IPP研究会、3氏が報告

 IPP(International Public Policy) 研究会が4 月19日、5月9日、16日にOSIPP棟講義シアターなどで開かれ、それぞれ郵政省通信政策局政策課・課長補佐の今川拓郎氏、新潟大学経済学部教授の大住壮四郎氏、OSIPP専任講師の阪口規純氏が研究報告を行った。

今川氏、ITと年の経済成長

 今川氏は「Information Technology and Cities」と題して、ハーバード大学から取得した博士論文の一部を報告。情報通信の高度化(=ITの進展)が、都市の経済成長に効果をもたらすのか、それはどのようなメカニズムによるのか、という問題意識から、日本の各都市における人口、産業構造、職種が通信利用度に与える影響や、通信による情報が対面(訪問)による情報の代替財だけでなく、補完財としても機能するのか等について検証。

大住氏、ニューパブリックマネジメント

大住氏は「ニュー・パブリック・マネジメントの展開」と題して報告。ニュー・パブリック・マネジメントとは80年代半ば以降、行政実務の現場主導で形成されたマネジメント論のことで、民間企業の経営の考え方・手法を公共部門へ導入し、公共部門の効率化・活性化を目指す考え方。同氏はこの分野の第一人者で、その理論、背景、課題について総括的に解説。自治体の先進事例を挙げながら、指針などを提示した。

阪口氏、二本の安全保障と国連

 「戦後日本の安全保障と国連−国連軍参加に関する政府解釈の変遷を中心に−」と題した阪口氏の報告は、冷戦後の国連の平和強制行動の領域に対する日本の貢献のあり方を提案。憲法9条は国連の集団安全保障措置に対し一切の参加を拒むものではないとの見解に立ち、憲法制定期から湾岸危機に至る内閣法制局と外務省の憲法解釈の変遷過程を外交文書等の資料を用いて時系列的に分析し、同見解を裏付けた。特に岸、池田政権における林内閣法制局長官の見解を中心に、国連軍の行動が武力行使を伴うものであってもそれが国連の指揮、統制の下にあればそこでの自衛隊の行動は日本国の主権国家としての行動ではない、と解釈する余地が残されていることを明らかにした。


木戸助教授、独で客員教授に

 木戸衛一助教授はドイツ・ライプツィヒ大学政治学研究所で客員教授として9月より1年間、授業を担当する。講義はドイツ語で行われ、内容は日本の政治および現代史など。


助手に後藤氏

OSIPPの助手に後藤宇生氏が5月16日付けで採用された。
後藤氏は筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程で修士(経済学)を取得後、97年OSIPPに入学。Colin McKenzie助教授のもとで学び今年3月に博士後期課程を修了、博士(国際公共政策)を取得した。専門は応用計量経済学、特に産業政策や企業行動についての実証分析。


お知らせ
  

 ニューズレター編集部の体制が今春から変わりました。ニューズレターの編集・発行はOSIPP広報委員会の所管の下、助手の後藤宇生が現場での作業一般を監理・調整し、学生の重政公一(D2、元Japan Times記者)、岡村薫(D2)、小西ふき子(M2)、小田愛沙(同)、浅野桐子(同)、木根森敦子(M1)、澤雅美(同)が分担して取材、提稿します。また、全体の構成、原稿チェック、レイアウト、DTPなどは饗場和彦(前OSIPP助手、現徳島大学講師、元読売新聞記者)が引き続き担当します。今後ともよろしくお願いいたします。


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