課程の学生には1人あたり20分、博士後期課程の学生には40分が与えられ、その時間の中で発表と質疑応答に臨んだ。修士号と博士号の申請者は、今回受け取ったコメントを踏まえ、1月の論文の最終提出に向けて論文執筆最終段階に入る。 2024年度の修士号申請者の一人である井筒穂奈美さんは「県の男女共同参画推進施策が女性の議会参入に与えた影響―鳥取県と島根県の事例からー」と題した論文を発表した。男女共同参画推進施策の取組の積極性の程度が県によって異なることに注目し、このような行政の取組が女性の議会参入を促進するかについて差の差分析法によって検証していた。県レベルで取り組まれる男女共同参画は市町村議会への参入は促すが、県議会への参入に対しては、効果は限定的であるという結果を示した。なぜ県議会への効果は限定的であるかに対しては、立候補にかかる費用を一つの仮説として示しつつ、今後の研究の課題であると報告を締めくくり質疑に対応した。 博士後期課程2年次の野津成希さんは “Decentralization and Scale” というタイトルで現在進めている研究の進捗を報告した。地方分権を博士課程の中心テーマとして研究を進めている野津さんは、今回の報告において、日本の戦後のユニークな状況に注目し、警察組織の地方分権化が地方支出や警察の活動等に与える影響を、回帰不連続デザイン等を用いて分析した結果を発表した。分析の結果、分権化により支出は拡大するものの、各地域に適した公共サービスの提供が可能になるという地方分権化の理論と整合的な実証結果が得られたことを示した。質疑応答で受け取ったコメントをもとに、今後は追加的な分析を行うことで、より説得力の高い研究に仕上げたいと語った。 報告会は前年度に引き続き今年度もオンラインで開催されており、多くの博士前期・後期課程1年次の学生も聴講していた。筆者もいくつかの報告会に参加したが、どの報告においても、主査の先生だけではなく副査を務める先生方からの質疑も活発だったことが印象的だった。論文の分析内容に加え、論文にする際のまとめ方や、その研究の位置づけに関する質疑応答などを聞いたことで、筆者自身も自分の研究に対してより真摯に向き合うきっかけとなり、非常に有意義な機会となった。来年度の自身の研究発表に向けて準備を進めていきたい。 (OSIPP博士後期課程 吉良光冬)
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【院生紹介】JSPS特別研究員インタビュー(杉浦卓弥さん)

【院生紹介】JSPS特別研究員インタビュー(杉浦卓弥さん) 今回は、OSIPP博士後期課程に所属する杉浦卓弥さん(D1)にインタビューしました。杉浦さんは、国際法学の分野で船舶に対する国家の権限に関する歴史研究をしています。このインタビューでは、研究内容や手法、OSIPPでの学生生活について聞きました。 研究者を志した理由や経緯を教えて下さい研究の世界に興味を持ったきっかけは、他大学の学部一回生だったときに受けた授業で、先生が研究の話をしていたことだったと記憶しています。もっともその先生のご専門とは、全く異なる分野を専攻していますが。現在の問題意識、研究内容について教えて下さい国家が船舶に対して有している権限の範囲について研究しています。基本的に国家は、自国船籍の船舶に対して広範な権限を有しています。しかしながら、自国のみが有している権限が何で、自国も他国も有している権限は何かで見解の相違が生じます。例えば、公海上のA国籍船でB国民がC国民を殺害し、その後に当該船舶がD国に寄港した場合、この事件を捜査し、また加害者を逮捕、訴追できるのは船籍国たるA国に限られるのかといった事例です。そのような対立は、国家間でこれまでに何件も発生し、現在でも論争的なテーマです。私の問題関心は、こうした船舶利用を巡る規律の在り方を歴史的に辿りながら、(国際)法の機能と(国際)法学の役割について考えることです。船舶利用を巡る規律の在り方は、海洋秩序の形成と維持の中心を占めてきました。それと伴に国際法が発展してきたと言われることもあります。その点で、船舶利用の国際的規律は、(国際)法の機能と(国際)法学の役割について考えるには格好の題材だと感じました。 これまでの研究や現在の研究活動をご説明いただけませんかこれまでの研究は、船舶に対する国家の権限について、漁業問題に限定して行ってきましたが、問題解決の手掛かりが得られませんでした。そのため、現在は、国際法上、なぜ国家が任意の船舶に対して一定の権限を有するのかという根拠の明確化に取り組んでいます。日本学術振興会特別研究員になってみて「なんで、私が学振に!?」と当時も今も思っています。結果発表の当日は、私はその審査結果が信じられなかったのですが、今年の5月に通帳を見て、手違いではないと確信しました。特別研究員になって以後、特に大きいと感じているのは、日々のお金の使い方に対して、過度に敏感になる必要がなくなったことです。また、残念ながら私の研究内容に関するものではありませんが、特別研究員になると利用申請ができるデータもあると聞いたので、金銭面以外にも恩恵を受けている人もいると思います。今年度から特別研究員同士の交流会も開かれることになりました。今年は6月15日(土)に京都で開催されました。そこでの他の院生との交流は大きな刺激になりました。特別研究員-DC フレンドシップミーティング 2024 in Kyoto 研究者としての将来の展望まずは現在取り組んでいるテーマで自分が納得できる博士論文を書くことです。船舶に対する国家の権限については、海洋法分野での主要なテーマであり、歴史が深く、先行研究も多いのですが、意外とまとまった論文がないと感じています。そのため、学界での今後の議論の叩き台となるようなものを提供したいと考えています。特別研究員を目指す後輩にメッセージをお願いします頑張ってください。見ている人は見ています。申請書に関しては、OSIPP生であれば、過去にOSIPPで特別研究員に採択された申請書をOSIPPライブラリで読むことができますし、スタッフの方々による添削サービスもあります。情報や伝手が限られている中で、こうした環境は大きかったです。OSIPPは縦横の繋がりが濃く、また各院生の関心も様々で、話をしていると新鮮さを感じることも多いので、研究するには良い環境だと思います。毎年1~2名ほど社会人の方も入学するので、専攻分野や関心だけでなく、バックグラウンドも多様な人たちが在籍しています。 (OSIPPライブラリー)
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【ポスター発表】左 晅子さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程2年次の左 晅子さんが、2024年12月14-15日に創価大学で開催された 日本精神衛生学会 第40回大会 においてポスター発表を行いました。 <報告論文>Title:  福祉政策と自殺 ―日本における「生活困窮者自立支援制度」の役割―Author: 左 晅子さん Abstract: Japan saw a notable drop in suicide rates during the 2010s, coinciding with the introduction of the “Self-reliance Support for the Needy” program. Targeting those facing economic hardships but ineligible for public aid, the program offered support in benefits, employment, and financial management. Using a difference-in-differences approach, this study analyzed monthly suicide rates in 815 cities from 2009–2015. Results showed a decrease in monthly suicides, particularly among males and middle-aged individuals. In further subprogram analyses on annual suicide rates, employment training emerged as the most effective subprogram, highlighting its critical role in suicide prevention.
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【ポスター発表】野津成希さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程2年次の野津成希さんが、2024年12月7日に大阪大学で開催された Sino-Japanese SPACE Workshop Program においてポスター発表を行いました。(写真:ポスター発表時の野津さん) <報告論文>Title:  ”Inter-municipal cooperation and tax enforcement capability”Author:  野津成希さん Abstract: This study examines the effects of enhancing the tax enforcement of administration on the tax gap, focusing on intermunicipal cooperation (IMC). IMC refers to collaborative tax collection efforts among multiple municipalities and promotes the aggregation of tax collection resources and expertise, improving tax enforcement. Using the time variation in IMC creation across municipalities, we show that IMC substantially improves the tax gap measurement by reinforcing tax enforcement in local governments. The effects also appear to be driven at both the inter-municipal and municipal levels. Our findings suggest that enhanced administrative capability in tax enforcement can be an effective tool against noncompliance in ways other than facilitating voluntary compliance.
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令和6年度 大阪大学賞受賞! 山下拓朗教授・南和志准教授

大阪大学賞「若手教員部門」受賞! 2024年11月27日(水)、大阪大学コンベンションセンター(吹田キャンパス)で大阪大学賞の受賞式が開催された。 国際公共政策研究科からは「若手教員部門」で受賞を果たした 山下拓朗教授と南和志准教授が出席した。 大阪大学公式HP News:令和6年度大阪大学賞表彰式を開催 山下拓朗 教授 <業績名>「制度設計と情報設計の理論およびオークションや市場・組織分析への応用の研究」 <OSIPPNews記事>教員紹介:山下拓朗 教授第20回 日本学術振興会賞・日本学士院学術奨励賞受賞インタビュー 南和志 准教授 <業績名>「冷戦変容期における米中「人民外交」の研究」 <OSIPPNews記事>教員紹介:南和志 准教授
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【OSIPP赤井研究室主催】公共政策実践セミナーシリーズ第2回「近畿財務局の役割と関西経済の展望」

「近畿財務局の役割と関西経済の展望」近畿財務局長 関禎一郎氏 2024年11月21日(木)、OSIPP棟6階会議室において近畿財務局長 関禎一郎氏による講演「近畿財務局の役割と関西経済の展望」が開催された。 講演では、日本の公的債務は高齢化による福祉負担の増加、経済成長の鈍化などによりさらに悪化が懸念される中、財政赤字に対処する方策や国有財産の活用が示唆された。日本の公的債務問題や地域経済における財務局の役割について学生と議論する時間もあった。この講演を通じて、近畿財務局が地域課題解決に向けた政策を立案していることをはじめ、他にも多様な業務を担っていることなど、近畿財務局の業務内容について理解を深めることができた。また、若い職員が中心となって各地域の課題解決のプロジェクトを実施しているという話を聞き、財務局に対するイメージが変わったとの意見も聞かれた。 講演会後の交流会では、今後のキャリアについての相談なども含め、学生の卒業後の視野が広がる意見交換も行われ、盛会となった。
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2024年11月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の11月の研究業績をご紹介します。 ・南和志 先生  ・中嶋啓雄 先生・二杉健斗 先生 ・瀧井克也 先生 Kazushi Minami(著書)People’s Diplomacy: How Americans and Chinese Transformed US-China Relations during the Cold War, Cornell University Press (2024)【eBOOK】 Abstract:In People’s Diplomacy, Kazushi Minami shows how the American and Chinese people rebuilt US-China relations in the 1970s, a pivotal decade bookended by Richard Nixon’s 1972 visit to China and 1979 normalization of diplomatic relations. Top policymakers in Washington and Beijing drew the blueprint for the new bilateral relationship, but the work of building it was left to a host of Americans and Chinese from all walks of life, who engaged in “people-to-people” exchanges. After two decades of estrangement and hostility caused by the Cold War, these people dramatically changed the nature of US-China relations. Americans reimagined China as a country of opportunities, irresistible because of its prodigious potential, while Chinese reinterpreted the United States as an agent of modernization, capable of enriching their country and rejuvenating their lives. Drawing on extensive research at two dozen archives in the United States and China, People’s Diplomacy redefines contemporary US-China relations as a creation of the American and Chinese people. 中嶋啓雄(翻訳書)ジョン・T・ダヴィダン(中嶋啓雄監訳/伊藤孝治、周游、竹澤由記子、中村信之、ミラー枝里香訳)『西洋化の限界―アメリカと東アジアの知識人が近代性を創造する』(大阪大学出版会、2024年)https://www.osaka-up.or.jp/book.php?isbn=978-4-87259-771-4 概要:東アジアの知識人たちが西洋の影響を受けつつ独自に近代化を成し遂げた思想を追う、アメリカ人研究者による独自の近代化論。東アジアの近代化は、単なる西洋化への道ではなく、福沢諭吉、吉野作造、丸山眞男や中国の魯迅、蒋介石、毛沢東、さらには韓国の尹致昊(ユンチホ)といった東アジアの知識人や政治家が、西洋諸国の東アジア進出以降、ジョン・デューイやチャールズ・A・ビアードといったアメリカ知識人の影響を受けつつも、儒教の伝統を背景として独自に近代化を完遂する思想的支柱を保持し続けてきたことを明らかにしている。 二杉健斗(その他の記事)越智萌・岡田陽平・二杉健斗「学界回顧―国際法」『法律時報』96巻13号(日本評論社 2024年)193-201頁https://www.nippyo.co.jp/shop/magazines/latest/1.html 概要:『法律時報』の「学界回顧」は、法学分野の1年間の研究動向をレビューする記事であり、著者らの担当は3年目(最終年)である。昨年度に引き続き、国際法(学)の有用性に対する疑問への応答が求められているとの問題意識から「実学としての国際法学」の動向を記述するべく、当該研究によりいかなる規範的・実践的問題が解決されたのかに特に注目して、日本の国際法学の研究を体系的にマッピングすることを試みている。 Katsuya Takii(Discussion Paper)Ayaka Nakamura and Katsuya Takii “The Effect of Initial Job in Japanese Labor Market” OSIPP Discussion Paper, DP-2024-E-007, November 8, 2024 https://hdl.handle.net/11094/98402 Abstract: We investigate the effect of being a regular employee in a job which a worker takes immediately after graduation (the initial job), on subsequent job status. We construct an assignment model that can be estimated by the marginal treatment effect (MTE) framework; the model suggests that the region- and cohort-level unexpected shocks that influences the demand for full time-worker share is a valid instrument under some assumptions. Estimating the MTE, we find that the treatment effect of the initial job is heterogeneous among individuals: male workers who are less likely to obtain regular employment in the initial job enjoy benefits of stable employment; however, the regular initial job does not increase the probability of subsequent regular employment for male workers who are likely to obtain regular employment in the initial job.
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OSIPP30周年記念大会(3)記念式典・祝賀会

2024年11月1日、大阪大学中之島センター佐治敬三ホールにおいて、大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)創立30周年記念大会の一環として記念式典と祝賀会が開催された。 ◆ 記念式典 ◆ シンポジウムに続いて行われた記念式典では、まずは大阪大学の西尾章治郎総長より祝辞が述べられた。総長は、OSIPPを「世界を舞台に活躍する公共政策のプロフェッショナルの養成を目的として1994年に創立された、我が国で初めて“国際公共政策”の看板を掲げた大学院である」と紹介した。また、国内外に山積する喫緊の課題の解決には斬新な発想とリーダーシップが求められていると述べ、その人材を育てるべく、OSIPPがこれまで30年間、一貫して法学・政治学・経済学の学術的かつ実践的な知を総合し、現代の日本や国際社会が直面する公共的な政策課題に取り組んできたことを受けて、これまでの発展に尽力した方々への謝意を表した。最後に、傑出した実績と特徴を持つOSIPPが今後も社会と大学との結節点(ハブ)となり、本学が目指す「生きがいを育む社会」の創造の実現に向けてさらなる発展を遂げるものと大いに期待していると述べた。 次に、OSIPP創立当時、大阪大学経済学部に客員助教授として在籍しており、現在は政策研究大学院大学(GRIPS)学長を務める大田弘子先生が登壇した。大田先生は、OSIPP創立当時に実際の経済政策に関心を深めたことや、その後、小泉内閣のときに内閣府に出向して官僚を務め、安倍・福田内閣では閣僚として政策の現場に身を置くことになった経験から、政策決定過程(ポリシー・メイキング・プロセス)全体の設計の重要性を感じ、政策研究は学際的であると同時に、多くのケースから学び続けなくてはならない領域だと痛感していると伝えた。また、世界が分断を深めるいまだからこそ、インド太平洋の窓口であり、先進国とグローバルサウスをつなぐことのできる国であり、何より成熟した民主主義国家として、自由で冷静な議論ができるこの日本で政策を学ぶ意義が高まっていると説き、その後、改めて創立30周年へのお祝いの言葉を述べた。 続いて、外務省大阪分室政府代表 特命全権大使(関西担当)の姫野勉氏がお祝いの辞を述べた。まず、大阪大学や国際公共政策研究科との深いつながりとして、大阪大学法学部の卒業生であること、外務省入省後の2006年から2008年まで、OSIPPで専任教授として勤務していたことを紹介した。次に、OSIPPの特徴として、学際性・国際性・実務性・実践性を挙げられると述べ、法律・政治・経済をはじめとする多分野との協働研究、国境を越えた連携、そして実践的な問題解決能力を持つ人材の育成を担えるという特徴は、OSIPPにとって重要な強みとなっていると説明した。加えて、2025年4月から10月にかけて開催される大阪・関西万博について、世界の諸課題に対する解決策を共に見出していくプロセスとして位置づけられており、万博開催中だけではなく、開催後も協力を賜りたいと述べた。 最後に、国際連合システム合同監視団(JIU)監査官/国際公共政策研究科招へい教授の星野俊也先生が、ジュネーブからオンラインで祝意を表した。まずは、修了生が多くの大学や実務の現場で活躍していることを誇りに思っていると述べ、次に創立にあたってのエピソードを二つ紹介した。OSIPPは、大阪大学の法学部と経済学部の教員が旧教養部の教員と共に設立したユニークな高等教育・研究機関としてスタートしたものであり、法政系と経済系を結びつけるなかで“既存の学問の枠に縛られない新しい大学院を作る”という強い情熱を持ったファウンディング・メンバーが、共通の基盤として選んだキーワードが「国際」と「公共」と「政策」だったということ、もう一つは、通常であれば大阪大学の中の一つのGraduate Schoolを名乗るところを、敢えて「Osaka School」と呼び、あたかも独立した一つの研究教育機関のような名前にしているところであり、ここに大阪大学の権威や威光だけに頼らず、自分たちの力で世界に通用する公共政策の大学院大学になろう、という決意が表れていると説明した。「OSIPPらしさ」とは、高度な研究や最新の情報を通じて物事の本質を見極め、政策や実務に携わる人々とのコミュニケーションを欠かさず、いつも誰かのため、世界のため、未来のために、現実的な「ソリューション」となるアイデアやリーダー人材を生み出すことであり、これまでの30年の実績を基に、知的貢献と人材育成において今後OSIPPがさらに大きな役割を果たすことを期待すると述べた。  ◆ 祝賀会 ◆ 記念式典に続いて行われた祝賀会は、中之島センターのサロン・アゴラに場所を移して開催された。大阪大学理事・副学長の田中敏宏先生による祝辞の後、OSIPP同窓会「動心会」会長である辻本賢氏の乾杯で幕を開けた。再会を懐かしんだり、近況を報告し合ったりと会場は歓談で華やぎ、同時に修了生である田中弥生氏(会計検査院院長)や中林美恵子先生(早稲田大学教授)ほか、各界で活躍中の方々からのメッセージ映像も届けられた。その後は当日参加していた元研究科長の野村美明名誉教授、高阪章名誉教授、松野明久名誉教授からもお祝いの言葉が添えられた。修了生が語る懐かしい話題や近況とともに「OSIPPで学んだことが今の仕事に活かされている」という声が多々寄せられたことが印象的であった祝賀会も盛会のうちに終え、OSIPP30周年記念大会の全てのプログラムが無事に終了した。
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OSIPP30周年記念大会 (2) シンポジウム「ポスト・コロナ時代の国際開発関係大学院のミッション」開催

2024年11月1日、大阪大学中之島センター佐治敬三ホールにおいて、大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)創立30周年記念大会の一環としてシンポジウムが開催された。 シンポジウム  「ポスト・コロナ時代の国際開発関係大学院のミッション 「ポスト・コロナ時代の国際開発関係大学院のミッション」と題するシンポジウムでは、OSIPP研究科長の中嶋啓雄教授に加え、名古屋大学の岡田亜弥教授と神戸大学の木村幹教授も登壇して「地方国立大学」「研究大学」「開発・政策系学際研究科」という三つの要素が交差する地点に立つ研究科の可能性と課題について問題提起がなされた。特に、研究面における異分野間の協働、多様な背景を持つ学生への教育アプローチ、そして地方国立大学としての独自性という三つの観点から、司会であるOSIPP副研究科長の小原美紀教授が加わり、議論を開始した。 最初に、名古屋大学大学院国際開発研究科に関しては、国際性と学際性を有した研究科であり、SDGsの視点を取り入れたカリキュラム編成を行っており、特に、日本人学生への海外研修や留学生への国内研修など実践的な教育研究活動に力を入れていると、岡田先生から説明があった。具体的な取り組みとして、社会人向けの博士課程の設置や、将来的に国際機関での活躍を目指す学生の育成プログラムを構築したことも報告された。また、修了生のネットワークの強さについても述べた。多くの修了生が母国で中枢的な役割を担い、研究機関や大学で活躍していることは、同研究科の教育の成果を示すものとして評価できるという。最後に、OSIPPとGSIDには多くの共通点があることを指摘し、今後の協力関係の深化に期待を示した。 次に、木村先生から、神戸大学大学院国際協力研究科に関しては、複数の専攻とコースを設置する比較的規模の大きい研究科であり、経済学、政治学、医学など幅広い分野をカバーし、特に、4つの学位を授与できる体制を整えている点が同研究科の強みであると述べた。また、「国際協力学」の概念は定義が曖昧で、海外でも通用しにくい概念であるため、むしろ学生の求める具体的な学位に焦点を当て、複数の学位プログラムを用意することで多様なニーズに応える方針を採用しているという興味深い言及があった。学際的な研究教育については、教員を無理に組み合わせるのではなく、学生の興味や必要性に応じて教員をオーダーメイドで組み合わせる方式を採用している点が強調された。OSIPPに関しては、研究科の特徴として、若手教員が多いこと、留学生が半数以上を占めていること、講義の半数を英語で実施している点など、中嶋先生から説明があった。 続いて、コメンテーターとして登壇したOSIPP准教授の髙田陽奈子先生は、OSIPPにおける学際性として、多様なテーマと研究手法を用いる教員が在籍し、互いの研究をリスペクトする文化が根付いていることを強調した。教育面での課題として、学際的な研究を教育に効果的に活かすこと、特に、研究を始めたばかりの学生に対する学際的な研究指導の困難さについて言及した。この課題への対応として、入学時からの複数指導教員制度や、専門の異なる教員による共同講義の実施などが提案された。さらに、コメンテーターであるOSIPP准教授である石瀬寛和先生からは、異分野間交流の具体的な取り組みとして、昼食時を活用した研究報告会の実施やそのオンライン化によって、修了生や他大学教員との交流が活性化している点を紹介した。また、学部1年生向けのオムニバス講義では、同一テーマについて異なる専門分野の教員が講義を行うことで、学問的視点の多様性を学ぶ機会の重要性を示唆した。 続いて行われた討論では、まずOSIPP副研究科長である大槻恒裕教授から各研究科の戦略についての質問が投げかけられた。特に、主に海外の問題を扱う名古屋大学・神戸大学と、国内外の問題を扱うOSIPPとの違いを踏まえた上で、それぞれの特色の出し方や、後期課程の学生確保という課題に対する各研究科の取り組みについて意見が交わされた。木村先生は、OSIPPの創立30年という歴史はまだ浅く、今後の発展可能性を秘めているという見方を示し、学生間の交流を含めた伝統や環境作りが不足している可能性を指摘した。岡田先生からは、現代の学術界における学際的な境界が曖昧になっている世界的潮流については、専門性の明確化が重要であるという指摘があった。具体的には修了証書での専攻明記など、学生の専門性を対外的にアピールする工夫が紹介された。 シンポジウムを締めくくる前に、参加者に配られていたアンケート調査の結果について、小原先生から報告がなされた。アンケートを通じて、多くの教員が研究時間の不足を感じており、収入と研究時間のトレードオフという課題が浮き彫りとなったこと、また施設面では、老朽化への対応と交流スペースの整備が求められているという結果が示された。 最後に、各登壇者から今後の展望に関する発言があった。OSIPPの髙田先生は教員の多様性と学際性に関する新たな視座を得られたこと、石瀬先生は学生の自由な選択の重要性を再認識できたと述べた。大槻先生は、まず確実な専門性を確立し、そこから範囲を広げていく段階的なアプローチの重要性を指摘した。中嶋先生は教員間のコミュニケーション促進の必要性を強調し、30年という歴史を踏まえた今後の発展可能性について言及した。神戸大学の木村先生からは、国立大学全体が直面している困難な状況を変革していく重要性と、学生、教職員が満足を感じられる環境づくりの必要性が指摘された。最後に、名古屋大学の岡田先生は、3大学間の協力関係の発展の重要性を強調した。 本シンポジウムを通じて、学際的研究科の可能性と課題、そして今後の展望について、具体的かつ建設的な議論が展開された。各研究科の特徴や取り組みが共有されるとともに、今後の協力関係の深化に向けた基盤が形成された意義深い機会となった。
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OSIPP創立30周年記念大会(1)

1994年6月24日に正式に発足した大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)は、今年、創立30周年を迎えた。これを記念して、2024年11月1日(金)に大阪大学中之島センターにて、創立30周年記念シンポジウム、記念式典、記念祝賀会がOSIPP創立30周年記念式典実行委員会により開催された。参加者は、総長や理事など大阪大学関係者や現役のOSIPP教職員・学生に留まらず、元教員や修了生など多くが出席した まずは、記念式典に先立ち「ポスト・コロナ時代の国際開発関係大学院のミッション」と題するテーマでシンポジウムが行われた。続いて開催された記念式典と祝賀会では、これまでのOSIPPの30年間の歴史を振り返るだけでなく、政策研究大学院大学(GRIPS)学長である大田弘子氏のほか、各分野で活躍する方々からの祝辞とともに、OSIPPが未来に向けてステップアップするための数々の貴重な助言を得て、30周年記念大会は盛会のうちに終了した。 🔶 式次第 🔶創立三十周年記念シンポジウム(於  佐治敬三メモリアルホール)  >>詳細 「ポスト・コロナ時代の国際開発関係大学院のミッション」 (司会)大阪大学大学院国際公共政策研究科副研究科長 小原美紀  (パネリスト)名古屋大学大学院国際開発研究科前研究科長         岡田亜弥神戸大学大学院国際協力研究科長         木村幹 大阪大学大学院国際公共政策研究科長       中嶋啓雄 大阪大学大学院国際公共政策研究科副研究科長   大槻恒裕 大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授     石瀬寛和 大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授     髙田陽奈子 創立三十周年記念式典(於  佐治敬三メモリアルホール) >>詳細 (司会) 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授  赤井伸郎 <式辞>  大阪大学大学院国際公共政策研究科長  中嶋啓雄 <挨拶>  大阪大学総長             西尾章治郎 <祝辞> 政策研究大学院大学(GRIPS)学長         大田弘子外務省政府代表/特命全権大使(関西担当)    姫野勉国際連合システム合同監視団(JIU)監査官     星野俊也
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【OSIPPパブリックセミナー】「最近の国際情勢と日本外交の取組」外務省 権田藍 室長

【OSIPPパブリックセミナー】 「最近の国際情勢と日本外交の取組」 外務省総合外交政策局政策企画室 権田 藍 室長 2024年11月14日、法経講義棟2階3番教室において、外務省総合外交政策局政策企画室室長である権田藍氏による「最近の国際情勢と日本外交の取組」と題したセミナーが開催された。 権田氏は、今月実施されたアメリカ大統領選や終わりの見えない各地での戦いなどを引き合いに出しつつ、世界的に分断が進んでいるという状況や、それに伴う諸問題について述べた。その後、諸外国や日本の外交の現状について説明し、日本がこれからどのように外交を展開していくべきかについて言及した。 また、セミナーに先立って行われたランチミーティングでは、外務省での勤務形態や仕事内容などを聞くことができ、就職先を検討している学生にとって、より具体的に自身の将来をイメージする機会となったのではないだろうか。
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【My Favorite】片桐梓 准教授「adizero」

【My Favorite】このシリーズでは、OSIPP教員の“推し”をご紹介します。 片桐梓 准教授「adizero(アディゼロ)」 私の“推し”は、アディダスのadizero(アディゼロ)というブランドのランニングシューズです。元々は2005年に日本人ランナーを対象として開発されたブランドで、とても軽くてフィット感とクッション性が高いことがその特徴です。何故、アディダスのadizeroなのか?ミズノでも、アシックスでも、ナイキでも、ニューバランスでも、プーマでも素晴らしいシューズは沢山あります。実は、大学時代に所属していた陸上部の“秘密兵器”と言われていた私は、当時ずっとミズノを履いていました。ただ、最後まで“秘密兵器”のまま終わってしまったのですが…(つまりずっとベンチ要員でした、涙…)。 私がadizeroと出会ったのは、10数年前に初めてアメリカに留学した時でした。大学卒業後も続けていたジョギングでしたが、そろそろ履き古したランニングシューズを買い替えたいと思い、ある日ニューヨークのスポーツショップを訪れました。毎年ニューヨークマラソンが行われる大都市のスポーツショップには、当然のことながら軽くてスピード重視のシューズが多数並んでいるかと思っていたのですが、行ってみてビックリ!平均的なアメリカ人が日本人より大柄で、それなりのスピードで長距離を走る人があまり多くないからか、ナイキやアシックスのシューズでも、怪我をしないためのクッション性だけを重視した、重くてごっついシューズしか売ってないではないですか!それには困り果てて、スポーツショップの店頭で買うことを諦めて、オンラインでやっとのことで見つけたのがこのadizeroのシューズでした。ちょうどadizeroブランドが国際的に展開し始めた時期だったらしく、アメリカ国内でも待つことなくすぐ配達され、軽くてフィット感があるシューズに大満足でした。このadizeroがある限りは、海外にいる間のランニングシューズ問題は解決したなと思ったものです。 さて、初めてadizeroを手にした日から10数年にわたる海外在住中に、アメリカの各都市のみならず、シンガポールでも購入して履き潰したadizero のシューズは10足以上になります。カリフォルニアの心地良い天気の日も、雨の日も、ボストンのマイナス20度の雪の日も、ちょっと動いただけで汗だくになってしまうシンガポールの湿度90%の熱帯雨林気候の中も、ほぼ毎日のようにこのシューズでジョギングをしていたので、長い間本当にお世話になっています。OSIPPに赴任してきた昨年3月にも早速新調して、引き続き新生活のジョギングのお供にしております。 ちょっとしたキッカケから、ここまで同じブランドのシューズを履き続けるとは思いませんでしたし、競技としての陸上では全く芽が出なかった自分が、競技を引退した後も、まさか毎日飽きずに同じスポーツを続けられるとも思ってもいませんでした。これからも新しいadizeroを買うのを楽しみにランニングは続けたいですね。でも、せっかく日本に帰ってきたから、他のブランドのシューズも履いてみたいかも(笑)。 (片桐梓)
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2024年10月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の10月の研究業績をご紹介します。 ・南和志 先生  ・宮野紗由美 先生・山下拓朗 先生 ・赤井伸郎 先生・小原美紀 先生 ・松林哲也 先生 南和志(受賞)令和6年度 大阪大学賞 若手教員部門 受賞業績名:冷戦変容期における米中「人民外交」の研究 山下拓朗(受賞)令和6年度 大阪大学賞 若手教員部門 受賞業績名:制度設計と情報設計の理論およびオークションや市場・組織分析への応用の研究 Miki Kohara(論文)Ryo Sakamoto and Miki Kohara (2024) “Why Gender Norms Matter” Economica, 10 September 2024.(査読あり) https://doi.org/10.1111/ecca.12551 Abstract:The present paper reexamines the causal impact of working hours on workers’ mental health. We utilize Japan’s 2010 reform of the Labor Standards Law as a social experiment to examine how the increased wage penalty for long overtime work affects working hours and workers’ mental health. Utilizing a unique panel dataset containing health behaviors and individual, household, and workplace characteristics of male workers, we find that the wage penalty reform indeed succeeded in reducing overtime hours and total working hours, and that the reductions contributed to workers’ better mental health. Further empirical investigation suggests that the reduction effect of the reform on working time is homogeneous among age groups; however, the harmful effect of working time on mental health is large and statistically significant among young workers. Our results suggest that setting a high wage penalty for long overtime work effectively reduces overtime work and improves workers’ health outcomes, particularly among youth. Miki Kohara(論文)Hang Thu Nguyen-Phung¡, Miki Kohara, and Secil Er (2024) “The Impact of ICT Development on Female Employment and Household’s Well-being in Vietnam,” Japanese Economic Review(査読あり)https://link.springer.com/article/10.1007/s42973-024-00180-7 Abstract: This paper examines the impact of ICT development on female labor market outcomes across Vietnam, using data from four waves of the nationally representative Vietnam Household Living Standard Surveys conducted in 2012, 2014, 2016, and 2018. Leveraging the variation in the degree of ICT development among provinces as a source of exogenous variation, we employ fixed effects models. Our findings show that a 10 percent improvement in ICT increases the likelihood of obtaining a contract job by approximately 2.9 percentage points for married women, nearly 3 percentage points for low-educated married women, and 8 percentage points for married women from minority ethnic groups. The rise in contract jobs for these groups suggests that ICT development has improved the local labor market and enhanced the job-matching process for vulnerable women in Vietnam. Additionally, we explore the well-being of households led by married women in contractual employment, revealing a positive correlation between the ICT Index and average daily caloric intake per capita in such households. Our pathway emphasizes the synergy of ICT deployment, expanded contractual opportunities, and improved caloric intake. Furthermore, the results indicate a reduction in working hours for married women in contractual positions due to ICT development, suggesting ICT’s role in enhancing time management and work efficiency, thereby positively impacting household well-being. Sayumi Miyano(論文)Davis, Christina L., Jialu Li, and Sayumi Miyano (2024) “Peer Conformity and Competition Shape How Business Managers Evaluate Withdrawals from Russia amid the Ukraine War.” Proceedings of the National Academy of Sciences, September 3, 2024, 121 (37) e2406471121.(査読あり) https://doi.org/10.1073/pnas.2406471121 Abstract:States have long used economic sanctions in response to violations of international law as a strategy to restore order. Increasingly, firms also reject doing business with violators. In response to the war in Ukraine, hundreds of multinational corporations voluntarily withdrew from Russia, even when policymakers were still debating the extent of sanctions. How did firm managers evaluate whether to withdraw from the Russian market? Using a survey experiment with Japanese firm managers conducted three months after the Russian invasion of Ukraine in 2022, we explore how peer effects—information on what other firms are doing in response to the crisis—influence support for withdrawal of business activity with Russia. Our findings show that information about withdrawal by other firms from a diverse set of countries promotes peer conformity that increases support. In contrast, information about ongoing business with Russia by Chinese firms fosters competition that reduces support. Market exposure moderates these reactions, although the concern about peer behavior does not appear to be driven by a reputation mechanism. Our research provides insight into how business actors perceive the strategic interplay of peer influence and market dynamics in the context of geopolitical conflicts. 小原美紀(その他の記事)「「働く人の健康」がみんなの生産性を高める」『世界』、No.982、岩波書店、149-157頁(2024)https://www.iwanami.co.jp/book/b646276.html 概要:この記事では、「働くこと」と「健康」の関係性について統計的根拠に基づいて論じている。健康が労働者個人の幸福や労働成果に大きな影響を与え、長期的な労働生産性や社会全体の利益にもつながる可能性が指摘されている。また、労働者の健康が改善されることで職場全体のパフォーマンスが向上し、企業や国の生産性向上に寄与することが指摘されている。さらに、「労働」は職場で働くことだけを指さない。記事では、家事労働における健康問題にも焦点を当て、特に女性の二重負担の健康への影響を考慮し、健康維持のための制度改革や政策は考えられている以上に大切であることが説かれている。This article discusses in detail the relationship between “work” and “health” based on statistical evidence, examining the impact of health on both individual workers and the workplace as a whole. According to the academic findings, health can be directly linked to workers’ well-being and job performance, and from a long-term perspective, it contributes to improved productivity for companies and economic growth for the nation. The article also focuses on health issues in domestic labor, particularly the impact of the dual burden on women’s health, emphasizing the need to consider the welfare loss of these market labor and home production more seriously. 赤井伸郎(その他の記事)「国立大の授業料引き上げ、所得水準で差も」『十字路』日本経済新聞(2024年9月26日付夕刊)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF10CRF0Q4A910C2000000/ 概要:国立大学の授業料引き上げの議論が盛んだ。国の財源に余裕はない。国立大の財源確保の議論は授業料引き上げに向かっている。授業料引き上げでは、教育の機会均等化という効果も期待できる。所得階層によって授業料の負担が変わる制度は一つの選択肢だ。余裕のある世帯から財源を確保できれば、授業料が軽減される層を拡大することができる。教育機会の均等化を実現するための制度だ。柔軟な授業料の設定で入学機会を広げる「負担能力に応じた適正化」である。安易な一律値上げではなく、きめ細かな制度設計と丁寧な説明が求められる。 松林哲也(その他の記事)衆院選2024「投票所が1か所減ると、投票率はどうなるか…『職員や立会人確保難しい』前回から半減する自治体も」読売新聞オンライン(2024/10/23配信) https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241022-OYT1T50109/ 松林哲也(その他の記事)2024衆院選「投票はシグナル 出し続けて – 1票では変わらない? 松林哲也・大阪大教授に聞く」 朝日新聞(2024年10月25日付大阪版朝刊)https://www.asahi.com/articles/ASSBS3J6HSBSOXIE032M.html 松林哲也(お知らせ)特集「投票率はなぜ低い?~選挙と投票率を考える」TBSラジオ(10月18日 20時~ 荻上チキ・Session)<松林先生の出演>2:05:28〜Main Session:特集「シリーズ衆議院選挙~投票率を上げるために、何が必要なのか?」
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【院生紹介】藤原慶斗さん(OSIPP博士前期課程)

【院生紹介】藤原慶斗さん(OSIPP博士前期課程) 初めまして。私は昨年の4月にOSIPPに入学し、現在は博士前期(修士)課程の2年目を過ごしています。今回は大学院進学を決めた理由や研究内容、OSIPPでの生活などをお話ししたいと思います。(写真:横浜にいる友人に会いに行った際の写真) 大学院進学の理由 私は学部入学時から卒業後は就職と考えていたので、大学院へ行くという選択肢はありませんでした。しかし、3年次から始まったゼミの活動で初めて実証分析を行った際に、データから“どのような背景でこの数値が出てきたのか”、“人々はどのような嗜好を持っているのか”を考えることに強い没入感を味わいました。このことがきっかけでデータ分析に関する知見を広げたいと思うようになり、大学院進学を考えるようになりました。就職か進学かで悩んだ時期もありましたが、最終的には“ワクワクする”という直感を信じて大学院へ行くことを決意しました。 進学先をOSIPPに決めた理由は2点あります。 1点目は 自分に合った学習環境があると感じたからです。データ分析を学びたいといっても、そのフィールドは多岐にわたるので分野を絞る必要がありました。最終的に自分がどんなデータを扱いたいかを考えた結果、当時は経済学に興味を持っていたので、情報学系の大学院ではなく経済学系の大学院を検討しました。なかでもOSIPPは自分のレベルに合わせてカリキュラムを組めるため、データ分析に関する理論的知識や実践による経験を堅実に積み重ねていけるのではないかと思い志望しました。OSIPP入学後、実際に履修した講義では自分の理解不足を痛感することが多いのですが、それが適度な負荷となりつつ勉強することができています。 2点目は学際性に惹かれたからです。OSIPPには様々な国から留学生が集まっていることや、それぞれの学生が興味を持つ分野が政治・経済・法律と幅広いことから、日常的に多くの刺激を感じることができるのではないかと考えました。結果的には、関心のあるテーマがはっきりと定まっていなかった自分にとっては、いろんな人の話から自分の興味を探すことができたのでよかったなと感じています。 研究内容 私は現在、ユネスコ無形文化遺産が貿易に与える影響について研究しています。具体的には、ユネスコ登録によって関連商品の認知度やブランド価値が向上し、その結果、貿易が促進される可能性を考えています。例えば、日本の「和食」が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、これが和牛や日本酒といった食品関連商品の輸出増加につながったかどうかを、定量的に分析しています。入学当初は別テーマの研究を想定していましたが、OSIPPで学んだことを活かして修士論文を書きたいと思い、このテーマに取り組んでいます。私はもともと特定の社会事象に強い興味があったわけではなかったのですが、論文を読んだり、データを集めたりしていく中で思考が整理され、自分の興味が明らかになってきている感覚があり、初心者ながらに研究の面白さを感じています。 OSIPPでの生活について OSIPPでは教職員の方々、先輩や同期、後輩に感化されながら楽しく過ごしています。講義や日常のふとした会話から分らないことが山のように出てくるので、そのことが自分にとって良い刺激となっています。 修士1年目は学業と就職活動を並行して進めており、授業の課題や復習、テストの合間を縫ってエントリーシートを書いたりwebテスト対策を行ったりしました。常に何かしらの締め切りに追われている状況だったので、体力的・精神的にきつく感じました。自分の場合は何度か体調を崩してしまったので、同じような境遇の方は息抜きを大切にしてほしいなと思います。 修士2年目は関心のある講義を履修しながら修士論文に取り組んでいます。そのため時間的な余裕はあまり多くはありませんが、その分さまざまなことを勉強できているという充実感を味わっています。OSIPPでの修士生活がわずかになり、すでに名残惜しさを感じていますが、悔いが残らないように残りの日々を過ごしたいと思います。 今後について 来年の春からは民間の企業に就職し、目標としていたデータ分析関連の仕事に携わる機会をいただきました。まだまだ未熟者ですがOSIPPで学んだことをベースに、さらなるスキルアップを目指していきたいと思います。
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