研究プロローグ

橋本介三教授

(産業政策論、地域・都市開発論)

 

 

 同志社大学の学生当時、劇作家志望だったことは有名。修士論文を書く段階になって、「やはり一本に絞らねば」と演劇の道はすっぱり捨てた。以来、観劇もしていない。「観にいくと、ごちゃごちゃ考えるから」。
 大学院は、阪大経済学研究科の故熊谷尚夫教授のゼミに所属。ゼミでは林敏彦教授もいっしょだった。当時の指導は、「問題を指摘し、あとは自分で解決して来る、這い上がれなければ放り出す」という形。論文などを毎日明け方まで予習し、ひと寝入りして授業に行き、また課題。週5つ授業をとれば手一杯で、休日はひたすら眠っていたと言う。
 振り返ると、そういった熊谷先生の「"きつさ"が"やさしさ"だった」わけだが、翻って今の大学院は相当、様変わりした。「教官の学生指導は丁寧になったが、プロを育てるには向いていない。今の学生にはクリエイティビティと思考力が足りない」と手厳しい。
 産業政策論は「市場の構造や企業の価格形成、地域的集積など、一番現実に近いミクロ分野の研究で、泥臭いところが面白い」と言い、岡山大学勤務時代から地域活性化、都市計画などにも積極的に参画してきた。そして今は「関西経済の再興」に傾注。92年に大阪に戻ってから、関西経済の疲弊を身をもって実感。「グローバライゼイションを見据えながら、関西という一地域の復興を研究し、行動する――それが使命でもあり、夢。骨の埋め所だと考えている」。


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