消費行動、NPOを分析−IPP研究会−

IPP研究会が開かれ1月29日、Univ.of Western AustraliaのMichael McAleer教授が、3月20日はYale Law SchoolのHenry Hansmann教授がそれぞれ、共通教育管理講義棟で報告を行った。

消費者の消費行動を説明するためにライフ・サイクル恒常所得仮説が利用されるが、流動性制約の存在により仮説が否定されることがある。 「Consumption, Liquidity, Constraints, Inflationary Expectations and Uncertainty」の演題で報告したMcAleer教授は、 アメリカの時系列データとOECD22カ国のパネル・データから分析。ライフ・ サイクル恒常所得仮説がアメリカとOECD国で適用されにくい理由は、従来の流動性制約からではなく、不確実性の存在からであるという結果を示した。

NPO(非営利組織)研究の専門家であるHansmann教授は、「An Interdisciplinary Approach to the Research on Nonprofit Organizations」のテーマで講演。営利企業ではコストの削減や生産性の向上を通じて利潤追求を考えるのに対し、NPOは収支均等という制約下で異なった行動様式をとり、ある種の社会サービスは、NPOの方がう まく供給できると指摘。信用やインセンティヴといったキーワードを用い、NPOに関する税制・法制などの分析に経済学が有効であると強調した。


外務省課長ら招き連続講演会

外務省幹部による連続講演会が1、2月にあり、最近の日本の外交政策の動向が解説された。文部省の高度化推進特別経費によりOSIPPが招いたもので、1月26日は総合外交政策局の川田司・国連行政課長が「国連改革」について、同31日には同局の山崎純・国際平和協力室長が「PKOの動向」に関して、さらに2月3日、経済協力局の堀江正彦・政策課長が 「ODAと外交戦略」をテーマに、それぞれ講演を行った。黒澤満教授、野村美明教授、木戸衛一助教授らはじめ、院生からも質疑があり、活発な議論が展開された。

また同様の特別経費により、岡真理・一橋大学講師が2月5日、「第三世界、アラブ・イスラームの女性たち」と題して講演、9日には名古屋大学大学院国際開発研究科の安田信之教授が「アジア法の方法と開発法 学の課題」について報告を行った。

さらに3月26日、日本国際問題研究所の星野俊也・主任研究員が、 サンフランシスコで開かれた国際シンポジウムに関して報告、最新のアジア太平洋情勢と日米安全保障政策を中心に率直な議論を紹介した。


シンガポールで国際会議

OSIPPとシンガポール・ナンヤン工科大学(Nanyang Technological Univ.)が共催する国際会議が2月5、6日、シンガポールで開かれた。

「市場経済における政府の新しい役割」をテーマに、林敏彦・前研究科長、蝋山昌一教授、辻正次教授、高阪章教授、マッケンジー・コリン助教授、山内直人助教授、松繁寿和助教授らが参加。金融の自由化、管理と 国際市場の統合、貯蓄、雇用、住宅医療などの政策、インフラ整備など 多様な具体的問題について、パブリックセクターとして政府がどういう役割を果たせるか、日本やアジアの例を挙げながら議論を行った。


問われるネズミ取り能力

院生室の猫、辻先生にもらわれる

OSIPPの研究室など入っているイ号館に、ネコが居着いていたが、このほど辻正次教授にもらわれていった。実家の両親が世話をするそうだ。

このメスの三毛猫は昨年夏頃からイ号館に出没。はじめは石鹸のにおいがしてきれいだったので、捨てられたらしい。人懐っこいのに加え、パソコンの横で居眠りしたり、院生の専門書をのぞき込んだりする知的好奇心も示し、かわいがられていた。

一方、ネコ好きの辻家には一時期10匹ほどいたそうだが、最近は 飼っていないためネズミが増殖。困っていたところ、たまたま帰りがけにこのネコを目撃し、三毛好きの同教授は一目で気に入ったのだそうだ。

ただ、院生に甘やかされたせいか相当の肥満体で、サンドイッチをやってもパンは残すという贅沢ぶり。辻教授も「こりゃダイエットしなくてはならんし、ネズミ取りの能力も未知数と言わねばならない」と冷静に観察している。

これまでは「ぶち丸」「ブタネコ」などと各人各様に呼ばれていたが、 京都の辻家では由緒ある愛猫名が受け継がれているのだという。「おまえはこれから3代目タマだ」。新天地でネコとしての真価が問われるタマはしかし、バスケットの中、あまりやる気なさそうだった。


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