研究室紹介

橋本介三教授研究室

(産業政策論、地域・都市開発論)

鷹揚な人柄そのままに、研究室の雰囲気も肩がこらず、明るい。自身が阪大の院生だったころは「ゼミでもたもたしてると『もう来なくていい』」などと、つるし上げられたそうだ。橋本研究室では、しごくわけではないが、「理論に裏付けられた政策論をきちっとできるように」という基本姿勢は、院生に徹底させている。
橋本教授はもともとは劇作家志望だったという。1962年、同志社大学経済学部に入学したが、当時は安保闘争の挫折感もあり、「学生運動より、人間に感動を与える」芝居の方に傾倒。同大の「喜劇研究会」の旗揚げにも加わった。院に進んだのは、当初「芝居では飯が食えない」と思ったためだが、一方で、当時隆盛だったマルクス経済学にも釈然としないところを覚えていた。
「『歴史の必然』とか、『行動で示せ』とか言ってるだけでは、知的には袋小路に入るだけ、という気がした」という。そんな折り、偶然本屋で見つけた故・熊谷尚夫阪大教授の著書が進路を決定づけることになった。日本の近代経済学の先達が説く、新古典派総合の理論は新鮮で、阪大経済学研究科進学後も熊谷研究室に所属。以後、熊谷理論の継承、発展が、研究の基本スタンスとなった。
岡山大学で23年間教えた後、92年から阪大教養部の教授、94年からOSIPPに。昨年、岡山大学の名誉教授に任命された。専門は産業組織論、地域計画、都市計画。瀬戸大橋に関連した地域計画、関西のスポーツ振興、関空関連の産業活性化など、学外の地域開発プロジェクトなどにも積極的に関与、学生にも随時、見学する機会を与えている。
院生は現在3名だが、他にOBや「ヨシゾー・ファン」らが集まって「金曜研究会」が開かれている。それぞれの研究テーマはマーケティング、事業戦略など多岐にわたるが、同教授の「専門外の分野でも謙虚に耳をかたむける姿勢、わからない学生には徹底して理解させる熱心さ」(院生)により、議論はいつも白熱。だいたい、議論はそのまま石橋の居酒屋に持ちこされ、愛好の焼酎と紫煙により、斬新な展開を遂げることになる。
「地域開発はクリエイティブなものなので、若い人のセンスを生かしたい」と話すが、「今の学生はちょっと勉強不足では」と苦言も。「リラックスした方が頭に血がめぐる」とめったに背広など着ない。しかし、教え子らが「だからと言って、いつも青いカーディガンばかりでは」と、新しいカーディガンをプレゼント。最近はちょっと雰囲気の違う「よしぞう先生」である。


NGO NOW!

国際協力 朝まで議論

関西NGO大学 中原 陽子(M1)

  関西NGO大学とは、関西NGO協議会(28団体)が主催する市民向けの国際理解・国際協力入門講座のことです。
毎年9月から翌年の2月までの半年間、月一回、1泊2日の全六回シリーズ講座で、今年は開校11年目を迎えます。ゲスト講師はNGO職員から大学教授、新聞記者、海外ミュージシャンと多彩。毎回夜の交流会ではそれぞれの経験や思いを語り、明け方まで熱っぽく語り合う人たちもいます。
講座のテーマや内容は毎年運営委員(NGO大学修了生、NGO職員で構成)により決められます。私は昨年の第10期NGO大学に参加しました。テーマは「生活に根ざした国際協力」ということで、第1回は南北問題と私たちの生活とのつながり、第2回がNGOからの代表者、企業の国際協力サークル代表者、新聞記者とによる体験談、第3回にはパプア・ニューギニアで音楽学校の講師をしているミュージシャンによる、民族楽器を使った演奏と講演がありました。その後、グループに分かれ、国際協力における宗教の位置、本当の豊かさとは何か、グリーンコンシューマーの消費の仕方などのテーマで議論。私は表現手段を活用して問題を伝えていこう」というグループに入り、森林破壊の寸劇を発表しました。
今年も第11期関西NGO大学が9月から開催されています。テーマは「生活の中にある国際」。興味のある方は以下まで。関西NGO大学事務局(関西NGO協議会内):〒530 大阪市北区茶屋町2-30、TEL/FAX 06-377-5144、e-mail sumiym@ppp. bekkoame.or.jp、担当 竹安・角(月〜金曜日の13時〜20時)