核全廃への道筋示す

日本平和学会で黒澤満教授

 黒澤満教授(国際安全保障論)は1996年11月9日、獨協大学(埼玉県草加市 )で行われた日本平和学会の秋季研究大会で「『核のない世界を』国際法学者の立場から」と題する講演を行い=写真=、包括的核実験禁止条約(CTBT)の交渉 経過や同条約署名の法的効果、さらに核兵器使用の違法性をめぐる国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見の意義などについて発表を行い、核兵器全廃に向けての道筋を示した。

CTBT採択、ICJの勧告的意見評価


 この講演で黒澤教授は、最近の核軍縮の動きに言及したのち、昨年9月 採択されたCTBTについて詳述。交渉の経過や実験禁止の範囲、国際監視システムのあり方など条約の細部について言及したうえ、「たとえ署名だけで批准されなくても各国には条約の目的を壊さない義務が生じる。必ずしも十分ではないが 、歴史の流れの中で大きな意義がある」として、同条約採択を評価した。
 また、同年7月に出されたICJの勧告的意見については、同裁判所が「国際人道法原則に反する」との見解を示したものの「国家存亡の危機に際しての自衛に核兵器を使うことを違法とするかどうか、結論を出すことはできない」として明確な判断を避けたことなど、同意見の内容を分析。そのうえで「(国連総会 からの意見要請について)小田滋判事同様、最初は門前払いした方がICJのクレディビリティーが傷つかないと考えていたが、結果としてICJから出されたものは門前払いよりはよかったと考えているとした。
 最後に核兵器全廃に向け「核兵器全面禁止まで、できることを積み上げていくことが重要。STARTの交渉をスタートさせ、でロシアにとって不利になっている点を改善、さらに5大国を含む STARTの交渉に着手する一方で、非核地域の拡大を図る」など具体的な道筋を示した。


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