COE化戦略ほぼ固まる

4つの柱

☆アイデンティティ

☆ 研究・教育基盤

☆ ネットワーク

☆ 情報発信

 

OSIPPでは「公共政策」研究における中核的な研究・教育機関=COE(Center of Exellence)を目指して、さまざまな試みを展開している。基本路線を示す「COE化戦略」案の策定も大詰めを迎え、7月15日には阪大国際公共政策学会(OSIPP学会)の活動としてパネルディスカッションが行なわれた。学外の企業、団体を対象にした外部評価インタビュー、学生による授業評価アンケートなどもまとまり、それらを通して浮き彫りになったOSIPPの目指すべき方向性、課題などを取り込みながら論議が重ねられている。

 「OSIPP VISION 2010−「公共政策」研究のCOEを目指して−」と題した戦略案が固まりつつある。OSIPP将来構想委員会、教官・学生で作るCOEタスクフォース、三和総合研究所が調査、検討してきた成果のまとめになるもので、2010年をめどにしたOSIPPの将来像とその実現のための方策を提示している。
 まずCOE化の目標として、1)世界水準の「公共政策」研究の推進、2)高度な専門的職業人の輩出、3)行動型研究者の養成、4)研究成果の還元/社会貢献――の4点を明記。そのための戦略として4つの柱と、具体案(戦術)が示されている。
 一つ目の柱が「アイデンティティの強化」。「公共政策」の中身を捉え直すとともに、現代社会が直面する諸課題の分析とその解決策の提示というアプローチで、独自の成果を目指す。具体的には法政系、経済系のスタッフ、学生が共同で取り組める重点研究プロジェクトの立ち上げなど。
 次の柱が「研究・教育基盤の拡充」。高度な研究、教育を支えるには様々な制度、設備、財源が不可欠。そのため、国立大学の硬直性を排した別組織、「国際公共政策研究センター(IPPRC)」(仮称)設立などが考えられる。
 3つ目が「重層的な国内・国際ネットワークの構築」。研究、教育、社会貢献の成果を生かすにはネットワークが重要。政府、自治体、企業、大学、国際機構、NGO/NPOなどとの協力関係の拡大、同窓会の充実など。
 最後の柱は「国内・国際的な情報発進力の強化」。プレゼンスを強化するには外部への効果的な発信が必要で、「公共政策研究叢書」、「政策ニューズレター」などの新しい媒体、阪大や個人教官の高い知名度をOSIPPとして生かす点などが指摘されている。
 今後、パネルディスカッションの議論や、学外の有識者らでつくるアドバイザリーボードの意見を聞き戦略を確定、具体的な活動に乗り出す。

「学生の競争心も鍛えるべき」

 パネルディスカッションではまず「OSIPP VISION 2010」の原案を書いた星野俊也助教授が概要を説明、それについて三和総研の江島由裕、片山泰輔両氏をはじめ、フロアの教官、学生らが意見交換をした(=写真)。
 両氏は、「今はスピードが求められる。十分でなくてもまず始めるのが大事。政策研究の組織は学外にも増えてきたがOSIPPの強みは教育もできること。学生に危機感を持たせ競争心を鍛える面も必要」と指摘。教官からは「大学院は教える本人がまずいい研究をすることが第一」「社会人向けの短期コースの開設など考えるべき」などの意見も出て、議論は白熱した。

「問題の解決策提示を期待」

外部評価インタビュー

 OSIPPは、通産省、大阪府、国連地域開発センター、松下電器産業、神戸新聞、関西経済同友会、日本総合研究所など16の組織、企業を対象に採用状況、国際関係・公共政策関連大学院への期待などについて、三和総研に委託して聞き取り調査を実施。その結果によると、1)採用する側は、学生に専門的知識・分析能力など即戦力の要素がある事は評価するが基礎的能力と人格を重視する傾向、2)社会人に対する再教育機関としての高い需要性、3)OSIPPの知名度不足、4)政策現場との接点の増加、現実的な問題解決策の提示を期待する声の大きさ、5)OSIPPのユニークな取り組みに対する好印象、などが指摘された。



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