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【ポスター発表】吉良光冬さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程1年次の吉良光冬さんが、2024年10月19・20日に福岡大学で開催された 日本経済学会2024年度秋季大会 においてポスター発表を行いました。 <発表論文>Title: ”On the Effects of Interactions between Students with and withoutSpecial Needs Education: An Empirical Analysis”Author: 吉良光冬さん Abstract: Inclusive education is one of the most important topics in the debate about recent education policy. This study investigates the impact of inclusive situations, especially interaction between students with and without special needs at the school, on the non-cognitive and academic skills of students without special needs. We measure the students’ interaction with information on whether students use the same shoe box as students with special needs. Our results show that more interaction from sharing a shoe box increases non-cognitive skills and Japanese test scores. These findings suggest inclusive situations positively affect student’s development.
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【ポスター発表】Elizaveta Kugaevskaiaさん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程3年次のElizaveta Kugaevskaiaさんが、2024年10月19・20日に福岡大学で開催された 日本経済学会2024年度秋季大会 においてポスター発表を行いました。 <発表論文>Title: ”Church and Protest Participation:Evidence from Russia”Author: Elizaveta Kugaevskaia Abstract: 本研究では、宗教が抗議行動に与える影響を分析している。以前に発表者が構築したロシア正教会に所属する教会の位置や設立年のデータセットを基に、教会の増加が都市部でのデモ発生を抑制し、市民の社会的関与を減少させることを示した。この効果は、政治、経済、文化、環境に関わるすべてのデモに一貫して見られ、宗教機関が既存の政治体制の維持に寄与している可能性がある。
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【ポスター発表】王 哲豪さん(OSIPP博士後期課程)

OSIPP在学生紹介 OSIPP博士後期課程1年次の王 哲豪さんが、2024年10月19・20日に福岡大学で開催された 日本経済学会2024年度秋季大会 においてポスター発表を行いました。 <発表論文>Title: ”Health and education investments in human capital, the impacts on fertility and economic growth”Author: 王 哲豪 Abstract: 本研究は、所得税で賄われる公的教育と公的健康支出及び私的教育と私的健康投資を同時に考慮し、出生率を内生変数として捉えてモデル化した。主要な結果として、公的教育と公的健康支出が出生率に影響を与えないことを明らかにした。一方、自治体の経済成長については、教育への過度な公的支出と健康への不十分な公的支出は、ゼロまたはマイナスな経済成長をもたらす可能性があることを示した。さらに、子供への公的健康支出の増加は、より高い経済成長につながることを明らかにした。
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【院生紹介】奥野愛理さん(OSIPP博士前期課程)

私は2024年3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPPの博士前期(修士)課程に在籍しています。今回は、大学院進学を志した理由を学部時代の経験をベースに述べたいと思います。この文章を読んでいる方の中には、大学院進学を考えていらっしゃる方がいるかもしれません。そんな方の進路選択の一助となれば幸いです。(写真:ヘルシンキのメトロにて) 【大学院進学を志した理由】 私が大学院進学を志した理由は、修士論文を執筆したかったからです。私が卒業した大阪大学法学部では、卒業要件として卒業論文の提出がありませんでした。ゼミ等で研究活動に携わることはありましたが、大学での学びを形に残せないことが心残りでした。一方でOSIPPでは卒業のために修士論文の提出が必要であり、また私がかねてから関心を持っていた経済・政治の両方の方面の講義を受講することができます。さらに、指導をお願いしたい教員が在籍されていたため、OSIPPへの進学を志しました。 大学時代に得た3つの経験を時系列に沿って振り返りながら、大学院進学を志すに至った経緯を説明します。 ①大学2年次、初めてのゼミでのグループ研究活動 在日外国人の方と地域の国際交流協会との関わりに関心を持ち、アンケート調査やインタビュー調査を実施しました。その後、縁あって調査に協力してくださった国際交流協会でボランティア活動を継続しています。外国人の方々との関わりを通じて、自身の目的や問題意識をより強く持ち続けるよう心がけています。現在、日本における外国人労働者の増加に関心があり、OSIPPではその影響を理解するためのデータを用いた実証分析の理論や方法を学んでいます。 ②大学3年次、グループ研究活動 大阪大学が実施している学部生の研究を応援する事業、自主研究奨励事業に有志の仲間と参加し、研究活動を行いました。テーマは「コロナ禍での大学生活の変貌が大学生に及ぼす影響」で、仮説の立案から始め、アンケートの作成、調査の実施、結果の分析、報告書のまとめ、そして発表までを行いました。問題を発見し、それをテーマに仮説を立て検証する過程を経験したことで、研究の魅力を、身をもって体感しました。 ③大学4年次、交換留学 大学の交換留学制度を利用して、2学期間(約9か月)、フィンランドのヘルシンキ大学に留学しました。留学で得た最も大切なものは友人です。フィンランドではどの分野でも学士課程と修士課程の両方を修めることが一般的です。修士課程を修めた人々の見識の深さを知り、私も大学院に進学することを真剣に考えるようになりました。大学院進学を迷っていた当時、現地に留学していた日本人の高校生からは私自身の未来への可能性を教えてもらい、社会人生活を一旦やめて修士号取得を目指している友人からは人生の長さと今という時間の大切さを教えてもらいました。今から考えると留学先でのたくさんの人々との出会いがなければ、違った選択を取っていたかもしれません。 最終的に、これらの経験から得た研究への楽しさや興味と、今やりたいことをとりあえずやってみようという気持ちで大学院受験を決めました。 【OSIPPにて】 4月からの大学院生活は恵まれた学習環境で、充実した日々を送っています。修士課程1年目はコースワークがメインですが、そこから学ぶことも全て修士論文につながるので、それらをどう応用できるか、ということを考えながら励んでいます。最近は夏休みに入り、息抜きをしに友人たちと琵琶湖へ行ってきました。学期期間中はやらなければならないことが多く、日々をこなすことに一生懸命になることもありますが、息抜きを共に楽しめる仲間に恵まれたこともOSIPPに入ってよかったことの一つだと考えています。 【今後について】 大学・大学院で学んできたことをまとめた修士論文を作成することが一番の目標です。学部生時代までの研究活動はすべて先輩や友人との共同作業でした。当時は不足しているところを補い合う仲間がいたのですが、修士研究は一人です。自分で考え、教員の方や周りの学生からのアドバイスを参考に、納得の行く修士論文を作成したいと思っています。そして、その後は学生生活に終止符を打ち、社会人として社会に貢献したいと考えています。 【もし進路に迷われている方がいらっしゃったら】 進むべき方向がわからなくなった経験者として最後にメッセージを残したいと思います。方向性が分からなくなったときは、周りの人々やその進路に進んでいる人々に相談してみることをおすすめします。そして、慎重に情報収集を行うことも重要です。最終的な選択はあなた自身が行うものです!この投稿が少しでもあなたのお役に立てていると嬉しいです。
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【院生投稿】金アンジェラさん(OSIPP博士前期課程)

はじめまして!今年の4月にOSIPPに入学した金アンジェラです。大学院進学の理由と今後の展望について、お話したいと思います。(写真:卒業した大学の学位記授与式後に撮影(2024年3月) <OSIPP進学に至るまで>  ・バックグラウンド 進学の経緯について説明する前に、私のバックグラウンドについて触れたいと思います。 私はナイジェリアのイボ族の父と在日韓国人の母を持ち、日本で生まれ育ちました。幼稚園から高校までの15年間は、カトリックミッションスクールに通いました。カトリックミッションスクールの特性として、貧困問題を抱える国々への扶助に協力する機会も多く、この国際色豊かな環境で育った経験から、国際社会や国際問題に強い関心を持つようになりました。 特に小学5年生のとき、来校したJICAの職員の講演を聞き、モニターに映し出される貧困にあえぐ子どもたちの写真を見たことがきっかけで、発展途上国や貧困問題に関心を持つようになりました。幼いながらも「世界には十分に食べられない子どもがいるんだ」と感じたその経験は、世界の状況を知ろうとする意欲を持つきっかけになりました。それ以来、発展途上国や貧困問題に対する関心は消えることなく、大学でも学科での専攻と並行して、発展途上国、特にアフリカ地域について学び続けました。 ・認識の変化 学びを進めるうちに、日本とアフリカ地域を、無意識に「先進国と発展・開発途上国」「支援する側と支援される側」「豊かな国と貧しい国」と認識していることに気付きました。また、「アフリカ」と聞いて浮かぶものは貧困、紛争、民族分断といったマイナスな事柄をイメージしていることにも気付きました。実際にナイジェリアやアフリカ地域に一度も行ったことがないのに、そうした「勝手な」イメージを持っていました。 このようなイメージは、アフリカ地域に対するステレオタイプともいえます。なぜ私はそのようなイメージを持ってしまったのか。その理由を探しているとき、父が母国であるナイジェリアの様子を話してくれた時のことを思い出しました。その話のほとんどは、メディアでは耳にしたことのない内容——例えば、輸入せずとも自分たちで賄うことができるほどの豊かな資源があることなど——でした。父の話を通じて、メディアで伝えられる「アフリカ」と実際の「アフリカ」には大きなギャップを感じました。そして、人々がアフリカに対するステレオタイプなイメージを持つのは、メディアの報道によるところが大きいのではないかという疑問を持つようになりました。 ・ホーキンス先生との出会い 高校3年生の時には、「貧困問題と日本の国際報道の在り方」というタイトルでレポートを執筆しました。日本のメディアで、日本語で読めるアフリカ地域やその他の発展途上国に関する情報を集めようとしましたが、情報が古かったり、そもそも情報が少なかったりと、十分に集めることができませんでした。一方で、英語や外国メディア(当時は主にThe Guardianを参照)を用いて検索すると、貧困や紛争、民族分断といったニュースだけでなく、その国の実情や文化、一般人へのインタビューといった記事も取り上げられており、日本と海外ではメディアが国際ニュースとして取り上げるコンテンツに違いがあるように感じました。 そして、その情報収集の際に出会ったのがGlobal News View(GNV)で、そこから今の指導教員であるVirgil Hawkins先生を知り「同じような問題意識を持って研究している方がいるのだ」と感銘を受けました。ここでGNVやホーキンス先生に出会っていなければ、今、私はこの記事を書いていなかったことでしょう。 ・進学の決意 こうした日本のメディアにおける国際ニュース報道の在り方に疑問を持ち、メディア・ジャーナリズムを学べる学科であるという点と大学の持つグローバルな環境に魅力を感じた点から、上智大学文学部新聞学科に進学を決めました。ジャーナリズム論やマスメディア論、国際ニュース報道について学ぶ中で、4年間では自分の問題意識を消化できない、時間が足りないと感じるようになり、かねてから気になっていたホーキンス先生のもとで学びたいと思うようになりました。 大学院進学を決める前は、他の学生と同じように就職活動をして、内定もいただいていました。しかし、ずっと心の中にあった大学院進学への想いが捨てきれず、かなり悩んで内定を辞退し、進学という選択を取りました。ギリギリになって決めた進学だったので、準備も不十分だったこともあり、大学4年生の秋学期から1年間休学し、OSIPP受験に向けて英語の勉強や研究計画書の作成といった準備を進めました。 OSIPPに入学して早3ヶ月… 幸運にもOSIPPに入学できて、早くも3ヶ月が経ちました。さまざまなバックグラウンドを持つ友人がたくさんでき、みんなでランチしたり、時には飲みに行ったりと、日々楽しく過ごしています。大学時代までの友人たちからは「すごく生き生きしてる!」「若返った?」などと言われるくらい、今の生活が楽しく、まさに自分の人生を歩んでいる感覚があります。進学を迷って精神状態が不安定だった当時の自分に、今の姿を見せてあげたいです。もちろん、勉強も必死にがんばっています! <今後の展望> 今後は、日本のメディア(新聞とテレビ)における国際ニュース報道に注目し、アフリカ地域のニュースに関する報道量や報道内容を分析したいと考えています。日本のメディアだけでなく、外国のメディアとも比較することで、日本のメディアの報道傾向を明らかにすることを目指しています。また、グローバル化が進む現代社会において、多文化共生への適応が求められる中、現状の外国関連ニュース報道は、情報の受け手に偏った認識やイメージを与えている場合もあるのではないかと感じています。そこで、ニュースの送り手側にも着目し、国際ジャーナリストや海外特派員経験者へのインタビューを通じて、メディアのゲートキーピング機能を分析したいと考えています。 私は、これらの研究を通じて国際ニュース報道の在り方を再考し、多文化共生社会の実現に寄与することを目的としています。他国に関する報道は、グローバル社会や多文化共生が叫ばれる中で重要だと考えており、研究の結果から国際ニュース報道の改善策を提案することで、より公正でバランスの取れた情報提供ができるようになればと願っています。
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【院生紹介】Xiao Kaifeng(OSIPP D1)【Tuition Fee Exemption for International Honors student】

In this issue, we would like to introduce Xiao Kaifeng’s self-introduction. He is a student whose tuition has been exempted as a special scholarship student at Osaka University due to his excellence.Tuition Fee Exemption for International Honors Students I am Xiao Kaifeng, and I graduated from the master’s program at OSIPP this April. I am currently enrolled in the doctoral program at OSIPP. Reasons for Choosing OSIPP During my master’s program, OSIPP’s international and inclusive environment left a deep impression on me. During my master’s studies, the open environment provided by OSIPP allowed me to discuss life and research with friends from around the world, which became my greatest joy. Especially in the multi-disciplinary courses in economics, political science, and law offered by OSIPP, I enjoyed discussing with classmates in different courses and experiencing the unique intellectual exchanges each time. In 2022, despite the shadow of the COVID-19 pandemic, my best friends from OSIPP and I had fun with fireworks by the Yodogawa River and completed a wonderful trip to Sendai. That summer was a beautiful memory of youth. The most important gift OSIPP gave me is undoubtedly the joy from friends and the meticulous guidance from teachers and staff. I am also honored to be a recipient of Osaka University’s Tuition Fee Exemption program during my doctoral studies, which is a wonderful financial encouragement. My Research My current research topic is Japanese-American cultural conflict in wartime China. I want to understand how the different localized cultural policies of Japan and the US during wartime reflected the broader international relations and the impact of these cultural policies on society and government. For example, the interactions and conflicts between Yenching University, flying the American flag, and the Japanese occupation authorities in North China after the Marco Polo Bridge Incident in 1937 is a fascinating piece of history. I firmly believe that OSIPP’s interdisciplinary perspective and outstanding faculty will help me complete valuable historical research. During my master’s studies, I researched the history of US-Russia cooperation in the non-proliferation field in the post-Cold War period. One event that left a deep impression on me was in 1999, when the defense ministers of Ukraine, Russia, and the United States stood together to announce that former missile silos had been transformed into golden sunflower fields. But today’s world is a very different place. My advisor, Professor Hiroo Nakajima, an experienced historian, often provides me with the most invaluable advice, highlighting the importance of historical materials. Additionally, OSIPP’s dual-advisor system, including the enthusiastic guidance from Associate Professor Kazushi Minami, has greatly benefited me. Future Outlook After graduation, I hope to continue my research career, striving to become a researcher who explores the modern significance of history. Many people, including myself, often ask what the use of history is. I believe that we wouldn’t start watching a TV series from the fifth season because we would miss all the wonderful or not-so-wonderful stories from the first four seasons. Everything that happened in history—technology, wars, and the lives of different people—accumulates like fossils, forming the foundation of human life today. In simple terms, humanity is rooted in time. Today, the waves of the invasion of Ukraine are shaking the world. Many are asking, is war something that can be avoided with smart foreign policy? However, in 1948, George Kennan has already warned that Kyiv and Moscow would reach an impasse. Moreover, understanding the human emotional experience of war, peace, conflict and reconciliation allows people to strengthen the human capacity for empathy. My great-grandfather participated in the second Sino-Japanese War, and every time I visited him, he would recount his experiences of learning to say “please don’t hurt me” in Japanese and English at military school. He passed away last year. That history feels both distant and close. An ancient Chinese proverb from the Tang Dynasty says, “History is a mirror. By reflecting on history, one can understand the rise and fall of societies.” In today’s world, where the international order pieced together after disastrous conflicts is breaking down and people are suffering unspeakably, the warnings from the history of war are now crucial. I hope that my research can make a small contribution to peace.
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【院生紹介】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

【院生投稿】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程) 初めまして。私は、今年の3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPP博士前期課程に在籍しています。今回は、OSIPPに進学した理由や研究内容について紹介したいと思います。(写真:友人と卒業旅行で訪れたラオスのクアンシーの滝) 大学院への進学理由 私が大学院に進学しようと思ったきっかけは、就職活動でした。大学に入る前から国連などの国際機関で働きたいと思っていたため、大阪大学の国際公共政策学科を受験しました。しかし入学後から3年次までは「今しか出来ないことをしよう」と、学生団体や民間企業での長期インターンシップなど、そのときに興味のあることに熱中していました。学部3年次の春頃から就職活動をきっかけに将来を考えたとき、かつての目標を思いだし、国連機関で働くには修士号以上の学位が必要であるため、大学院への進学が選択肢として生まれました。 そして、もともと国際政治や平和に関心があり、ミャンマーの軍事クーデターやロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の変化が重なったことで、それらに対する関心を強めたこと、3年次により専門的な授業が増え「人間の安全保障」や「市民社会論」など、自分の興味をより具体化できたことなどから、もっと深く勉強したいと思うようになりました。 OSIPPへの進学理由 大学院進学において、どの大学院にするか、どの研究室にするかを考える中で、国際関係論や紛争解決を定量的な手法で行うOSIPPの片桐梓准教授や前川和歌子准教授の研究に興味を持ちました。それに伴い、4年次の前期は以前一度挫折し、それ以降避けてきた統計の授業を受けたり、片桐先生と前川先生のゼミを掛け持ちさせてもらったりするなど勉強に励んでいると、それらの研究を面白く感じるようになったこと、また、在学中に1年間留学することで2つの大学から修士号を取得できるというダブルディグリー・プログラムが魅力的だったこともあり、OSIPPへの進学を決めました。 研究内容とOSIPPでの学生生活 ・研究内容について現在は、前川先生のもとで、紛争下における市民や市民社会が和平プロセスに与える影響について研究したいと考えています。もともとは、なぜ紛争が開始し、どのように終結するかに関心がありました。その分野を学んでいく中で、紛争下の市民が、多くの報道で扱われているような「犠牲者」以外の側面を持っていることに興味を持ちました。例えば、2003年のリベリア内戦では女性を中心とした抗議運動が、政府と反政府勢力組織の和平交渉を実現させ、14年間続いた内戦を終結へ導きました。このような活発な市民社会活動が紛争の平和的な解決に対して、どのような影響を持っているかを、事例研究や定量分析で明らかにしたいと考えています。 ・OSIPPでの学生生活について上記のような研究を念頭に置いているため、授業は計量経済学などの定量的な手法だけでなく、法学研究科で開講されている鳥飼将雅准教授の定性研究の方法論の授業なども受講しています。OSIPPでは、指導教員と相談し、研究に必要であることを証明できれば、OSIPP開講授業でなくても他研究科の授業科目を履修することができます。また、その科目が教授会で修了要件科目に認定された場合は単位換算することができます。 授業に関しては、学部時代とは違って、ただ聞いているだけの授業はほとんどなく、事前に読んでおいた論文の内容を基にして他の受講生と議論をするなど、主体性を求められる授業ばかりです。英語での議論について行くのに精一杯な時もありますが、特に片桐先生の国際関係論の授業は、多様なバックグラウンドを持つ学生で構成されているため、様々な観点から示唆を得られることがとても面白いです。 授業以外では、OSIPPの学生が集まるリフレッシュルームでの交流や、OSIPPの新たな友人と食事や遊びに行く時間が、心の支えになっています。 今後について 今年の9月からダブル・ディグリー・プログラムを利用して、オランダのグローニンゲン大学に留学します。ダブル・ディグリー・プログラムは、OSIPP在学中にいずれかの大学に約1年間留学することにより、2年間の大学院在籍で両方の大学(大阪大学とグローニンゲン大学)の修士号を取得することができるプログラムです。OSIPPのダブル・ディグリー・プログラムでは、フィリピンのデ・ラ・サール大学とも協定を結んでいます。修了後は民間企業に就職したいと考えているため、授業、留学準備、就活、と日々「やらなければいけないこと」に追われていますが、留学先での生活や研究に思いを馳せ、自分は幸運にも「やりたいこと」をさせてもらえているのだと思い直し、日々大学院の生活を楽しもうと頑張っています。
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2023年度博士論文 タイトル一覧

2023年度にOSIPP博士後期課程を修了した方々が執筆された博士論文の論文名を紹介します。 これらの論文は「2023年度博士論文 タイトル一覧表」で閲覧できます。※公開されている情報は論文によって異なります。詳細は「大阪大学の博士論文について」をご覧ください。 ※大阪大学の博士論文は「大阪大学学術情報庫OUKA」で検索できます。
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【院生紹介】那須公香さん(OSIPP博士前期課程)

【院生投稿】那須公香さん(OSIPP博士前期課程) 私は、この春大阪大学外国語学部ハンガリー語専攻を卒業し、OSIPPの博士前期課程に入学しました。(写真:2021年9月ハンガリー留学中に首都ブダペストにて撮影。ドナウ川を挟んで奥に見える建物は国会議事堂。) 〜大学院進学・OSIPPを志望した理由〜 私が大学院に進学し、その中でもOSIPPに入学したいと思った理由は、第一に、政治や政策についてきちんと学ぶ必要性があると感じたからです。私は、神戸のNGOであるCODE海外災害援助市民センターで学生ボランティアとして活動しています。これまで、ウクライナから避難してきたご家庭の子守ボランティアやトルコの被災地へボランティアに行ってきました。6月には能登半島の被災地に足湯ボランティアに行く予定です。そして、このような市民活動をする中で見えてきた多くの課題は、政治や政策に関連するものでした。現場では、「なぜこのような問題が発生してしまうのか?」という疑問を何度も抱きました。政策がどのような影響を市民にもたらしているのかを俯瞰的に捉え、問題解決につなげるために、学問として政策を学びたいと思うようになりました。 第二に、私は将来外交官になりたいと考えており、外交や国際法についても学ぶことのできるOSIPPは将来のキャリアに向けて最適な場所だと考えました。また、海外では、修士以上の学歴を求められることも多く、将来のキャリアの選択肢を増やすためにもOSIPPを志望しました。そこで、今学期は、元外務事務次官の薮中三十二先生の授業を含め外交に関連する授業も履修しています。普段テレビのニュースなどでしか話を聞く機会がないような方々の授業を受けることができる点でもOSIPPはとても魅力的だと思います。 第三に、OSIPPの学際性にとても惹かれたからです。様々なバックグラウンドを持った日本の学生や留学生、自分が知らない分野について研究している人々に囲まれる方が、多角的に研究することができるのではないかと考えました。また、他者に自分が取り組んでることを分かりやすく伝える力を磨き、新しい環境で自分を成長させたいと思い、OSIPPを受験しました。 〜研究テーマ〜 私の研究テーマは、「国家の狭間に置かれた人々〜近隣諸国出身のハンガリー系マイノリティで、母国ハンガリーに移住した人々の事例〜」です。ハンガリーのオルバーン政権が近隣諸国のハンガリー系マイノリティの人々に対して取り組んでいる「国民政策」が提起している問題を研究する予定です。グローバル化が進む中、様々な背景から複数の帰属を持つ人々が多くなってきており、そのような人々が抱える困難や問題と国家による政策が関連しているのかどうかを明らかにしたいと考えています。 指導教員は、社会学、民族・エスニシティ、市民社会論が専門の河村倫哉先生です。私の研究テーマは、移民、ナショナリズム、多文化共生などに関連しているので、河村先生に指導をお願いしました。  〜入学後1か月経って~ 私は、興味・関心や研究テーマに合わせて授業を選択しています。OSIPPには様々な授業があり、ある一つのイシューを歴史、政治、法、経済などの観点から考えることができる環境が整っています。イシューについて多角的に考える良い訓練になります。また、一つ一つの授業内容が高度なので、どの授業でも、習ったことをそのままインプットしたり、課題をただこなしたりするだけでは、なんとなく受け身のままで終わってしまうと思います。学部生の時以上に主体的に、積極的に学んでいかなければならないと感じています。また、私は、学部生の時、マルチリンガルエキスパート養成プログラムを利用し、人間科学部の授業も並行して履修していました。OSIPP生も他学部・他研究科の授業を履修することができるため、今学期は人文学研究科の日本近現代史の授業を履修しています。 ~今後のビジョン~   私の曽祖父は先の戦争で戦死しました。祖父は戦争の悲惨さや命の尊さについて私が幼い頃から語り続けてくれていましたが、私は戦争など遠い昔に起こったことだと思っていました。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻が起こった時、私はちょうどハンガリーに留学していました。ウクライナから逃げてきた人々を目の当たりにしたことや、隣国で戦争が始まってしまったことを感じさせたあの重苦しい雰囲気は今でも忘れることができません。さらに、子守ボランティアでは、祖父が語ってくれたことと同じような想いを聞きました。 現在、世界各地で災害や紛争が起こり、さらに分断が進む社会の中に私たちは生きています。しかし、世界はつながっているからこそ、どこかで起こっている問題は、決して他人事ではないはずです。人間がお互いに協力して社会問題を解決するために、それぞれができる範囲で行動していかなければなりません。自分とは全く異なるバックグラウンドを持った他者を理解“しよう”とする「想像力」を使って、私は、OSIPPでたくさんのことを学び、多角的な視点から物事を考えることができる人になり、学んだことを社会や他者に還元できるように頑張ります。
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【院生投稿】OSIPPでの学生生活を振り返って(花山愛歩さん)

私は2023年4月にOSIPP博士前期課程(以下、修士課程)に入学し、早期修了プログラムを利用して2024年3月に修了しました。この1年間はOSIPP News編集員としても活動し、 自分の研究分野を超えてOSIPPの行事や交流を取材したり修了生の方にお話しを聞いたりと、編集員だからこその貴重な機会を得ることができました。 ここでは私自身のOSIPP生活を簡単に振り返ってみようと思います。現在OSIPPに在籍している皆さんやOSIPPに興味のある方に少しでも役立つ情報になれば幸いです。 研究生活 OSIPPでの1年間(2023年度の編集員には早期修了プログラム利用者が例外的に多かっただけで、2年間が全くのマジョリティです!)は、修了した今振り返ると予想した以上にせわしない日々を送っていたなと思います。しかし同時に、中だるみをする暇もなく、計画的に分析を進めたり修士論文に役立つ授業を履修したりと効率よく学生生活を送ることもできたかなと思います。 簡単に一年間の流れを書くと、春夏学期は6~7コマの授業を履修しつつ、修士論文のテーマに関するデータの収集・クリーニング、大まかな分析を行いました。夏期休暇は細かな分析を行い、秋以降に論文執筆にとりかかるための分析結果をそろえる日々でした。秋冬学期は2~3コマの授業履修と論文執筆作業を行いました。大学院の授業は、授業時間内の学習よりも授業外での予復習や課題レポートの作成がメインで、授業と論文用の分析を行っている時は基本的に毎日朝から晩まで学内で過ごしていました。 こう書くとただただ大変な日々に聞こえるかもしれませんが、私はデータを整理したり、分析用のコードを書いたりする作業が楽しく、それが他の授業課題の息抜きにもなっていました。どうすれば研究デザインに沿ったデータになるか、どんな変数を入れると新たな発見があるかと試行錯誤しながら分析を進めるという、とても充実した毎日でした。一方で、秋以降の論文執筆は私にとってはとてもチャレンジングなものでした。早期修了プログラムの大変なことの一つに、修士論文に取り掛かる前に論文執筆の練習や既存の文献を読むといった基礎的な学習に集中する時間があまり十分には取れないということがあるかもしれません。2年間修士課程に在籍する場合、1年次にコア科目や基礎科目を履修して大方の単位を取得し、研究・論文執筆に必要な知識を身に着けます。そして2年次(特に秋冬学期)はほとんどの時間を論文執筆に費やすことができます。しかし、1年間でその工程を終える場合は論文執筆と並行して授業を履修するので、インプットしてすぐにアウトプット、という感じになります。特に私は分析を一通り終えてから論文のストーリーラインを考えるタイプで、気が付けば最後の1、2カ月で論文を書き上げることになり、駆け足の日々でした。あっという間に 過ぎていった1年間の研究生活でしたが、終えてみると達成感と少しの寂寥感を覚えるくらい楽しい毎日だったなぁと思います。 そんな修士課程を経て私が強く感じたことは、「自分の疑問に自分でなんとか答えを与える」力の大切さです。「大学院では、知識を獲得する側から生み出す側にならなければいけない」とよく言われますし、実際にその通りです。しかし、それは何もない所からアイデアが生まれ、それを実証して論文に書き起こす、というような魔法の作業ではなく、むしろ、すでにある無数に点在する知識を「自分なりの方法で結びつけること」によって新しい答えを生み出すことなのだろうと思います。そのためにはまず、できるだけ多くの“点”を知っておく必要がありますし、それぞれの点の位置や大きさを知らないことにはうまくつなげることができません。論文を書いている時はこの点と点の間にどんな線が書けるだろう?とずっと考え続けていた気がします。それらの新しいつなぎ方が「自分の答え」であり「知識を生み出す事」なのではないかなと感じます。頭がパンクしそうになることも少なくないですが、パズルを解くような面白さもあります。 就職活動 修士課程修了後、私は調査分析系の民間企業に就職します。就職活動は、学部4年次の夏ごろからインターンに参加し、2月ごろに今の就職先に内定を頂いて終了しました。法学部国際公共政策学科から早期修了プログラムを利用してOSIPPに進学しようと考えている人は、学業との兼ね合いも鑑みてOSIPP入学前にある程度就職活動の目処を立てておくと良いのではないでしょうか。業界にもよりますが、院卒区分での就職活動になるので(おそらく)学部卒での就職活動よりも研究分野や研究内容をしっかりと説明することが求められるかと思います。入学前から研究の大まかな構想を練っておいたり、少し分析や文献調査をしておいたりすると就職活動・論文執筆ともにスムーズに進められるのではないかと思います。 最後に OSIPPで過ごした1年間はたくさんの人に囲まれていたなぁと思います。OSIPPは学生同士とてもオープンな雰囲気なので、自分の研究が行き詰ったり疲れたりした際はリフレッシュルームで誰かとおしゃべりをしてガス抜きをしていました。また、図書館に行けばスタッフの方々がにこやかに迎えてくれましたし、研究で行き詰れば主査副査問わずたくさんの教員からアドバイスを受けることもできました。また、編集員の仲間たちとお昼を一緒に食べたりくだらないことを喋って大笑いしたりする時間が日々の小さな楽しみでした。4月からは社会人になり立場も環境も大きく変わりますが、明るく楽しくやっていこうと思います。一年間ありがとうございました!
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【院生紹介】OSIPPでの学生生活を振り返って(久保知生さん)

私は2023年4月に大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに入学し、早期修了プログラムを利用して2024年3月に博士前期課程(修士課程)を修了します。ここではOSIPPでの生活を簡単に振り返りながら、大学院に進学することの意味を自分なりに述べたいと思います。 振り返ると、早期修了プログラムを利用して1年で修士課程を終えるというのは想像以上に大変で、いつも何かに追われていました。週に7日OSIPP棟に行く、という週も少なくなかったように思います。ただ、決して辛くはありませんでした。その理由の一つには、修士課程の編集員メンバーの仲が良かったことが挙げられます。よく授業の後で一緒にご飯を食べたり、リフレッシュルームで談笑したりしていました。思えば彼・彼女らと切磋琢磨した一年間でした(もちろん他の学生とも)。 このプログラムは学部4年次に10単位までOSIPPの単位を取得できるため、OSIPPに入学した時点でミクロ・マクロ・計量といった経済学のコア科目は取得済みでした。そのため、修士課程の1年間は、主にあらかじめ論文を読んでディスカッションをするような授業を履修していました。とりわけ秋冬学期は授業に出ながら修士論文を執筆していたため、飛ぶように時間が過ぎていきました。10月に学期が始まって気がつけば年が明け、修士論文の提出期限が迫ってきました。論文提出後はその忙しさから解放されたことで、1月の残り20日がまるで一年のように長く感じたことを記憶しています。 今になって思うと、かなり期限に追われていたのだと思います。 OSIPPで履修した授業の中でも、鎌田先生のEconomics of crimeとData Management and Analysisは本当に履修して良かったと思う授業でした。端的に言えば、洗礼を浴びたんですね。毎週のように自分の実力不足・理解不足を痛感しました。これらの授業を履修したことで、自分に課す「最低限」のレベルが上がりました。授業で扱ったことは就職後にも活かせると思うので、入社前に学べて良かったです。 最後に、修士課程修了を目前に控えた今、自分なりに思う大学院に行く意味を述べたいと思います。ここで想定しているのは、博士後期課程(博士課程)まで進むつもりはないけれど、修士課程には関心がある方です。修士課程で学ぶ意味を一つ選ぶとすれば、知らないこと・分からないことを自分で学ぶ力がつくということではないかと思います。学部生時代、私は大学院に進学すれば、知らないことをもっと知ることができると思っていました。でも、実際はそうではありませんでした。新たに学んだことが多いのも確かですが、それ以上に知らないことが増えました。そのときに、最低限のことだけ教えてもらって、あとは自分で勉強するというのが学びの本来の姿なのだということに気づきました。  大学院に行かなくても、最近はネット上に情報があふれているから自分で勉強できるのでは?という意見もあると思います。でも、一人で勉強できていたとしても、使える知識として体系的に学べているとは限りません。複数のテキストを渉猟しながら体系的に物事を理解するというのはなかなか難しいように感じます。一方で、大学院では授業資料や、違った角度からの先生の一言で急に理解が深まったりすることが良くあります。 大学院といえば何やら難しいことをする場所、というイメージがあるかも知れませんが、知らないことを学ぶ上でのベースになる知識を身につけるには最適の場所だったと改めて感じています。4月からは民間企業に就職しますが、OSIPPで身につけた力をさらに伸ばせるように頑張ります。 (OSIPP博士前期課程 久保知生) 【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)
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2023年度 「優秀学位論文賞」受賞者発表!

当該年度に提出されたすべての課程博士論文及び修士論文を対象に、それぞれ優秀学位論文が発表されました。 優秀学位論文の選考はOSIPP優秀論文選考委員会が行い、教授会が選考委員会からの推薦をうけて下記のとおり決定されました。 優秀学位論文賞受賞者には、OSIPP学位記授与式にて賞状が授与されます。受賞者の皆さん、おめでとうございます!
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2023年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会

2023年12月7~9日、博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)論文の「2023年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会」がオンライン形式で開催された。(写真:河畑波恵さんの発表の様子) 口頭報告審査会では、修士号申請者35人と博士号申請者4人が自身の学位論文の内容を発表し、博士論文進捗状況報告会では、13人の学生がそれぞれの博士論文について、これまでに仕上がっている部分の内容と今後の研究計画を報告した。 博士前期課程2年次である久保知生さんは「女性候補者の勝利がその次の選挙での候補者の性別に影響があるのか」という、日本の政治において多様性を確保するうえで非常に重要な問いに挑んでいる。分析の上では「最後の1議席にぎりぎりで女性が当選した場合と男性が当選した場合において、次回の選挙での候補者を比べる」という着眼点で、特定の関数形を仮定しないノンパラメトリック回帰不連続デザインと呼ばれる統計手法を用いて「女性候補が勝利した選挙区では、次回の選挙で非現職の女性候補者が擁立されやすい」という統計的因果効果に迫った。久保さんは、発表終了後に13人という大勢のギャラリーが見守る中、主査や副査からの内容や統計手法に対する質問に一つ一つ丁寧に回答していた。 博士前期課程2年次の河畑波恵さんは、米国でアジア系女性として育ち、性別や民族的所属による偏見を持たれたという自身の経験から、“マイノリティ”にあたる、非白人で女性であるカマラ・ハリス氏が副大統領に選出された際の選挙を、社会の鏡となるメディアはどう報道しているのかに関心を持った。そこでCBSとCNNの膨大な選挙報道のデータを収集し、丁寧に比較分析をした。その結果、2020年アメリカ大統領選挙において、性別および民族的所属に関する報道はハリス候補の報道の5分の1を占めたのに対し、“マジョリティ”に当たるジョー・バイデン候補(2008年)やアル・ゴア候補(1992年)に関する報道ではゼロだったことを示した。また、いずれの候補者についても、候補者の政治思想や政策に関する報道は15%以下にとどまっていたことから、河畑さんは修士論文を通して選挙報道のあり方を問い直している。報告会を終え、河畑さんは「先生方に良いアドバイスを頂けたので、それを元に修正していきたいと思います!」と清々しい笑顔で語った。 博士後期課程2年次のElizaveta Kugaevskaiaさんは “Time Zones and Voting Behavior: Evidence from Russia” というタイトルで現在進めている研究の進捗を報告した。タイムゾーンの境界線を挟んだ地域では、日の出と日の入りは同じタイミングであるにも拘らず、線の東西もしくは南北の地域でその時刻は異なる。Elizavetaさんはこのことが起床時間、睡眠の質、気分などに影響して投票率や右派・左派など党派ごとの得票率にまでも影響があるのではないかと考えた。そこで、世界で最も多くのタイムゾーンを持つ国であるロシアを舞台に、地理的データを使った空間回帰不連続デザインという近年経済学で利用され始めたばかりの方法を用いて取り組んでいる。Elizavetaさんの発表後、主査と副査からは結果の解釈やそのメカニズム・先行文献に至るまであらゆる角度からのコメントが寄せられ、予定時間を20分超過するほど白熱した議論が行われた。そして最後に、今後の博士論文執筆や研究会での発表に向けて行うべき分析の方針を確認した。 今年3月に修了予定の学生は、今回の審査委員からのアドバイスを踏まえて加筆修正した学位論文を1月上旬に提出する。その後、学位論文の審査と教授会の決定を経て学位が授与されることになる。 (OSIPP博士前期課程 辻本篤輝)
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Internship Report:2022 OSIPP Scholarship for overseas internship(Delio Wilson Andre Zandamela /OSIPP D2)

Delio Wilson Andre Zandamela(OSIPP D2)interned this winter at the Center for International Strategic Studies(CEEI)in Maputo, Mozambique.※As for the abbreviations in the organization’s name, they are acronyms in Portuguese notation. <Preparation>1) Why did you select this particular organization for your internship? Did your supervisor, friend or a third person introduce it to you? I graduated from Joaquim Chissano University, Higher Institute for International Relations (ISRI). CEEI is a research Center created by the former (ISRI) and is one of the most reputable and well established research centers in Mozambique now. Most of the preeminent scholars in International Relations, peace and security, foreign policy and development studies in Mozambique are members of this center. I knew the organization when I was a college student, and my former professors often mentioned (and our research guidelines and methodology were created by) CEEI. Furthermore, most of the important reports and books in the social science field in the post-colonial Mozambique were organized by CEEI. 2) How did you gather the information on your work during the internship (job description)? My assignment was to collaborate with the Department of Peace and Security, and the Director of the Center nominated a professor to guide me and provide all necessary information to perform my tasks during the internship.Because I had only 30 days to work both in my research and on the internship duties we agreed that the main task will be collaborating on the November Security Brief while working on my paper.I also participated in board meeting where the center discussed and evaluated its working progress and prepared the upcoming publications, academic papers and books by the members. 3) How did the organization decide on Terms of Reference (TOR) of your work during the internship?Did you tell your requests to the organization? If so, how much did they consider your requests?The Organization was very considerate. I shared with them all my research projects and they did their best to accommodate my requests. I was assisted at all times by the seniors of the Organization, and they often asked me if there was something that they could help with.I had 3 formal meetings with the Director to report my progress, one meeting with the Vice Director, as well as several meetings and talks with Seniors from the Economic and Development Department and from the Foreign Policy Department. 4) How did you prepare for trip and life (ex. accommodation & transportation) in that country? Is there any advice especially on security?If there is something you were distressed or would have done differently in the process of preparation, could you tell us about it?I booked an Airbnb before traveling for my accommodation. For transportation I used a Taxi app (VivaTaxi) and I paid using my credit card from Japan. In terms of security Maputo is safe. <Work contents on your internship>1) Did your actual work differ from what you had been told before the internship?If so, why do you think the differences occurred? No. I worked on the tasks planned prior to departure. 2) What kind of instruction did you get from supervisors? Were their instructions concrete and clear?When you had a problem, did your supervisor listen to your story and was their advice useful? The instructions were given in board meetings, and everything was clear. My supervisor gave me independence to work both on the project of the research center and on my own research. 3) Were you able to mingle with other professionals outside of the internship organization? Were those interactions beneficial for your future career? I had social interactions with the staff, some in the research center and others in restaurants especially with colleagues from the Foreign Policy Department. 4) Regarding the life in that country, how did you adapt yourself to the new environment? Were there any difficulties? In my case was not necessary to adapt because I was in my own country, so I had zero difficulties to adjust. <Self-evaluation on your internship>1) Did you express your appreciation to your internship organization?If so, how? (Ex. thank-you letter)Yes I did, I had a meeting with the Director of CEEI, and I expressed my gratitude for his personal involvement with my internship, and also to the colleagues that worked with me and supported me during the process. 2) How do you evaluate your experience and interactions with people through the internship?The internship was an extraordinary and remarkable experience for me and I have no doubts that it was a very good decision to join CEEI. 3) Do you think your internship will have a positive effect on your future career? If yes, how in particular? I do believe that the internship will have a positive effect on my future career because I was able to create a useful network that may help me with the process of job hunting in the near future. 4) What special qualifications are necessary as an intern at a multicultural working place and intercultural environment? Please write some advice to students who will participate in an internship program in the future.Be friendly and open to learn from others, don’t be afraid of making mistakes, ask always for help when is necessary.
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【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)

私は2023年3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPPの博士前期課程に在籍しています。今回は、私が大学院に進もうと思った理由や、研究テーマを紹介したいと思います。(写真:友人と訪れた三徳山三佛寺の投入堂) 大学院進学を決めた理由 私が大学院進学を決めたのは、学部2年次の夏休みで、新型コロナウイルスの感染拡大のため、課外活動の制限を余儀なくされてしまった時期です。進学を決めたきっかけは2つあります。 1つは学部ゼミの影響です。阪大法学部は2年次からゼミが始まりますが、私が所属していた小原美紀先生(OSIPP教授)のゼミには大学院進学を目指している先輩が多く、大学院に対する関心が自然と高まりました。また、小原先生も大学院進学を積極的に勧めており、大学院の話を頻繁に聞いていたことも大きな一因です。もう1つは授業で指定されていたテキストの影響です。私は2年次の春夏学期にミクロ経済学の授業を履修していたのですが、そのときのテキスト『ミクロ経済学の力』(神取道宏著・日本評論社)に魅せられました(ちなみに表紙がとてもカッコイイです)。このテキストは数式を多用することなく大学院レベルの内容まで説明してくれており、この本のお陰で経済学の面白さを知りました。そこで、大学院まで進めば経済学をもっと深く学べるのではないかと思ったのです。 コロナ禍で課外活動が思うようにできないこともあり、学部生の間は勉強に集中して大学院に進むのも悪くないのでは、と考えるようになりました。 OSIPPに決めた理由 進学先をOSIPPに定めた理由として、研究分野と博士前期課程早期修了プログラム(以降、早期修了プログラム)の2つが挙げられます。 まずは研究分野についてですが、上述の通り、2年次に経済学に魅せられた私は、まずは経済学研究科への進学を考えました。ただ、経済学を学びたいという意欲は強い一方で、その分野で研究したいテーマは特になかったのです(笑)。そこで、経済学のみならず、政治学や法学についても学べるOSIPPに進めば、経済学の理論を勉強しつつ、他の分野の研究も可能だと考えました。その後、3年次・4年次の授業やゼミで様々な論文を読み、政治分野の実証研究に関心を持つようになりました。次に早期修了プログラムについてですが、阪大法学部の学生であれば、この制度を利用することができます。早期修了のパターンはいくつか存在しますが、私が申請したのは学部4年次と博士前期課程1年次の2年間で修士号を取得するコースです。学部4年次にOSIPPの授業を10単位まで履修し、単位を持った状態で博士前期課程に進学することができます。早く大学院の授業に出たい、かつ2年間も博士前期課程に在籍するのは長すぎると感じていた私にとって、早期修了プログラムは最適な制度でした。(通常より1年早く博士前期課程を終えることになるので、勉強量が減るというデメリットはあります。賛否両論だと思います。) 以上の理由から、私はOSIPPに進学することに決めました。 研究内容 私は女性の政治代表(Women’s representation)という分野に興味を持っています。有権者の男女比はほぼ1:1なのに対し、女性の政治家の数は男性の政治家に比べて著しく少ないという現状に違和感を覚えているからです。 私が焦点を当てているのは、政党はどんな時に女性候補者を立てるのか、ということです。“感染効果”と呼ばれる説があります。ある政党が女性候補者を立てることで、その他の政党も女性候補者の擁立に積極的になるというものです。しかし、それに関する実証的な分析は多くありません。そこで、私は日本の衆議院議員選挙に注目し、女性候補者が当選した選挙区では、次回の選挙で本当に女性候補者が増えているのかを明らかにしようと考えています。 今後について OSIPP修了後は、民間の事業会社で働く予定です。幸いにも、これまで勉強してきた統計学や計量経済学を使う仕事に就くことになりました。 OSIPPの学生はシンクタンクに就職する方が比較的多いのですが、その他の企業でも大学院で学んだことを活かせる職業はあります。また、一般的に文系大学院生の就職活動と言えば、学部生より厳しいという印象がありますが、大学院で行う研究も立派な「ガクチカ」になると思います(むしろ、学部学生と差別化ができるところです)。私の場合は、政治や労働における男女格差に関心があること、そして学部時代からそれらに関するテーマの論文を書いてきたことを評価していただきました。 就職後には分析結果が示唆することを会社内で正しく伝えられるよう、この1年間で統計学や計量経済学に対する理解を深めたいと思います。 (OSIPP博士前期課程 久保知生)
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【院生紹介】花山愛歩さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)

私は、この春に大阪大学法学部国際公共政策学科(以下、国共)を卒業し、OSIPP博士前期課程に入学しました。OSIPP博士前期課程早期修了プログラム(以下、早期修了プログラム)、交換留学といった大学の制度を利用してきたのでその経験などをお話ししたいと思います。 OSIPP進学の理由 私が大学院進学を志すようになったのは学部3年次の初めごろだったと思います。2年次から所属していた菊田恭輔先生(現在はアジア経済研究所所属)のゼミで初めて「計量政治学」という分野に出会ったことが直接的なきっかけです。この分野は計量経済学の手法を用いて政策の効果や市民の行動を分析する学問で、大規模なデータを使って客観的に社会の動きを分析する所に面白さを感じました。それだけでなく、授業を通じてお世話になったOSIPPの先生方がとても話しやすく親身に対応してくださったことも進学の気持ちを強くした要因です。大学院に進学する理由は人それぞれですが、私の場合はゼミで行っていた国際関係の実証研究が面白く「もっとこの研究をしたい」という思いが動機となり、実証系の研究をしている教員が揃っているOSIPPを進学先とすることを決めて早期修了プログラムの制度を利用しました。 博士前期課程早期修了プログラム このプログラムは、学部4年間+博士前期課程1年間で修士号が取得できる制度で、特に実証系の研究に関心のある国共の学生にとってはとても活用しやすいプログラムではないかと思います。OSIPPでは実証分析に必要となる計量経済学や因果推論の知識を習得するためのカリキュラムが組まれていますが、その多くは国共の学部生も受講できるものです。つまり、選択必修やゼミ活動のために履修している授業が土台となってOSIPPの授業に発展していくので、院生になってから受講する授業のイメージもしやすいですし、学部のゼミ活動に生かすなど相互補完的に利用できる制度だと思います。ただ、もちろん時間的な負荷は大きくなるので、現在は必死でコースワークと修士論文の執筆を進めて、来春にはOSIPPを無事に修了できるよう頑張っているところです。 研究内容 現在、私の研究に関する関心は「政治的決定が私たちの行動・価値観をどう変えているのかを明らかにすること」にあります。特に、外交・国際機関といった、一見日常の生活とは縁遠く感じられるものが、実際には我々にどう影響を与えるのかを分析しています。直近では、“規範意識はいつ・どのように形成されるのか”という疑問について「女性運動家へのノーベル平和賞授与が女性権利運動団体に対する世論に与える影響」を前ゼミ教員の菊田先生との共同で研究しました。また、それに続く自身の研究として多国間サミットを用いた世論変化の分析も進めています。 交換留学 最後に、3年次終わり~4年次前期に経験した交換留学について、大学院進学とも関連させて少し紹介しようと思います。私は、大学間協定校の南デンマーク大学社会科学学部で半年間の交換留学をしました。ヨーロッパと日本のアカデミックカレンダーのずれから、3年次後期の最終週に日本を出国してデンマークで最後の授業レポートを提出するギリギリのスケジュールでしたが、オンキャンパス・オフキャンパス問わず、現地に行かなければ決して知ることのできない世界を体験できた本当に貴重な機会でした。ただ、大変だったのが大学院進学準備です。OSIPP秋期入試への出願期間は6月ごろだったので、留学中に出願書類を作成しなければならず、担当教員にはメールやZoomを使って進学に関する相談をさせていただき、本当にお世話になりました。進学を決めて就職活動をしていなかったこと、早期修了のために学部の卒業単位をほとんど取り終えていたことからこの時期に留学を実現できたので、進学も留学もしたい!という方にはこんな方法もあることを知っていただければと思います。 OSIPPを志す人へのメッセージ 私が特にOSIPPに魅力を感じるポイントは、オープンな雰囲気と国際性です。担当教員はもちろん、どの先生方も学生の研究に興味をもってアドバイスやフィードバックをしてくれます。一つの研究案に対してもそれぞれの先生方で全く違うフィードバックが返ってきますし、それはなにより研究を進めるモチベーションになります。また、社会科学を学ぶ者として様々な文化や価値観を知ることは不可欠ですが、それを肌で感じられる環境がOSIPPにはあるのではないかと思います。OSIPPでは日本語以上に英語を使う機会が多いのですが、英語は日本語以上にロジカルな言語で、これを使って考えたり文章を書いたりすることはロジカルな思考・書き方の習得にもとても役立っているように感じます。OSIPPでは、自分の興味や関心がはっきりしている人にとってそれを存分に追及できる環境が揃っていると思います。 今後について 博士前期課程修了後は国共・OSIPPで学んだ知識を生かすことができる民間企業に就職しようと考えており、就職活動も並行して行っています。ただ、純粋に研究活動ができる期間はあと少しなので大学院では思う存分学び、研究する日々を過ごしたいと思います。 (OSIPP博士前期課程 花山愛歩)
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<R5年度 国際学術交流助成申請要領>海外での研究報告に対する助成開始

今年度より、海外で開催される学会等に参加する費用に対する助成制度を実施します。(※目的が研究報告である場合のみ。司会や討論者としての渡航は対象外) 【助成金】渡航先が欧米への渡航:15万円 アジアへの渡航:5万円 【採用人数】若干名(初めて海外で報告する学生を優先)   ※受給は、1人につき年度内に1回までとする 【締切】前期:6月23日(金)・後期:12月22日(金)   ※今年度に限り、前期の提出期限までに既に開催された学会等も対象とする 【詳細】https://www.osipp.osaka-u.ac.jp/ja/academicexchange-support/
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【院生紹介】西浦匡介さん(OSIPP博士前期課程)

2023年3月に博士前期課程を卒業された西浦匡介さん(中嶋研)へのインタビューを紹介します。西浦さんには、OSIPPへ進学した理由や修士論文で取り組まれた内容、後輩へのメッセージを伺いました。 OSIPPへ進学した理由を教えて下さい 私がOSIPPに進学した理由は2つあります。最も大きな理由は、学部生時代から進めていた核不拡散に関する研究を発展させることでした。私が所属していた阪大法学部のゼミでは学部4年次の秋冬学期にゼミ論文を執筆するのですが、その時期になってようやく研究らしい内容に辿り着くことが出来ました。そして、その研究をせっかく良いところまで進められたので、大学院まで進んで研究を発展させ、核兵器への理解を深めたいという思いがありました。OSIPPでは様々なアプローチから国際政治を学ぶことが出来るところが、自分に適していました。2つ目に、OSIPPだと追加的なコストがかからないということがありました。私は内部進学だったので、環境を整えるための労力がかからず、自宅から通学できるという点も非常に魅力的でした。 なぜ核兵器や核不拡散問題に興味を持ったのですか? 核問題に興味を持ったのは、核兵器に関する複雑な性質に気付いたことがきっかけです。例えば、核兵器保有の量的側面に目を向けると、核兵器が多すぎると反核団体や平和団体が反発し、逆に少なすぎると(アメリカの場合、アメリカの)同盟国から反発を受けるので、バランスが難しいという問題があります。また、核戦略に注目すると、抑止を成功させるためには相手の核兵器を完全に破壊し、核攻撃を行う(第二撃能力を確保する)ためには自国の核戦力の残存性(生存性)を高める必要がある、といった具合に単純な論理が通用しにくい性質が核兵器保有には内在しており、その点が私の知的好奇心をくすぐりました。 なお、核兵器に関するテーマが色々ある中で核不拡散問題を選んだのは2つの理由からです。それは、Francis Gavinの「抑制戦略論」が私にとって非常に新鮮な議論であったことと、日本の安全保障を考えたときに「なぜ日本は核兵器を持っていないのか」という純粋な疑問を持ったからです。これら2つの要因を組み合わせ、“アメリカの対日核不拡散政策”というテーマにたどり着きました。 修士論文で取り組まれたテーマについて教えて下さい 修士論文ではアメリカのジョンソン政権(1963〜1969)における対日核不拡散政策を扱いました。ジョンソン政権は核不拡散条約(NPT)を締結し、締約国の核兵器保有を禁じる、という政策を確立した一方で、国務長官のディーン・ラスクはインドや日本の核保有を認めるような発言をしていました。それでは、なぜラスクの考えは政府内に浸透せず、NPTの締結を目指すような政策に至ったのか、そもそもなぜジョンソン政権は日本の核保有を認めなかったのか、といった問いに答えることを研究の目的としました。近年の核不拡散政策研究では、戦後アメリカはなぜ他国の核兵器保有を禁じてきたのか、そもそもアメリカは他国の核兵器保有を禁じてきたのか、といった点が議論される傾向にあります。本研究はそうした研究動向を取り入れることができたと思います。ジョンソン政権は今からおよそ60年前のことですが、現在と共通する部分も多くあり、歴史の連続性を強く感じました。この研究を通じて核兵器をより理解できた点には、非常に満足しています。 なお、私の論文は歴史的なアプローチを採用したため、資料の収集には苦労しました。外交史の場合、アメリカ国務省歴史部の発行するForeign Relations of the United States(FRUS)を基礎的な史料として用いますが、こちらについてはオンラインでほとんど全て公開されており、大変助かりました。しかし、軍縮や軍備管理に関する政府資料については、突然ハードルが上がりました。例えば、ある大学のみに所蔵されているマイクロフィルムの複写物を2万円ほどかけて取り寄せた結果、あまり役に立たなかったということもありました。 OSIPPで過ごした2年間はいかがでしたか? OSIPPでの2年間は非常に新鮮で刺激的な経験を得ることが出来ました。授業面では社会科学色の強い「国際関係論」や、人文科学色の強い「アメリカ外交史」「アメリカ対外関係史」、実務に近い「国際安全保障論」「人間の安全保障」など多種多様な授業を受けることができました。特に「核兵器と国際関係」という授業では、受講生が私一人だったのでマンツーマンで指導していただき、この分野における知見をかなり深めることができました。また、授業以外でもTA(ティーチングアシスタント)や、留学生チューター、高校生への指導、シンポジウムの運営など大学院生ならではのアルバイトができたことも印象強く残っています。OSIPPでは専門が近い院生とはもちろん、そうではない院生ともコミュニケーションを取れるため、多くのことを学ぶことができたと思います。 進路や今後の展望について教えてください 修了後は陸上自衛隊に入隊する予定です。私が採用された区分では様々なキャリアが用意されており、場合によっては博士後期課程に進むことが出来ます。米軍では修士号や博士号を持っている士官は珍しくないですし、私も可能であれば働きながら博士後期課程に進み、研究を続けていきたいと考えています。 進学を考えている学生へのメッセージをお願いします! 私は、核兵器や核不拡散問題について研究を続けたいとの考えで進学しました。自分がなぜOSIPPに進学したいのか、ということを明確にしておくと、良い学生生活を送れるのではないかと思います。 (OSIPP博士後期課程 平野 歩)
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【院生紹介】OSIPPでの2年間を振り返って(千馬あさひさん)

私は2021年4月に大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに進学しました。入学当初に下記【院生投稿】を執筆したので、博士前期課程の修了を控えた今回はOSIPP生活の振り返りを書こうと思います。(左写真:伊丹市の荒牧バラ公園(’21年5月))【院生投稿】千馬あさひさん(OSIPP博士前期課程) 博士前期課程1年次1年次はコースワークと就職活動がメインの生活を送っていました。私はOSIPP経済系の学生だったので、1年次は修士論文執筆の基礎となる授業を受けていました。例えば、ミクロ経済学や計量経済学といったものです。それ以外にも、学部生時代には履修しなかった授業やOSIPPのみで開講されている授業も取りました。特に後期に履修した「Political EconomicsⅡ」は、自分の研究テーマに近い内容を学ぶことができ、修士論文のテーマを考える上でとても勉強になりました。授業に加えて、1年次は就職活動にも注力しました。私は、政策につながるような知見を得るための研究をしていたので、実際に官公庁からの受託を受けて政策のための調査研究を行うことができるシンクタンクへの就職を志望していました。6月頃には夏のインターンシップの募集が始まったので、授業や課題、テストの合間にエントリーシート(ES)を書いたり面接を受けたりしていました。しかし、この応募が思ったよりも上手くいかず、シンクタンクやその次に志望していたIT業界など10社以上に応募したのですが、結局3社しか参加できませんでした。今振り返ると、もっと応募先の企業の事業内容等を理解していれば、それらの企業が求める内容をESに書けたのではと思います。10月頃からはインターンシップ参加者用の早期選考に参加することができ、第1志望だった企業から3月末に内々定を頂くことができました。ただ、秋以降は1週間に講義を8コマ受けていたり、就職活動では本選考の面接やES執筆をしたりと、かなり多忙な日々でした。特に1月は毎週課題の締め切りあるいは発表があり、同時に本選考の面接やESの締め切りもあったので体力的にも精神的にも大変だったのを覚えています。今後大学院に進学される方は、時間や体力などのバランスを考えて研究や就職活動に取り組まれると良いと思います。 博士前期課程2年次2年次は、研究がメインの1年間でした。1年次の後期に、修士論文のテーマは「地方選挙での無投票選挙が国政選挙の投票率に与える影響」と決めていたため、2年次前期は執筆に向けて先行研究探しやデータ集め、分析を行っていました。“無投票選挙”に着目したのは、首長や議員は選挙を通じて有権者が決めるものであるにも関わらず、その機会がなくなると有権者の投票参加に係る意思決定が変化するのではないかと疑問を持ったからです。後期の初めには結論以外の部分は文章化できている状態で追加の分析をしていたのですが、その分析では論文の最終的な着地点を見つけることができず、結局は“無投票選挙”ではなく“地方選挙の頻度”に焦点を置くことにし、メインの分析ごとごっそり入れ替えることになりました。同期の友人たちが分析を終えて文章を書いている11月頃に、私だけメインの分析をしていたときのことは強く記憶に残っています。あの時の自分は「なんでこんな時期に分析してるんやろ」と密かに焦っていました。このような時期を経て、今年1月に無事最終提出を終えました。 学内アルバイト研究や就職活動以外にも様々な活動にも参加しましたが、その中でも数種類の職種を経験した学内アルバイトについて紹介します。私は、2年間を通してリサーチアシスタント(RA)、今記事を書いているOSIPP Newsの編集員、チューター、ティーチングアシスタント(TA)、OSIPPライブラリーの夜間開室担当に携わりました。今回は2年間担当していたOSIPP教授 松林哲也先生のRAとOSIPP News編集員について振り返ります。RAではデータ集め・整理・分析や図表作成、資料集め等をしていました。RAの仕事で学んだことは、例えばコードの書き方やデータのソースなど、自分の研究で活かせることも多かったです。またOSIPP News編集員では、OSIPPで行われているイベントや新しく着任された先生の取材、OSIPP修了生の方の現在に関する取材等を担当しました。これらの取材により、本来なら参加しなかったイベントや、関わることがなかった方たちと出会う貴重な機会をたくさん得ることができました。 現在の心境など上記以外にも、2年次の夏にはイギリスに1か月間の語学留学に行ったり、時にはOSIPPで出会った友人たちと休日に出かけたりと、本当に充実した日々を過ごすことができました。前回の院生投稿では「(とりあえずは、という気持ちで)OSIPPに進学してよかった」と書いたのですが、今は心からOSIPPに進学してよかったと思っています。また「悔いが残らないような2年を送りたい」とも書きましたが、現在悔いは残っていません。しいて言うならば、投票行動研究が面白く感じてきたところで卒業なのが残念!ということです。ただ研究は就職してもできることなので、シンクタンクの研究員としての仕事が始まってからも続けていけたらいいなと思っています。 この2年間、OSIPPでお世話になった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。OSIPP進学を考えている人たちにとってこの記事が参考になれば幸いです。 (千馬あさひ 2023年3月執筆)
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