研究プロローグ

木戸衛一 助教授

(ドイツ現代政治)

 

「駅のそばに公園も交番もあるが、公園の前に交番はないのです」。漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で"有名"な葛飾・亀有に3歳の時から育つが、事実は必ずしも漫画とは違い、町の変貌は嘆かわしいほどだそう。
 東京外大ドイツ語学科卒、同大学院地域研究研究科、一橋大学大学院社会学研究科、同大学助手を経て90年から阪大教養部講師、94年からOSIPPに。
 ドイツに関心を持ったのは一つには、「クラシック音楽にひかれて」。小学校2.3年の頃から箸を振って指揮者の真似をしていたほどで、大学でもオーケストラでチェロを弾いていた。

79年夏、ドイツの居酒屋で(大学3年生)
 

政治的な面でのきっかけになったのは、高校生の頃、偶然読んだ新聞の投書だと言う。都知事選で3選出馬した美濃部亮吉氏と石原慎太郎氏(現・知事)が争った際、社・共が分裂した様を、ヒトラーが台頭していったワイマール共和国にたとえて警鐘を鳴らした投書に刺激を受け、当時の経緯を調べたりするうちにドイツ史への関心が固まっていった。
 「ドイツの私の父母」と慕う牧師夫婦がいる。「日本の管理社会と、それへのガス抜きとしての消費主義」に違和感を覚えていた学生時代、その東ドイツ(当時)の家庭に2ヶ月滞在する機会があり、「物がなくてもゆとりのある生活、目先に振り回されない考え方」に人生観が大きく変わったと言う。
 日本型の縦社会、権威的なものへの懐疑から、院生にも「先生」ではなく、名前で呼んでほしいそうだ。「院生ともっと横の関係で意見交換したい」と談論風発のOSIPPを志向する。


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