http://www.hayashiland.com/というホームページをご存知だろうか。「最近、ドッドコムを取得したんですよ。hayashiやtoshihikoはすでに取られていたのでhayashilandに。ディズニーランドみたいで夢があっていいでしょ」と満足げに話す。
情報通信は研究テーマの一つだが、自らも直接首を突っ込んで、現実の政策課題として扱うところが林イズム。インターネットの他、文・理共同研究のための大学院新構想などアイデアは尽きない。
京都大学経済学部卒、大阪大学大学院経済学研究科を経て、神戸商科大学助教授、大阪大学経済学部助教授、教授。94年からOSIPP教授。米・スタンフォード大学でPh.D.(経済学)。郵政省「電気通信審議会」委員や大阪府「総合計画審議会」委員など、学外での公職も多い。OSIPP創設の中心メンバーの一人として奔走、2年前に研究科長の職を下りたが相変わらず多忙だ。
林研究室の特徴は、その多様性と包容力だろう。99年度、林研究室に所属した学生は博士前期、後期課程合わせて20人で、所帯の大きさでは星野俊也研究室と並ぶ双璧。今年度も17人の学生を抱える。研究テーマも、電子マネー、廃棄物処理、公共事業、地方自治、雇用システムなど幅広い。
指導するのが大変でしょうねとよく言われるが、「それは捉え方の問題」だそうだ。「"子育て"という言葉が好きでなくってね。親も子供と一緒に育つもの。私と学生との関係も同じで、私が学生を一方的に指導するのではなく、私も学生に教えられている」。だから「林研では自分で研究を進めていける人でなければ伸びないんです」(D3の院生)と学生の側もその方針をくみ取っている。
「OSIPPには様々な学生が集まっているので、学生が自分の専門についてプレゼンテーションする場合にも、相手にわからせようとしなくてはならない。これは、一方では厳密さが求められ、他方では一般の人にも分かりやすくする必要のある『政策研究』に通じるもの」。この意味でも、OSIPPは政策研究の場として都合のよい環境にあるのだと言う。学生には、分析手法でも理論でも、問題意識でもよいから、他の人にはない特技を身に付けてほしい、と激励する。
学生と飲みに行くこともあるが「先生のカラオケは誰よりも上手い」とか。エッセイ集『経済学者の手帖』(92年、NTT出版)には、小沢征爾の指揮でオペラハウスの舞台に立った体験も綴っている。
「学識、人格はもとより、一般に大学人には欠けがちな学外社会での常識、バランス感覚にも優れた稀有の人」(OSIPP・OB)と評される、OSIPPの顔でもある。本人は好きな表現ではないだろうが、その"謦咳に接する"学生はいろいろな意味で学ぶところが多いはずだ。