◆研究室紹介◆

星野俊也助教授研究室

(国際政治学、国際安全保障論)

「ニンジャのようだ」と外国人の研究者に言われたりもする。世界各地で学会、研究会に頻繁に現れる、「神出鬼没」性が、そのゆえん。「最新の動向、現場のにおいを知り、ネットワークを広げる意義は大きい」ので、院生にもフィールドに出ることを薦めている。

外務省に帰任した津守滋教授(現クウェート大使)の後任として、日本国際問題研究所からこの春、OSIPPに。「自分の大学院時代と比べて学生が積極的に接して来ること、優れた同僚の先生方に恵まれ、楽しく和やかに仕事できること」が、着任半年のうれしい印象だそうだ。
1979年、上智大学外国語学部の英語学科に入学、そもそもは言語学に関心があったが、2年のとき緒方貞子・現国連難民高等弁務官が上智に赴任し、その授業がきっかけで国際関係に興味が移った。以後、緒方ゼミで3年間国連などマルチの外交を勉強。東大大学院でも渡辺昭夫教授の下で研究を続け、在米日本大使館の専門調査員として実務面の見識も磨いてきた。
国際政治では「力」が重要なファクターとされるが、あえて「道義」や「秩序」を重視する、リベラル制度論的な立場との接点を探る。研究室や授業の雰囲気も、"リアリスト流"の力がぶつかり合うギスギスした感じではなく、先生−生徒間の"協調"や"信頼醸成"に基づく、自由で親密な空気がある。
星野研究室の特徴はその間口の広さにもある。所属する院生は18人(休学者含む)と多く、研究対象は、武力紛争や人道的介入、国連改革、米中台関係、ベトナム戦争、アジア太平洋の安全保障などの他、環境やNGO/NPO研究にもまたがる。
また、女性の院生はそのスタイリッシュなセンスも特徴に指摘する。アルマーニのスーツとフェラガモのタイを着用する教官は、確かに阪大では、あまり散見されないようだ。
学外では、ARF(ASEAN地域フォーラム)を支える「トラックU」活動や危機管理などの共同研究に参画し、他方、日本国連学会(仮称)の設立準備にも傾注。授業で模擬国連なども計画している。
目下の悩みはいかに授業に穴をあけないかということ。「でも夜行便や時差、経由地を組み合わせれば」と国際線の時刻表などを細かくチェック、国際政治学に「体力」の必要を感じることもしばしばと言う。


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