JP
JP

ニュース

News

  • イベント

第10回大阪大学豊中地区研究交流会 -知の共創-

OSIPPからは宮野紗由美准教授、川窪悦章講師が発表 2025年12月5日、豊中キャンパス基礎工学国際棟にて、第10回大阪大学豊中地区研究交流会が開催された。この会は、人文社会科学系から基礎科学を重んじる理系まで、幅広い部局を有している豊中キャンパスにおいて、各分野で活躍する研究者が集い、互いの研究を知り合う場として2016年から開催されている。 約4時間半にわたり開催された今回の交流会は、熊ノ郷淳総長による挨拶から始まり、続いてポスター発表形式での研究発表や情報交換会が行われた。OSIPPからは宮野紗由美准教授と川窪悦章講師が参加し、ポスター発表をおこなった。 第10回大阪大学豊中地区研究交流会 -知の共創- <宮野紗由美 准教授の発表>「How Japanese Business Managers See the U.S.–China Rivalry: Balancing Economic and Geopolitical Stakes⽇本企業の管理職層から⾒た⽶中競争: 経済的利害と地政学のはざまで」Abstract: As U.S.-China tensions rise, businesses in middle-power countries like Japan face difficult trade and investment decisions. This study examines how Japanese firm managers weigh geopolitical risks, through a December 2024 survey experiment conducted during Donald Trumpʼs second presidential term. Results show firms are highly sensitive to the risk of U.S. retaliation when engaging with China, while Chinaʼs security threat itself is less influential. Although most oppose trade restrictions, many accept U.S.-led measures targeting China, even at their own expense, while rejecting Chinese-led restrictions. These findings highlight how private-sector actors internalize geopolitical alignments, offering insight into business decision-making amid great-power competition. <川窪悦章 講師の発表>「Geopolitical Risks and Global Supply Chains: Evidence from Shipping Data」Abstract: More than 90% of Japanʼs trade activities relies on maritime supply chains facilitated by vessels. In recent years, maritime logistics has been increasingly vulnerable to geopolitical risks, large-scale natural disasters, and the enforcement of new environmental regulations. This study plans to analyze how these developments affect shipments and global supply chains by using the AIS data. Eventually, the project aims to provide evidence to support the realization of stable and resilient maritime transportation.
  • 在学生

【インターンシップ体験談】赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程)

【インターンシップ体験談】赤井勇斗さん(OSIPP博士前期課程) 私は2025年9月初旬に、シンガポールのコンテナ船運営会社Ocean Network Express(ONE)のJEWELS Programに参加しました。 ONEは、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が2017年に定期コンテナ船事業を統合して設立した日本発の大手外航コンテナ定期船運営会社です。2018年4月からサービスを開始し、シンガポールに本店を構え、世界第6位の輸送能力を持っています。衣類や機械部品、食品など多様な貨物を輸送して世界の経済活動を支えており、環境対応やDX化を積極的に推進している企業です。実際に本社を訪れると、多国籍の社員が働いており、社内カフェの共有スペースでは活発な意見交換が行われ、透明性の高いオフィス環境が印象的でした。 プログラム内容 プログラムは5日間にわたり、基本的にすべて英語で実施されました。参加者は日本人中心の35名で、1日目はコンテナ業界とONEの事業について学び、業界理解を深めるミニゲームを通してアイスブレイクを行いました。2日目から5日目までは、実際の業務に近い「新規航路開拓ワーク」にチームで取り組みました。このワークでは、ONEが現在運航している航路から新たに拡張するべき最適な港を探り、最終日に社員の方々にプレゼン形式で提案することが求められました。まずアフリカ大陸か南アメリカ大陸のいずれかを選択し、ONEのサービスがまだ行き届いていない港を選定しました。その上で、インターネットや企業から提供されたデータをもとに、その港の需要や将来性を分析しました。3日目には中間報告を行い、各チームの進捗を共有しました。興味深いことに、すべてのチームが異なる港にアプローチしており、着眼点の多様性を実感しました。社員の方々からの的確なフィードバックはワークを円滑に進める大きな助けとなりました。また、中間報告後には実際の港を視察する機会があり、普段見ることのできない港の効率化の工夫や細部の作り込みを拝見でき、貴重な経験となりました 学んだこと チームでのワークでは、一貫して楽しみながら課題に取り組むことができました。しかし、「新規航路」という以外に明確な制約がなかったため、最初は何から手をつければよいか分からずなかなか進まないことがありました。また、競合他社やその港の政治状況・貿易産物など考慮すべき要素が多すぎて、議論が発散し、方向性の解釈の違いから意見がぶつかることもありました。それでも、何を強調すべきか、なぜその港でなければならないのかを何度もチームメンバーと話し合い、最終的には全員が納得できるプレゼンテーションを社員の方々に行うことができました。 このインターンシップを通して、貿易特にコンテナ業界の概要を知ることができ、一本の航路を運航開始するまでのプロセスがどれほど綿密に計画され、チームで結論を出すことがどれほど困難かを実感しました。慣れない異国の地でこれまで取り組んだことのない課題に挑戦し、さらに英語でプレゼンテーションを行うという経験は、私にとって非常に貴重なものでした。ほとんどのインターン生が留学経験を持つ中、留学経験のない私にとって、多様な考え方に触れられたことは大きな学びになりました。また、このインターンに参加することで、海外で働くことのイメージを強く持つことができ、確実に自分の成長につながったと感じています。 最後に このプログラムに申し込む前は、シンガポールで英語を使ってインターンシップに参加することに不安がありましたが、今では参加して本当によかったと思っています。ONEのJEWELS Programは確実に私の視野を広げ、成長につながりました。また、5日間ともに励んだチームメンバーや他のインターン生とは仲を深めることができ、今では定期的に会うほどの友人関係を築いています。貴重な経験と素晴らしい出会いを得ることができたこのインターンシップは、かけがえのないものでした。これからも様々なことに挑戦していきたいと思っています。
  • イベント

第31回OSIPPアドバイザリーボード開催

2025年12月2日、「第31回OSIPPアドバイザリーボード」を開催した。アドバイザリーボードは、OSIPPが社会に開かれた教育研究機関として地域および国際社会の発展に資することができるよう有識者より助言を得ることを目的とするものである。 現在のアドバイザリーボード委員は9人であるが、今年度は、大田弘子氏(政策研究大学院大学学長)、小林義彦氏(OSIPP同窓会「動心会」事務局長)、庄秀輝氏(日本貿易振興機構大阪本部長)、田中雄一郎氏(朝日新聞社本社論説副主幹)、原隆浩氏(大阪大学大学院情報科学研究科長)の5人の委員が出席した。 会合では、まず大槻恒裕研究科長より、アドバイザリーボードの概要およびOSIPPの現状について報告があった。続いて、河村倫哉教務委員長からは入学者の概況、留学生の出身国の割合、修了生の進路状況について、小原美紀副研究科長からはOSIPPの財政状況および支出内容について、それぞれ説明が行われた。 その後、本年度アドバイザリーボードの議題である「変化する社会のニーズと公共政策人材育成について」を踏まえ、昨年度に創立30年を迎えたOSIPPが、今後いかなる形で教育を展開していくべきかが、「学際性」および「専門性」の観点から話し合われた。議論においては、課題を俯瞰的に把握すること、そして統合的に解決策を構想することが重要である点や、産学連携によるインターンシップの実施やインターンシップを経験した学生のキャリアパスの提示など、多岐にわたる有意義な意見が委員より寄せられた。 これらの意見を受け、研究科長からは、今後学生にどのような学修機会を提供し、社会に貢献し得る人材として育成していくかを、委員からの助言を踏まえつつ検討を進めたい旨の展望が述べられ、会は閉会した。
  • 教員

11月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の11月の研究業績をご紹介します。 ・松島法明 先生 ・和仁健太郎 先生  Noriaki Matsushima(論文) Jiajia Cong, Noriaki Matsushima (2025) “The effects of personal data management on competition and welfare”, Management Science, Forthcoming. (査読あり) Abstract:This study examines the impact of consumers’ personal data management on firm competition in the data collection and application markets, as well as on welfare outcomes. Consumers purchase products from differentiated firms in these two markets. Initially, in the data collection market, firms compete to collect consumer data to predict preferences in the data application market, enabling them to offer personalized prices to their targeted customers. Before firms set prices in the data application market, targeted consumers can erase their data at a fixed cost, thereby becoming untargeted. We show that personal data management leads to higher prices, lower firm profits, negative externalities among consumers, and reduced consumer surplus in the data application market. In the data collection market, personal data management intensifies competition and improves consumer surplus. Our analysis further explores extended scenarios of personal data management—including the rights to opt out of data collection, data portability, and data ownership—and reveals that firms’ two-market profits and total consumer surplus change non-monotonically with consumers’ data rights. Specifically, granting consumers data rights beyond simple data erasure can reverse the effects of erasure alone, benefiting firms while harming consumers. Moreover, data management influences cross-market competition quite differently depending on which market consumers exercise their data rights. Finally, we discuss proactive strategies firms can employ to maintain profitability under personal data laws. 和仁健太郎 (論文) 「国家管轄権に関する議論枠組みの再検討」、森田章夫・寺谷広司・吉田脩・岩月直樹編『国際法の理論と実現ー岩沢雄司先生古稀記念』(信山社、2025年)211-229頁、(査読なし)https://www.shinzansha.co.jp/book/b10153266.html 概要: 国家管轄権に関する国際法学の従来の議論は、①国家管轄権をいくつかに分類する(2分類または3分類)、②いくつかに分類したもののうち「執行管轄権」は他国領域内で行使(域外行使)できない一方、「規律管轄権」(「立法管轄権」)は一定の条件の下で「域外適用」できる、③規律管轄権を行使(特に域外適用)するためには、「属地主義」、「属人主義」、「保護主義」といった「管轄権の根拠・原則(bases/principles of jurisdiction)」に基づかなければならない、という3つの共通認識を基盤として展開されてきた。本稿は、このような議論枠組みの適切性を再検討し、国家管轄権問題を論ずるためのより適切な枠組みを提示するものである。具体的には、国家管轄権分類論(①)は不毛な議論であって止めるべきであること、従来の学説が「執行管轄権」の問題および「規律管轄権」の問題と呼んで論じてきたのは(②)、それぞれ、(a)「他国領域内で、または他国領域内の人や物に対して、当該他国の同意なしに行ってはならないのはどのような行為か」、(b)「人や企業の行動を国が法令により規制の対象にしてよいのはどのような場合か」という問題として定式化できるが、これら2つの問題は、「法令の制定・適用・執行に関わる問題」という点において共通するだけで、性質としては相互に連続性のない、2つのまったく異なる問題と考えるべきであること、(b)の問題を論ずるための枠組みとして「◯◯主義」アプローチ(③)は適切ではなく、法分野ごと・行為類型ごとの検討が必要であること(例えば、「個人情報保護について国際法はどの国に管轄権を配分しているか」、「競争制限行為の規制について国際法はどの国に管轄権を配分しているか」といったように、「問題(単位法律関係)の側から」考えるアプローチの必要性)を論じた。
  • 同窓会

【同窓会主催】修了生インタビュー(西村慶友さん)

2020年にOSIPP博士後期課程を修了された西村慶友(にしむら よしとも)さんにインタビューを行いました。西村さんは現在大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)に勤務され、オンデマンドバスの導入など新しいモビリティ施策の実施に取り組んでいます。インタビューにはOSIPP教員の川窪先生も同席しました。(写真: 西村さん) 1. これまでの経歴、現在の分野や職種に就職しようと思った理由を教えてください 大学卒業後、4年間は競馬新聞の記者を務めました。学生時代から競馬やプロレスが好きだったことがきっかけです。その後、消費者問題専門紙を扱う新聞社の記者などを経て、インターネットの新規事業を展開する会社に転籍しました。そこで地方創生関連の事業に携わり、2013年には日本初のふるさと納税支援事業を立ち上げました。全国120以上の自治体で導入され、地域の新しい財源確保に貢献できたことは大きな経験でした。管理職となったことをキッカケに、組織づくりや人事評価について考えるようになりました。実務をより深く学術的に裏付けたいと考え、英国国立ウェールズ経営大学院でMBAを取得しました。さらに、官民共同で関わっていたふるさと納税制度を公共政策の観点から見直すため、OSIPPの博士後期課程に進学しました。赤井伸郎先生や故・山内直人先生の指導の下、地方創生の観点から「ふるさと納税の実証分析」をテーマに博士論文を執筆しました。当時はふるさと納税に関する定量的なデータが十分ではなかったため、自治体にアンケート調査を実施し、さらに寄付者・住民を対象とする調査会社経由のアンケートも行いました。これらのデータを用いた多面的な分析により、博士論文を完成させ、博士号を取得しました。社会インフラを担う企業で力を試したいとの思いから転職活動を行い、Osaka Metroに入社しました。交通事業は未経験でしたが、新規事業立ち上げの経験が評価され、MaaS(Mobility as a Service)の創成期に参画しました。オンデマンドバスの導入など、市民生活の基盤を支える新しいモビリティ施策に挑戦しています。また、2025年の大阪・関西万博では「大阪ヘルスケアパビリオン」の出展企画を担当し、没入型シアターで「交通の発達が大阪の未来をどう変えるか」を表現しました。さらに、森之宮に開設した「e METRO MOBILITY TOWN」では、空飛ぶクルマや自動運転バスなど、リアルとバーチャルの両面で“未来の大阪”を体感できる場を実現しました。万博とモビリティタウンで示したのは、Osaka Metroが描く将来像であり、新技術を社会に根付かせる挑戦を続けています。 2. 現在のお仕事についてより詳しく教えてください! 現在は、オンデマンドバスの拡大など新しいモビリティサービスの社会実装に携わっています。交通分野は少子高齢化の影響で市場が縮小することが予想されています。その中で、Osaka Metroは公共交通を守る役割を担っています。既存の路線バスは、利用者が少なくても一定の時間・一定の距離で運行する必要があり、コストがかかる点が課題です。効率的に運用するには、需要があるときに運行し、需要がないときは運行しない設計が望ましいと考えます。タクシーのように柔軟に利用でき、路線バスのように運賃が安い――その発想からオンデマンドバスの立ち上げを行いました。現在、オンデマンドバスは大阪市24区で順次エリアを拡大し、誰もが便利に移動できる「市民の足」として定着しつつあります。仕事の魅力は、関わったサービスが形となり、人々の生活の利便性が高まる瞬間を直接確認できる点です。一方で、新しい仕組みの導入には、制度や規制、住民理解などの課題を一つずつ乗り越える必要があり、関係者間の調整には大きなエネルギーを要します。それでも、社会に新しい交通が根付いていく過程を経験できることは、この仕事ならではの醍醐味です。 3. OSIPPで学んだことは現在のお仕事にどう生かされていますか? 論文で扱ったふるさと納税の知識自体が直接業務に結び付いているわけではありませんが、論文執筆で身に付けたロジカルな思考は現在の仕事に活きています。公共政策の実務では、自治体や地域との関係構築が不可欠です。また、研究と実務をつなぐには、理論と現場の両方を行き来する姿勢が重要だと考えています。新聞記者時代から「現場に足を運び、人の声を聞くこと」を徹底し、前職では制度の事業化を経験しました。これらが博士課程での分析や現在のモビリティ施策の企画に繋がっています。学生時代には研究に集中することも大切ですが、同時に社会の現場に触れ、多様な人の声を聞く経験を意識的に持つことをおすすめします。また、統計や制度分析といった定量的スキルに加え、文章力やプレゼン力などのスキルも磨いておくと、研究成果を社会に発信し実装するうえで強みになると実感しています。 4. お仕事以外の活動についても教えてください。 赤井先生や故・山内先生の紹介でNPO関係者と交流する中で、地域活動の重要性を実感しました。そこで、子供が通う西九条小学校のPTA役員を務める中で、子どもたちの思い出に残る活動として、小学校の校庭で気球を飛ばすイベントを開催しました。これが好評を博し、多方面から声がかかるようになりました。 その後、地域活性化を目的とする「一般社団法人 この花咲くやアート協会」を設立しました。私が代表理事を務める同法人は、大阪市此花区を拠点にアートイベントを開催し、子どもから大人までが参加できるアート体験を通じて地域の活性化に取り組んでいます。2024年のイベントには6,000人以上、2025年のイベントには8,000人以上が来場し、公園全体が笑顔であふれる一日となりました。アートを通じて「正解のない時代を生きる力」を子どもたちに育みたいと考えており、これはOSIPPで得た「制度や仕組みを社会に活かす視点」を地域に応用した実践例と言えるのではないでしょうか。 5. OSIPPへの入学に興味がある学生や現在の学生に向けてメッセージをお願いします。 私は40歳でMBA、47歳で博士号を取得しました。決して早い年齢ではありませんが、OSIPPは年齢やキャリアに関係なく、誰でも温かく受け入れてくれる場です。いつでも挑戦できることを覚えていてほしいと思います。研究に没頭すると視野が狭くなることがあります。そんなときは立ち止まり、振り返り、過去の考えや初心を大切にしてください。その積み重ねが自分の軸になります。OSIPPには多様な背景を持つ仲間が集まり、議論を通じて考えを磨くことができます。研究で得た知識が直接役立たなくても、研究過程で培った力は必ず社会のどこかで役立ちます。恐れず挑戦を続け、自分らしいキャリアを築いてください。 (OSIPP博士前期課程 阿部翔弥)
  • 在学生

【ポスター報告】Gaius Ilboudoさん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程1年次のGaius Ilboudoさんが、2025年11月8日に金沢大学で開催されたJapan Association of Human Security Studies (JAHSS)においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時のIlboudoさん) <報告論文>Title: “Digital Diplomacy of the Economic Community of West African States: Defending Legitimacy amid Sahel Crisis”Author: Gaius Ilboudo, Virgil HawkinsAbstract: Escalating violence by extremist groups was used as one of the justifications for military coups in Mali, Burkina Faso, and Niger. Despite the dire security challenges these countries face, the military takeovers prompted the Economic Community of West African States (ECOWAS) to impose economic sanctions on these countries. However, the sanctions backfired, leading to the formation of the Alliance of Sahel States (AES) and its state members’ withdrawal from ECOWAS in 2025. This development challenges ECOWAS’s legitimacy, raising critical questions about its response to extremist groups’ violence and unconstitutional changes. In the current digital era, social media could be one means for ECOWAS to defend its legitimacy amid this diplomatic crisis.This study examines ECOWAS’s digital diplomacy, specifically its use of social media to defend its legitimacy and manage its relations with AES. The research uses a mixed-methods approach, gathering posts from the Facebook account of ECOWAS and conducting interviews. It is thought that international organizations could enhance their perceived legitimacy through social media by adopting a dialogic communication model. However, my study found that ECOWAS did not effectively leverage these tools to foster dialogue and build relationships with its online followers.The findings underscore the need for international organizations in Africa and globally to adopt more proactive digital engagement strategies with their citizens to improve their perceived legitimacy.
  • イベント

2025年度OSIPP説明会(11月開催)

2025年度OSIPP説明会(11月開催) 2025年11月7日、OSIPP棟6階会議室にてオープンキャンパスの一環としてOSIPP説明会が行われた。当日は、約50名が対面とオンラインのハイブリッド形式で参加し、研究科の概要やカリキュラム、研究環境などについて詳しい説明が行われた。(写真:政治学分野について説明する南和志准教授) 説明会の冒頭では、教務委員長の河村倫哉教授が登壇し、博士前期課程の冬季入試情報や指導体制、学生支援制度などについて解説した。特に、社会人学生向けの長期履修制度や、海外提携大学とのダブルディグリープログラム、他研究科・他大学との単位互換制度など、学びの多様性を支える制度が紹介された。 続いて、法学、政治学、経済学の3分野を代表する教員が、それぞれの専門領域について説明を行った。 法学分野からは和仁健太郎教授が登壇し、法学分野の教員や授業について紹介した。OSIPPには国際関係法(国際法とEU法)の教員が多く在籍しており、他大学の法学研究科と比べてもその分野の研究環境が整っていることが強調された。国際法に関するカリキュラムは、判例や論文を読み込んで議論し、教科書では学べないような法学に特有の考え方や概念の使い方を体得する授業が多いと説明された。 政治学分野については、南和志准教授が説明を担当した。OSIPPでは、国際関係論、紛争研究、メディア研究など多様な政治学分野を学ぶことができ、国際機関やNGOなどでの実務経験を持つ教員や外部講師による特別講義も定期的に開催されているとの紹介があった。 経済学分野では、松林哲也教授が登壇し、OSIPP経済系の教育の特徴を解説した。教員の多くが現実のデータを用いた応用研究に携わっており、学生は経済学的な手法やデータ分析手法を幅広いトピックに応用し研究を行っていると紹介した。カリキュラムは、修士課程1年目に基礎理論と分析手法を徹底的に学ぶ構成となっており、経済学を初めて学ぶ学生でも無理なく理解できるよう設計されているが、より高度な内容を追求したい学生には、経済学研究科の科目を履修できる制度も整えられており、学びの専門性と学際性の両立が可能であることが説明された。 説明会の後半では、在学生3名が登壇し、OSIPPでの学びや学生生活について体験談を共有した。それぞれの発表では、授業を通じて多様なバックグラウンドを持つ仲間と意見を交わす機会が多いことや、学生同士の交流が活発であることなど、学内コミュニティの魅力が語られた。また、授業外でも留学生や社会人学生との交流が盛んであり、異なる専門分野や文化的背景から刺激を受けながら視野を広げられる環境が整っている点が強調された。さらに、社会人学生もzoomで参加し、オンライン授業や土曜日、第6限の授業などを活用し、仕事と学業を両立させながら、長期履修制度を通じて自分のペースで学びを深めていると語った。 終盤で質疑応答が行われた後、続けて博士後期課程の説明会も開催された。博士後期課程では、より高度な研究を志す学生に向けて、カリキュラムや指導体制の詳細が説明された(詳細は2026年度募集要項を参照)。 今回の説明会を通じて、OSIPPが多様な研究関心や分野、バックグラウンド、そして学びのニーズに柔軟に対応する研究科であることが改めて示された。参加者にとって、OSIPPの特色や魅力を深く理解する貴重な機会となっただろう。 (OSIPP博士後期課程 池内 里桜)
  • イベント

世界銀行キャリアセミナー「世界銀行グループで働く」

世界銀行キャリアセミナー「世界銀行グループで働く」 James Davidson氏(人事総局 上級人事専門官) 比嘉竜一郎氏(人事総局 人事専門官) 2025年11月10日、大阪大学豊中キャンパス法経講義棟にて世界銀行キャリアセミナー「世界銀行グループで働く」が開催された。 人事総局の採用担当チームから、上級人事専門官であるJames Davidson氏と人事専門官である比嘉竜一郎氏が登壇し、国際協力分野でのキャリアに関心のある学生たちが熱心に耳を傾けた。セミナーの後半には質疑応答の時間が設けられ、必要な語学力やキャリアパスの具体例などについて活発なやり取りが行われた。 学生たちにとって、将来のキャリアを考える上で大変有意義な時間になったのではないだろうか。 (OSIPPライブラリー)
  • 教員

10月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の10月の研究業績をご紹介します。 ・赤井伸郎 先生  赤井伸郎 (その他の記事) 「持続可能なクルーズデスティネーションの構築に向けて」『港湾』日本港湾協会102号(2025年9月)https://www.phaj.or.jp/kouwan/ 概要:クルーズ客船を受け入れる寄港地は、持続可能なクルーズデスティネーションの構築に向けて、訪問客のカテゴリー別(カテゴリーA:アッパープレミアム、エクスペディション・ラグジュアリークラス、カテゴリーB:プレミアムクラス、カテゴリーC:カジュアルクラス)のニーズを踏まえる必要がある。各ニーズに合った寄港地プランを通じて、魅力的でリピートしたくなるコンテンツを開発することにより、寄港地の付加価値を高める努力を継続的に進めていくことが重要である。なお、オーバーツーリズム対策など、乗船客増加による地域社会への影響に対し、地域住民の理解を深め、住民が良い将来社会を思い描ける工夫も、持続的な発展のためには不可欠である。今後の日本のクルーズデスティネーションの発展に期待したい。
  • 同窓会

【同窓会主催】修了生インタビュー(周妍さん)

2017年にOSIPP博士後期課程を修了された周妍(Zhou Yan)さんにインタビューを行いました。周さんは現在浙江大学に勤務され、近代日中間の知識人による筆談を介した学術交流に着目した研究をしています。インタビューには指導教員の河村先生も同席しました。(写真:周妍さん) これまでの経歴、現在の分野や職種に就職しようと思った理由を教えてください。ちびまる子ちゃんや聖闘士星矢など、日本のアニメ・ドラマのブームをきっかけに日本へ強い関心を抱き、日中文化交流に貢献したいと考えるようになりました。中国伝媒大学では日本語を専攻しましたが、学ぶうちに言語だけでは日中関係を十分理解できないと感じるようになりました。大学院では日中関係を多面的に理解したいと考え、OSIPPへ留学しました。大学時代からマスメディア論に興味を持っていたこともあり、OSIPPでは日中関係におけるマスメディアの働きに着目して研究を行いました。研究を続けるうちに、日中交流の長い歴史を貫く核心的な要素とは何かについて考え直すようになり、近代日中間の知識人が漢字による筆談を介した学術交流に着目した研究活動を行うようになりました 筆談で交流の様子がわかるのですか。詳しく教えていただきたいです!中国と日本の間で言葉は違えど、長い歴史の中で漢字を共有してきたことから、筆談による意思疎通が活発に行われてきました。お互いの言葉が口頭で理解できなかったときは、筆談が会談で重要な役割を果たしました。古くは隋唐時代における筆談の例が見られますし、外交使節、漂流民、知識人などによる多様な筆談記録が残されてきました。筆談は当時の交流の様子を現代にそのまま伝える史料として近年注目されつつあります。現在、私は明治から昭和期にかけて活躍した知識人で、「大漢和辞典」などを編纂した諸橋轍次に注目して研究を行っています。筆談史料を通じて近代の転換期における日中の知識人が旧学と新知をめぐってどのような議論を展開されていたのかを明らかにしながら、従来の日中交流史では語られてこなかった側面を補うことで、日中関係の実像をより多元的に描き出せることに面白さを感じます。(写真:「諸橋轍次先生の遺墨 その十二 胡適氏との筆談」(『大漢和辞典(修訂版)月報12』より)) 研究以外の仕事について教えていただきたいです。全校共通科目「東アジアにおける歴史と文化」を三年間担当してきました。毎年80人くらいが受講しています。人文系に留まらずさまざまな分野の学生が聴講していますが、日本のアニメ・ドラマをきっかけに日本の歴史や文化に興味を持った学生が意外と多いです。皆、熱心に授業に参加してくれて、時折議論が白熱することが大きな励みになっています。また、学校外での研修を担当することもあり、私も学生を香港や東京に連れて行きました。 大学教員という仕事で、大変なところはありますか。どの国の若手教員・研究者にも言えることだとは思いますが、キャリアアップの厳しい年齢制限に息苦しさを感じています。中国では、若手研究の科研費申請にしてもポスドク研究員になるにも35歳以下であることも多く、また若手研究者のタイトルの申請や副教授へ昇格するには40歳以下が理想的だとされています。特に近年では、中国の大学の国際競争力の躍進も相まって、研究環境における競争意識が非常に強くなったと感じることがあります。さながら日本における中央官庁キャリア組の熾烈な昇進争いといったところでしょうか。 大学教員という仕事で、大変なところはありますか。どの国の若手教員・研究者にも言えることだとは思いますが、キャリアアップの厳しい年齢制限に息苦しさを感じています。中国では、若手研究の科研費申請にしてもポスドク研究員になるにも35歳以下であることも多く、また若手研究者のタイトルの申請や副教授へ昇格するには40歳以下が理想的だとされています。特に近年では、中国の大学の国際競争力の躍進も相まって、研究環境における競争意識が非常に強くなったと感じることがあります。さながら日本における中央官庁キャリア組の熾烈な昇進争いといったところでしょうか。 OSIPPではどんな学生生活だったか、OSIPPでの思い出、OSIPPで学んだことで役立っていることなどを教えてください。日本に来た時点で日常生活では支障ない日本語を身につけていたものの、はじめ専門用語についていけずに講義中の議論に参加できない時期がありました。その際、先生方や先輩方、同級生に助けてもらいながらプレゼンの準備からレポートの書き方まで多くのことを学びました。当時の同級生の中には今でも交流が続いている人がいます。また、河村研のゼミでは、ウェーバー、ホッブズ、ロックやルソーといった古典について学生同士で討論し、その後先生が解説を加えるという形式で進められました。河村先生がウェーバーの著作について熱く語っていた様子を今でも鮮明に覚えています。古典にじっくり向き合って議論する過程で問題意識の気づき方や議論の組立て方といった研究の基礎を身につける貴重な時間を過ごすことができました。今もこの時身につけた方法を実践しています。ゼミや講義を通じて、ヨーロッパやアメリカだけではなく東南アジアやアフリカといった第三世界の政治・社会に関する知識に触れた際には、この世界の多様さ・複雑さに驚き、感銘を受けました。他にも、法学部や文学部などとの共通科目を通して他分野の学生同士で交流できたことも、視野を広げるいい機会でした。また、多文化共生のプログラムに参加した際には、アンケートの作成と分析を通じて社会現象を定量的に分析する方法を学ぶなど、研究の幅を広げることができました。 最後に、現在のOSIPP生にメッセージをお願いします。OSIPPには留学生や社会人学生が多く、また企業や国際機関などでの実務経験が豊富な教員も在籍しています。大阪大学随一の国際色があるOSIPPには世界を舞台にした多種多様な研究が共在しており、そのような学際的な環境のなかで学生生活を過ごせたことは素晴らしい経験だったと私自身自負しています。たくさんの交流を通じて良き師と良き友を得ることで、幅広いスキルや知識を身につけ、国際的教養人として活躍されることを期待しています。 (OSIPP博士後期課程 辻本篤輝)
  • 教員

9月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の9月の研究業績をご紹介します。 ・生藤昌子 先生  ・松島法明 先生 ・宮野紗由美 先生 ・山下拓朗 先生 ・髙田陽奈子 先生 ・川窪悦章 先生 Masako Ikefuji(論文) Masako Ikefuji, Jan R. Magnus, Andrey L. Vasnev, “The role of data and priors in estimating climate sensitivity,” Journal of the Royal Statistical Society Series C: Applied Statistics, qlaf047, 12 September 2025(査読あり)https://doi.org/10.1093/jrsssc/qlaf047 Abstract: In Bayesian theory, the data together with the prior produce a posterior. We show that it is also possible to follow the opposite route, that is, to use data and posterior information (both of which are observable) to reveal the prior (which is not observable). We then apply the theory to equilibrium climate sensitivity as reported by the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) in an attempt to get some insights into the prior beliefs of the IPCC scientists. Noriaki Matsushima (論文) Qiuyu Lu, Noriaki Matsushima, Shiva Shekhar, “Welfare implications of personalized pricing in competitive platform markets: The role of network effects,” International Journal of Industrial Organization, Volume 103, Part B, 2025, 103200(査読あり)https://doi.org/10.1016/j.ijindorg.2025.103200 Abstract: This study explores the welfare impact of personalized pricing for consumers in a duopolistic two-sided market, with consumers single-homing and developers affiliating with a platform according to their outside option. Personalized pricing, which is private in nature, cannot influence expectations regarding the network sizes, inducing the platforms to offer lower participation fees for developers. Those lower fees increase network benefits for consumers, allowing the platforms to exploit these benefits through personalized pricing. Personalized prices are higher when the network value for developers is high, benefiting competing platforms at the expense of consumers. These findings offer policy insights on personalized pricing. Sayumi Miyano(論文) Kim, In Song, Steven Liao, and Sayumi Miyano (2025) “How FDI reshapes host markets’ trade profile and politics.” American Journal of Political Science. Published online: 12 September 2025. (査読あり)https://doi.org/10.1111/ajps.70010 Abstract: A fast-growing literature indicates that firms’ engagement in foreign direct investment (FDI) and trade is key to understanding deepening global value chains and their political implications. However, existing studies have mainly focused on the ramifications for FDI home countries while often overlooking the firm-product level interactions between FDI and trade, where their interdependencies manifest. This study examines how firms’ FDI reshapes host countries’ trade profiles at this level, empowering new political coalitions for trade liberalization. Analyzing greenfield FDI projects globally since 2003, we find that hosts experienced an average increase of over 45 export products in the following year. To overcome the challenges of connecting firms to products, we link FDI data with Vietnamese customs records. We find that Vietnamese export (import) volumes of FDI-related products increased by 90% (30%) within 4 years of initial investments. Importantly, these products also benefited from more substantial tariff cuts in bilateral Free Trade Agreements. Takuro Yamashita (論文) Yusuke Yamaguchi, Takuro Yamashita (2025) “Robust predictions and hard information in the market for lemons,” Economics Letters, Volume 256, October 2025(査読あり)https://doi.org/10.1016/j.econlet.2025.112568 Abstract: The literature on informationally robust predictions has focused mostly on soft information. In a stylized adverse selection model, we show that hard information enables trade, even when the unique equilibrium outcome without it is no-trade. Takuro Yamashita (論文) Takeshi Murooka, Takuro Yamashita (2025) “Optimal Trade Mechanisms with Adverse Selection and Inferential Naivety,” American Economic Journal: Microeconomics, (査読あり)Forthcominghttps://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/mic.20230019&&from=f Abstract: We study an adverse selection environment in which a buyer’s inferential ability is heterogeneous: A rational type correctly infers the value of the good from a seller’s offer, whereas a naive type is inattentive to the correlation between the seller’s private information and the offer. We characterize the optimal menu mechanism that maximizes the seller’s profits or trade surplus. Notably, no matter how severe the adverse selection is, all types of buyers trade. We then provide conditions under which the menu mechanism is optimal among all general mechanisms. A consumer-protection policy that limits the naive buyer’s loss is also investigated. 髙田陽奈子 (著書) 「国内人権機関」pp.13-14、小坂田裕子他編『アクティブラーニング国際人権法』(法律文化社、2025年)https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04434-1 概要:本書は、学部生や大学院生を主な対象とした国際人権法の教科書である。この教科書における「国内人権機関」の項目を執筆し、パリ原則や国内人権機関グローバル連盟などの国内人権機関にかかわる基本事項について説明し、国連の人権条約機関の関連する実践や、日本における国内人権機関の設置に関する動向について解説した。 Takafumi Kawakubo (Discussion Paper) Takafumi Kawakubo, Takafumi Suzuki “Spillovers through Supply Chains: How large plant openings affect local supplier firms”, RIETI Discussion Paper Series 25-E-083, September 2025https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/25e083.html Abstract: This study examines how becoming a supplier to a newly established large-scale plant influences the performance of incumbent small plants. Exploiting detailed plant-level data, records of new large plant openings, and supply chain information, we construct a quasi-experimental setting based on the spatial distribution of new entrants. Our event-study estimates show that while local supplier plants benefit significantly—both statistically and economically—from large-scale plants, non-supplier plants in the same region face negative impacts, likely due to intensified competition spurred by the newly-contracted suppliers. The results underscore that such entries create “winners and losers” not only across different regions but also within the same locality. From a policy perspective, these insights highlight the importance of facilitating effective partnerships between large-scale entrants and local suppliers, as well as offering support to disadvantaged non-supplier firms. Overall, our findings illuminate the nuanced local economic consequences of large-scale plant entries and offer guidance for future industrial and regional policies.
  • 在学生
  • 留学

【海外調査報告】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

【海外調査報告】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程) 私は、2024年1月にOSIPP 海外インターンシップ・海外調査奨学金を利用して、シエラレオネでの10日間の定性研究の研修に参加しました。このプログラムは、私の留学先だったオランダのグローニンゲン大学とシエラレオネのマケニ大学との共同プログラムで、それぞれの大学から教員と学生が参加していました。 プログラムの内容このプログラムは、フィールドリサーチの実践と倫理(Field Research Practice and Ethics)という科目名で、定性的研究やエスノグラフィーなどを中心とした研究方法を学び、学んだことを生かして実際に現地政府やNGO、コミュニティを訪問する小規模な演習プロジェクトを行うというものでした。プログラムは、座学とフィールドワークにわかれていました。最後の演習プロジェクトでは、グループで学生自身の興味に基づいたリサーチクエスチョンを立て、フィールドワークを行いました。私のグループでは、大学に進学するうえで障壁となっているものは何かを調査し、3つの大学を訪れ様々な学生にインタビューをしました。他にも、地元のコミュニティを訪れ村長や若者のリーダー(村ではYoung Leaderと呼ばれていました)に話を聞いたり、地域の自治体で開発協力の担当者にインタビューをしたりしました。 プログラムから学んだことコースを通して、特に2つのことが印象に残りました。1つ目は、ポジショナリティ(立場性)の重要性です。他者が自分自身をどう見ているかと、私自身が自分をどう認識しているかは大きく異なり、それが研究に影響をもたらすことを学びました。例えば、シエラレオネでは中国による開発支援が活発に行われており、私が訪れた地域には中国人以外のアジア人はほとんど見られなかったため、出会った人の多くは私を中国人だと思っていました。一方で、街を歩いていると、Krio語(現地で広く話されている言語)で「白人」を意味する「Opoto」と呼ばれることも多く、自分で白人だと思ったことはなかったので驚くこともありました。白人や中国人、また研究者であるという立場は、訪れた地域では、富や権力を持っているというイメージと結びつきやすく、研究者に都合の良い話をすることで報酬をもらおうとしたり、情報が漏れることを恐れ実際とは異なる話をしたりする可能性があります。事前にフラットな関係構築や情報が保護されるという丁寧な説明が重要であるということを改めて学びました。 特にフィールドワークでは、ポジショナリティが想像以上に大きな影響を持つことを実感しました。大学生へのインタビューでは、私が質問しているのに、インタビュイーがシエラレオネ出身のグループメンバーの方に視線を向け、彼に答えを返していました。理由は分かりませんが、彼の方が話しやすい、あるいは権威を持っていると感じたのかもしれません。もし外国人である私がいなければ、例えば、より本心に近い回答をした可能性もあります。このようにポジショナリティの重要性について身をもって体験することができました。2つ目は、人々からどのようにデータが生まれているかということです。私は、これまで統計データを研究でよく使ってきましたが、それらの数値の背景に何があるのかを考えるきっかけになりました。例えば、インタビューで「キャリアの目標はありますか」という質問に対しインタビューをした12人全員が「はい」と答えましたが、その後1人が「キャリアって何ですか?」と聞いてきました。このやり取りは、統計データには表れない重要な情報でした。また、インタビュー中の状況を詳細に記録することの重要性も学びました。誰が呼びかけたか、座る位置、声の大きさ、言語の切り替え(英語からKrioへの切り替えなど)、表情、順番など、すべてがデータになると学びました。 最後にこのプログラムに参加しようと思ったきっかけは、私の主な研究の関心が内戦や平和構築で、シエラレオネは2002年に紛争が終結した国であり、近年で紛争を体験した国を実際に訪れてみたいと考えたことでした。やはり貧困を目の当たりにすることや、自分自身の当たり前の生活と比較して不便さを感じることもありましたが、意外とどこも活気に溢れていたり、のんびりマンゴーを食べながら大学の掃除をしてくれるおじさんと豊かな時間を過ごしたりもしました。頭の中でイメージするだけでなく、実際に訪れてみることの重要性や自分自身の価値観でものごとを判断することの危うさを身にしみて感じることができ、貴重な体験となりました。またプログラムを通して、何気なく読んでいた論文の背景に、誰がいるのか、どのように研究が行われたのかをより想像できるようになり、自分自身の研究の観点が広がったり、修士論文のヒントを得たりすることができました。
  • イベント

2025年度 OSIPP(9月期)学位記授与式

おめでとうございます!! 2025年9月25日、OSIPP棟2階講義シアターにて令和7年度(9月期)学位記授与式が開催され、博士前期課程2人、博士後期課程3人の計5人が本研究科を修了した。まずは、熊ノ郷 淳総長からのビデオメッセージが上映され、その後、大槻恒裕研究科長からOSIPP修了生に学位記が授与された。 修了生のみなさん、おめでとうございます!皆様の更なる飛躍と今後のご活躍をお祈り致します。 (OSIPPライブラリー)
  • 在学生

【ポスター報告】吉良光冬さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程2年次の吉良光冬さんが、2025年9月13日に弘前大学で開催された 日本経済学会 2025年度秋季大会 においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時の吉良さん) <報告論文>Title: “The effect of quota for persons with disabilities”Author: Mifuyu KiraAbstract: Promoting employment opportunities for persons with disabilities is an essential policy for social inclusion. Exploiting discontinuous increases in quotas based on firm size, this paper examines the effect of the disability employment quota-based regulation system. The results show that quotas increase the number of workers with disabilities. Each additional worker in the quota requirement increases 0.7 additional persons with disabilities employed. Furthermore, even in areas with low job opening rates, quotas promote disability employment. These findings contribute to discussions about policy directions for advancing disability employment in the future.
  • 在学生

【ポスター報告】左 晅子さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP博士後期課程3年次の左 晅子さんが、2025年9月13日に弘前大学で開催された日本経済学会 2025年度秋季大会においてポスター報告を行いました。(写真:ポスター報告時の左さん) <報告論文>Title: “Do the good intentions backfire: The effect of access to legal services on divorce and suicide”Author: 左 晅子さん、 Qirui XiaoさんAbstract: This study exams whether better access to legal services is associated with family dissolution and health. Using panel data for 1,741 Japanese municipalities in 2009, 2014, 2016, and 2021, access is proxied by geodesic distance from each municipal centroid to the nearest municipality with a law office. Fixed-effects estimates show that closer access is associated with higher divorce rates. No significant association is found for suicide. Closer access predicts lower all-cause mortality, with reductions in heart-disease deaths for men and cerebrovascular deaths for women, suggesting legal access may ease marital exits yet mitigate health risks.
  • 在学生
  • 留学

【ビジティング体験談】池内 里桜さん(OSIPP博士後期課程)

【ビジティング体験談】池内 里桜さん(OSIPP博士後期課程) わたしは2024年8月から1年間、アメリカのプリンストン大学にビジティング(研究滞在)を行いました。本記事では、渡米までのプロセスや滞在先での経験を紹介します。 きっかけわたしの主な研究関心は、アメリカにおける人種・エスニシティの不平等や集団間関係であるため、大学院生のあいだに何かしらのかたちでアメリカの大学に留学したいと考えていました。しかし、博士前期課程の段階では海外大学院への進学を決められなかったため、先生方と相談のうえ、博士後期課程の早い段階で1年間のビジティングを行うことにしました。学振特別研究員への応募を考えていたころにその「ドリームプラン」を立てたのですが、DC1の内定が決まり経済的な問題をクリアしたことで、博士前期課程修了前から早速準備を始めました。 準備滞在先の選定にあたっては、指導教員の鎌田拓馬先生に複数の候補校や研究者を挙げていただき、連絡を取っていただきました。先生のお知り合いで受け入れが決まらなければ、研究領域の近い研究者に直接アプローチする予定でしたが、幸い最初に打診した大学で受け入れていただけました。 受け入れ許可のやり取りが済んだ後、正式に履歴書・推薦書・成績証明書などを提出して出願手続きを行い、5月ごろに大学からビジティング・スチューデントのポジションをいただきました。ビジティングはPhD進学とは異なり、学力テストや英語試験のスコアは求められませんでしたが、もし必要になった場合に備え、博士前期課程の秋にTOEFLを受験していました。また、受け入れが決まった時期には、追加の経済的支援を得るため、日本学術振興会の「海外挑戦プログラム」(現在は募集終了)に応募しました(応募には英語試験のスコア記入欄がありました)。当時は円安がかなり進んでいたため、為替レートの動向やプログラムの採否を毎日気にしながら、ビザ申請やワクチン接種などの渡米準備を進めたことを覚えています。短期の研究滞在は交換留学や学位取得目的の留学とは異なり、明確なルートがないのでケースバイケースになると思います。まずは指導教員に相談するのがよいと思います。ここで紹介したのも1つの体験談にすぎず、受け入れ先やプログラムによって事情は異なります。なお、現在制度は終了していますが、「学振 海外挑戦プログラム」とインターネットで検索すると、3か月から1年程度の研究滞在を経験した日本人大学院生のブログ等が見つかるので参考になるかもしれません。 滞在中の研究滞在先のOffice of Population Research(OPR)には、社会学・経済学・人口学の分野で実証研究を行う教員が所属しており、学生のバックグラウンドも多様でした。OSIPPに似た学際的な環境で、わたしにとっては心地よかったです。 学期中(9〜12月、2〜5月)は授業やセミナーに参加しながら、自分の研究を進めました。OPRには計量的に厳密な実証分析を行う研究者が多く、「都市不平等と公共政策」など理論と実証の両方に重きを置く授業や、「社会科学のための機械学習」などの手法を学ぶ授業を履修しました。授業のインストラクターやセミナースピーカーは、これまで論文で名前を見ていたアメリカの著名な研究者が多く、非常に刺激的でした。 研究にフィードバックが必要なときは、OPRや経済学研究科の研究者やセミナースピーカー、さらにはOPR卒業生にアポイントを取り、時間をいただくようにしました。ビジティング・スチューデントは正規の学生と違い立場が曖昧になりがちなので、できるだけ情報を集め、コミュニティに積極的に関わるように心がけました。学期以外の期間はキャンパスが日本の大学の長期休暇よりもさらに静かになるため、これまでの研究に集中しつつ、新しいトピックの勉強を進める時間にあてました。 滞在中の生活プリンストンはニューヨークから電車で約1時間半の距離にある、自然豊かな小さな街で、キャンパスには歴史的で美しい建物が並んでいます。滞在中は学内の大学院生寮に住み、友人と食堂でほぼ毎食一緒に食べたり、夜に集まって課題や作業をした後にカードゲームやボードゲームを楽しんだりしたのが良い思い出です。 また、これまでの短期渡米では大都市にしか滞在したことがありませんでしたが、今回は現地の友人の案内で、富裕層が多い郊外地域、移民が多く住む地域、南部の都市など、多様なアメリカ社会の姿を実際に見ることができました。わたしはアメリカの地理的特性を活用したデータ分析をよく行うので、数値の背後にある社会的実態を具体的にイメージする助けになりました。 さらに、ニューヨークでは学部生のときに書いた論文の着想源であったミュージカル「ハミルトン」[1]を初めて生で観ることができ、感無量でした。 おわりに 準備から滞在まで、全て自分で動かなければ何も始まらない状況でした。研究と並行して新しいコミュニティに身を置くのは大変なことも多かったですが、その分、自分自身を知る機会にもなったと思います。この経験で得たアイデアやネットワークを生かし、今後も研究に励んでいきます。 [1]「ハミルトン」はアフリカ系アメリカ人の俳優がアメリカの建国の父の役を演じるミュージカルで、そのようなショーが有名な演劇賞を取り人種の多様性が顕著になったときに、アフリカ系アメリカ人の不利な社会的地位を引き起こす原因についての考えが変わるかを、世論調査のデータを使い分析しました。
  • 教員

8月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の8月の研究業績をご紹介します。 ・赤井伸郎 先生 ・丸山士行 先生 ・中嶋啓雄 先生 ・前川和歌子 先生  Nobuo Akai (論文) Naruki Notsu, Haruaki Hirota, Nobuo Akai(2025) “Inter-municipal cooperation and tax enforcement capabilities”, Regional Science and Urban Economics, Volume 114, September 2025 (査読あり)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166046225000547 Abstract: This study examines the effects of enhancing administrative tax enforcement on the tax gap, focusing on inter-municipal cooperation (IMC). IMC involves collaborative tax collection efforts among multiple municipalities and promotes the aggregation of tax collection resources and expertise, improving tax enforcement. Using the time variation in IMC creation across municipalities, we show that IMC substantially reduces the tax gap by reinforcing tax enforcement in local governments. Our findings suggest that enhanced administrative capability in tax enforcement can be an effective tool against noncompliance in ways other than facilitating voluntary compliance. Shiko Maruyama (論文) McGinn, Eamon, Shiko Maruyama (2025) “Why Waste Your Vote? Informal Voting in Compulsory Elections in Australia”, Economic Record, First Published 18 June 2025 (査読あり)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1475-4932.12877 Abstract: In Australia, where voting is compulsory, around 5 per cent of votes are informal, not counting toward the outcome. Between 2004 and 2016, 32 percent of electorates reported more informal votes than votes in the margin between the winner and runner-up. Using exogenous changes in electorate boundaries, we test two hypotheses from the literature. We find the pivotal voter theory unsupported, except that better-educated voters respond to the margin more strategically. However, we do find that more candidates cause more informal votes. This choice-overload effect is observed regardless of voters’ education, indicating the role of time and effort cost rather than cognitive difficulty. 中嶋啓雄 (論文) 「第二次トランプ政権の西半球政策――パナマ運河再獲得、カナダ併合、グリーンランド領有をめぐって」『海外事情』73巻4号(2025年7・8月)、18~31頁https://www.takushoku-kaiken.net/journal/index.html 概要:第二次トランプ政権の西半球政策、具体的にはパナマ運河再獲得、カナダ併合、グリーンランド領有の主張に関して、それぞれの問題の歴史的経緯や文化的背景を踏まえ、その是非を論じた。 Wakako Maekawa(著書) Chapter Title:Renewable Energy, Development, and Peace: Does Renewable Energy Have Pacifying Effects on Civil Wars?, Green Energy Investments and Economic Development, Edited by Ramesh Chandra Das, Published July 24, 2025 by Palgrave Macmillanhttps://link.springer.com/chapter/10.1007/978-981-96-6166-4_11 Abstract: Many countries have begun investing in green energy as an intervention to enable sustainable development and adapt to climate change. This shift, including donor-led intervention, is also occurring in conflict-prone regions, prompting the following question: does renewable energy have pacifying effects on civil war? This study investigates the effect of renewable energy on civil war occurrence by unpacking its direct and indirect mechanisms. It argues that renewable energy does not necessarily reduce civil wars directly because, despite wider accessibility to profits compared to traditional resources, which reduces individual motivation to fight for earning purposes, the availability of profits enhances the feasibility of rebellion by securing funds. Accessibility to electricity also enhances the feasibility of rebellion by enabling potential insurgents to overcome operational challenges at nighttime when insurgents normally come out. It facilitates gathering and loading weapons in places such as mountainous terrain where traditionally electricity access had been weak. Instead of direct mechanism, renewable energy indirectly reduces civil wars by boosting economic development and democratization. Using renewable energy data for 160 countries from 1991 to 2016, the empirical analysis showed that renewable energy decreases the number of active rebel groups and civil wars. However, a mediation analysis revealed that this effect occurs through the indirect mechanism of economic development but not through democratization. These findings imply that green energy investment that is compatible with economic development is crucial for peace. 赤井伸郎 (その他の記事) 「インバウンド増加と地域政策」『十字路』日本経済新聞(2025年8月14日付夕刊)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0489B0U5A800C2000000/ 概要:インバウンド(訪日外国人)客が1月から6月までの半年で累計2000万人を突破し過去最速で増え続けている。インバウンドの増加が持続的に地域経済に貢献していくためには、地産地消の視点で、インバウンドの滞在がもたらす消費効果を確実に地域の雇用創出や所得向 上につなげる仕組みづくりが必要である。地元住民が普通だと思う地域文化、景観、歴史に強い関心を持つ外国人も多い。経済効果を生み出せるポテンシャルは 全国に備わる。環境やインフラにかかる負荷、地域物価も含めた経済の変化への対策も不可欠である。異文化との共生に住民が良い将来を思い描けるかどうかも鍵となる。
  • 在学生
  • 留学

【ダブル・ディグリー・プログラム】 山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)-ダブル・ディグリー・プログラム受講生- ダブル・ディグリー・プログラムでグローニンゲン大学(オランダ)に留学していた山本葉月さんの留学体験記を紹介します。(写真:誕生日パーティーの様子。上段右から二人目が山本さん。) はじめに 私は、2024年9月からダブル・ディグリー・プログラムの一環として、オランダのグローニンゲン大学に1年間留学しました。読んでくださっている方が、このプログラムで何を得る事ができるのか興味を持つきっかけになり、意思決定をするための役に立てれば幸いです。 なぜOSIPPで留学をするのか まず、留学をしたいと思った1番の理由は、異文化の中で暮らしてみたかったからです。OSIPPには留学生も多く、また英語開講の授業も多いため、語学の勉強や異文化交流の経験をするために必ずしも留学する必要はないと思います。しかし、遠い外国に一人で暮らすといった経験は、実際にやってみないと想像の域を出ないなと常々思っていました。とはいえ大学院での学びはおろそかにしたくない、といった思いもありました。その点で、留学先のコースはResearch master(参考: https://www.rug.nl/masters/international-relations-research/?lang=en#!requirements)というコースで、研究者の育成に重きを置いており、PhDを目指す学生も多く、少人数でレベルの高い授業を受けられるといったものでした。このプログラムなら、異文化の中で生活をしてみることと、大学院で学びを深めることの両立ができると考え、留学を決めました。結果、多角的な視点で知識を広げながら、異文化の中で暮らす経験や新しい出会いを重ね、人生を豊かにし、人として成長することができたと思います。 オランダの生活 オランダ留学と聞くと、言語の心配をする方も居るかもしれません。結論としては、オランダ語を話せることは必須ではありません。オランダ人は1番ネイティブに近い非ネイティブと言われるくらい、誰もがとても流暢に英語を話すので、結局オランダ語は自己紹介レベルまでしか上達しませんでした。ただ、それでも問題ないくらい様々な国から人々が集まる国でした。例えば私はシェアハウスをしていたのですが(オランダは全国的に住宅不足かつ大学には寮がないため、自分で部屋を探す必要があり、何十件もメールを送ったりビデオコールをしたりたまに詐欺に遭いそうになったりと、住む場所を見つけるという最初のステップがめちゃくちゃ大変でした…)、イギリス人、マレーシア人、ナイジェリア人と一緒に住んでいました。クラスメイトはもちろん、こういった生活の中でも様々なバックグラウンドの人々と出会うことができます。  また、ヨーロッパと言えば、雨ばかりというイメージがありますが、全くもってその通りです。冬は大変寒く、それに加え16時には真っ暗になります。逆に夏は、22時頃まで明るく、曜日など関係無く15時頃から河川敷で乾杯するような陽気さでした。 大学以外の場では、友だちの家でパーティーをしたりピクニックをしたり、行きつけのバーでよく飲んだりしていました。「楽しむこと」が得意な友だちにいつも感動していました。特にイベントへかける熱量は並外れており、クリスマスやオランダ国王の誕生日を祝うKing’s Dayなどは全力で楽しみ、一方ではメリハリをつけて勉強に励むといった生活は、とても楽しく充実していました。 グローニンゲン大学での学び 学術的な観点で言えば、OSIPPとグローニンゲン大学のコースでは、同じInternational Relations(以下、IR)といってもその方法論や重きを置いている価値観が違うため、かなり違った角度で学びを深めることができました。OSIPPでは、私の場合は特にですが、実証研究を重要視しているのに対し、グローニンゲン大学では例えば人類学などの多様なバックグラウンドのもと、哲学的な議論や理論を重視した授業が多い印象でした。例えば、「IRにおける理論とは何か?」「そもそもこの理論はどのような方法論、社会の見方に基づいているか?」などについて、様々な論文をもとに議論しました。クラスメイトも、出身がバラバラなだけでなく、それぞれの興味も「きのこの生態をIRの研究にどう反映できるか」や「IRにおける存在論と仏教の関係性」など様々でした。そういった仲間と出会えたことも、留学の醍醐味になると思います。ちなみに授業はほぼ全てディスカッションがメインのため、論文を読んでいくことが前提でその上で自分の意見を発言しなければならず、とても苦労しました。ときには、月に100本以上論文を読むこともあり、毎日友だちと必死に論文を読んでいたのもよい思い出です。 また先生との距離がとても近いことにも驚きました。例えば、ある授業の先生は毎週授業の終わりに「続きの議論はバーでやりましょう」と言って一緒にお酒を飲みながら議論の続きをしたり、ある先生は期末期間になると毎回クッキーを焼いてきてくれたりと、とてもフラットな関係で、新鮮すぎて最後まで慣れることはできませんでした(笑)。 授業以外にも、シエラレオネのマケニ大学と共同で実施された定性研究の方法論のプログラムにも参加しました。OSIPPの海外インターンシップ助成金を活用し、実際にシエラレオネの村や自治体を訪れ、インタビューをさせてもらうなどとても有意義な経験を得る事ができました。この経験については詳しくは別の記事で書く予定なので、ぜひご覧頂けますと幸いです。 最後に 留学をひとことでまとめると、本当に人に恵まれた1年間だったなと思います。留学前は家探しや書類の提出などに追われ、オランダについたものの初めの1~2ヶ月ほどはなかなか慣れることもできず帰りたいと毎日思っていましたが、最後にはまた戻ってきたいと思うほど素敵な友だちや思い出をつくることができました。大学院で留学することは、授業や研究も大変で、かつ就職活動なども重なり簡単なことではありませんが、その分濃い毎日を過ごすことができると思います。ダブル・ディグリー・プログラムに興味がある方はぜひ検討してみてください!
  • イベント

OSIPPピザパーティー開催

OSIPPピザパーティー開催 2025年8月1日、OSIPP棟6階会議室にて、国際交流委員会と院生会の共催でピザパーティーが開催された。当日は学生と教員合わせて45名が参加し、賑わいを見せた。会場には多国籍で、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まり、国際色豊かな雰囲気となった。 パーティーでは研究の話題から日常のちょっとした雑談まで、教員と学生が垣根を越えて交流しており、笑い声が絶えず終始和やかな時間が流れた。期末テストの合間のリフレッシュにもぴったりのイベントとなった。 (OSIPP博士前期課程 WANG Hsin Ni)
  • 教員

7月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の7月の研究業績をご紹介します。 ・赤井伸郎 先生・松林哲也 先生・松島法明 先生 Nobuo Akai(論文) Nobuo Akai, Takahiro Watanabe(2025) “Endogenous timing of decentralized leadership with heterogeneous spillovers”, Economics of Governance, Published: 26 June 2025 (査読あり)https://link.springer.com/article/10.1007/s10101-025-00326-2 Abstract: This paper considers the decentralized leadership model of local government with heterogeneous spillovers. In this model, as in the traditional decentralized leadership model, central government determines interregional transfer policies ex post, but the timing of policymakings of local governments can be chosen, sequential or simultaneous. We aim to investigate the types of timing games that can plausibly emerge as a consequence of rational decision-making by local governments that maximizes regional welfare. In most cases of spillovers, we find that the simultaneous move game is realized because local governments choose to be a leader in timing selection, and social welfare of the simultaneous move game is higher than that of the sequential move game. This implies that the realized simultaneous move game is superior in terms of social welfare. 松林哲也(その他の記事) 「投票率アップ、世界の取り組みは? カギは「コストとベネフィット」」『今さら聞けない世界』朝日新聞(2025年7月15日11:00オンライン)「投票率アップ、取り組みの功罪は?」『今さら聞けない世界』朝日新聞(2025年7月20日朝刊)https://www.asahi.com/articles/AST797V14T79UHBI027M.html Noriaki Matsushima(Discussion Paper) Qiuyu Lu, Noriaki Matsushima, Shiva Shekhar “Welfare implications of personalized pricing in competitive platform markets: The role of network effects”, OSIPP Discussion Paper: DP-2025-E-003, July 1, 2025https://hdl.handle.net/11094/102073 Abstract: This study explores the welfare impact of personalized pricing for consumers in a duopolistic two-sided market, with consumers single-homing and developers affiliating with a platform according to their outside option. Personalized pricing, which is private in nature, cannot influence expectations regarding the network sizes, inducing the platforms to offer lower participation fees for developers. Those lower fees increase network benefits for consumers, allowing the platforms to exploit these benefits through personalized pricing. Personalized prices are higher when the network value for developers is high, benefiting competing platforms at the expense of consumers. These findings offer policy insights on personalized pricing.
1 2 3 4 8