1998年 春号 No.6


新研究科長に黒澤教授

←図書館前で院生らと談笑する黒澤・新研究科長

OSIPPの研究科長として新たに黒澤満教授が就任した。1月のOSIPP 研究科委員会で投票により選出された。任期は今年4月から2年間。川島慶雄・前教授(現帝塚山大学法政策学部長)、林敏彦教授に続く3代目の研究科長。

今後のOSIPPについて同教授は「川島、蝋山(昌一)先生が基礎を作り、林先生が発展させた今の方向性に沿って、尽力したい。今年末には新校舎ができて、やっと一人前になる感じ。バラバラになっていたのが 一つにまとまる意味は大きく、教員と院生との交流も活発になるだろう」と話し、新校舎完成を契機にいっそうの研究、教育体制の充実を図る考え。具体的にはまず国際公共政策学会を5月に発足させる。

COE(Center of Excellence = 中核研究機関)として、関西から政策提言できる能力を高めるため、外部との交流も活発化したい意向。他大学との単位交換を拡充し、学外から多彩な講師を招聘するほか、特に核軍縮や環境の問題では理工系の知識も重要であるため、自然科学分野との学際交流も考えている。

課題の一つとして、知名度不足を指摘。正式名を言わなくてもOSIPPだけで通用するようPRにも力を入れたいとしている。

黒澤教授は一九四五年生まれで、大阪府立住吉高校の出身。 阪大文学部哲学科を卒後、同法学部に学士入学。同法学研究科 に進学し、博士課程を単位取得退学、七六年新潟大法学部の講 師に。同助教授、教授を経て、九一年阪大法学部教授、九二年 法学博士(阪大)、九四年からOSIPPの教授。八〇年から二 年間は米バージニア大学客員研究員。専門は国際法で、特に核 軍縮問題を中心に国際安全保障全般に見識が深い。


博士の学位7人に

総代にコンゴロ氏、修士は39人に授与

大阪大学学位記授与式が3月25日、大阪・中之島の市中央公会堂で行われ、OSIPPでは修士(国際公共政策)の学位が39人に、博士(国際公共政策)の学位が7人にそれぞれ授与された。 OSIPPの博士号授与者はこれで13人となった。

式は全学合同で行われ、修士総代として岡田仁志氏が、博士総代としてチマンガ・コンゴロ氏(コンゴ民主共和国=旧ザイール出身)がそれぞれ、岸本忠三総長から学位記を受け取った(=写真)

式後、梅田で記念パーティが開かれ、教職員や在校生も含めて約60人が参加、修了生らを祝福した。社会人学生として博士号を取得した松田 貴典氏(54)は「OSIPPに惚れ込んでやってきてよかった。先端的知識、若さ、人脈の三つを得られ、『老いて学べば死して悔いなし』を実感しています」と、喜びを語っていた。

林敏彦・前研究科長は「今回の博士号取得者の中には社会人でありながら、1年あるいは2年で修了した人もおり、在学生にとっても大きな励みになるだろう。苦労して得た学位なので、各々の道で自信を持って進んで欲しい」と激励していた。

博士号取得者の氏名と論文題目は以下のとおり。

▼岡田広司「情報通信における技術革新とビジネス戦略」▼加納正二 「地域金融の比較経済分析」▼西尾彰「日本の資本市場の実証分析」▼Tshimanga Kongolo「THE INTERNATIONAL INTELLECTUAL PROPERTY SYSTEM AND DEVELOPING COUNTRIES BEFORE AND AFTER THE TRIPs AGREEMENT: A CRITICAL APPROACH」▼宮原勝一「公的金融システムの経済分析」▼奥井めぐみ「日本の賃金格差に関する実証分析▼松田貴典「情報システムの脆弱性−情報技術のビジネス活用 の高度化に伴う脆弱性−」(順不同、敬称略)

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