共同プロジェクト

大阪大学GRSCと6th株式会社と共同研究プロジェクト

Joint research project by Osaka University GRSC and 6th Co., Ltd.

未来共生型の危機管理対応ソリューションの国際標準化と安心・安全促進コンテンツの開発・社会実装に関する研究

目的

多様な社会的・文化的背景を持つ人々が多様な危険要因(ハザート)に直面した際、迅速な避難誘導・緊急援護・復興支援を得やすくなる未来共生型の最先端危機管理対応ソリューション・システム(ハード面)の技術革新と、多言語による安全・安心促進コンテンツ(ソフト面)の開発・国際標準化・社会実装のあり方を研究すること。

趣旨

私たちは、今後、地球規模でさらにつながりを深めていくビジネス・教育・まちづくり等、様々な分野を横断した活動を根底で支える最も重要な共通認識のキーワードとして「危機管理能力」に注目しています。近年、激甚化が進む大規模な自然災害や感染症のパンデミック(世界的大流行)において、その重要性については人々の間で広く再認識もしくは新たに認知されてきていることと確信しています。

これまで、まちづくりの現場で実際の災害時対応や平常時における啓発・防災教育のコンテンツを提供する立ち位置で動いてきましたが、現場では大きな課題を2つ抱えています。
1つは、一般の人々が危機管理や安心・安全に向けた理解やノウハウを深めるためのソフト面の運用には公的な予算の捻出という解がないことです。昨(2019)年12月9日に発表された国の補正予算では「ポスト5G」関連でハードの側面の予算は計上されましたが、こうした情報通信基盤の上で動く「情報サービス運用に対する予算」となると、通例通り、捻出されることはありませんでした。また、各自治体においてもこうした情報サービスの運用面に予算を割くことは容易ではありません。この結果、たとえ新たに高度な情報インフラが国内に整備されたとしても各地域では運用にまで手が回らず、即効性があってこそ意味のある「BCP(事業継続計画)」対策には十分につながらない状況が生じていると考えられます。

その一方で、今日、BCP対策に限らず、安心安全のための様々なサービスがオンラインで提供されるものに置き換わっていくと見込まれます。今後、スマートシティのようなデジタル化とAI活用をベースとしたまちづくりが広がり、その利便性が行政サービスとして提供される時代が来た時に、行政を含む様々なサービス領域での「通信インフラと情報サービスの機能停止」こそ、BCPの観点は言うに及ばず、起きてはならない最悪の事態となるのではないでしょうか。したがって、安心・安全に向けたコンテンツの提供を進める側も、そこまで想定したソフトの作り込みが求められていると考えます。

また、もう1つの大きな課題に「人財」育成があります。これまでの想定をはるかに超えたレベルでの対策が必要になる事態が発生しかねないという意識は広がってきているように、もうすでに各地方自治体が対応マニュアルを作っておけばいいという時代ではなくなっているということです。一人ひとりが自分たちの地域の特性を知り、自ら対応マニュアルを作れるくらいの知識や実践能力を持つことを目標にしていかなければ、各家庭レベルで直面する様々な困難に対応することはできないでしょう。しかしながら、これらの方法論についての議論はあっても、そのために必要なソフトの開発費用や運用費となると、様々な施策を前に後回しにされている現実があります。

そこで私たちは、「公民連携による国・自治体等の行政サービス補完」という考えに則り、人々の危機管理能力の強化に向けて「民間企業の技術開発と事業化のスピード力を活用した協働でのプラットフォーム事業の創出を目指す」ことを最も有望な解決策の一つと考え、ここに共同研究を着手することといたしました。

少子高齢化が進む日本では、将来にわたって訪⽇外国⼈観光客や在住・在勤外国人の増加が見込まれ、ボーダーレス化によって日常の生活から災害時対応まで、ハードの通信インフラの重要性は必ずやましていくことでしょう。と同時に、それに伴って、ソフト面から「災害時の初動対応のみならず、停電時にも⼀定期間稼働してBCPの遂⾏を⽀える地域通信・情報サービスのインフラの整備」等もその他のハードなインフラ整備と⼀体的に進めていくことは国民生活を守る上で最低限必要な取組であり、そのための「先行投資」は、持続可能な地域の経営になくてはならない施策だと確信しています。

そこで、私たちは、「プラットフォーム事業による利益配分を行政サービスとしての運用費に充当する」という新しい事業モデルを打ち立て、各自治体とそれらを取り巻く民間企業の間で持続性のあるコンソーシアムを組成していく方法論の検証を行っていこうと考えています。そして、さらなる地域活性化の起爆剤とのシナジーを考え、地域が再投資していけるように「各地域での次世代の人財育成」にも力を入れていく計画です。とりわけ危機に強い次世代の人財がリーダーシップを発揮できるような強固な地域経営のスキームを各地で確立していきたいと考えています。こうした取組は、国連総会において2030年の世界に向けた社会変革のためのグローバルな目標として合意された「持続可能な開発目標(SDGs)」を私たちの地域社会において実践・推進する具体的なアクションにつながるものとして、世界的にも注目されることになるはずです。

共同研究スタッフ

*6th株式会社
松本恭輔 代表取締役社長(主任共同研究員)
冨山拓朗 コンサルタント(共同研究員)
*グローバル・リスク・ソリューションズ・センター(GRSC)
星野俊也 センター長(総括責任者):大阪大学大学院国際公共政策研究科教授(前国連大使)
塚本俊也 副センター長(事務局責任者): 大阪大学大学院国際公共政策研究科特任教授

プロジェクト内容

現場での危機管理の実践と人財育成を兼ね備えたまちづくりに向けた取り組みを共同研究のテーマとして実行していきたいと考えています。

  1. 「オールハザード」に対処しうるウェブ・ベースの安否確認・危機管理ソリューションの研究開発:災害に強いネットワーク上で動作できる危機管理対応+教育プログラムのウェブアプリ開発
  2. 在留外国人向け多言語安全・安心促進コンテンツの整備(翻訳体制の構築を含む)と実証実験:地域での災害時対応のためのフォーマットづくりと人財育成を兼ねた訓練想定の実証実験
  3. システムとコンテンツの国際標準化と社会実装(人材育成、社会啓発、事業化、世界展開を含む)の進め方の研究:運用のための公民連携スキームの検証
  4. グローバル活動におけるリスク・マネジメント支援として、日本の大学などの教育機関などから海外の教育機関への研修、留学、また国際ボランティア、インターンシップなどにおける危機管理研修のEラーニング・プログラムの開発。また、データを分析して、日本の大学生の危機管理に関する意識を向上させる。
  5. インバウンド留学生・技能実習生向けの日本滞在にける危機管理意識向上のためのEラーニング・プログラムを10言語(日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、フィリピン語、ネパール語)で開発する。