教員からのメッセージ
文系の視点でデータを扱う


今、私たちは「データの時代」に生きています。学問の世界だけでなく、行政機関や民間企業でも、データを積極的に利活用する取り組みが始まっています。しなしながら、データをきちんと扱える人材はまだ十分に足りているとはいえません。
データを扱う人たちは、大きく2つのタイプに分けられます。まずは、プログラマーです。コンピューター言語を駆使し、美しく使いやすいユーザーインターフェイスを作ることを通じて、データを取得・管理・可視化するエキスパートです。一方、もう1つのタイプが、データ・サイエンティストです。取得されたデータを「調理」し、政策や企業戦略に役立てるためのエビデンス作りをします。
これまで、データを扱う人たちは理工系出身のイメージがありました。しかし、時代は変わりつつあり、今は文系の知識と発想力を持ったデータ・サイエンティストが積極的に求められています。国際公共政策学科に入られた皆さんの強みはここにあると思います。法・政治・経済の知識と発想力を身につけられる機会は他になかなかありません。
データには、国や学問などの境界はありません。このため、汎用性のある分析手法を身に着ければ、どのようなデータにも応用ができます。唯一、因果と相関の違いは知っておくと便利です。データ上、ある事象XとYに関係があることがわかっても、それが相関なのか因果なのかによって、どのくらい信頼のおけるエビデンスなのか解釈が異なります。例えば、「風が吹けば桶屋が儲かる」は、きちんと分析しない限りは「風」と「桶屋の収入」の相関を示したものに過ぎません。言い換えると、それだけの結果をも とに強い風を(どうにかして)吹かせようとしても桶屋は儲かりません。一方、「風」と「桶屋の収入」に因果関係があることがわかったなら、桶屋を助けるために強い風を(どうにかして)吹かせるのは理にかなっています(もちろん、強風で他に被害がでないようにする必要はありますし、桶屋を助ける方法は 他にあるかもしれません)。
学科でもデータを扱う授業が増えています。この機会に、ボーダーレスなデータの世界に飛び込み、新しいエビデンス作りをしてみませんか。
国際公共政策学科 北村 周平 講師