
2000年度軽井沢セミナー 『NPO教育と人材育成』概要
日本NPO学会では、笹川平和財団の助成により、1999年9月5・6日の2日間にわたり、長野県軽井沢町にて『NPO教育と人材育成』に関する合宿形式のセミナーを開催しました。
日時:1999年9月5日(火)
11時開始、6日(水)16時終了
会場・宿舎:軽井沢サイプレス・ホテル&リゾート
〒389-01
長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東287-1(長野新幹線軽井沢駅徒歩10分)
TEL::0267-42-0011 FAX::0267-42-0989
参加募集人数:50名程度
2000年度軽井沢セミナー 『NPO教育と人材育成』プログラム
◇9月5日(火)
11:00〜 受付(ホテル玄関ロビー)
12:00〜 Welcome Lunch
13:30〜 Welcome
Speech 日下部眞一(広島大学)
Session
1 NPO教育研修の現状と課題 Moderator: 田中敬文(東京学芸大学)
14:00〜15:00 NPO教育・研修プログラムの現状−実態調査の中間集計から
調査解析チーム 伊吹英子(野村総研)、山内直人(大阪大学)、石川路子(大阪大学)ほか
15:00〜15:30 Tea
Break
15:30〜16:30 バーチャル・ユニバーシティの現状と課題 筒井洋一(富山大学)
16:30〜17:30 アメリカのNPO教育 吉本秀子(山口県立大学)
19:00〜21:00 Reception
and Dinner
22:00〜 JANPORA Night Club
◇9月6日(水)
Session
2 NPO労働市場と人材育成 Moderator: 田中弥生(笹川平和財団)
9:00〜10:00 NPO労働市場の現状:学歴、昇進、転職 山岸秀雄(NPOサポートセンター)
10:00〜11:00 国際援助と人材育成 高橋真美(早稲田大学大学院社会科学研究科)
11:00〜12:00 生涯学習としてのNPO教育−地域での教育− 三澤昌子(生涯学習調査研究所)
12:00-13:30 Lunch
Session
3
NPO連携大学院構想をめぐって Moderator: 跡田直澄(大阪大学)
13:30〜14:30 大学コンソーシアムの成果と課題 山口洋典(大学コンソーシアム京都)
14:30〜15:30 NPO大学院構想 岸田かおる(大阪NPOセンター)・末村祐子(大阪大学)
15:30〜16:00 Wrap
up!
16:00 終了
2000年度軽井沢セミナー 『NPO教育と人材育成』報告
今年9月5日(火)〜6日(水)の2日間にわたり、「日本NPO学会・軽井沢セミナー(笹川平和財団助成)」が長野県軽井沢町「ホテル・サイプレス軽井沢」にて開催された。
今回のセミナーのテーマは「NPO教育と人材育成」。大学関係者を初め、NPOや民間企業の関係者など,事務局スタッフを含め総勢50余名が参加し、現在のNPO教育における課題と展望について活発な議論が展開された。
第一日目は、日下部眞一氏によるウェルカムスピーチの後、セッション1「NPO教育研修の現状と課題」と題し、3つの報告が行われた。
調査解析チーム(石川路子、伊吹英子、筒井洋一、山内直人)による「NPO教育・研修プログラムの現状」では「NPO・NGO・ボランティア教育に関する実態調査」の中間報告がなされた。本報告では、大学等高等教育機関及びNPO団体・地方自治体からのアンケート調査の中間集計結果から、大学等高等教育機関における「教育プログラムの体系化の遅れ」、NPO・地方自治体等団体における「理論的な教育プログラムの不足」「教育プログラム実施のための資金不足」など、NPO教育プログラムにおける様々な問題点が明らかにされた。
続く筒井洋一氏による「バーチャル・ユニバーシティ(以下、VU)の現状と課題」の中では、ITの技術的発展と生涯学習へのニーズの高まりの中で、注目されるVUとNPOとの接点を明らかにし、現在のVU利用における課題を通信コストや技術的障壁などの「外的条件」とトレーナー不足などの「内的条件」とに大別することにより、今後のVU実現への展望が示唆された。
セッション1の締めくくりは吉本秀子氏による「政策提言力の育成〜アメリカのNPO教育の事例から〜」。吉本氏は、先進的なNPO教育が行われているアメリカ・サンフランシスコの事例考察から政策提言NPOとその人材育成教育プログラムの可能性を追究し、ここから日本のNPO教育が目指すべき方向として「地域連携プログラムの強化」や「研究・教育のための土俵作り」「学会アドボカシーの実現」などを提言した。
二日目は、セッション2「NPO労働市場と人材育成」として、3つの報告が行われた。
山岸秀雄氏による「NPOの労働市場の現状−学歴・昇進・転職」では、日本のNPO労働市場の現状・課題が報告された後、NPOサポートセンター等から行政へと発信された「NPOによる緊急雇用政策への提言」の概要など「政策提言型NPO」の活発な活動が紹介された。
続く高橋真美氏による「国際援助と人材育成」では、日本における開発途上国への援助と人材育成についての現状を紹介した上で、NGO・NPO教育の重要性を掲げ、国際援助と人材育成に必要不可欠なものとして現在の教育現場における「国際援助教育の一般的普及」や「多様な人材育成」とともに「NGO・NPOの社会参加促進」等の支援体制を行う政府の必要性が提言された。
三澤昌子氏による「生涯学習としてのNPO教育−地域でのNPO教育の必要性−」では、地域でのNPO・ボランティア教育の現状・課題が示され、「地域での体験学習は有効な教授法」であるとしたうえで「地域での体験と組み合わせた」NPO教育の必要性を説くとともに、ITなどを活用した「NPO教育」の体系化等による「いつでも 誰でも どこでも」学べる教育システムが提言された。
最終セッションでは「NPO連携大学院構想をめぐって」と題し、2つの報告が行われた。
山口洋典氏による「大学コンソーシアム京都におけるNPO教育の取り組み」では、「メンター」「地学協働」「コーオプ教育」をキーワードに掲げ、コンソーシアムで事業化されている「インターンシップ」プログラムの成果とともに、今後のNPOと高等教育機関とのパートナーシップについての展望が示された。
岸田かおる・末村祐子両氏による「大阪NPOセンターの人材育成報告」では、実際のNPOによる「人材育成プログラム」の現状と課題が紹介されるとともに「NPO教育カリキュラム」に関する今後の展望が示された。
本セミナー後行われたアンケート調査結果では、セミナーに対する満足度は極めて高く、「総合評価」では、全体の9割の参加者から「ほぼ満足」「満足」との回答を得ている。自由意見としては「活発質問が出てよかった」「いろいろな角度から話が聞けた」と意見が見られる一方、「もう少し突っ込んだ議論ができればよかった」など質疑応答・ディスカッションの時間が不十分であるとの声も多く聞かれた。
今回のセミナーは「NPO教育と人材育成」といった専門性の高いテーマにも関わらず、大学関係者のみならず、NPO関係者、企業関係者の参加者も多く、多角的な視点からの意見交換がなされたことは、非常に興味深いことである。今後、学会として、様々な教育現場に携わる方々の意見が十分に反映された「NPO教育」への可能性を模索し、提言する必要があるのではないだろうか。
石川 路子 大阪大学大学院国際公共政策研究科