◆研究室紹介◆

高阪章教授研究室

(国際経済学、経済発展論)

「人に使われるのは嫌いだし、命令するのも好きじゃない。 Going My Wayなのはスタンフォードに留学する前から」。研究室の空気も「自由で放任的」(院生)だが、しかし一旦指導を始めると徹底的。授業は1時間ぐらい長引くし、個別の院生と2時間、3時間かけて話し込むことも。
京大経済学部を1972年卒業、同大大学院経済学研究科に進み、博士課程の途中からアジア経済研究所に就職。京大東南アジア研究センター助教授などを経て94年からOSIPPに。京大時代に森口親司教授(前OSIPP教授)のゼミに所属、大学院のときは阪大の蝋山昌一教授(前OSIPP教授)のゼミにも出してもらっており、「OSIPPにはその頃から来るべくして縁があったのかも」と振り返る。
京大では当時、マルクス経済学が本流だったが、「結論の決まった、イデオロギー的発想がきらい」で、公共経済学で論文を書いた。アジ研に移ってから国際経済学に関心が移行し、留学後は特にアジア経済に焦点を絞ってきた。
今回のアジア経済危機についても舌鋒は鋭い。「アジアの特殊性を危機の原因とする見解もあるが、クローニー・キャピタリズム(取り巻き資本主義)や企業経営の不透明性などは、経済発展のプロセスで普遍的にあるもの。特殊とか固有とか言ってしまうとそこで説明放棄になってしまう」と釘を刺した上で、「過去30年アジアがうまくやったのは十分誇れること。そんなにしょげることはない。日本はまず不良債権の処理」と話す。むしろアメリカ経済の行方に警戒感を示し「アメリカは明らかにバブル。いかにソフトランディングさせるか。アメリカがこけないうちに日本が回復しておかないとえらいことになる」と指摘する。
所属する学生は経済学研究科も含め約15人と多い。「OSIPPの院生はモチベーションが高く、家を建てようとするのは結構だが、かんな削りや鋸のひき方がわかってない。でも、かんな削りはうまいが家を建てる気がないというのも困るし」。教える側もその折り合いが難しいと言う。
よく通る声は、関西学院高等部以来、グリークラブで鍛練したもの。ミステリーファンでもあり、特にロバート・パーカーらアメリカの推理作家を愛読する。
また、海外出張の多さではT教授に次ぐそうで、最高は年13回。「あまりいなくて迷惑かけてます」。対抗上、「一回つかまえたら長く聞きます」と院生ら。放任と濃密−−このメリハリが高阪研究室の特徴だろう。


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