ミャンマーの留学生 ソー・ユ・ウィンさん

商事仲裁法で博士号

  「すごくうれしいです。先生方に心からお礼申し上げたい」。学位記授与式が7月3日、阪大本部で行われ、OSIPPではミャンマーからの留学生、ソー・ユ・ウィン(SAW YU WIN)さんに博士(国際公共政策)の学位が授与された。法律系の分野で、ミャンマーの留学生が日本で博士号を取得するのはこれが初めて。OSIPPでは今年3月の5人に続き、6人目の博士号取得者。
ヤンゴン大学法学部出身のソー・ユ・ウィンさんは、1992年、国費留学生として阪大の法学研究科修士課程に入学、94年同課程を修了し、そのままOSIPPの博士後期課程に進学。野村美明教授の指導の下、主に国際取引法の研究を進め、このほど博士論文「ミャンマーにおける商事仲裁法の国際化」を完成させた。ミャンマーでは立ち後れている、国際取引紛争ルールの近代化、国際化を説くもので、今後、同国が経済発展を遂げていく上で不可欠の法整備として、その意義や問題点を論考している。
日本での勉強では、法学書の難しい漢字や古い日本語の表現に苦労したそうだが、先生、友人、研究環境に恵まれて、充実した留学生活だったという。 「ふるさとのミャンマー料理が楽しみです」と話し、授与式の翌日、6年ぶりの帰国の途についた。今後は母国で、日本などの外資系企業で働きたい意向。


インターン制度

高い関心、多様な効果
院生らが報告書まとめて提言

インターン制度の導入を提言する「インターンシップ報告書」が、OSIPP院生有志らでつくるグループ、「PPPronet(プロネット=Public Policy Professional Network)」によりまとめられ、このほど学内外の関係者に配布された。同グループは、野村美明教授のプロジェクト演習「リーダーシップを考える」の授業がきっかけで発足。OSIPP改善策の一環として学生の関心が高いインターン制度について調査した。
この制度は、机上で学習した理論、知識を現実の世界で体験、実践することにより、幅広い学習効果を得ようという教育プログラムの一種。欧米では普及しているが、学生、学校、企業いずれの側にも多様な効果が期待できるため、最近、日本でも注目を集めている。
同グループが院生79人に対して行ったアンケート調査では、M1では約9割、M2以上の学生も約5割がインターンシップの参加を希望。その理由としては「実務経験を積みたい」「人的つながりを得たい」「研究に役立てたい」などが多く、対象としては国際機関、官庁・公共団体、民間企業などが挙げられた。
また、同グループはすでにインターン制度を実施している他の9大学、大学院の実情も調査。各校の制度にはばらつきがあるが、いずれの場合も、学習と就職活動の両面から成果が期待されている。
同報告書は、これらの高い関心を踏まえて、特にOSIPPのような「学術的、かつ実践的知識のある、世界的視野の専門的職業人」を養成する研究科では、インターン制度は不可欠ではないか、と結んでいる。同グループでは冬休みに試験的なインターン制度を試みる計画。
これについて、林敏彦研究科長は「政策研究においても学習効果が期待できるので、単位として認められるために、早ければ来年度より制度化できるよう検討したい」と話している。
同グループやインターン制度に関する問い合わせなどは降矢直人・代表(M2、tel/fax:078-882-0951、e-mail:nfuriya@osipp. osaka-u.ac.jp)まで。


木戸助教授ら独研修旅行を主催

OSIPPの木戸衛一助教授は、法学部のロエスラー教授とともに独研修旅行を主催、8月16日から約20日間、学生を引率してドイツ、ベルギーを訪問した。24名の一行はドイツ連邦憲法裁判所、EUやNATOの本部などを見学、在独日本大使館では元OSIPP教授の神余隆博公使とも交流した。