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教員紹介:沈燕妮 助教

2023年4月1日付で大阪大学国際公共政策研究科(OSIPP)の助教に着任した沈燕妮先生にインタビューを行いました。沈先生は健康経済学・開発経済学を専門とし、2023年3月にOSIPP博士後期課程を修了しています。 これまでの経歴を教えて下さい 私は中国で学部生時代を過ごしました。当時は理系で専攻はロジスティック(物流工学)でした。日本の文化に興味を持ったことから、日本語を学び、大学卒業後に日本へ留学することを決めました。日本の大学院への進学にあたり、日本でも研究が盛んな経済学に専門を変更し、北海道大学とスウェーデンのイェーテボリ大学においてダブルディグリーで経済学の修士号を取得しました。その後、OSIPP博士後期課程に進学し、小原美紀教授の指導のもとで国際公共政策の博士号を取得しました。 研究者を目指したきっかけのようなものはありますか? イェーテボリ大学で出会ったAlpaslan Akay先生の研究が私にとって非常に興味深く、研究のおもしろさに気づいたことが研究者を目指すきっかけとなりました。その研究は、中国の農村部から都市に移住して働く移民を対象とし、他人と自分の所得の比較が主観的幸福感に与える影響を分析していました。自分と比較したときに他人の収入が高いと、妬みなどの感情が自分の幸福感に負の影響を与える場合があると考えられます。一方で、他人が高所得を得ているのを見て、自分も将来同じように高収入を得られると期待し、幸福感に正の影響を与える可能性も考えられます。この研究では、他人と比較したときの相対所得(自分の所得水準)が幸福感に及ぼす効果や、比較対象となるグループの年齢や住居地といった特性によって、その効果が異なることを実証的に分析していました。Akay先生に出会うまでは、研究とは“現実とかけ離れたテーマを扱う”というような印象を持っていましたが、こうした身近で興味深いテーマを実証分析できることを知り、研究というものに魅力を感じました。また、OSIPPでの指導教員であった小原先生から学生へのメッセージにも「データから新しい発見をする楽しさだけでなく、当たり前と言われていることをデータで確認する地味な喜びを皆さんと共有したいと思います。研究はとても楽しいです」とあり、身近な事象を研究する研究者になりたいと思うようになりました。 これまでの研究について紹介していただけますか? 私は、経済発展の途中で生じる政策や発展が人々のウェルビーイング(幸福感・満足度・健康)に与える影響に興味を持っています。私の研究の一つは、中国のUrban Housing Demolition(都市住宅の取り壊し政策)の消費へのピア効果(ある人の影響によってその周囲の人の行動が変化すること)を検証するものです。中国では都市化と開発のために、政府が主導する大規模な建物の取り壊しが行われていています。これによって自宅が取り壊された家計には巨額の補助金が支払われるので、人々は自分の家が取り壊しの対象になることを願っています。例えば、2015年には、国民一人当たりの平均可処分所得は年間21,966元(約44万円)であるのに対し、取り壊しの対象になった家の持ち主には平均的に908,918元(約1800万円)の補助金が支給されました。取り壊しの結果、予期せず巨額の富を得た家計は消費を大幅に増加させますが、この事象が、周囲の人々の消費活動も増加させるというピア効果があるのではないかと私は考えました。そこで、操作変数法(取り壊し政策のような予期できないランダムな介入を利用して因果効果を明らかにする方法)を使用してこの仮説を検証した結果、私の仮説通りピア効果があることを示しました。 現在取り組んでいる研究について教えてください 現在は、他のウェルビーイングに影響を与えうる政策として中国の長期介護保険制度に注目し、その効果を分析しています。中国政府が「長期介護保険制度試行に関する指針」を発表し、2016年に中国国内の15都市が先立って試験的に長期介護保険制度を導入しました。その後、この制度は2020年には49都市に拡大し、2022年3月末までに1億4500万人が制度の対象となり、保険金の受給者総数は172万人に達しています。この研究では、長期介護保険を受けることにより、お年寄りの健康、家族介護者(主には女性)の労働供給にはどの影響を与えているかを明らかにしたいと思っています。私がこの研究で面白いと思う点が二つあります。一つ目は、被保険者に対する直接の効果だけでなく、家族介護者への影響という間接的な効果も分析するというところです。長期介護保険により、被保険者は医療施設へのアクセスが容易になり、家族介護者によるケアの負担が減少する結果、家族介護者の時間配分や労働供給にも間接的に影響を及ぼす可能性があります。二つ目は、発展途上国を対象とした知見を得ることで、既存の先進国を対象とした研究の結果と比較し、長期介護保険制度の効果がどのように異なるかを確認することができるところです。 沈先生は、この春までOSIPPの博士後期課程に在籍していました。学生の視点から、また教員の視点からOSIPPの魅力を教えてください。 OSIPPでの学生時代は、日常的に研究の相談や議論ができる環境でした。小原先生のゼミでは、ゼミ生たちがそれぞれの研究テーマに関する知識や経験などを共有して、多角的な議論を行っていました。ゼミの時間以外での交流も盛んで、ゼミ生たちがお互いに尊重し信頼しあう関係を築いていたため、ゼミの雰囲気はとても素晴らしかったです。博士後期課程の2年目では、当時博士後期課程の3年次だった王冬琴助教と一緒に共著論文を書いたことも良い思い出です。毎日のようにデータを分析して結果を報告し、2人で論文を書いていました。学生同士が共著で論文を執筆するにあたり、困ったことがあった場合は、OSIPPの教員のみなさんが親身になって相談に乗ってくれました。また、毎週水曜日に開催されるOSIPP lunch seminar (OLS)でも、実証や理論など幅広い分野の研究発表に参加することができ、他の教員のコメントやその返答からも学ぶことがたくさんあります。また、学生時代は英文校正助成などのOSIPPの学生支援の手厚さも魅力的でした。教員になってからも雰囲気がよいという印象は変わらず、他の教員の方々もフレンドリーで、常に研究に関して気軽に議論できる環境です。研究者としてのキャリアをOSIPPで始められていることをとても嬉しく思います。 (OSIPP博士前期課程 池内里桜)
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Internship Report:2022 OSIPP Scholarship for overseas internship(Delio Wilson Andre Zandamela /OSIPP D2)

Delio Wilson Andre Zandamela(OSIPP D2)interned this winter at the Center for International Strategic Studies(CEEI)in Maputo, Mozambique.※As for the abbreviations in the organization’s name, they are acronyms in Portuguese notation. <Preparation>1) Why did you select this particular organization for your internship? Did your supervisor, friend or a third person introduce it to you? I graduated from Joaquim Chissano University, Higher Institute for International Relations (ISRI). CEEI is a research Center created by the former (ISRI) and is one of the most reputable and well established research centers in Mozambique now. Most of the preeminent scholars in International Relations, peace and security, foreign policy and development studies in Mozambique are members of this center. I knew the organization when I was a college student, and my former professors often mentioned (and our research guidelines and methodology were created by) CEEI. Furthermore, most of the important reports and books in the social science field in the post-colonial Mozambique were organized by CEEI. 2) How did you gather the information on your work during the internship (job description)? My assignment was to collaborate with the Department of Peace and Security, and the Director of the Center nominated a professor to guide me and provide all necessary information to perform my tasks during the internship.Because I had only 30 days to work both in my research and on the internship duties we agreed that the main task will be collaborating on the November Security Brief while working on my paper.I also participated in board meeting where the center discussed and evaluated its working progress and prepared the upcoming publications, academic papers and books by the members. 3) How did the organization decide on Terms of Reference (TOR) of your work during the internship?Did you tell your requests to the organization? If so, how much did they consider your requests?The Organization was very considerate. I shared with them all my research projects and they did their best to accommodate my requests. I was assisted at all times by the seniors of the Organization, and they often asked me if there was something that they could help with.I had 3 formal meetings with the Director to report my progress, one meeting with the Vice Director, as well as several meetings and talks with Seniors from the Economic and Development Department and from the Foreign Policy Department. 4) How did you prepare for trip and life (ex. accommodation & transportation) in that country? Is there any advice especially on security?If there is something you were distressed or would have done differently in the process of preparation, could you tell us about it?I booked an Airbnb before traveling for my accommodation. For transportation I used a Taxi app (VivaTaxi) and I paid using my credit card from Japan. In terms of security Maputo is safe. <Work contents on your internship>1) Did your actual work differ from what you had been told before the internship?If so, why do you think the differences occurred? No. I worked on the tasks planned prior to departure. 2) What kind of instruction did you get from supervisors? Were their instructions concrete and clear?When you had a problem, did your supervisor listen to your story and was their advice useful? The instructions were given in board meetings, and everything was clear. My supervisor gave me independence to work both on the project of the research center and on my own research. 3) Were you able to mingle with other professionals outside of the internship organization? Were those interactions beneficial for your future career? I had social interactions with the staff, some in the research center and others in restaurants especially with colleagues from the Foreign Policy Department. 4) Regarding the life in that country, how did you adapt yourself to the new environment? Were there any difficulties? In my case was not necessary to adapt because I was in my own country, so I had zero difficulties to adjust. <Self-evaluation on your internship>1) Did you express your appreciation to your internship organization?If so, how? (Ex. thank-you letter)Yes I did, I had a meeting with the Director of CEEI, and I expressed my gratitude for his personal involvement with my internship, and also to the colleagues that worked with me and supported me during the process. 2) How do you evaluate your experience and interactions with people through the internship?The internship was an extraordinary and remarkable experience for me and I have no doubts that it was a very good decision to join CEEI. 3) Do you think your internship will have a positive effect on your future career? If yes, how in particular? I do believe that the internship will have a positive effect on my future career because I was able to create a useful network that may help me with the process of job hunting in the near future. 4) What special qualifications are necessary as an intern at a multicultural working place and intercultural environment? Please write some advice to students who will participate in an internship program in the future.Be friendly and open to learn from others, don’t be afraid of making mistakes, ask always for help when is necessary.
  • 在学生

【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)

私は2023年3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPPの博士前期課程に在籍しています。今回は、私が大学院に進もうと思った理由や、研究テーマを紹介したいと思います。(写真:友人と訪れた三徳山三佛寺の投入堂) 大学院進学を決めた理由 私が大学院進学を決めたのは、学部2年次の夏休みで、新型コロナウイルスの感染拡大のため、課外活動の制限を余儀なくされてしまった時期です。進学を決めたきっかけは2つあります。 1つは学部ゼミの影響です。阪大法学部は2年次からゼミが始まりますが、私が所属していた小原美紀先生(OSIPP教授)のゼミには大学院進学を目指している先輩が多く、大学院に対する関心が自然と高まりました。また、小原先生も大学院進学を積極的に勧めており、大学院の話を頻繁に聞いていたことも大きな一因です。もう1つは授業で指定されていたテキストの影響です。私は2年次の春夏学期にミクロ経済学の授業を履修していたのですが、そのときのテキスト『ミクロ経済学の力』(神取道宏著・日本評論社)に魅せられました(ちなみに表紙がとてもカッコイイです)。このテキストは数式を多用することなく大学院レベルの内容まで説明してくれており、この本のお陰で経済学の面白さを知りました。そこで、大学院まで進めば経済学をもっと深く学べるのではないかと思ったのです。 コロナ禍で課外活動が思うようにできないこともあり、学部生の間は勉強に集中して大学院に進むのも悪くないのでは、と考えるようになりました。 OSIPPに決めた理由 進学先をOSIPPに定めた理由として、研究分野と博士前期課程早期修了プログラム(以降、早期修了プログラム)の2つが挙げられます。 まずは研究分野についてですが、上述の通り、2年次に経済学に魅せられた私は、まずは経済学研究科への進学を考えました。ただ、経済学を学びたいという意欲は強い一方で、その分野で研究したいテーマは特になかったのです(笑)。そこで、経済学のみならず、政治学や法学についても学べるOSIPPに進めば、経済学の理論を勉強しつつ、他の分野の研究も可能だと考えました。その後、3年次・4年次の授業やゼミで様々な論文を読み、政治分野の実証研究に関心を持つようになりました。次に早期修了プログラムについてですが、阪大法学部の学生であれば、この制度を利用することができます。早期修了のパターンはいくつか存在しますが、私が申請したのは学部4年次と博士前期課程1年次の2年間で修士号を取得するコースです。学部4年次にOSIPPの授業を10単位まで履修し、単位を持った状態で博士前期課程に進学することができます。早く大学院の授業に出たい、かつ2年間も博士前期課程に在籍するのは長すぎると感じていた私にとって、早期修了プログラムは最適な制度でした。(通常より1年早く博士前期課程を終えることになるので、勉強量が減るというデメリットはあります。賛否両論だと思います。) 以上の理由から、私はOSIPPに進学することに決めました。 研究内容 私は女性の政治代表(Women’s representation)という分野に興味を持っています。有権者の男女比はほぼ1:1なのに対し、女性の政治家の数は男性の政治家に比べて著しく少ないという現状に違和感を覚えているからです。 私が焦点を当てているのは、政党はどんな時に女性候補者を立てるのか、ということです。“感染効果”と呼ばれる説があります。ある政党が女性候補者を立てることで、その他の政党も女性候補者の擁立に積極的になるというものです。しかし、それに関する実証的な分析は多くありません。そこで、私は日本の衆議院議員選挙に注目し、女性候補者が当選した選挙区では、次回の選挙で本当に女性候補者が増えているのかを明らかにしようと考えています。 今後について OSIPP修了後は、民間の事業会社で働く予定です。幸いにも、これまで勉強してきた統計学や計量経済学を使う仕事に就くことになりました。 OSIPPの学生はシンクタンクに就職する方が比較的多いのですが、その他の企業でも大学院で学んだことを活かせる職業はあります。また、一般的に文系大学院生の就職活動と言えば、学部生より厳しいという印象がありますが、大学院で行う研究も立派な「ガクチカ」になると思います(むしろ、学部学生と差別化ができるところです)。私の場合は、政治や労働における男女格差に関心があること、そして学部時代からそれらに関するテーマの論文を書いてきたことを評価していただきました。 就職後には分析結果が示唆することを会社内で正しく伝えられるよう、この1年間で統計学や計量経済学に対する理解を深めたいと思います。 (OSIPP博士前期課程 久保知生)
  • イベント

「OSIPPでデータ分析を学び卒業した先輩とのオンライン交流会」開催

2023年6月4日、「OSIPPでデータ分析を学び卒業した先輩とのオンライン交流会」(CEPO* 主催)が、大阪大学法学部国際公共政策学科の学生を対象に、オンラインで開催された。8名の学生が参加し、OSIPPでデータ分析の手法を学び社会で活躍している修了生と交流した。 プログラムの前半では、OSIPP博士前期課程(修士課程)修了の岡春陽さん(現・経営コンサルタント)と、OSIPP博士前期課程(修士課程)とUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)の経済学博士課程に在籍中の藤崎航太郎さんによるプレゼンテーションがあった。同じ大阪大学法学部国際公共政策学科出身でありながら、それぞれ全く異なる学生生活、その後のキャリアを選択した2人が、OSIPPへ進学した動機やOSIPPで得た学び、その学びと現在のキャリアとのつながりなどを話した。岡さんからは「楽しそう、という気軽さで進学していい」というメッセージ、藤崎さんからは「海外大学院進学は十分実現可能で楽しい選択」というメッセージがあった。プログラムの後半では少人数での質疑応答の時間が設けられ、参加者それぞれが修了生に将来のキャリアや学部生としての過ごし方についての質問や相談をした。 進学や留学を検討している学部1年次の学生から、社会人になってから大学院進学を考えている学生まで、さまざまな思いを持った学生が年次を問わず参加し、修了生2人の話に耳を傾けた。現在OSIPPに在籍している筆者も、学部生時代に進学や就職についてたくさん悩んだり先輩の話を聞いたりした経験があり、今回の交流会がそのような学部生にとって視野を広げるとても貴重な機会になったのではないかと思う。また、OSIPP教授である小原美紀先生からは「いろいろな道と可能性があることを忘れずに」という言葉があり、修了生2人の話と共に学生にとってとても心強いメッセージになったのではないだろうか。 (OSIPP博士前期課程 花山愛歩) * CEPO(Center for Evidence-Based Policy Making @ OSIPP,OSAKA UNIVERSITY):EBPM(証拠に基づく政策立案)の普及を図ることを目的とし、OSIPP経済系教員により組織された研究センター。質の高いエビデンスに基づく政策立案に役立つ、厳密な実証/理論研究の推進に努めている。
  • 教員

【新刊:和仁健太郎教授】Peaceful maritime engagement in East Asia and the Pacific Region,edited by James Kraska … [et. al]

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した和仁先生の新刊をご紹介いたします。 和仁健太郎先生Peaceful maritime engagement in East Asia and the Pacific Region, edited by James Kraska, Ronán Long, and Myron H. Nordquist (Brill Nijhoff, 2023) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
  • 在学生

【院生紹介】花山愛歩さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)

私は、この春に大阪大学法学部国際公共政策学科(以下、国共)を卒業し、OSIPP博士前期課程に入学しました。OSIPP博士前期課程早期修了プログラム(以下、早期修了プログラム)、交換留学といった大学の制度を利用してきたのでその経験などをお話ししたいと思います。 OSIPP進学の理由 私が大学院進学を志すようになったのは学部3年次の初めごろだったと思います。2年次から所属していた菊田恭輔先生(現在はアジア経済研究所所属)のゼミで初めて「計量政治学」という分野に出会ったことが直接的なきっかけです。この分野は計量経済学の手法を用いて政策の効果や市民の行動を分析する学問で、大規模なデータを使って客観的に社会の動きを分析する所に面白さを感じました。それだけでなく、授業を通じてお世話になったOSIPPの先生方がとても話しやすく親身に対応してくださったことも進学の気持ちを強くした要因です。大学院に進学する理由は人それぞれですが、私の場合はゼミで行っていた国際関係の実証研究が面白く「もっとこの研究をしたい」という思いが動機となり、実証系の研究をしている教員が揃っているOSIPPを進学先とすることを決めて早期修了プログラムの制度を利用しました。 博士前期課程早期修了プログラム このプログラムは、学部4年間+博士前期課程1年間で修士号が取得できる制度で、特に実証系の研究に関心のある国共の学生にとってはとても活用しやすいプログラムではないかと思います。OSIPPでは実証分析に必要となる計量経済学や因果推論の知識を習得するためのカリキュラムが組まれていますが、その多くは国共の学部生も受講できるものです。つまり、選択必修やゼミ活動のために履修している授業が土台となってOSIPPの授業に発展していくので、院生になってから受講する授業のイメージもしやすいですし、学部のゼミ活動に生かすなど相互補完的に利用できる制度だと思います。ただ、もちろん時間的な負荷は大きくなるので、現在は必死でコースワークと修士論文の執筆を進めて、来春にはOSIPPを無事に修了できるよう頑張っているところです。 研究内容 現在、私の研究に関する関心は「政治的決定が私たちの行動・価値観をどう変えているのかを明らかにすること」にあります。特に、外交・国際機関といった、一見日常の生活とは縁遠く感じられるものが、実際には我々にどう影響を与えるのかを分析しています。直近では、“規範意識はいつ・どのように形成されるのか”という疑問について「女性運動家へのノーベル平和賞授与が女性権利運動団体に対する世論に与える影響」を前ゼミ教員の菊田先生との共同で研究しました。また、それに続く自身の研究として多国間サミットを用いた世論変化の分析も進めています。 交換留学 最後に、3年次終わり~4年次前期に経験した交換留学について、大学院進学とも関連させて少し紹介しようと思います。私は、大学間協定校の南デンマーク大学社会科学学部で半年間の交換留学をしました。ヨーロッパと日本のアカデミックカレンダーのずれから、3年次後期の最終週に日本を出国してデンマークで最後の授業レポートを提出するギリギリのスケジュールでしたが、オンキャンパス・オフキャンパス問わず、現地に行かなければ決して知ることのできない世界を体験できた本当に貴重な機会でした。ただ、大変だったのが大学院進学準備です。OSIPP秋期入試への出願期間は6月ごろだったので、留学中に出願書類を作成しなければならず、担当教員にはメールやZoomを使って進学に関する相談をさせていただき、本当にお世話になりました。進学を決めて就職活動をしていなかったこと、早期修了のために学部の卒業単位をほとんど取り終えていたことからこの時期に留学を実現できたので、進学も留学もしたい!という方にはこんな方法もあることを知っていただければと思います。 OSIPPを志す人へのメッセージ 私が特にOSIPPに魅力を感じるポイントは、オープンな雰囲気と国際性です。担当教員はもちろん、どの先生方も学生の研究に興味をもってアドバイスやフィードバックをしてくれます。一つの研究案に対してもそれぞれの先生方で全く違うフィードバックが返ってきますし、それはなにより研究を進めるモチベーションになります。また、社会科学を学ぶ者として様々な文化や価値観を知ることは不可欠ですが、それを肌で感じられる環境がOSIPPにはあるのではないかと思います。OSIPPでは日本語以上に英語を使う機会が多いのですが、英語は日本語以上にロジカルな言語で、これを使って考えたり文章を書いたりすることはロジカルな思考・書き方の習得にもとても役立っているように感じます。OSIPPでは、自分の興味や関心がはっきりしている人にとってそれを存分に追及できる環境が揃っていると思います。 今後について 博士前期課程修了後は国共・OSIPPで学んだ知識を生かすことができる民間企業に就職しようと考えており、就職活動も並行して行っています。ただ、純粋に研究活動ができる期間はあと少しなので大学院では思う存分学び、研究する日々を過ごしたいと思います。 (OSIPP博士前期課程 花山愛歩)
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Royal Princess号で行く!神戸港見学会(大阪大学赤井研究室主催・大学生貸切企画)

2023年5月1日(月)に、OSIPP教授である赤井伸郎先生の研究室主催で、神戸港見学会が開催された。(写真:Royal Princess号を背景にした集合写真) 本イベントは、昨年に引き続き6回目の開催。当日は晴天に恵まれ、200人以上もの関西地域の大学に在籍する学生たちが集まっており、そのうちの約30人はOSIPPの学生であった。まずは参加者全員で集合写真を撮影した後、Royal Princess号に乗船した。船内では、最初に神戸市職員による新卒採用の説明が行われ、次に船から見える施設や船舶等についてガイドによる説明があった。その後しばらく神戸港周辺を遊覧した後、神戸海洋博物館に場所を変えて、各大学間の相互理解・交流を深めるべく、各大学の代表者らによる、それぞれの大学の魅力についてのプレゼンテーションが行われた。 参加した学生らは、ガイドによる船内アナウンスを聞きながら、神戸市職員の方々との会話を通じて、神戸市役所での仕事への理解を深めた。また、船上での歓談とプレゼンテーションにより、学生同士の相互交流も深めることもできたのではないだろうか。 ======================================== 筆者は、神戸港を遊覧するせっかくの機会だと思い、このイベントに参加した。神戸港周辺の現況や神戸市役所での仕事など、ただ遊覧するだけでは得られない貴重な学びがあった。それと同時に、他の学生と親睦を深める機会ともなり、イベント後は、一緒に昼食を食べに行き、神戸市散策に出かけるなど、楽しい時間を過ごすことができた。 (OSIPP博士前期課程 杉浦卓弥)
  • 在学生

<R5年度 国際学術交流助成申請要領>海外での研究報告に対する助成開始

今年度より、海外で開催される学会等に参加する費用に対する助成制度を実施します。(※目的が研究報告である場合のみ。司会や討論者としての渡航は対象外) 【助成金】渡航先が欧米への渡航:15万円 アジアへの渡航:5万円 【採用人数】若干名(初めて海外で報告する学生を優先)   ※受給は、1人につき年度内に1回までとする 【締切】前期:6月23日(金)・後期:12月22日(金)   ※今年度に限り、前期の提出期限までに既に開催された学会等も対象とする 【詳細】https://www.osipp.osaka-u.ac.jp/ja/academicexchange-support/
  • イベント

Welcome Event by Global Community Office

2023年4月17日、OSIPP棟6階のプロジェクト研究室にてグローバル・コミュニティ・オフィスの主催で、新入生の歓迎会を兼ねた交流会が行われました。ランチタイムの開催ということで、各自が好きな食べ物や飲み物を持ち寄りました。会には新入生だけでなく、在校生や教職員も含め約30人が参加しました。(写真:ヴァージル・ホーキンス先生による説明の様子)  当日は新学期が始まって1週間足らずだったこともあり、参加者は出身地などの自己紹介や、授業や指導教員など学生生活の話で盛り上がっていました。ある新入生は「履修登録のシステムや院生室の暗証番号など、覚えないといけないことがあって大変だ」と話していました。 会の途中にはOSIPP教授であるヴァージル・ホーキンス先生からOSIPP International Caféに関する告知がありました。このCaféは、OSIPP棟2階のグローバル・コミュニティー・オフィス(205号室)にて毎週月曜日・水曜日・木曜日の12時~13時30分に開催され、学生同士が自由に交流する空間となります。ホーキンス先生曰く「(ここに来れば)何か良い情報がもらえる(こともあるかも)よ!」とのことです。皆さんもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。 OSIPPは日本人の学生だけでなく、アジア圏・アフリカ圏・ヨーロッパ圏出身の学生も多く在籍しています。筆者は今回の交流会でモザンビーク出身の学生と話す機会があり「西洋と東洋では(文化的に)何もかもが違う」という話を聞きました。そして、OSIPPの授業では文化や制度の違いから多様な意見が出て、しばしばハッとさせられたことを思い出しました。今後も、交流や授業を通して新たな気づきを得られるのが楽しみです。 (OSIPP博士前期課程 久保知生)
  • 教員

2023年4月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の4月の研究業績をご紹介します。 ・髙田陽奈子 先生・室岡健志 先生・大久保邦彦 先生  ・片桐梓 先生 Hinako Takata coauthored with Shotaro Hamamoto(著書)“Human Rights, Treaty Bodies, General Comments/Recommendations” (2023) in Anne Peters (ed.), Max Planck Encyclopedias of International Law(Oxford University Press, Online edition). (査読有) 概要:国際公法のオンライン版百科事典であるMax Planck Encyclopedias of International Lawに掲載された、査読済の記事です。国連の人権条約機関が発行する「一般的意見」について、その歴史的沿革や、法的根拠、1990年代以降の性質の変化、内容の特徴、採択過程、法的価値や権威、そして人権条約の実効性や正統性との関連、といった観点から包括的に分析し論じたものです。 室岡健志(著書)『行動経済学』日本評論社(2023年3月) 概要:1) 行動経済学の理論と伝統的な経済学の理論のつながり、その背後にあるエビデンスを明確に示しながら解説。2) 行動経済学の理論が、経済学のさまざまな分野でどのように応用されているかを具体的に解説。たとえば、貯蓄行動、購買行動、求職活動、労働契約、教育、財政、医療、健康などへの応用例を紹介。3) 行動経済学に関連する政策、データ収集、実験などの実施を考えるための理論な基盤を提供。たとえば、消費者保護政策、競争政策、課税政策、年金政策などを考える。 大久保邦彦(判例評釈)①「賃借権の時効取得」別冊Jurist『民法判例百選I総則・物権[第9版]』88頁➁「運用利益の返還義務」別冊Jurist『民法判例百選Ⅱ債権[第9版]』138頁③「不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金を民法405条の適用または類推適用により元本に組み入れることの可否―約定利息・法定利息・遅延利息の法的性質論を兼ねて(最三判令4・1・18)」『判例時報 2545号』108頁 ① 判決要旨:甲所有の土地を買い受けてその所有権を取得したと称する乙から右土地を賃借した丙が、右賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙に対し賃料を支払っているなど判示の事情のもとにおいては、丙は、民法一六三条の時効期間の経過により、甲に対して右土地の賃借権を時効取得することができる。➁ 判決要旨:1.銀行業者が不当利得した金銭を利用して得た運用利益については、民法第189条第1項の類推適用により同人に右利益の収取権が認められる余地はない。2.不当利得された財産に受益者の行為が加わることによって得られた収益については、社会観念上、受益者の行為の介入がなくても、損失者が右財産から当然取得したであろうと考えられる範囲において損失があるものと解すべきであり、その範囲の収益が現存するかぎり、民法第703条により返還されるべきである。3.第1項の運用利益が商事法定利率による利息相当額(臨時金利調整法所定の1箇年契約の定期預金の利率の制限内)であり損失者が商人であるときは、社会観念上、受益者の行為の介入がなくても、損失者が不当利得された財産から当然取得したであろうと考えられる収益の範囲内にあるものと認められるから、受益者は、善意のときであっても、これが返還義務を免れない。③ 判決要旨:不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は、民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない。 片桐 梓(その他の記事)「政府は国内世論を重視して外交政策を判断しているのか?長年の研究を経て未だに「難問」」『WEBアステイオン』(2023年4月19日掲載)
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特別講義「ESGが変える企業戦略」開講

2023年4月14日(金)、特別講義「ESGが変える企業戦略」が開催されました。この講義は、大阪大学のESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)が同大学国際公共政策研究科と日本経済新聞社との共同授業として新たに開講する科目「ESGが変える企業戦略」の初回授業でした。 当日、200人に迫る学生が出席した授業の冒頭では、担当教員の一人であり、現在、国際連合システム合同監査団(JIU)の監査官としてジュネーブの国連欧州本部に赴任している星野俊也大阪大学名誉教授がオンラインで登壇し、ESGの重要性と合わせて本授業を日本経済新聞社と共同で開発し、実施するに至った経緯や意義を語るとともに、これから社会のリーダーとなる受講生たちに対する熱い期待を伝えました。また、本学の招へい教員として本授業を担当する日本経済新聞の清水美宏大学コンテンツプランナーが、「ESGが変える企業戦略」と題する授業の全体のプロローグとして世界と日本のESGの比較やESGと資本主義の関係などを議論するとともに、全15回の各回を概観し、日本経済新聞社自体の取り組みなども例に挙げつつ、企業戦略の変化に着目してESGについて学ぶ本授業のキックオフを行いました。受講する学生は、この授業を通じて日本企業のESG戦略を理解することで、ESG領域で使われる用語や知識を学ぶことができます。そのため、一昨年度から秋冬学期に開講されている科目「ESGインテグレーションの理論と実践」とともに、この授業が、学生のESGに関する理解をより深めることが期待されます。 <ESG>Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をとって作られた言葉であり、従来は非財務情報とされてきた環境、社会、そして企業統治にかかわる行動を重視する企業の投資活動および事業活動のことを指します。気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が深刻化しているなかで、企業がESGを積極的に取り入れた経営を行ったり、ESGに熱心な企業を投資家が後押ししたりすることにより、企業の業績アップや長期的な成長を支える経営基盤の強化と国連で合意された持続可能な開発目標(SDGs)の実現にみられる社会課題の解決との両立を目指す取り組みです。 (ESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)久保田雅則)
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【院生紹介】西浦匡介さん(OSIPP博士前期課程)

2023年3月に博士前期課程を卒業された西浦匡介さん(中嶋研)へのインタビューを紹介します。西浦さんには、OSIPPへ進学した理由や修士論文で取り組まれた内容、後輩へのメッセージを伺いました。 OSIPPへ進学した理由を教えて下さい 私がOSIPPに進学した理由は2つあります。最も大きな理由は、学部生時代から進めていた核不拡散に関する研究を発展させることでした。私が所属していた阪大法学部のゼミでは学部4年次の秋冬学期にゼミ論文を執筆するのですが、その時期になってようやく研究らしい内容に辿り着くことが出来ました。そして、その研究をせっかく良いところまで進められたので、大学院まで進んで研究を発展させ、核兵器への理解を深めたいという思いがありました。OSIPPでは様々なアプローチから国際政治を学ぶことが出来るところが、自分に適していました。2つ目に、OSIPPだと追加的なコストがかからないということがありました。私は内部進学だったので、環境を整えるための労力がかからず、自宅から通学できるという点も非常に魅力的でした。 なぜ核兵器や核不拡散問題に興味を持ったのですか? 核問題に興味を持ったのは、核兵器に関する複雑な性質に気付いたことがきっかけです。例えば、核兵器保有の量的側面に目を向けると、核兵器が多すぎると反核団体や平和団体が反発し、逆に少なすぎると(アメリカの場合、アメリカの)同盟国から反発を受けるので、バランスが難しいという問題があります。また、核戦略に注目すると、抑止を成功させるためには相手の核兵器を完全に破壊し、核攻撃を行う(第二撃能力を確保する)ためには自国の核戦力の残存性(生存性)を高める必要がある、といった具合に単純な論理が通用しにくい性質が核兵器保有には内在しており、その点が私の知的好奇心をくすぐりました。 なお、核兵器に関するテーマが色々ある中で核不拡散問題を選んだのは2つの理由からです。それは、Francis Gavinの「抑制戦略論」が私にとって非常に新鮮な議論であったことと、日本の安全保障を考えたときに「なぜ日本は核兵器を持っていないのか」という純粋な疑問を持ったからです。これら2つの要因を組み合わせ、“アメリカの対日核不拡散政策”というテーマにたどり着きました。 修士論文で取り組まれたテーマについて教えて下さい 修士論文ではアメリカのジョンソン政権(1963〜1969)における対日核不拡散政策を扱いました。ジョンソン政権は核不拡散条約(NPT)を締結し、締約国の核兵器保有を禁じる、という政策を確立した一方で、国務長官のディーン・ラスクはインドや日本の核保有を認めるような発言をしていました。それでは、なぜラスクの考えは政府内に浸透せず、NPTの締結を目指すような政策に至ったのか、そもそもなぜジョンソン政権は日本の核保有を認めなかったのか、といった問いに答えることを研究の目的としました。近年の核不拡散政策研究では、戦後アメリカはなぜ他国の核兵器保有を禁じてきたのか、そもそもアメリカは他国の核兵器保有を禁じてきたのか、といった点が議論される傾向にあります。本研究はそうした研究動向を取り入れることができたと思います。ジョンソン政権は今からおよそ60年前のことですが、現在と共通する部分も多くあり、歴史の連続性を強く感じました。この研究を通じて核兵器をより理解できた点には、非常に満足しています。 なお、私の論文は歴史的なアプローチを採用したため、資料の収集には苦労しました。外交史の場合、アメリカ国務省歴史部の発行するForeign Relations of the United States(FRUS)を基礎的な史料として用いますが、こちらについてはオンラインでほとんど全て公開されており、大変助かりました。しかし、軍縮や軍備管理に関する政府資料については、突然ハードルが上がりました。例えば、ある大学のみに所蔵されているマイクロフィルムの複写物を2万円ほどかけて取り寄せた結果、あまり役に立たなかったということもありました。 OSIPPで過ごした2年間はいかがでしたか? OSIPPでの2年間は非常に新鮮で刺激的な経験を得ることが出来ました。授業面では社会科学色の強い「国際関係論」や、人文科学色の強い「アメリカ外交史」「アメリカ対外関係史」、実務に近い「国際安全保障論」「人間の安全保障」など多種多様な授業を受けることができました。特に「核兵器と国際関係」という授業では、受講生が私一人だったのでマンツーマンで指導していただき、この分野における知見をかなり深めることができました。また、授業以外でもTA(ティーチングアシスタント)や、留学生チューター、高校生への指導、シンポジウムの運営など大学院生ならではのアルバイトができたことも印象強く残っています。OSIPPでは専門が近い院生とはもちろん、そうではない院生ともコミュニケーションを取れるため、多くのことを学ぶことができたと思います。 進路や今後の展望について教えてください 修了後は陸上自衛隊に入隊する予定です。私が採用された区分では様々なキャリアが用意されており、場合によっては博士後期課程に進むことが出来ます。米軍では修士号や博士号を持っている士官は珍しくないですし、私も可能であれば働きながら博士後期課程に進み、研究を続けていきたいと考えています。 進学を考えている学生へのメッセージをお願いします! 私は、核兵器や核不拡散問題について研究を続けたいとの考えで進学しました。自分がなぜOSIPPに進学したいのか、ということを明確にしておくと、良い学生生活を送れるのではないかと思います。 (OSIPP博士後期課程 平野 歩)
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「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」開催

2023年4月5日(水)、豊中総合学館302講義室とオンラインのハイブリット形式で「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」が開催された。本イベントは、研究者を目指す女性の学生を支援する取り組みの一環として、女性研究者や子育て中の研究者と対話する機会を提供する目的で企画された。OSIPP修了生である大阪商業大学公共学部の中嶋貴子准教授、甲南大学経済学部の足立泰美教授、OSIPPの室岡健志准教授、前川和歌子准教授、髙田陽奈子准教授、王冬琴助教の6人の研究者が登壇し、このうち、5人が女性で、4人が子育て中の研究者であった。 イベント冒頭では、学内外の生活を支援する奨学金制度についてOSIPP教授である赤井伸郎先生から紹介があり、続いて室岡先生からは、大阪大学で提供されている保育支援制度について説明があった(冒頭の写真)。大阪大学では、教職員だけでなく学生も利用できる学内保育園や一時預かり保育などが充実しており、学生や教職員が自分の研究に専念できる環境を整えるために大きな支援がなされていることが紹介された。その後、登壇者たちは、自身の経験談を共有し、研究者になった背景や魅力について語った。子育て中の研究者たちは、大学での研究職の魅力の1つとしては、自分のスケジュールや仕事内容を自分で決めることができる柔軟性を挙げており、その点が仕事と子育てとの両立に役立っていると話した。 後半では、研究や家庭との両立のハードルを乗り越えるノウハウを説明した。研究面では、それぞれの登壇者が博士号を取得した後から現在の職に就くまでの過程を説明し、キャリア形成のイメージを共有した。また、子育て中の女性教員3人からは、出産を経て研究を続けるための経験や知恵が語られた。中嶋先生は、行政による経済的な支援や保育支援などを積極的に利用することで、子育てをしながらも研究を続けられる環境を整えることができるとし、研究職のキャリア形成について悩みがあれば、一人で悩まずに教員や卒業生などに相談することを勧めた。また、足立先生からは、子育ては大変ではあるがキャリアにマイナスの影響を与えるものではなく、子育て経験から思いついた問いから、新たな研究テーマを得たという経験が語られた。髙田先生は自身の出産を経たことで同僚や学生の家庭の事情、健康の事情に気を配るようになったことを振り返り、子育て中の女性研究者に限らず多様なニーズを持つ人々全てが研究を続けることができる環境の整備が必要であると話した。イベントの最後には、普段なかなか尋ねる機会のないキャリア面や家庭と仕事の両立に関する具体的な質問が多数寄せられ、学生たちの関心の高さが伺えた。 本イベントでは、OSIPPでの学生時代に子育てを経験した方や、研究者になってから出産を経験した方など、様々なバックグラウンドを持つ人の話を聞くことで、キャリアの多様性を知ることができた。近年はRPD(注1)や男性育休など、年々ワーク・ライフバランスを保ちやすい支援体制が整ってきているとの説明もあった。このようなイベントにおいて支援に関する情報や多様な研究者の実際の経験を知ることは、筆者を含めた研究者を目指す学生にとって心強い励みになり、そうでない学生にとっても研究者としてのキャリアを検討するきっかけになったのではないだろうか。 (OSIPP博士前期課程 池内里桜) (注1)出産・育児により研究を中断した研究者を支援する制度JSPS CHEERS!(日本学術振興会)
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2023年度OSIPP入学オリエンテーション

2023年4月5日(水)、豊中総合学館302講義室とオンラインのハイブリット形式で、OSIPPに新たに入学する学生(博士前期課程32人、博士後期課程8人)に対して入学オリエンテーションが行われた。 (写真:小原美紀先生による説明の様子) 今年度から新たに就任した中嶋啓雄研究科長は、OSIPPの特徴として「国際性・学際性・実用性」を挙げ、「幅広い分野の研究者がいるOISPPでは可能性は常に開かれている」と語り、学生たちに「Folks, be ambitious.」とメッセージを送った。 研究科長の挨拶に続き、OSIPP教授の小原美紀先生・瀧井克也先生・大久保邦彦先生によるカリキュラム等説明、研究倫理、学生生活案内、人権問題についての説明が行われた。また、これに続き、院生幹事会による院生会案内とOSIPPライブラリースタッフによる文献検索ガイダンス、OSIPPライブラリー・法学研究科資料室・経済学研究科資料室の見学、中嶋先生らによるダブル・ディグリー・プログラム説明会の後、赤井伸郎先生(OISPP教授)の司会による「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」というテーマでのセミナーが行われた。 オリエンテーションを通して、説明を担当した教職員それぞれが「困ったことや分からないことがあれば気軽に教員と連絡をとりましょう」と話し、これから始まる学生たちの生活がより良いものになるようサポートしようとしてくれている姿勢が伝わった。また、学生生活・研究生活に必要となるたくさんのトピックスが紹介され、新入生たちは教職員の話を注意深く聞き、今後の学生生活に思いを馳せているようであった。 新入生の皆さん、これから一緒に実りのある学生生活を送りましょう! (OSIPP博士前期課程 花山愛歩)
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【新刊:二羽秀和助教】法政大学比較経済研究所 森田裕史 編『マクロ経済構造の分析 : 時系列分析手法とその応用』

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した二羽先生の新刊をご紹介いたします。 二羽秀和先生法政大学比較経済研究所 森田裕史 編『マクロ経済構造の分析 : 時系列分析手法とその応用』(日本評論社、2023年) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
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第8回国際公共政策コンファレンス(待兼山会議)

2023年3月18日(土)・19日(日)に「第8回待兼山会議(国際公共政策コンファレンス)」が豊中キャンパスにてオンラインも併用しつつ開催された。(写真:最優秀賞・個人発表優秀賞を受賞した水谷優来さんの発表)2015年から開催されてきた本会議は、コロナ禍による一度の中止を経て、今年で8度目の開催となった。このイベントは、主に高校生を対象とした、国際的な課題に関する研究発表の場である。 今年は「持続可能な開発目標(SDGs)の実現のための国際的な問題の分析とその解決策」というテーマの下、個人・グループで計17組34人の高校生が発表を行った。1日目はOSIPP棟にて分科会に分かれて発表が行われ、2日目は理学研究科南部陽一郎ホールにて各分科会の代表者による発表が行われた。高校生による発表は大変興味深く、質の高いものばかりであった。その中から特に優れた発表が表彰され、「ナイル川流域におけるエジプトとスーダンの水紛争 現状把握と政策提言」というテーマで、ナイル川流域で将来予測される水分配に係る紛争に着目した発表を行った 水谷優来さん(United World College Red Cross Nordic)が、最優秀賞及び個人発表優秀賞を受賞した。二国間の適切な水分配の比率に関して様々な学問分野の手法を用いた研究成果の発表と政策提言がなされ、非常に公共性の高い優れた発表であった。また、優秀賞を受賞した植田清花さん(神戸市立葺合高等学校)は「障害理解のための効果的なインクルーシブ教育」というテーマで、同じく優秀賞を受賞した山田あやめさん・増山俊治さん・奥村優里奈さん・東美奈さん(長崎県立長崎東高等学校)のグループは「持続可能な藻場造成」というテーマでそれぞれ発表を行った。 また、2日間の日程の中で2回の基調講演が行われた。1日目にはOSIPPにて博士前期課程を修めた越智萌先生(立命館大学大学院国際関係研究科准教授)より、「悲しみを乗り越える法の力―ロシア・ウクライナ紛争の後処理を考える―」というテーマで、ロシア・ウクライナ紛争に関して国際刑事司法の観点から戦争犯罪やICC(国際刑事裁判所)などについての講演が行われた。なお、講演前日にICCによってロシアのプーチン大統領に逮捕状が出されたことで、偶然ながらも非常に時宜を得た講演となった。2日目には三重県職員の安藤智広氏を迎えて、自身が勤務していた台湾と日本の交流の歴史などについて講演が行われた。 高校生による発表は、充実した研究成果は勿論のこと、待兼山会議の発表への綿密な準備の跡がうかがえるもので、今後の研究の進展が非常に期待できるものであった。参加者はお互いの発表を聞くことで、将来を担う意欲的な高校生同士で刺激を得たのではないだろうか。本会議では、国際的な諸課題への関心や問題解決のための能力・発信力を身に着けることと同時に、意欲的な高校生同士のネットワークの構築も開催の目的としている。本会議で得た経験とネットワークを生かして、共に社会の諸課題に取り組むきっかけを得られたとすれば、運営に携わった一人として無上の喜びである。 <待兼山会議ウェブサイト>https://osippconference.wixsite.com/conference ※昨年度まで松繁寿和教授(昨春ご退職)のゼミにより運営されてきた本行事は、今年度より法学部国際公共政策学科の学生を中心に設立された学生運営団体Flagshipのもとで運営されることとなった。 (学生運営団体Flagship / 法学部国際公共政策学科3年 久保光)
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【新刊:室岡健志准教授】室岡健志著『行動経済学』

OSIPPライブラリーでは、教員の研究業績を収集した「スタッフコーナー」を設置しています。このたび、スタッフコーナーへ受入した室岡先生の新刊をご紹介いたします。 室岡健志先生室岡健志著『行動経済学』(日本評論社、2023年) ⇒ 大阪大学所蔵検索 書誌詳細画面はこちら (OSIPPライブラリー)
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【院生紹介】OSIPPでの2年間を振り返って(千馬あさひさん)

私は2021年4月に大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに進学しました。入学当初に下記【院生投稿】を執筆したので、博士前期課程の修了を控えた今回はOSIPP生活の振り返りを書こうと思います。(左写真:伊丹市の荒牧バラ公園(’21年5月))【院生投稿】千馬あさひさん(OSIPP博士前期課程) 博士前期課程1年次1年次はコースワークと就職活動がメインの生活を送っていました。私はOSIPP経済系の学生だったので、1年次は修士論文執筆の基礎となる授業を受けていました。例えば、ミクロ経済学や計量経済学といったものです。それ以外にも、学部生時代には履修しなかった授業やOSIPPのみで開講されている授業も取りました。特に後期に履修した「Political EconomicsⅡ」は、自分の研究テーマに近い内容を学ぶことができ、修士論文のテーマを考える上でとても勉強になりました。授業に加えて、1年次は就職活動にも注力しました。私は、政策につながるような知見を得るための研究をしていたので、実際に官公庁からの受託を受けて政策のための調査研究を行うことができるシンクタンクへの就職を志望していました。6月頃には夏のインターンシップの募集が始まったので、授業や課題、テストの合間にエントリーシート(ES)を書いたり面接を受けたりしていました。しかし、この応募が思ったよりも上手くいかず、シンクタンクやその次に志望していたIT業界など10社以上に応募したのですが、結局3社しか参加できませんでした。今振り返ると、もっと応募先の企業の事業内容等を理解していれば、それらの企業が求める内容をESに書けたのではと思います。10月頃からはインターンシップ参加者用の早期選考に参加することができ、第1志望だった企業から3月末に内々定を頂くことができました。ただ、秋以降は1週間に講義を8コマ受けていたり、就職活動では本選考の面接やES執筆をしたりと、かなり多忙な日々でした。特に1月は毎週課題の締め切りあるいは発表があり、同時に本選考の面接やESの締め切りもあったので体力的にも精神的にも大変だったのを覚えています。今後大学院に進学される方は、時間や体力などのバランスを考えて研究や就職活動に取り組まれると良いと思います。 博士前期課程2年次2年次は、研究がメインの1年間でした。1年次の後期に、修士論文のテーマは「地方選挙での無投票選挙が国政選挙の投票率に与える影響」と決めていたため、2年次前期は執筆に向けて先行研究探しやデータ集め、分析を行っていました。“無投票選挙”に着目したのは、首長や議員は選挙を通じて有権者が決めるものであるにも関わらず、その機会がなくなると有権者の投票参加に係る意思決定が変化するのではないかと疑問を持ったからです。後期の初めには結論以外の部分は文章化できている状態で追加の分析をしていたのですが、その分析では論文の最終的な着地点を見つけることができず、結局は“無投票選挙”ではなく“地方選挙の頻度”に焦点を置くことにし、メインの分析ごとごっそり入れ替えることになりました。同期の友人たちが分析を終えて文章を書いている11月頃に、私だけメインの分析をしていたときのことは強く記憶に残っています。あの時の自分は「なんでこんな時期に分析してるんやろ」と密かに焦っていました。このような時期を経て、今年1月に無事最終提出を終えました。 学内アルバイト研究や就職活動以外にも様々な活動にも参加しましたが、その中でも数種類の職種を経験した学内アルバイトについて紹介します。私は、2年間を通してリサーチアシスタント(RA)、今記事を書いているOSIPP Newsの編集員、チューター、ティーチングアシスタント(TA)、OSIPPライブラリーの夜間開室担当に携わりました。今回は2年間担当していたOSIPP教授 松林哲也先生のRAとOSIPP News編集員について振り返ります。RAではデータ集め・整理・分析や図表作成、資料集め等をしていました。RAの仕事で学んだことは、例えばコードの書き方やデータのソースなど、自分の研究で活かせることも多かったです。またOSIPP News編集員では、OSIPPで行われているイベントや新しく着任された先生の取材、OSIPP修了生の方の現在に関する取材等を担当しました。これらの取材により、本来なら参加しなかったイベントや、関わることがなかった方たちと出会う貴重な機会をたくさん得ることができました。 現在の心境など上記以外にも、2年次の夏にはイギリスに1か月間の語学留学に行ったり、時にはOSIPPで出会った友人たちと休日に出かけたりと、本当に充実した日々を過ごすことができました。前回の院生投稿では「(とりあえずは、という気持ちで)OSIPPに進学してよかった」と書いたのですが、今は心からOSIPPに進学してよかったと思っています。また「悔いが残らないような2年を送りたい」とも書きましたが、現在悔いは残っていません。しいて言うならば、投票行動研究が面白く感じてきたところで卒業なのが残念!ということです。ただ研究は就職してもできることなので、シンクタンクの研究員としての仕事が始まってからも続けていけたらいいなと思っています。 この2年間、OSIPPでお世話になった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。OSIPP進学を考えている人たちにとってこの記事が参考になれば幸いです。 (千馬あさひ 2023年3月執筆)
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