新世界秩序探る国際シンポジウム開催

 大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)は1月31日、日本国際問題研 究所と共催で、冷戦後の新世界秩序を探る国際シンポジウム「グローバリズム、リージョナリズム、ナショナリズム―深化する日米欧の相互依存―」を開催した 。大阪・豊中市の千里ライフサイエンスセンターで行われた同シンポジウムには 、ハインリッヒ・ディークマン駐日ドイツ大使や米ラルフ・バンチ研究所のベンジャミン・リブリン所長、横田洋三・東京大学教授ら国内外の著名な研究者が出席、多様化する国際関係や国民国家の変質等の問題について発表・討論を行った 。

深まる相互依存関係を考察

午前の部の「グローバリズム、リージョナリズム、ナショナリズム」ではまず、渡辺昭夫・青山学院大学教授が「日本のグローバリズム、リージョナリズム 」と題し発表。「日本は米国を排除するような形の経済のリージョナル化に全面的にコミットすることは不可能」と指摘、「世界化と地域化の流れの中で適当なバランスを維持し、米国、中国とともに『太平洋の協調』を目指すべき」とした 。
 続いて、リブリン所長が「米国とマルチラテラリズム」の中で、米外交の特殊性について詳述。「相互依存の高まる現代にマルチラテラリズムを否定するのはアナクロニズム」としながらも、米国が依然として二国間関係の重要性を重視していることを強調。国連の権限強化を牽制した上で、こうしたマルチラテラルな組織とも「選択的」に協調するなど二国間及び多国間関係を状況に応じて使い分ける「プラグマティズム」を米外交の本質であるとした。
午後は横田教授や日本国際問題研究所のポール・ステアーズ主任研究員らが 「国民国家の可能性と限界」をテーマに発表。ステアーズ氏は冷戦後の安全保障問題について従来の国家中心のパラダイムが@経済や環境問題の重要性増、A国連などの集団的意思決定機構の発展や人道的ミッションの増加などで変質しつつあるとした。


「日独関係をEUとアジアの架け橋に」 ディークマン・ドイツ大使

シンポジウムの異議、日独関係のあり方などについて、ハインリッヒ・ディークマン駐日ドイツ大使に聞いた

 ―まず、今回のシンポジウムをどう思うか?
 ディークマン 国際関係のグローバル化、リージョナル化を考察するシンポジウムは up-to-dateで、非常に意義深い。研究者だけでなくトップビジネスマンがたくさん聴きに来ていたことがシンポジウムの重要性を物語るのではないか 。

 ―新秩序の中で、日独関係はどうあるべきか?
 ディークマン ドイツは ヨーロッパ連合を強力に押し進めているが、日本がAPECなどを通じてアジアでリーダーシップを取り、両国がEUとアジアの橋渡しになればと考える。

 ―日本の外交に何を期待するか?
 ディークマン 日本はもっと国益を重視し、独自性のある政策を自信をもって追求すべきではないか。ドイツはEU内で独自性と強いリーダーシップの発揮を実践しているが、これは「強いドイツ」がEUの密接なネットワークづくりに役立つと考えているからだ。

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証券取引自由化を多角的に考察  
―OSIPP寄付講座の ファイナンスコンファレンス

OSIPPの資産管理サービス産業寄付講座が主催する第6回大阪大学国際ファイナンスコンファレンスが1月21,22の両日、大阪・豊中市の千里ライフサイエンス センターで開かれ、米ヴァンダービルト大学のハンス・ストール教授やベリンダ ・ブレイン米国証券取引委員会主任らが証券取引システムの現状や取引の自由化に伴う新しい法規制などについて報告を行った。


規制緩和と民営化の是非を問うシンポジウム

−メルボルン大と共催−

コンファレンスではまず、ストール教授が米国の証券取引システムについて詳述。従来、取引所で行われている「競売買制度」と、証券取引自由化の中で拡大しつつある「ディーラーズシステム」を比較検討。さらに同一銘柄に2種類の相場が立つ可能性のある現状について述べ、自由化の是非を考察した。
 続いて英国のリサーチ会社「オックスフォード・ファイナンス・グループ 」のルービン・リー氏は、証券の情報ヴェンダーの出現や証券取引のコンピュー ター化で問われつつある取引所の意味、新しい証券取引の法規制の問題などについて発表。ブレイン証券取引委員会主任は、証券取引を監督する立場から、二重相場を規制するためのルール改正について論じた。
 このほかQUICK総研の宇野淳・金融工学調査室部長が日本の証券取引における重複上場制度の問題点を「クロス取引」という側面から考察するなど、国内外の証券取引システムの問題点に対し重層的な検討が行われた。
 同コンファレンスはOSIPPが「国際学術研究共同研究計画」として海外の大学と3年連続で開催するもので、統一テーマは「アジア太平洋協力関係における日本の役割」。
 昨年、米コロンビア大学で行われた第1回コンファレンスに続いて、今年は オーストラリア・メルボルン大学との共催となり、OSIPPからは林敏彦・研究科 長や蝋山昌一教授、辻正次教授、コリン・マッケンジー助教授、松繁寿和助教授が参加。海外からはヒュー・パトリック米コロンビア大学日本経済経営センター所長や、オーストラリア国立大学のピーター・ドライスデール豪日研究センター 所長らが各国の現状を紹介した。
 コンファレンスではまず、「セッションT概観」でマッケンジー助教授が日本における規制緩和や企業民営化のマクロ的効果を分析、ドライスデール所長は国際的な競争力を得るという強いモチベーションのもとで段階的に進められつつあるオーストラリアの規制緩和の実情を説明した。
 「セッションU民営化」では公共性が強い企業の民営化の是非がテーマとなり、日本の旧国鉄やオーストラリアの航空会社、空港などの民営化事業を検討。 経済原理によって損なわれる可能性のある公益と企業の効率性のバランスが論じられた。
 この後、コンファレンスでは「労働市場の改革」や「金融市場」「競争原理」などをテーマに、各国の規制緩和や自由化の現状、問題点などの検討が行われた。
 なお、同コンファレンスの詳細はOSIPPがディスカッションペーパーとして発表する予定だが、参加各研究者の論文に興味がある人はマッケンジー助教授まで。

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国際取引の法整備めざし日韓協力促進

−準備研究でOSIPP教授訪韓−

 OSIPPの松岡博、野村美明両教授(いずれも国際私法・国際取引法)は法学部の渡邊惺之教授とともに、国際取引の法整備に向けて韓国の研究者との人的交流、情報交換を促進するため、3月1-4日に訪韓した。ソウル市内では「韓国国際私法学会」の研究者と両国の研究協力体制作りを目指して意見交換し、大田高等法院で開かれたシンポジウムでは松岡教授が日本における法整備の現状と課題について講演を行った。
 この訪韓は、野村投資信託がOSIPPで開設している「資産管理サービス産業寄付講座」の助成金による研究活動の一環。国際取引の法整備については日本で も紛争予防や適切な解決に向けて法及びシステムの整備が急務となっていることから、OSIPPでは同テーマについて日韓の研究教育協力のための準備研究を進めることを決めた。
 韓国国際私法学会との意見交換では、韓国の研究者を日本に招聘しての共同研究の実施や東アジアで条約による統一法作成に向け努力することなどが話し合われた。シンポジウムでは松岡教授が、国際取引法の立法整備、紛争解決シ ステムの整備など4点について将来的なビジョンを示した。



研究室紹介黒澤満教授ゼミ

核軍縮へ向け提言も活発に

 「冷戦が終わった今は、核軍縮を進める絶好の機会」と力を込める黒澤教授。軍縮に関し様々な動きの見られた昨年度は、文字どおり世界を飛び回って活動した。
 フィンランドや米国、中国では会議で報告に立ち、包括的核実験禁止条約を 交渉中だったジュネーブ軍縮会議や米国務省、同エネルギー省などでは情報収集を、またウィーンで開かれた国際原子力機関総会にも出席している。
 ほぼ毎年参加している国連軍縮会議の開催地・広島では、地元のNGOからも 国際法の見地からの意見を求められる立場。
 短期的な対応に終始しがちな行政府と、理想論に偏りがちな非同盟組織、「具体的な道筋を示してその両者を結び付けるのが私の役割」という。
 この「具体的な道筋」の例を示 しているのが、昨年6月から8回にわたって全国紙に掲載されている論文(朝日新聞朝刊)。兵器用核分裂性物質の生産停 止など「まず必要な6つの措置」や「ジュネーブ軍縮大使の任期延長を」といった制度面の改革など、毎回積極的な提言を行っており、関係省庁からも反応が寄せられるという。 OSIPPで黒澤教授を指導教官としている学生は、社会人とスイス人留学生各1名を含む11名(96年度)「全員発表、全員質問」を義務づけた研究会を数ヵ月ごとに開くという厳しい指導もある一方、泊りがけでスキーやテニスに出かけ、教授自ら御自慢の腕を披露、学生との談笑に加わることもあるという気さくな雰囲気もあるとか
 「学生はどんどん海外に出て国際的な視野をもってもらいたい」という黒澤教授。「例えば日本では核兵器をつくるなど想像もできないが、海外では『日本のH2ロケットはICBMと一緒、核弾頭さえつければ核ミサイルになる』と指摘される。日本の国際的信頼がどういうものか実感すべき」という。種々の提言は 、現実を冷静に見るこの眼に支えられてこその重みと改めて気付かされる。

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交流

米国ハワイ大学助教授(計量経済学)ルイジ・エルニミ客員教授

 日本での研究テーマは、「ボーナスの存在が消費活動にどう影響するか」。 欧米先進国など個人が銀行ローンを頻繁に利用する国との比較を行い、ボーナスの有無が人生のプランニングに与える影響を調査する。
「日本はユニークな給与システムを採用しており、その消費行動は非常に興味深い。特に関西は消費者のサンプリングに最適」。実業家としてのキャリアからか、商業都市・大阪に対する関心が高い。 1945年、ローマ生まれ。ローマ大学で化学工業を専攻。卒業後はミラノでケミカル・エンジニアになるが6年後、 実業家に転身。友人と2人で水泳プールの関連備品(飛び込み台やロッカー設備 など)を製造する会社を設立した。
オリンピック用のプールを手掛けるなど順風満帆な会社経営だったが「次第 にアカデミックな世界へと興味が移り」、82年、米カリフォルニア大学サンディエゴ校へ。5年後、同大学で経済学のph.D.を取得した。カリフォルニア大学リヴァーサイド校や豪シドニー大学で教鞭をとった後、90年から米ハワイ大学で マクロ経済学のドクターコースの学生を指導している。
 「ハワイ大学へ移ったのは海の近くで暮らしたかったから」という根っから のマリン・スポーツ好き。特に実業家時代に始めたセーリングは「最も重要な生活の一部」といい ハワイでは48フィートのヨットを家代わりにして洋上生活を続けている。自慢のこのヨットはカリフォルニアで購入後、16日間単身で太平洋 を航海してハワイまで運んできた、という「集中力を高め、精神を鍛えるにはセーリングが一番」とか。
 来日は5度目。今回は3カ月間(97年1月-3月)の日本滞在だったが「近いうちに再来日し、データ収集を進めるつもり。その時はハワイからセーリングしてくるかも」研究者に転身後も実業家時代のエネルギッシュな生活は変わらない。


シンクタンク探訪 野村総合研究所(NRI)

 来るべき21世紀を、“情報の世紀”ととらえ、自らを「情報世紀をクリエイトする知的資産創造企業」と位置付ける。
 1965年4月、日本初のシンクタンクとして誕生。企業の経営戦略策定、官公庁の政策立案など受託研究やコンサルティング事業を中心に着実に規模を拡大。67 年に日本の調査機関としては初の海外進出(ニューヨーク事務所を開設)を果たして以来、ロンドンやシンガポール、シドニーなどにも次々に事務所を設置し、 現在では海外拠点も10カ所を数える。
 現在は「リサーチ」「コンサルティング」に加え、「システム」事業を展開 。これは金融や証券、公共部門、流通などの各分野においてシステムインテグレ ーション(情報システムの企画から設計、開発、運用、保守まで)を一貫して行うもので、「コンピューターや通信の先端技術と、企業経営などのノウハウを結 集したNRIの総合力を基盤にしている」という。
 また経済のグローバル化、金融の自由化に対応するために、海外の研究機関との交流も積極的に展開。米ブルッキングス研究所、フランス国際関係研究所な ど欧米4ヵ国の代表的シンクタンクとネットワークを結成し、共同研究プロジェクトを推進している。また韓国、フィリピンなど8ヵ国のシンクタンクや中国の研究機関とも協力、「情報の世紀の到来」に備えている。

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書評     冨浦英一 『戦略的通商政策の経済学』
             日本経済新聞社、1995年(2200円)
 

戦略的貿易政策(Strategic Trade Policy)」を、経済学の専門用語を極力排して定義すれば、「一国の政府が自国の利益を高めることを目的にたてる国際貿易に関する政策で、執行により他国に及ぼす影響、そしてその反動として他国から及ぼされる影響をよみこんだ上での目的到達をめざし設計されるもの」と なろうか。例としては関税、輸入割当などの国際貿易に直接関係する政策はもちろん、規制緩和や国内企業への補助金など間接的に国際貿易に関わってくるものも含まれる。究極の目的が「自国」の利益(厚生)の向上であり、他国との間に生じうる政治経済の変化を緻密に予測し「作戦」をたて交渉の末「実行」に至ることが、「戦略的」とよばれる所以である。


 上のような他者との相互依存的な関係の中での意思決定に関わる経済問題を説明できる分析手段は「需要と供給」ではもはや間に合わず、「ゲーム理論」に登場を願うことになる。この戦略的貿易政策の研究はおもに80年代後半からクルッグマン、ヘルプマン教授という二大巨頭をはじめ多くの国際経済学者により精力的に研究され、ゲーム理論の普及とあいまって急速に発展し、90年代はじめには成熟化の時期を迎えた感があった。こうなるとジャーナルで国際的に発表された主要な研究成果が日本でも誰かの手で教科書の形でまとめられることとなる。
 そのような本がないものだろうか、と知り合いの先生に尋ねたところ、紹介されたのがこの本である。著者冨浦英一氏(現信州大学経済学部)はあとがきと略歴によると、執筆時通産省に勤務しており、著書の発表は本書がはじめてとある。しかしとてもデビュー作とは思えない筆力である。
 評者の本書への評価を端的に表わす言葉は3つ:(よいマンションの形容ではないが)「広い」「新しい」「近い」である。まず戦略的貿易政策をめぐって カバーしている研究の範囲が「広い」。理論、実証、政策それぞれをバランスよく扱っている。そして、取り入れている研究成果が「新しい」。本書が出版された95年の直前、94年発表の論文まで参考文献に挙がっている。さらに、ついこの前まで遠い世界のものであった戦略的貿易政策の理論が、著者の筆力により、ごく「近い」所に存在している。
 評者は、この近いという点を特に高く評価したい。冨浦氏は通産省から米国マサチューセッツ工科大学のPhDコースに入学し、貿易論を学んだとある。よって、みなそうであるように、入学直後は膨大な量の未知の内容をハイペースで教える授業に面食らい、全体像を把握することはとてつもなく「遠い」ゴールを目 指すことに思われる。それが1年たち2年たち、一体系が徐々に見え考え方に慣れてくると、新たに理解すべきことが生じてもそれらはかなり「近い」到達点に 感じてくる。そしてそのころには「遠い」と見た昔の新鮮な憧憬や素直な疑問心を忘れがちになる。著者はそうではなく、まずそのような無知の者の立場から疑問を投げかけるかたちで問題を提起し、それに対して底辺から説明をはじめ、例と論理を併用して解答を与えている。初学者も思わず引き込まれて読んでしまうのではないだろうか。経済政策の論文を近い将来書く学徒諸君には一読を勧めたい。
 最後に読んでいて気付いた面白いことを一つ。著者は専門用語の訳として、 学会で定着した訳語ではない自分自身の訳語をところどころに用いている。これ が、Positive=事実解明、Refinement=絞り込み、One-Shot Game=一本勝負などなかなかの名訳であり、こちらのほうも楽しませていただいた(ちなみにStrategic Trade Policyの訳も定訳「戦略的貿易政策」でなく、本のタイトルにあるように、一貫して「戦略的通商政策」をあてている勤務先(当時)への気配りか?)

下村研一 (ミクロ経済学/ゲーム理論・助教授)


告知板(1997年4月〜7月)

OSIPPは紀要『国際公共政策研究』を創刊。第1巻第1号の内容は次の通り。


黒澤満教授「核兵器廃絶に向けて―CTBTとICJ勧告的意見の検討―」
森口親司教授「Japan's Economic Stagnation, External Balance and Yen Rate 」
橋本介三教授「熊谷尚夫先生の拓かれたもの、残されたもの」
高阪章教授「国際資本フローと東アジア:展望」
蝋山昌一教授「The Japanese Banking System in Future」  
飯田善郎助手「Endogenous Growth and Intellectual Property Rights」
原島求 ( 博士後期課程、敬称略、以下同 )「発展途上国の失業問題についての研究」
小山田和彦「中国における環境政策の応用一般均衡分析 :エネルギー課税と生産間接税減免」
坂田裕輔「日本と中国の植林事業における共同実施のシミュレーション分析 」  
チマンガ・コンゴロ「Prospective Reform in Zairian Patent Law after the Enforcement of the TRIPs Agreement (Trade Related Aspects of Intellectual Property Rights)」
饗場和彦「活性化する国際的選挙支援活動における課題 :その背景、形態、 用語、正当性、実効性―ボスニアスーパーバイザーの視点から」
岡田広司「ネットワークビジネスの評価に関する実証分析―通信カラオケを 中心として」
加納正二「個人貸出市場の経済分析―消費者金融会社と地域金融機関を中心 として」  
石川誠「標準化と知的所有権の関係について―情報通信分野を中心として」
藤川純子「契約準拠法の分割指定について」



4月 黒澤満教授 論文「核不拡散体制の新たな展開―核不拡散(NTP)の延 長と今後の展望」『竹本正幸還暦記念論文集』 
5月 黒澤満教授 論文「現代および将来の核軍縮促進」『恒久平和のために ―日本国憲法からの提言』(剄草書房)   床谷文雄助教授 論文「児童虐待と 福祉施設収容のための家庭裁判所の承認(判例レビュー)」『判例タイムズ』5 月1日号
6月 野村美明教授 報告「域外適用の政策と理論」 日本国際法協会97年度 研究大会 6月29日 (東京大学山上会館)
山内直人助教授 著作『ノンプロフィット・エコノミー:NPOとフィランソロピーの経済学』日本評論社  
7月 床谷文雄助教授 報告「日本における養子縁組と子どもの福祉」 国際 家族法学会第9回世界会議 7月27―31日(南アフリカ共和国・ダーバン)   

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活動報告(1996年度・その2)

論文発表

著作

学会・シンポジウムでの報告等


研究プロローグ 辻正次教授(理論経済学、日本経済論)

「やはり野に置け、れんげ草、ということでしょうか…」上級国家公務員試験に合格、一時は大蔵省入りも考えたが、結局研究者の道を選んだ心境をこう表現する。
「指導教官から『官僚の世界は本人の努力だけでは不十分。世渡りの術や政治力がないと出世できない』と言われた。それなら在野で研究を続けた方が性格に 合っているかなと思って」京都大学経済学部から大阪大学の大学院へ。
 学部生時代から数理経済学に興味を持ち、自分なりに勉強してきたつもりだったが大学院で一級の研究者に触れ自信を喪失。この道を選んだことを後悔した こともあった。
 転機は米国留学だった。阪大社会経済研究所助手になった直後=下写真、日本学術振興会の第1期留学生試験に合格、米スタンフォード大学へ。ここでテーマを絞って一つの研究に没頭、ph.D.を取れたことが自信につながった。  
米滞在中の 1973年は外国為替市場が変動相場制に移行した年だったが、その“大事件”の印象が全くないという。それほど専門の研究に没頭した毎日だった 。
 現在のOSIPPの学生にも過去の自分を重ね合わせ、研究者としてのプロ意識を求める。「同業者として新しい学際的な学問体系を一緒に作っていきたいと思っているが、研究が質、量とも足りないのでは」。研究生活のあり方を語る時、普段の柔和な表情が一瞬、厳しくなった。

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