亡国の土建国家から脱却を

跡田 直澄(公共経済学、教授)


目次へ


シンクタンク探訪

大和銀総合研究所

 「関西、アジアに軸足を置いた地域密着型のシンクタンク」(伊勢戸義彦・企画渉外本部長)として、特徴性を出している。大和銀行を母体として1987年に設立。研究員は約110人で、主として東京本社が全国的なマクロ経済、大阪本社が関西圏の地域経済を担当。規模としては中堅だが、大和銀行譲りの「関西に根を生やした」研究活動で成果をあげている。
中でも注目されるセクションが「近畿経済研究部」。同部では毎年近畿2府5県(福井も含む)における近畿経済見通しを発表。この見通しは他社には例のないもので、信頼度も高い。それによると今年の近畿圏の見通しは、成長率は国レベルより0.1%低く1.1%。昨年よりはよくなり、明石海峡大橋の開通という好材料もあるが、産業構造として中小企業が多く、アジアの経済混乱の影響などもあり、景気はさほど改善しないという。
また、同部ではこれまで、関西国際空港の経済効果、阪神・淡路大震災の復興需要など地域性がありタイムリーな自主研究も実施。昨年は、今年4月に開通する明石海峡大橋の経済効果を分析し、他社に先駆けて発表した。それによると、開通により1507億円の経済効果が予想され、近畿の成長率は0.18%押し上げられる見込み、とされている。
海外拠点はロンドンと香港に置き、特に成長著しいアジア・オセアニア地域を重視している。「経済調査」「アジア・オセアニア情報」「ダイワアーク」などを発行、研究環境は各人の持ち味を生かし、自主研究も行えるよう配慮されているという。