◆研究室紹介◆


林敏彦教授研究室

(公共政策)

  

http://www.hayashiland.com/というホームページをご存知だろうか。「最近、ドッドコムを取得したんですよ。hayashiやtoshihikoはすでに取られていたのでhayashilandに。ディズニーランドみたいで夢があっていいでしょ」と満足げに話す。
情報通信は研究テーマの一つだが、自らも直接首を突っ込んで、現実の政策課題として扱うところが林イズム。インターネットの他、文・理共同研究のための大学院新構想などアイデアは尽きない。
京都大学経済学部卒、大阪大学大学院経済学研究科を経て、神戸商科大学助教授、大阪大学経済学部助教授、教授。94年からOSIPP教授。米・スタンフォード大学でPh.D.(経済学)。郵政省「電気通信審議会」委員や大阪府「総合計画審議会」委員など、学外での公職も多い。OSIPP創設の中心メンバーの一人として奔走、2年前に研究科長の職を下りたが相変わらず多忙だ。
林研究室の特徴は、その多様性と包容力だろう。99年度、林研究室に所属した学生は博士前期、後期課程合わせて20人で、所帯の大きさでは星野俊也研究室と並ぶ双璧。今年度も17人の学生を抱える。研究テーマも、電子マネー、廃棄物処理、公共事業、地方自治、雇用システムなど幅広い。
指導するのが大変でしょうねとよく言われるが、「それは捉え方の問題」だそうだ。「"子育て"という言葉が好きでなくってね。親も子供と一緒に育つもの。私と学生との関係も同じで、私が学生を一方的に指導するのではなく、私も学生に教えられている」。だから「林研では自分で研究を進めていける人でなければ伸びないんです」(D3の院生)と学生の側もその方針をくみ取っている。
「OSIPPには様々な学生が集まっているので、学生が自分の専門についてプレゼンテーションする場合にも、相手にわからせようとしなくてはならない。これは、一方では厳密さが求められ、他方では一般の人にも分かりやすくする必要のある『政策研究』に通じるもの」。この意味でも、OSIPPは政策研究の場として都合のよい環境にあるのだと言う。学生には、分析手法でも理論でも、問題意識でもよいから、他の人にはない特技を身に付けてほしい、と激励する。
学生と飲みに行くこともあるが「先生のカラオケは誰よりも上手い」とか。エッセイ集『経済学者の手帖』(92年、NTT出版)には、小沢征爾の指揮でオペラハウスの舞台に立った体験も綴っている。
「学識、人格はもとより、一般に大学人には欠けがちな学外社会での常識、バランス感覚にも優れた稀有の人」(OSIPP・OB)と評される、OSIPPの顔でもある。本人は好きな表現ではないだろうが、その"謦咳に接する"学生はいろいろな意味で学ぶところが多いはずだ。


偶感


―研究科長を終えて―
前研究科長 黒澤満


 今年の3月末をもって2年間の科長職から開放されることになりました。この2年間はOSIPPにとっても大きな展開および飛躍の年であったと思いますが、この重要な時期に科長職を無事終えることができホッとしています。1年目は共通教育A棟の6階に科長室があり、事務官の方々はすぐ近くにいましたが、教官はまだあちこちの建物におられたので、十分なコンタクトを恒常的にとることはできませんでした■2年目に入ってOSIPP専用の建物が完成し、事務の大部分は以前の建物に残りましたが、教官は1つの建物の中に全員がいることになり、その他のOSIPPの設備も充実され、OSIPPとしてのまとまりは格段に増大したと思います。その意味でOSIPP棟の完成は科長在任期間の最大の出来事であったと思います■また新棟竣工記念式典と同時に、OSIPP5周年記念の式典、講演会、祝賀会を開催できたことも大きな行事であったと考えます。これらの出来事によりOSIPPのアイデンティティも確立され、阪大全体においてもユニークな存在として認知されるようになりました■研究・教育活動については、自己評価をも含めた『5年間活動報告書』を刊行することができましたし、将来構想としての『OSIPP2010』も作成。さらに新たに設けたアドバイザリー・ボードや、外国人5名と日本人8名に委嘱した外部評価により、さまざまな意見を伺いました。また学生による授業評価をも実施し、トランスペアレンシーの増大もはかりました■これらの進展については、同僚の教官や事務の方々の積極的な参加と協力があったからであり、これらすべてのことに対し、心よりお礼申しあげます。
              (前研究科長・黒澤満)

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