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【OSIPP赤井研究室主催】公共政策実践セミナーシリーズ第1回「中央銀行(日銀)の役割と関西経済の展望」

「中央銀行(日銀)の役割と関西経済の展望」 日本銀行大阪支店営業課長 吉村玄氏 日本銀行大阪支店営業課調査グループ長 木村真樹氏 2024年10月10日、OSIPP棟6階会議室において、日本銀行の大阪支店営業課長である吉村玄氏と大阪支店営業課調査グループ長である木村真樹氏による「中央銀行(日銀)の役割と関西経済の展望」と題した講演会が開催された。(写真:吉村氏による説明の様子) 講演は、金融システムと物価の安定に関する内容を中心に、日本の金融政策がどのように行われているかを学ぶ貴重な機会となった。特に、日本の金融機関の監視体制や調査、そしてマクロ政策におけるエビデンスの重要性を学び、日本銀行の業務は多岐に渡っていることと多様な職員がお互いに協力し合っている様子を知ることができた。また、日本銀行が独立性を保ちながらも政府と連携していること、さらにコロナ禍や気候変動、通貨のデジタル化など、幅広い政策課題に対応しているということを現役の日銀職員である吉村氏から聞くことができたため、参加していた学生は感銘を受けたのではないだろうか。今後、金融政策に対する関心をさらに深め、市場を注視していきたいと考えている。 (OSIPP博士前期課程 阿部克哉)
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教員紹介:西山克彦講師

2024年7月1日付で講師として着任した西山克彦先生にインタビューを行いました。西山先生は東京大学公共政策大学院修士課程を卒業後、シンクタンクでの勤務を経てアメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校で博士号を取得しました。 西山先生の専門は健康経済学です。 西山先生は当初から経済学の研究者をめざしていたのでしょうか。 いいえ、むしろ学部の1,2年生のころは考古学や社会心理学に関心がありました。しかし、ひょんなことから経済学部に進学したのち、開発経済学のゼミでモンゴルやバングラディッシュにフィールドワークに行った経験などから経済学を学ぶことに関心が高まりました。 ただ、当時は経済学を本格的に勉強して研究者になりたいという意欲は持っていませんでした。周囲には、学部生のころから経済学研究科の授業を取って進学の準備をする優秀な人達がいたため、卒業後は就職するつもりで公共政策大学院に進学しました。この頃は、私は自分の好奇心の赴くままドイツ語や西洋哲学など経済学以外の勉強もしていました。 転機となったのは、公共政策大学院にいたころに、授業の一環で保険診療の詳細をまとめたレセプトデータと健康診断の結果のデータに触れる機会を得たことでした。その際、データを使って問いを検証するということにおもしろさを感じました。大学院を修了してシンクタンクに就職した後も、指導教員とそのデータを使った研究を続けていました。当時の会社にも満足していましたが、学術研究に本格的に携わりたくなり、博士課程に進学しました。 シンクタンクの研究員と大学の研究者とでは、研究の位置づけや社会問題への向き合い方は異なるのでしょうか。 私が当時働いていた部署では大学に所属している研究者などの有識者からアドバイスを受けながら、クライアント(中央官庁・地方自治体・外郭団体等)の問題意識のもとで調査・分析を実施することが多かったです。そのため、研究のきっかけは既に与えられていることがほとんどでした。一方で、大学の研究では、どういう問題意識でどういう問いに答えるのか、それを自分自身で決められるところが特に大きく異なる点だと思います。 ただ、シンクタンクの仕事には学術研究とは違う面白さもあると思います。例えば、クライアントや現場の利害関係者たちが感じているリアルな問題意識に触れる機会が多いことは大学の研究とは違うところです。そして、政策内容に直結する可能性があることも大学の研究者と違う点ではないでしょうか。これは怖くもあるし面白くもある点だと思います。 西山先生がこれまで行われてきた研究についておしえてください。 2つ紹介します。一つ目は、健康診断がその後の医療サービス利用や健康状態に与える影響を分析した研究です。毎年受ける健康診断の項目に、空腹時血糖という糖尿病の兆候を示す基準値として知られているものがあります。この研究では、ある年の健康診断で血糖値がこの基準値をギリギリ上回った人と、ギリギリ下回った人を比較しました。結果、基準値をギリギリ上回った人は下回った人と比べて、医療サービスの利用がその後増えていましたが、翌年の血糖値は下がりませんでした。しかし、分析対象をハイリスクの人々(メタボリックシンドロームの可能性が高い人々)に絞ると、基準値を超えた場合に翌年の血糖値の低下がみられました。これらの結果は現在の基準値設定を見直す必要があること、またハイリスク者への健診を通じた予防医療が特に重要であることを示唆しています。(論文:https://doi.org/10.1016/j.jpubeco.2021.104368) 二つ目は、公的医療保険が国民の一部にしか提供されないアメリカにおいて、病気や怪我の際に医療費を払うというリスクに対する人々の行動を分析した研究です。医療費リスクへの対処には、民間医療保険への加入・貯蓄や借入・医療機関が提供するセーフティネットという3つの手段が主にあります。人々がこれら3つの手段をどのように使い分けているのか、また民間医療保険への需要が他の2つの手段の利用可能性に応じてどの程度異なるのかを明らかにしようとしています。(詳細:公式HP教員紹介・研究内容) 西山先生はどのように研究の着想を得ているのでしょうか。 経済学においてデータを用いた研究をするには以下の3要素が重要ではないかと思います。① 経済学の知識から生まれる問題意識② 自分が関心を持っているテーマ③ 上記二つに関する十分なデータが存在する 博士論文にあたる研究は、留学時に米国公共ラジオ放送(National Public Radio)が特集していた医療費負担問題の番組に影響を受けたことがきっかけです。国民皆保険ではない米国で人々が医療費リスクにどう対処しているかに関心を抱き(②)、授業で学んだ知識が応用できそうで(①)、データの目途もつきそうだ (③)と感じたことから “MEDICAL DEBT, SELF-INSURANCE, AND THE VALUE OF HEALTH INSURANCE FOR THE NON-ELDERLY”という博士論文を執筆しました。 「いい研究者」になるうえで重要なことを教えてください。 難しい質問ですね。一つ挙げるとしたら「open-mindedであること」は重要なのではないかと思います。論文を書く意義のある問いをみつけることは非常に難しいのですが、例えば日々のニュースや自分とは関係ない分野の論文、はたまた少し前の雑誌などから問いを見つけることがあるかもしれません。また、そうやって見つけた問いを研究成果につなげるうえでは、いろいろな人からコメントをもらうことが必要不可欠だと思います。いろいろな人のからコメントをもらったことは研究への自信にもつながります。ですから、いろいろな事柄や人に対してopen-mindedであることは重要ではないかと思います。 学生の皆さんにメッセージがあればお願いします。 特に大学院の学生は…研究・勉強に集中する日々だと思います。でも一人で籠ってると精神衛生上が良くないので、指導教員と定期的に話すことを強くお勧めします(きちんと研究・勉強に取り組んでいることが前提ですが)。もし思い通りの結果が出ない場合や成果が上がらない場合でも、自分がその悩みを抱えてることをアドバイザーにも認識してもらい、辛さを一緒に背負ってもらうことは大切だと思います。それが難しかったら、同級生と話すとよいでしょう。院生は悩むことが多いです。他の人に話しても解決しないこともありますが、気は楽になると思います。 【好きな論文】Ehrlich and Becker (1972, JPE)例えば、病気になるリスクやそれに伴う医療費支払いのような金銭的リスクにどう対処するかという意思決定の研究については、この論文が議論を分かりやすく整理しています。 【推薦図書】 後藤励・井深陽子 著「健康経済学」健康・医療経済学全般について参考になります。****講師 西山克彦(にしやまかつひこ)研究テーマ:健康、医療保険、労働専門分野:健康・医療経済学学位:Ph.D. in Economics(ノースカロライナ大学チャペルヒル校) <代表的な業績>“False Alarm? Estimating the Marginal Value of Health Signals”(with Toshiaki Iizuka, Brian Chen, Karen Eggleston). Journal of Public Economics. Mar. 2021. Vol. 195. <現在取り組んでいる研究プロジェクト>雇用主が提供する医療保険に関する実証研究 <個人サイト>https://sites.google.com/view/katsunishiyama/ (OSIPP博士前期課程 辻本篤輝)
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2024年9月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の9月の研究業績をご紹介します。 ・大久保邦彦 先生 ・松林哲也 先生 大久保邦彦(著書)第4章 不当利得「解説」・「703条・704条」鎌田薫, 窪田充見, 水野謙 編『新基本法コンメンタール 債権3』日本評論社(2024年8月)https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9324.html※学習・実務のための手引書 松林哲也(その他の記事)「選挙制度、改革で投票参加を促せ」『あるべき選挙制度とは(中)』日本経済新聞(2024年8月29日付朝刊) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD050NQ0V00C24A8000000/
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【卒業生近況】 藤崎航太郎さんUniversity Collage London博士課程 在籍

2023年度にOSIPPで修士課程を修了し、現在はUniversity Collage Londonの博士課程に在籍している藤崎航太郎さんを取材しました。(写真:ウィンブルドン選手権の会場にて) なぜ現在の進路に進もうと思ったのでしょうか? まず私の経歴として、2020年9月からLondon School of Economics(LSE)に2年間在籍しました。2022年9月からはUniversity College London(UCL)の博士課程に在籍し、労働・開発経済学の実証研究を行っています。OSIPPには2020年4月から在籍し、LSEの夏休みにあたる4〜9月の期間を利用してOSIPPの博士前期(修士)課程を修了しました。 大学院進学のきっかけは阪大国際公共政策学科3年次の頃まで遡り、国連開発計画のインドネシアオフィスで約半年間インターンをした経験にあります。国連職員のポストは基本的に修士号が要件となっており、イギリスの大学で開発系の修士号を取得している同僚が多かった環境に感化され、将来は修士号を取得し、自身の専門性を活かせるキャリアを築こうと考えるようになりました。また、当時は海外インターンや留学での異文化交流を通じて、移民の経済的・社会的影響に関心を持っていました。そのため、移民政策に関する実証研究が盛んな海外の大学の修士課程へ進学することを決意しました。 博士課程への進学を考え始めたのは、LSEの修士課程が始まる前に、OSIPPで経済系科目の予習を進めていた時期でした。この頃に論文を読んだり、教員やOSIPP生から進行中の研究について聞いたりする機会や、自分が書いた学士論文や研究計画書へのフィードバックを貰う機会が増え、研究という営みをより身近に感じ、私もそれに携わりたいという思いが強まりました。また、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)について耳にすることが多くなり、学術的研究によるエビデンスが社会に還元されるプロセスをより高い解像度で想像できるようになったことも手伝って、「海外の博士課程は金銭的支援が手厚いから食いっぱぐれる心配もなさそうだし、20代の間は研究に没頭してみよう」と考え、博士課程での留学を志しました。 現在の研究内容とその魅力や面白いところ、大変なところを教えてください 今進めている研究では、1970年代のインドネシアにおける、小学校の授業料無償化の効果が、受益者の特性によって大きく異なった事例を取り扱っています。一般的に授業料の無償化は、特に貧しい家庭の多い農村部を中心に、就学率を上げる効果が期待できます。インドネシアの場合、男子児童については予測通りの分析結果が得られたのですが、女子児童については農村部での政策効果が小さく、都市と地方間の教育格差がむしろ開いたことが分かりました。農村部の労働集約的な産業構造に加え、農村部の保守的なジェンダー規範が、女子児童への教育の普及を妨げている可能性を分析・議論しています。 この研究に関するデータは充実していますが、それでも分析結果がどのようなメカニズムを経て出てきたものかを検証するには、理論的なモデルを考えたり、複数の分析を組み合わせたりする必要があります。特に、途上国特有の文脈を経済学的な研究に取り入れるときは、文化的背景も含めて慎重に下調べをしなければならないので、難しいこともありますが、多くの学びがあります。 研究はやりがいがあって楽しいのですが、博士課程1年次の進級試験は落第する学生が毎年一定数おり、追試も無いため、精神的にやや過酷でした。また、現在終えようとしている博士課程2年次も、自分の論文を国際学会で発表する、査読誌に投稿する、研究資金を調達する、少人数授業を教えるといった新しい体験続きで、ちょっとした緊張や不安は多かったです。一方で、そうした一つ一つの仕事にも慣れてきたり、同期との仲も深まっていったりと、残りの博士課程生活への期待も高まっています。 OSIPPではどのような生活を過ごされたのでしょうか? OSIPPで開講されている経済系の授業や経済学研究科の授業を取って、経済学博士課程に向けた準備をしていました。OSIPPの授業は基本的に応用寄りでデータに触れる機会も多かったので、実証研究に関心のある私としては興味深かったです。また、水曜日のお昼は、OSIPP Lunchtime Seminar(OLS)に定期的に参加していました。このセミナーでは発表者と教員の方々の意見交換を通じて、質問・プレゼンの仕方について多くの学びを得ました。私にとってOLSは初めて研究室外で発表したセミナーでもあり、発表が終わった後も議論に付き合ってくださる先生もいて、有益なフィードバックを得ることができました。 OSIPPでじっくり修士論文を書き上げた経験は、非常に良い博士課程への準備になりました。学生数の多いLSEの修士課程では、修論指導を受けることが難しく、試験直後の数ヶ月間でほぼ生煮えのエッセイを提出することになりました。一方OSIPPでは、指導教員とのミーティングや、セミナーでの同期の進捗報告を参考にしながら、より現実的なスケジュールで研究を完成させることができました。あえて自分の関心を優先し、データの制約の多いプロジェクトに挑み、分析結果の解釈が一筋縄ではいかないなどの苦労もありましたが、当時の指導教員だった小原美紀教授が「その苦労こそ研究の面白さだよね」と言ってくださり、先生の力を存分に借りながら実践的な知識を蓄えることができました。加えて、自分の研究をとりあえず形にした経験が一つあることで、完璧主義になるあまり研究を滞らせてしまうこともなく、研究を着実に進めていく姿勢が身についたのも大きな収穫でした。 海外大学への進学を希望する場合は、学生時代にどんな準備をしておいたらよいか教えてください。 一般的な欧米の大学の経済学修士・博士課程に出願するときは、経済学科目 の成績、英語の能力、奨学金が欠かせません。これらは即座に準備できるものでもないので、常に気にしておく必要があると思います。その他、CV(履歴書)、SoP(志望理由書)、推薦状などの提出書類もありますが、経済学修士・博士課程への留学のノウハウは、インターネットで調べれば  かなりの情報が得られます。11〜1月頃の出願期の1年前から情報収集を始め、先生方と相談を重ね、戦略を立てていけば余裕をもって受験に臨めると思います。ただ、イギリスの場合は早い者順に出願書類を見る傾向があるので注意してください。 加えて、私はあまり時間をとれませんでしたが、関連分野まで視野を広げて多くの論文を読むことで、自分の研究関心がよりはっきりしてくると思います。理想を言えば、この研究者の着眼点や書き味は妙に参考になるな、みたいなイチ推し的存在が見つかると、志望先の大学も自然に絞れてくるのではないでしょうか。当時、私の熱量はそのレベルには至りませんでしたが、IDEASの分野別の大学ランキングと大学の公式ページを駆使して、各大学とのマッチ度を予想しました。それと同時に、5〜6年の海外生活になるので、気候や食文化などの観点から、どの国に住みたいかについて想像を膨らませるのも大事だと思います。 (OSIPP博士前期課程 藤原慶斗)
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【研究紹介:鎌田拓馬准教授】「僕らしい研究」

シリーズ「研究紹介」では、OSIPPに在籍する先生方の最新の研究を紹介しています。今回は、犯罪や不平等の研究を専門にされている鎌田拓馬准教授にインタビューしました。 最近取り組んでいる研究内容についてお聞かせください。 僕は基本的には組織犯罪や違法市場といった「悪いこと」に関心があり、研究の主要テーマは(1)社会経済政策・刑事司法政策などの公共政策が犯罪に与える影響と(2)犯罪が集団間の不平等形成に与える影響の2つです。(1)のテーマの研究の具体例としては、1960年代の石炭から石油へのエネルギー革命が暴力団の活動に及ぼした短期・長期的影響の研究が挙げられます(東洋経済オンライン:エネルギー革命による変化「炭鉱ヤクザ」の経済史)。この研究では、石炭から石油へというエネルギー源の移行により、炭鉱業からの収入源を喪失した炭鉱ヤクザによる違法行為が増加したことで、炭鉱依存度が高い地域でのギャンブル・窃盗・詐欺などによる暴力団組員の逮捕件数が増加し、半世紀にわたり抗争が増えたことを示しました。(2)の研究テーマでは、アメリカのオピオイド(麻薬性鎮痛剤)蔓延を抑止するために導入された政策が近隣や都市の変化に与える影響について現在分析を行っています。 「悪いこと」に関する研究はユニークだと思いますが、このテーマに興味をもったきっかけや、アイデアのソースを教えてください。 当時住んでいた地域の土地柄からか、小学生の頃にやんちゃや不良がかっこいいと思うようになり、その頃からずっと「悪いこと」や日の当たらない人々や社会問題に関心を持っていました。大学院進学前には、階層などに関する社会学での王道の研究をしようと考えていましたが、あるとき犯罪に関する論文を読んだときにこのようなものがテーマになるのかと思い、徐々に現在の自分の関心に近い研究テーマに移行していきました。研究のアイデアは、先行研究を読んでいて思いつくこともありますし、自分の研究の延長として思いつくこともあります。前述のエネルギー革命と炭鉱ヤクザの衰退の研究は、以前別のヤクザに関する研究を行っていた時に、福岡や北海道という歴史的に石炭採掘量が多かった地域で現在のヤクザの活動が活発であることに気づいたことから始まっています。また、息抜きとして見ているNetflixやYouTubeから着想を得ることもあります。 ご自身の研究スタイルについてどうお考えですか。 僕は社会学で博士号を取得しましたが、自分の研究関心が社会学の主流とぴったり合うわけではなく、その主流分野での重要な問いや社会的事象への斬新な説明を生み出すのは得意ではありません。むしろ、僕の研究関心や手法に近いものは応用計量経済学で見られることがありますし、他の社会科学分野の研究にも感銘を受けることがあります。研究の奥深さを実感するにつれ、自分の研究の問いの立て方も分析も中途半端だと感じ、日々もがきながら進めている状況です。しかし最近、「僕らしい研究」だと言ってもらえることがあります。例えば、社会学では犯罪が結果変数になる(=どのように犯罪が起こるのかに関心がある)一方で、前述の(2)のような僕の研究では犯罪が説明変数になる(=犯罪がどのような影響をもたらすかに関心がある)ことが多く、他の社会学者からは僕の問いの立て方が珍しいと言われます。経済学の研究者からは、ヤクザというこれまで目をつけられていないものに注目している点が面白いと評価されたりもします。個人的には、公共政策という正統的なものに焦点を当てつつも、ヤクザのような組織犯罪や違法市場など、人々の興味をそそる要素を取り入れるところに「僕らしさ」があるのかなと考えています。因果推論の手法を使う研究者は、因果効果を識別するのに理想的で完全な外生性をもたらすような面白いイベントをうまく利用して分析をする人が多いですが、僕はそのようなイベントを探してきて、識別に重きをおいた研究をするのは得意ではありません。その代わり、公共政策や社会の背景や学術的な議論と統計的分析が結びついている研究をすることを意識しています。OSIPPに着任して経済学研究者との交流が活発になったことも、研究に影響を与えています。社会学では1つの結果変数の説明に重点を置きますが、経済学では1つの論文でより包括的な研究をすることが多いです。もともと僕自身がそういった研究スタイルを好んでいたこともありますが、博士号取得後はさらに1つの論文内で事象全体が分かるような研究を心がけています。ただし、論文の主な知見が不明確になったり、書き上げるまでに時間がかかったりするなどの問題点もあります。これらの課題に直面しつつ、自分なりの研究スタイルを模索しています。将来は「あの人らしい研究」をしている研究者と思ってもらえるようになりたいので、それに向けて、自分らしさを大切に流行にとらわれず僕自身が関心のある研究をしたいと思っています。 今後はどのような研究をされる予定でしょうか。目標などはありますか。 僕はこれまでアメリカのデータを用いて、特定の人種集団と関連づけられているドラッグの研究を行ってきました。例えば、マリファナとメキシコ麻薬組織、クラックコカインと黒人の郊外移住、オピオイドと白人が多く住む地域の貧困化などです。しかし、自身の人種であるアジア人に関する研究はまだ行えていないので、今後はアジア人と関連のあるドラッグの研究を進めたいと考えています。具体的には、日本の覚醒剤問題や、歴史上アヘン戦争で知られる中国のアヘンなどに関する研究を考えています ただし、この系統の研究に限らず、自分の中で設定した目標を達成するまでは研究を続けていくつもりです。先日、 NBER Japan Project Meeting 2024(アメリカを代表する経済研究所のカンファレンス)で、エネルギー革命とヤクザに関する研究を発表しました。世界の第一線で活躍する経済学者たちの前で発表する機会を得たことやそこでポジティブなフィードバックを得たことは、この研究を進める上で大きな励みになりました。それと同時に、カンファレンスに参加していた経済学者たちの研究のスケールの大きさ、論文の質の高さ、プレゼン能力の高さなどから大きな刺激を受け、このコミュニティで通用する研究をしたいと強く思いました。今後はこの目標を達成すべく、日々研究に励んでいきたいと思います。 インタビューを終えて(感想) わたしは学部時代、鎌田先生の社会的・学術的に重要でありながら興味深い研究に触れ、研究の多様性とその面白さを知ったことがきっかけでOSIPPへの進学を決めました。今回のインタビューを通じて改めて知った先生の研究に対する姿勢を心に留めつつ、わたし自身も「私らしい研究」を追求できるよう努力していきたいと決意を新たにしています。今後、「鎌田先生らしい研究」が確立されていく過程を、指導学生として間近で見られることがとても楽しみです。 (OSIPP博士後期課程 池内里桜)
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2024年度 留学説明会

2024年8月5日、OSIPP棟2階講義シアターにて留学説明会が開催されました。今回は、アメリカでの留学経験やシンガポールでの勤務経験があるOSIPP准教授の片桐梓先生が、大阪大学の交換留学制度やダブルディグリープログラムについて紹介しました。 今回の説明会には、OSIPP生のほか、法学部国際公共政策学科、法学科の学部生、合わせて10人ほどが出席しました。 まず、大阪大学が提供している交換留学についての説明がありました。大阪大学では、大学間での交流協定が157件、部局間レベルでの交流協定は653件と、非常に多岐にわたる留学先が用意されているそうです(※2024年8月1日時点)。※詳細は大阪大学国際教育交流センター(CIEE)のページをご覧ください。 OSIPPの部局間提携大学としては、韓国の慶熙大学校、メキシコのメキシコ大学院大学、スイスのフリブール大学などがあります。法学部の部局間提携大学も豊富で、中国の清華大学、台湾の国立台北大学などの大学が紹介されていました。 また、OSIPPと留学先の両方の修士号が取得できる「ダブルディグリー・プログラム」についても説明がありました。OSIPPからは、オランダのグローニンゲン大学とフィリピンのデ・ラ・サール大学への留学が可能です。 次に、学位留学について説明がありました。学位留学とは、修士課程または博士課程に直接出願して、コースワークと論文執筆を終了することで、学位を取得する留学のことを指します。例えば、アメリカでは、公共政策に関する修士課程のプログラムに定評があり、そこでの人的ネットワークを構築したり、インターンシップに参加したりする機会が豊富に用意されているという説明がありました。博士課程への留学に関しては、学費や生活費が全額大学から支給されることが多い一方で、競争率が非常に高いため、留学を考えている場合には早めの対策が必要だそうです。 大学院生や研究課題が定まっている方に向けて、研究留学・調査研究といった留学の選択肢についても紹介し、Q&Aセッションをもって、説明会は締めくくられました。 実際に留学経験のある片桐先生からのお話で、参加者はより納得感のある説明やアドバイスを受けることができたのではないでしょうか。円安の影響で経済的な懸念を抱える方も多いと思います。大阪大学、OSIPPでは奨学金制度や助成金制度を用意していますので、その他、留学に関するご相談は、OSIPPグローバル・コミュニティ・オフィスにお気軽にご連絡ください! (OSIPP博士前期課程  金アンジェラ)
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2024年度秋季OSIPP説明会

2024年11月8日、OSIPP棟6階会議室にて秋季OSIPP説明会が行われた。当日は対面とオンラインを合わせて約60人が参加し、入学試験及び在学中のカリキュラム、修了後の進路等についての説明、および質疑応答が行われた。(写真:河村倫哉教務委員長による説明の様子) 説明会は、中嶋啓雄研究科長の挨拶から始まった。中嶋研究科長は、OSIPPでは社会の諸問題について、専門性の高い研究教育と企業からの助成を受けた寄附講座などで社会とのコミュニケーションを重要視した実務的教育の双方を重視していると紹介があった。さらに英語開講やオンライン開講の講義があること、入試がオンラインで行われることなど、海外の学生にとっても入学しやすい環境を整備しているため、国際性豊かな学生生活を送ることができるという説明があった。 その後、河村倫哉教務委員長より入試に関する情報、早期修了制度を含めた修了要件、学生支援等についての詳細な説明があった。 入試情報に関しては、OSIPPの出願において英語民間試験のスコアは過去5年以内のものが有効なので、早めに高いスコア取得に向けて動いてほしいという激励があった。また、学生支援については国際学会で発表する際の補助や海外インターンシップへの助成、私費留学生に対する特待留学生授業料免除など様々な支援に関する言及があった。最後に教員からのメッセージ動画についての紹介があった。 続いて、経済系、法政系(法学・政治学)の教員からそれぞれの分野に関する説明があった。 法学の教員である大久保邦彦教授は、どのような授業が開講されているかを説明した。OSIPPには複数の国際法の専門家や日本では数少ないEU法の専門家が在籍していることなどを述べ、教育体制の充実度合いを強調した。次に、片桐梓准教授が政治学分野に在籍している教員に関してと、開講されている授業について紹介し、OSIPPでは政治科学(Political Science)だけでなく歴史的なアプローチや社会学的なアプローチなど幅広い観点から政治学を学習できること、UNESCOなどの国際機関や新聞社などで実務経験を積んだ教員や外部講師による授業が豊富であることを説明した。経済系からは松林哲也教授が、初めて経済学を学ぶ学生でも専門性を身につけられるように設計されているOSIPP経済系のカリキュラムの魅力を伝えたうえで、必要であれば経済学研究科の授業の履修や学部の授業の聴講も可能であることを説明し、OSIPPでの学びの柔軟性を強調した。最後に、OSIPPでの学修を通してデータ分析に基づくエビデンスを集めることができる人材になってほしい、というメッセージで閉めくくられた。 その後は在学生が3人登壇し、自らが感じるOSIPPの魅力を語った。OSIPPでは就職のことや研究のことを相談できる仲間ができるうえ、教員と学生の距離が近いこともOSIPPの魅力である、と語っていた。 教員からの一連の説明が終了したあとは、質疑応答の時間が設けられた。各授業や修了後の進路についてなど、様々な質問が会場やオンラインのチャット機能を通じて寄せられた。また、対面会場では説明会終了後も在学生や教員に個別の質問をしている様子が見られた。 博士後期課程の学生に向けては、独立した研究者になるために教員がサポートを惜しまないことが強調され、学生支援などについての説明があった。また、論文指導や授業は部分的にオンラインで代替することも可能であるので、仕事との両立を考えている場合は事前に指導教員に相談してほしい旨の案内があった。 また、博士後期課程における2025年度以降の変更点として、以下の内容が伝えられた。 ・博士学位に付記する専攻分野が、従来からの国際公共政策に加えて法学および経済学の専攻分野からも選択可能になった。詳細な要件は入学後に説明がある・博士前期課程だけでなく博士後期課程においてもグローニンゲン大学とのダブルディグリー・プログラムが導入される さらに、OSIPP修了生で外務省に勤務している原琴乃氏から、博士号取得についての言及があった。まずは、海外では国際会議において発言者が博士号を所持していることが重要視されていると述べた。また、博士号取得過程で得られるものとして、専門性の高い知識のみならず、必要な資料を適切に分析することで新たな発見をし、その結果を学会で発表できるというスキルを挙げた。そのスキルは、その後の自身の人生で大いに役立つものであり、また、キャリアを通して社会に還元できるものであると説明した。そのうえで、OSIPPは多様性豊かな環境で実務に近いアプローチを取っている研究も多いため、その一生モノのスキルを涵養しやすい研究科であると、参加者に向けて熱いメッセージを送った。 (OSIPP博士前期課程 辻本篤輝)
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2024年度海外インターンシップ及び海外調査助成の説明会

2024年9月4日、オンラインにて「海外インターンシップ及び海外調査助成の説明会」が開催され、約10人の学生が参加した。 まずは、OSIPP教授である小原美紀先生より対象となる学生やインターンの開催時期、応募方法の詳細の説明があり、それに加えて海外でのインターンへの応募の仕方や過去の事例などについても詳しく述べた。次に、OSIPP教授 蓮生郁代先生から国連でのインターンシップへの参加方法などについての説明があった。 後半では、2022年度にOSIPP博士後期課程を修了した石川祐実さん(現 滋賀大学データサイエンス学部講師)がOSIPP博士前期課程の学生だった時に参加したWHOでのインターンについて語った。ジュネーブにあるWHO本部での活動の様子や、その後のWHOカンボジア支部でのボランティアの経験を述べ、その二か所での経験や様子の違いを説明した。質疑応答では、参加者からインターンシップ中の自身の研究の進め方や助成金額などについての質問が寄せられ、それぞれが海外での活動を積極的に考えている姿勢がうかがえた。 主催:OSIPP Global Community Office (OSIPPライブラリー)
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2024年8月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の8月の研究業績をご紹介します。 ・和仁健太郎 先生 ・鎌田拓馬 先生 和仁健太郎(判例評釈)「域外軍事行動によって生じた人の死亡に関する調査義務―ハナン判決」『人権判例報』第8号(2024年)104-111頁 https://www.maruzenjunkudo.co.jp/products/9784797259681 概要:本稿は、アフガニスタンにおけるNATOの軍事行動について欧州人権条約2条が適用された欧州人権裁判所判決(Hanan対ドイツ事件、2021年2月16日判決)に関する判例評釈である。欧州人権条約1条は、同条約の適用範囲について、「締約国は、その管轄内にあるすべての者(everyone within their jurisdiction)に対して、この条約の第1節に規定する権利および自由を保障する」と定める。締約国の領域の外にいる人が締約国の「管轄内」にあると言える場合(欧州人権条約のいわゆる域外適用)について、欧州人権裁判所の従来の判例では、①締約国が領域外の場所に対して実効的支配を行使する場合(the spatial model)と、②締約国が人の身柄を拘束するなどしてその人に一定の支配を及ぼす場合(the personal model)が挙げられてきた。最近では、③2条に基づく調査義務との関係で、①と②のいずれにも該当しない場合にも1条の意味での「管轄」の存在を肯定する判例が現れている。例えば、2019年のGüzelyurtlu事件判決では、(a)締約国の捜査機関や司法機関が捜査もしくは手続を開始した場合、または(b)捜査もしくは手続が開始されていなくても「特別の事情」が存在する場合には、2条の調査義務との関係で1条の意味での「管轄」が成立するとの基準を提示した。Hanan対ドイツ事件判決は、Güzelyurtlu事件判決が示したこれらの基準のうち(b)基準(特別の事情基準)を適用して、NATO軍の空爆により死亡したHanan氏は締約国(ドイツ)の「管轄内」にあったと判示した((a)基準については、Güzelyurtlu事件と本件との事案の相違を理由に適用を否定)。ただし、「特別の事情」の中身や「特別の事情」によりなぜ管轄の連関が肯定されるのかなどについては、本判決によって十分に明らかにされたとは言えない(例えば、本判決が「特別の事情」として挙げる事情は、域外軍事行動の文脈ではむしろ一般的な事情であり、どこがどう「特別」なのかを理解するのは困難である)。 鎌田拓馬(その他の記事)「エネルギー革命による変化「炭鉱ヤクザ」の経済史」『週刊東洋経済』第7190号(2024年)東洋経済オンライン2024/08/07:https://toyokeizai.net/articles/-/789484 概要:本稿では、1960年代の石炭から石油へのエネルギー革命が、長期的にヤクザの活動に及ぼした影響を検討する。エネルギー革命による炭鉱衰退で暴力団の資金源と勢力図が変化し、長期的にヤクザ組織間の縄張り争いが激化し、その影響は半世紀以上にわたることを示している。しかし、2010年代に制定された暴力団排除条例により、エネルギー革命がヤクザにもたらした長期効果の悪循環を部分的に断ち切ることが示唆される。
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【院生紹介】奥野愛理さん(OSIPP博士前期課程)

私は2024年3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPPの博士前期(修士)課程に在籍しています。今回は、大学院進学を志した理由を学部時代の経験をベースに述べたいと思います。この文章を読んでいる方の中には、大学院進学を考えていらっしゃる方がいるかもしれません。そんな方の進路選択の一助となれば幸いです。(写真:ヘルシンキのメトロにて) 【大学院進学を志した理由】 私が大学院進学を志した理由は、修士論文を執筆したかったからです。私が卒業した大阪大学法学部では、卒業要件として卒業論文の提出がありませんでした。ゼミ等で研究活動に携わることはありましたが、大学での学びを形に残せないことが心残りでした。一方でOSIPPでは卒業のために修士論文の提出が必要であり、また私がかねてから関心を持っていた経済・政治の両方の方面の講義を受講することができます。さらに、指導をお願いしたい教員が在籍されていたため、OSIPPへの進学を志しました。 大学時代に得た3つの経験を時系列に沿って振り返りながら、大学院進学を志すに至った経緯を説明します。 ①大学2年次、初めてのゼミでのグループ研究活動 在日外国人の方と地域の国際交流協会との関わりに関心を持ち、アンケート調査やインタビュー調査を実施しました。その後、縁あって調査に協力してくださった国際交流協会でボランティア活動を継続しています。外国人の方々との関わりを通じて、自身の目的や問題意識をより強く持ち続けるよう心がけています。現在、日本における外国人労働者の増加に関心があり、OSIPPではその影響を理解するためのデータを用いた実証分析の理論や方法を学んでいます。 ②大学3年次、グループ研究活動 大阪大学が実施している学部生の研究を応援する事業、自主研究奨励事業に有志の仲間と参加し、研究活動を行いました。テーマは「コロナ禍での大学生活の変貌が大学生に及ぼす影響」で、仮説の立案から始め、アンケートの作成、調査の実施、結果の分析、報告書のまとめ、そして発表までを行いました。問題を発見し、それをテーマに仮説を立て検証する過程を経験したことで、研究の魅力を、身をもって体感しました。 ③大学4年次、交換留学 大学の交換留学制度を利用して、2学期間(約9か月)、フィンランドのヘルシンキ大学に留学しました。留学で得た最も大切なものは友人です。フィンランドではどの分野でも学士課程と修士課程の両方を修めることが一般的です。修士課程を修めた人々の見識の深さを知り、私も大学院に進学することを真剣に考えるようになりました。大学院進学を迷っていた当時、現地に留学していた日本人の高校生からは私自身の未来への可能性を教えてもらい、社会人生活を一旦やめて修士号取得を目指している友人からは人生の長さと今という時間の大切さを教えてもらいました。今から考えると留学先でのたくさんの人々との出会いがなければ、違った選択を取っていたかもしれません。 最終的に、これらの経験から得た研究への楽しさや興味と、今やりたいことをとりあえずやってみようという気持ちで大学院受験を決めました。 【OSIPPにて】 4月からの大学院生活は恵まれた学習環境で、充実した日々を送っています。修士課程1年目はコースワークがメインですが、そこから学ぶことも全て修士論文につながるので、それらをどう応用できるか、ということを考えながら励んでいます。最近は夏休みに入り、息抜きをしに友人たちと琵琶湖へ行ってきました。学期期間中はやらなければならないことが多く、日々をこなすことに一生懸命になることもありますが、息抜きを共に楽しめる仲間に恵まれたこともOSIPPに入ってよかったことの一つだと考えています。 【今後について】 大学・大学院で学んできたことをまとめた修士論文を作成することが一番の目標です。学部生時代までの研究活動はすべて先輩や友人との共同作業でした。当時は不足しているところを補い合う仲間がいたのですが、修士研究は一人です。自分で考え、教員の方や周りの学生からのアドバイスを参考に、納得の行く修士論文を作成したいと思っています。そして、その後は学生生活に終止符を打ち、社会人として社会に貢献したいと考えています。 【もし進路に迷われている方がいらっしゃったら】 進むべき方向がわからなくなった経験者として最後にメッセージを残したいと思います。方向性が分からなくなったときは、周りの人々やその進路に進んでいる人々に相談してみることをおすすめします。そして、慎重に情報収集を行うことも重要です。最終的な選択はあなた自身が行うものです!この投稿が少しでもあなたのお役に立てていると嬉しいです。
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薮中三十二特任教授 OPEN教室「日本の針路を考える -分断された世界、アメリカの大統領選挙を控えて-」

2024年7月1日、OSIPP棟講義シアターにおいて、元外務事務次官の薮中三十二特任教授によるOPEN教室「日本の針路を考える-分断された世界、アメリカの大統領選挙を控えて-」が開催された。講義はすべて英語で行われ、様々な国籍、年齢、性別からなる40名の参加者が集まった。 薮中先生は、現在様々な要因で分断されつつある世界における諸問題に触れながら、アメリカや日本の外交について述べ、日本がこれからどのように外交を展開していくべきかについて論じた。 まず、現在の顕著な分断として、G7諸国とBRICSのように民主主義と独裁主義が対立していることを述べた。そのような状況下で今年、世界を導く立場ともなるアメリカの大統領選挙が行われ、候補者それぞれの外交姿勢は異なっていることを説明した。どちらが選出されるのかによって日本が行う外交も異なると述べた。 次に、現在の世界の問題と国際連合(国連)についても説明した。国連の安全保障理事会の常任理事国であるロシアのウクライナ侵攻に関しては、なぜ起こったのか、事前に防げなかったものなのか、また平和的な対話とは何か、そしてNATOによりウクライナの安全を保障することについても述べた。 最後に、尖閣諸島の問題、北朝鮮の核実験などの日本周辺の問題に関して触れた。これからの日本が進む道としてアメリカとの強い同盟や、防衛能力の強化および東アジアの国々との平和を維持するための外交努力が必要であるとのことだった。 世界は複雑に絡まった多くの問題を抱えている。薮中先生はそれらの問題に対処する心得として、対話による和平を重要視している。これは日本だけでなくどの国においても同様に重要だろう。元外交官の薮中先生の講演は、筆者にとって日本の外交について深く考える貴重な機会となり、国際社会における平和の重要性を再認識させるものとなった。 (OSIPP博士前期課程 奥野愛理)
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2024年7月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の7月の研究業績をご紹介します。 ・大久保邦彦 先生 ・二杉健斗 先生・石瀬寛和 先生 大久保邦彦(著書)31「条件」・32「消滅時効の起算点、期間の計算」・34「時効の援用権者」・35「時効利益の放棄と喪失」・45「取得時効の完成と占有」沖野眞已, 窪田充見, 佐久間毅編著『民法演習サブノート210問 第2版』弘文堂(2020年11月)※民法学習のための副教材。 二杉健斗(判例評釈)「投資協定仲裁判断例研究(166)スヴァールバル条約を含む国際海洋法の適用が問題となった投資紛争事例」『JCAジャーナル』71巻6号(2024年)51-57頁 概要:Peteris Pildegovics and SIA North Star v. Kingdom of Norway(ICSID Case No. ARB/20/11)における仲裁判断(2023年12月22日)の評釈である。本件は、バレンツ海とスヴァ―ルバル諸島近海でのズワイガニ漁の規制をめぐるノルウェーおよびロシアならびにEUおよびその構成諸国との間の漁業紛争に起因する投資紛争である。本評釈では、投資条約仲裁における海洋法規範(国連海洋法条約およびスヴァ―ルバル条約)の適用可能性や貨幣用金原則の適用問題について検討を加えた。 石瀬寛和(お知らせ)『次世代の実証経済学』日本評論社(2023年6月)の英語訳が出版されました。Edited by Keijiro Otsuka, Takashi Kurosaki, Yasuyuki Sawada, Tetsushi Sonobe, Next-Generation of Empirical Research in Economics, Springer (2024) [Ch10.6] Comment: The Gap Between Demand for and Supply of Empirical Macroeconomic Research が、日本語版「第9章コメント: 課題と手法の限界の狭間で」(石瀬先生執筆)にあたります。
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【新刊:大久保邦彦教授】沖野眞已, 窪田充見, 佐久間毅 編著『民法演習サブノート210問』第2版

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した中嶋先生の新刊をご紹介いたします。 大久保邦彦先生 沖野眞已, 窪田充見, 佐久間毅 編著『民法演習サブノート210問』第2版(弘文堂、2020年) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
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【院生投稿】金アンジェラさん(OSIPP博士前期課程)

はじめまして!今年の4月にOSIPPに入学した金アンジェラです。大学院進学の理由と今後の展望について、お話したいと思います。(写真:卒業した大学の学位記授与式後に撮影(2024年3月) <OSIPP進学に至るまで>  ・バックグラウンド 進学の経緯について説明する前に、私のバックグラウンドについて触れたいと思います。 私はナイジェリアのイボ族の父と在日韓国人の母を持ち、日本で生まれ育ちました。幼稚園から高校までの15年間は、カトリックミッションスクールに通いました。カトリックミッションスクールの特性として、貧困問題を抱える国々への扶助に協力する機会も多く、この国際色豊かな環境で育った経験から、国際社会や国際問題に強い関心を持つようになりました。 特に小学5年生のとき、来校したJICAの職員の講演を聞き、モニターに映し出される貧困にあえぐ子どもたちの写真を見たことがきっかけで、発展途上国や貧困問題に関心を持つようになりました。幼いながらも「世界には十分に食べられない子どもがいるんだ」と感じたその経験は、世界の状況を知ろうとする意欲を持つきっかけになりました。それ以来、発展途上国や貧困問題に対する関心は消えることなく、大学でも学科での専攻と並行して、発展途上国、特にアフリカ地域について学び続けました。 ・認識の変化 学びを進めるうちに、日本とアフリカ地域を、無意識に「先進国と発展・開発途上国」「支援する側と支援される側」「豊かな国と貧しい国」と認識していることに気付きました。また、「アフリカ」と聞いて浮かぶものは貧困、紛争、民族分断といったマイナスな事柄をイメージしていることにも気付きました。実際にナイジェリアやアフリカ地域に一度も行ったことがないのに、そうした「勝手な」イメージを持っていました。 このようなイメージは、アフリカ地域に対するステレオタイプともいえます。なぜ私はそのようなイメージを持ってしまったのか。その理由を探しているとき、父が母国であるナイジェリアの様子を話してくれた時のことを思い出しました。その話のほとんどは、メディアでは耳にしたことのない内容——例えば、輸入せずとも自分たちで賄うことができるほどの豊かな資源があることなど——でした。父の話を通じて、メディアで伝えられる「アフリカ」と実際の「アフリカ」には大きなギャップを感じました。そして、人々がアフリカに対するステレオタイプなイメージを持つのは、メディアの報道によるところが大きいのではないかという疑問を持つようになりました。 ・ホーキンス先生との出会い 高校3年生の時には、「貧困問題と日本の国際報道の在り方」というタイトルでレポートを執筆しました。日本のメディアで、日本語で読めるアフリカ地域やその他の発展途上国に関する情報を集めようとしましたが、情報が古かったり、そもそも情報が少なかったりと、十分に集めることができませんでした。一方で、英語や外国メディア(当時は主にThe Guardianを参照)を用いて検索すると、貧困や紛争、民族分断といったニュースだけでなく、その国の実情や文化、一般人へのインタビューといった記事も取り上げられており、日本と海外ではメディアが国際ニュースとして取り上げるコンテンツに違いがあるように感じました。 そして、その情報収集の際に出会ったのがGlobal News View(GNV)で、そこから今の指導教員であるVirgil Hawkins先生を知り「同じような問題意識を持って研究している方がいるのだ」と感銘を受けました。ここでGNVやホーキンス先生に出会っていなければ、今、私はこの記事を書いていなかったことでしょう。 ・進学の決意 こうした日本のメディアにおける国際ニュース報道の在り方に疑問を持ち、メディア・ジャーナリズムを学べる学科であるという点と大学の持つグローバルな環境に魅力を感じた点から、上智大学文学部新聞学科に進学を決めました。ジャーナリズム論やマスメディア論、国際ニュース報道について学ぶ中で、4年間では自分の問題意識を消化できない、時間が足りないと感じるようになり、かねてから気になっていたホーキンス先生のもとで学びたいと思うようになりました。 大学院進学を決める前は、他の学生と同じように就職活動をして、内定もいただいていました。しかし、ずっと心の中にあった大学院進学への想いが捨てきれず、かなり悩んで内定を辞退し、進学という選択を取りました。ギリギリになって決めた進学だったので、準備も不十分だったこともあり、大学4年生の秋学期から1年間休学し、OSIPP受験に向けて英語の勉強や研究計画書の作成といった準備を進めました。 OSIPPに入学して早3ヶ月… 幸運にもOSIPPに入学できて、早くも3ヶ月が経ちました。さまざまなバックグラウンドを持つ友人がたくさんでき、みんなでランチしたり、時には飲みに行ったりと、日々楽しく過ごしています。大学時代までの友人たちからは「すごく生き生きしてる!」「若返った?」などと言われるくらい、今の生活が楽しく、まさに自分の人生を歩んでいる感覚があります。進学を迷って精神状態が不安定だった当時の自分に、今の姿を見せてあげたいです。もちろん、勉強も必死にがんばっています! <今後の展望> 今後は、日本のメディア(新聞とテレビ)における国際ニュース報道に注目し、アフリカ地域のニュースに関する報道量や報道内容を分析したいと考えています。日本のメディアだけでなく、外国のメディアとも比較することで、日本のメディアの報道傾向を明らかにすることを目指しています。また、グローバル化が進む現代社会において、多文化共生への適応が求められる中、現状の外国関連ニュース報道は、情報の受け手に偏った認識やイメージを与えている場合もあるのではないかと感じています。そこで、ニュースの送り手側にも着目し、国際ジャーナリストや海外特派員経験者へのインタビューを通じて、メディアのゲートキーピング機能を分析したいと考えています。 私は、これらの研究を通じて国際ニュース報道の在り方を再考し、多文化共生社会の実現に寄与することを目的としています。他国に関する報道は、グローバル社会や多文化共生が叫ばれる中で重要だと考えており、研究の結果から国際ニュース報道の改善策を提案することで、より公正でバランスの取れた情報提供ができるようになればと願っています。
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2024年6月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の6月の研究業績をご紹介します。 ・前川和歌子 先生 ・片桐梓 先生 Wakako Maekawa (論文)Kana Inata and Wakako Maekawa “Violence or Nonviolence: The Impact of Public Opinion on Campaign Onset and Tactics,” Peace and Conflict Studies (2024), Vol. 30, No. 2, Article 3. https://nsuworks.nova.edu/pcs/vol30/iss2/3 (査読あり) Abstract: Recent scholarship suggests that norms of nonviolent contestation strongly constrain the course of civil resistance campaigns. However, these norms are not uniform across countries. It may be the case that violent campaign groups may successfully mobilize supporters in societies where norms of nonviolent contestation are not established. This study seeks to answer whether campaign onset and tactics are influenced by public opinion, and if so, specifically what components of public opinion do so. We disaggregate public opinion into those on campaign tactics and campaign goals, and argue that public opinion on campaign goals affects the initiation of civil campaigns, while that on campaign tactics affects the peacefulness of a campaign. Using the AmericasBarometer and Afrobarometer, we demonstrate that high satisfaction with democracy, a proxy for public opinion on campaign goals, significantly reduces the likelihood of violent and nonviolent campaigns compared to no campaigns and that the public’s high violence aversion makes violent campaigns less likely compared to nonviolent campaigns. 片桐梓(著書)「第8章 国際紛争」中溝和弥・佐橋亮編『世界の岐路をよみとく基礎概念──比較政治学と国際政治学への誘い』岩波書店(2024年6月20日刊行)https://www.iwanami.co.jp/book/b645170.html 概要:日常的に起こる国家間紛争が、なぜほとんどの場合平和裡に解決される一方で、稀に武力紛争(戦争)にまでエスカレートするのかという問題は、国際関係論という分野の中でも最も根源的な問いである。本稿では、過去のこの問いに関する理論的な研究動向を踏まえつつ、最近の実証研究の動向をレビューし、今後のリサーチアジェンダを見据えることを目的とした。
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【新刊:片桐梓准教授】中溝和弥, 佐橋亮 編『世界の岐路をよみとく基礎概念 : 比較政治学と国際政治学への誘い』

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した中嶋先生の新刊をご紹介いたします。 片桐梓先生 中溝和弥, 佐橋亮 編『世界の岐路をよみとく基礎概念 : 比較政治学と国際政治学への誘い』(岩波書店、2024年) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
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【院生紹介】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

【院生投稿】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程) 初めまして。私は、今年の3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPP博士前期課程に在籍しています。今回は、OSIPPに進学した理由や研究内容について紹介したいと思います。(写真:友人と卒業旅行で訪れたラオスのクアンシーの滝) 大学院への進学理由 私が大学院に進学しようと思ったきっかけは、就職活動でした。大学に入る前から国連などの国際機関で働きたいと思っていたため、大阪大学の国際公共政策学科を受験しました。しかし入学後から3年次までは「今しか出来ないことをしよう」と、学生団体や民間企業での長期インターンシップなど、そのときに興味のあることに熱中していました。学部3年次の春頃から就職活動をきっかけに将来を考えたとき、かつての目標を思いだし、国連機関で働くには修士号以上の学位が必要であるため、大学院への進学が選択肢として生まれました。 そして、もともと国際政治や平和に関心があり、ミャンマーの軍事クーデターやロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の変化が重なったことで、それらに対する関心を強めたこと、3年次により専門的な授業が増え「人間の安全保障」や「市民社会論」など、自分の興味をより具体化できたことなどから、もっと深く勉強したいと思うようになりました。 OSIPPへの進学理由 大学院進学において、どの大学院にするか、どの研究室にするかを考える中で、国際関係論や紛争解決を定量的な手法で行うOSIPPの片桐梓准教授や前川和歌子准教授の研究に興味を持ちました。それに伴い、4年次の前期は以前一度挫折し、それ以降避けてきた統計の授業を受けたり、片桐先生と前川先生のゼミを掛け持ちさせてもらったりするなど勉強に励んでいると、それらの研究を面白く感じるようになったこと、また、在学中に1年間留学することで2つの大学から修士号を取得できるというダブルディグリー・プログラムが魅力的だったこともあり、OSIPPへの進学を決めました。 研究内容とOSIPPでの学生生活 ・研究内容について現在は、前川先生のもとで、紛争下における市民や市民社会が和平プロセスに与える影響について研究したいと考えています。もともとは、なぜ紛争が開始し、どのように終結するかに関心がありました。その分野を学んでいく中で、紛争下の市民が、多くの報道で扱われているような「犠牲者」以外の側面を持っていることに興味を持ちました。例えば、2003年のリベリア内戦では女性を中心とした抗議運動が、政府と反政府勢力組織の和平交渉を実現させ、14年間続いた内戦を終結へ導きました。このような活発な市民社会活動が紛争の平和的な解決に対して、どのような影響を持っているかを、事例研究や定量分析で明らかにしたいと考えています。 ・OSIPPでの学生生活について上記のような研究を念頭に置いているため、授業は計量経済学などの定量的な手法だけでなく、法学研究科で開講されている鳥飼将雅准教授の定性研究の方法論の授業なども受講しています。OSIPPでは、指導教員と相談し、研究に必要であることを証明できれば、OSIPP開講授業でなくても他研究科の授業科目を履修することができます。また、その科目が教授会で修了要件科目に認定された場合は単位換算することができます。 授業に関しては、学部時代とは違って、ただ聞いているだけの授業はほとんどなく、事前に読んでおいた論文の内容を基にして他の受講生と議論をするなど、主体性を求められる授業ばかりです。英語での議論について行くのに精一杯な時もありますが、特に片桐先生の国際関係論の授業は、多様なバックグラウンドを持つ学生で構成されているため、様々な観点から示唆を得られることがとても面白いです。 授業以外では、OSIPPの学生が集まるリフレッシュルームでの交流や、OSIPPの新たな友人と食事や遊びに行く時間が、心の支えになっています。 今後について 今年の9月からダブル・ディグリー・プログラムを利用して、オランダのグローニンゲン大学に留学します。ダブル・ディグリー・プログラムは、OSIPP在学中にいずれかの大学に約1年間留学することにより、2年間の大学院在籍で両方の大学(大阪大学とグローニンゲン大学)の修士号を取得することができるプログラムです。OSIPPのダブル・ディグリー・プログラムでは、フィリピンのデ・ラ・サール大学とも協定を結んでいます。修了後は民間企業に就職したいと考えているため、授業、留学準備、就活、と日々「やらなければいけないこと」に追われていますが、留学先での生活や研究に思いを馳せ、自分は幸運にも「やりたいこと」をさせてもらえているのだと思い直し、日々大学院の生活を楽しもうと頑張っています。
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2023年度博士論文 タイトル一覧

2023年度にOSIPP博士後期課程を修了した方々が執筆された博士論文の論文名を紹介します。 これらの論文は「2023年度博士論文 タイトル一覧表」で閲覧できます。※公開されている情報は論文によって異なります。詳細は「大阪大学の博士論文について」をご覧ください。 ※大阪大学の博士論文は「大阪大学学術情報庫OUKA」で検索できます。
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5月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の5月の研究業績をご紹介します。 ・大久保邦彦 先生・中嶋啓雄 先生 大久保邦彦(論文)「四宮不法行為法理論の内的体系」『阪大法学』第74巻第1号(2024年5月)https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/95805/hh074_1_031.pdf 概要:本稿は、科学研究費補助金の助成を受けた「民法解釈における法原理の諸相と機能」という研究課題の一環をなすものである。本研究課題については、別稿(「『法の内的体系』鳥瞰図」阪大法学73巻2号)で総論的な考察を行ない、法理念・法原理・立法趣旨・法ルール等を要素とする「法の内的体系」のモデルを提示した。本稿は、別稿での考察を前提にして、「日本民法の内的体系」を言語化する各論の手始めとして、四宮和夫の不法行為法理論を取り上げ、それを「法の内的体系」のモデルの中に位置づけることを試みた。具体的には、不法行為法に関する四宮の全著作から法原理を抽出し、解釈に際して法原理が作用していることを示し、法原理がどのように衡量されているかを明らかにした。また、前提となる作業として、四宮不法行為法理論の基礎にあるミュンツベルクの学説をやや詳細に紹介した。さらに、刑事(訴訟)法学者の鈴木茂嗣による本質論・根拠論・認定論という議論の位相の区別を導入し、違法論を整理した。 中嶋啓雄(論文)「アメリカ孤立主義の系譜とトランプ共和党の論理」『外交』85号(2024年5/6月)30~35頁(査読なし:招待)http://www.gaiko-web.jp/ 概要:第2次世界大戦を契機に孤立主義が後退し、アメリカ合衆国は国際主義に舵を切ったが、オバマ政権以降、国際的関与からの撤退や選択的関与が、与野党を問わずアメリカ外交に底流のように存在している。しばしばアメリカの孤立主義を象徴するとされるモンロー・ドクトリン(モンロー主義)も、200年前に宣言されて以来、内外の情勢によってその政策的含意が大きく変化し、「大陸主義」や時に「国際主義」の側面さえ持った。そうしたなかで、今日のアメリカの孤立主義のありようを、トランプ前大統領の対外政策にまで連なるモンロー・ドクトリンの変化の動態と条件を参照しつつ、トランプ党化した共和党の論理を中心に歴史的な比較も踏まえて検討する。 大久保邦彦(その他の記事)「時効の更新・完成猶予」『判例講義民法Ⅰ 総則・物権 第3版』勁草書房(2024年5月) https://www.keisoshobo.co.jp/book/b645951.html ※学生向けの判例教材 ※論文に関しては、特に記載のないものは(査読なし)です。
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2024年度夏季OSIPP説明会

2024年5月17日、大阪大学豊中キャンパスのOSIPP棟会議室にて夏季OSIPP入試説明会が行われた。当日は対面とオンラインを合わせて約100人が参加し、対面会場では用意された資料をもとに入試及び在学中のカリキュラム等の説明が行われた。(写真:中嶋啓雄研究科長による挨拶の様子) 最初に中嶋啓雄研究科長から挨拶があり、OSIPPは今年で30周年を迎えると述べた。また、OSIPPでは若手や女性の研究者が活躍していること、広報サイトであるOSIPPNews やSNSでの発信活動など、活発な取り組みが行われているとの紹介があった。 続いて、河村倫哉教務委員長がOSIPPの概要および入学試験に関する説明をし、カリキュラムの特徴や求める学生像、試験の形式などについて言及した。その上でOSIPPの特徴としては、留学生が多いだけでなく出身国が多岐にわたることや、初学者であっても各学問を基礎から学ぶことができることを挙げた。 次に、生藤昌子教授(経済学系)・和仁健太郎教授(法学系)・片桐梓准教授(政治学系)から各学問系統のカリキュラム紹介があった。 生藤先生は、研究を行う技術を磨くために入学後は基礎科目に力を入れることを推奨した。また初級から上級まで各レベルに合わせた講義があり、段階的な学習ができることを説明した。同大学経済学研究科との違いについては、データを用いた研究を行いたい場合はOSIPPが向いていると言及した。 和仁先生からは文献資料を正確かつ効率的に読む力を養う講義や判決文を原文で読む講義など、具体的にどのような学習が行われているのかが紹介された。また、法学研究科での国際法の講義にはOSIPP教員が出向いているので、国際法を本格的に学びたい場合はOSIPPが向いていると述べた。 片桐先生は政治学の各教員が、どのようなアプローチで研究を行っているのかを紹介した。そして、講義内容については、マスメディア、国連の運用や実務、多文化共生などをテーマとした学習ができることを説明した。また、学位取得後のキャリア形成に関する実践的なセミナーを提供していることも紹介した。 その後は経済学・法学・政治学をそれぞれ専攻する3人の在学生が、実際に感じたOSIPPの魅力について話し、教員から丁寧な指導を受けることができる点や、学生同士の交流が盛んであることを伝えた。また社会人学生からは仕事との両立が可能であることも伝えられた。説明会の最後には質疑応答が行われ、入試や研究計画書の書き方などに関する疑問が教員や在学生に寄せられた。 説明会ではOSIPPの特徴や他研究科との違いについてわかりやすい解説があった。参加者は各教員の紹介や在学生の生の声を聞くことができ、OSIPPで過ごすイメージを具体化させることができたのではないかと思う。 (OSIPP博士前期課程 藤原慶斗)
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