OSIPP NEWSLETTER
2003年 冬号 No.25


OSIPPは大阪大学大学院国際公共政策研究科(Osaka School of International Public Policy)の略称です。
マッケンジー教授、慶大に
阪大に13年
「新しいチャレンジしたい」


 OSIPPのコリン・マッケンジー教授は3月末でOSIPPを離任し、4月から慶應義塾大学経済学部の教授に着任する。
 同教授は1957年生まれ。オーストラリア国立大学経済学部卒、同大学院でPh.D.取得。89年から大阪大学経済学部助教授、94年からOSIPPに。専門は計量経済学、特に2段階推定問題と人工変数問題、推定したモデルの評価などに関する研究。著書・論文は、『EViewsによる計量経済分析』(共著、東洋経済、2001年)、"Keynesian and New Classical Models of Unemployment Revisited," Economic Journal, 101 (1991) (with M. McAleer); "Simple Procedures for Testing Autoregressive versus Moving Average Errors in Regression Models," Japanese Economic Review, 50(3) (1999) (with M. McAleer and L. Gill)など多数。
 OSIPPは94年に発足したが、同教授は創設メンバーの1人であり、今年10年目を迎えるOSIPPを軌道に乗せるため大きく貢献してきた。学内外の研究者を招き、教官、学生がともに参加し議論できる場としてIPP(International Public Policy)研究会を発足させ、授業でも「英語論文の書き方」「インターンシップ」などを開設、「経済と法の融合」「実践的な教育」などを特に心がけてきた。
 マッケンジー教授の話「阪大に来た当初は任期が3年だったが、もう13年以上いてしまい、新しいチャレンジがしたくなった。受験者が多いのは、OSIPPのサービスに対するディマンドが大きいからであり、特に修士課程ではOSIPPを作った意味、成果がかなりある。ただ、創設時は何もなく教官も学生も苦労したが、今は恵まれてきたため学生が受身になっている。OSIPPは他大学と比べていろんなことができる環境にあるのでもっと積極的にこの機会を生かして欲しい。」


大学対抗ネゴシエーション・コンペ

初の開催、OSIPP・法研チームも健闘

大学間で交渉学習の成果を競う「インターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティション」が02年11月16・17日、上智大学(東京都千代田区)で開催された。大阪大学、上智大学、東京大学、名古屋大学から70名を超える大学生・大学院生が参加、阪大チームはOSIPPと大学院法学研究科などの学生で構成された。
今回が初めての試みで、「交渉に対する社会の関心や交渉学習のインセンティブを高めるため、大学を越えた対抗戦の場を設けるよう」と、インターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティション運営委員会(NEGOCOM)が開催した。日本語の部、英語の部の総合得点により優勝したのは東京大学で、10万円分の図書券が贈られた。
コンペでは日本のメーカーと米国の印刷会社の間で売買取引に関する紛争が起きたと想定。各大学が両社のいずれかを担当し、解決のための交渉が求められた。当事者間の和解交渉と仲裁人による審理の2ラウンドで、実際の国際商事仲裁で活躍する専門家が仲裁人を担当した。
運営委員会の委員長を務め、OSIPPのネゴシエーションの授業も担当する野村美明教授は「日本ではまだ『交渉は人格だ』とか言われ、実務教育としての交渉学があまり認知されず、もっと普及していく必要がある。今回阪大チームは英語部門に出なかったので総合得点では東大に譲ったが、日本語部門では大変評価が高かった」と話している。


学位論文審査会で厳しい指摘


学位論文のための口頭報告審査会が12月5、6日、OSIPP棟で開かれ、今年度末に学位取得を目指す博士前期(修士)課程の36人、同後期課程の6人が作成中の論文を発表した。報告の後、指導教官である主査1人と副査2人による質疑が行われ、「参考文献が不足している」「論文の目的自体を問い直す必要がある」といった緊迫したやり取りが見られた。審査会は該当学年以外にも公開されており、多くの学生が傍聴した。
 修了予定者は指摘を受けた問題点を修正し1月に最終的な論文を提出、学位論文審査委員会の審査を経て、教授会で最終的な決定がなされる。