活動報告

論 文

著 作

学会・シンポジウムでの報告等


松岡 博 教授

国際私法

研究プロローグ

凡庸の学生なら、授業が教授とのマンツーマンになってしまうと、たいてい身の不幸を悔いるものである。「いや、私もまさか、と思いました」。阪大法学部4年のとき(写真=左)、国際法の大淵仁右衛門先生の授業に出たら、生徒が他にいなくて驚いたそうだ。しかし、才幹のある学生は違う。しばらくすると、それを悔いるどころか、「贅沢な環境だ」と思うようになる。松岡先生は毎回一人で報告し、指導を受けているうちに勉強する楽しみがわかり、ほどなく研究者を志すようになったという。
同じ大淵研究室の4年先輩である川島慶雄先生が国際公法を教え、松岡先生は国際私法を担当、助教授の35歳のときには、フルブライト奨学生としてハーバードロースクールに留学した。当時の日本の学界では法律の文言の厳密な解釈論が主流だったが、松岡先生はアメリカ流の革新的、自由な発想を重視、実質的正義に基づく柔軟な国際私法論を展開し、先駆的業績を残した。
こういった進取の気性は学問に限らず、大学改革にも反映。学際的な新しい大学院の必要性を見通し、OSIPP創設の原動力となった。「今のOSIPPでは経済系と法政系の間に溝があるかもしれないが、どちらかに本体を置くのでなく、枠にとらわれない自由な発想で、新しいディシプリンを作るんだ、という気概でやってほしい」と語る。
 現在は副学長の職にあり、OSIPPでは協力講座教授の立場だが、その温厚篤実な人柄から学生の人気も高い。ただ、多忙過ぎて最近、愛唱の「堀内孝雄」を聞かせてもらえないという不満が出ているとか。