国際取引の法整備めざし日韓協力促進

−準備研究でOSIPP教授訪韓−

 OSIPPの松岡博、野村美明両教授(いずれも国際私法・国際取引法)は法学部の渡邊惺之教授とともに、国際取引の法整備に向けて韓国の研究者との人的交流、情報交換を促進するため、3月1-4日に訪韓した。ソウル市内では「韓国国際私法学会」の研究者と両国の研究協力体制作りを目指して意見交換し、大田高等法院で開かれたシンポジウムでは松岡教授が日本における法整備の現状と課題について講演を行った。
 この訪韓は、野村投資信託がOSIPPで開設している「資産管理サービス産業寄付講座」の助成金による研究活動の一環。国際取引の法整備については日本で も紛争予防や適切な解決に向けて法及びシステムの整備が急務となっていることから、OSIPPでは同テーマについて日韓の研究教育協力のための準備研究を進めることを決めた。
 韓国国際私法学会との意見交換では、韓国の研究者を日本に招聘しての共同研究の実施や東アジアで条約による統一法作成に向け努力することなどが話し合われた。シンポジウムでは松岡教授が、国際取引法の立法整備、紛争解決シ ステムの整備など4点について将来的なビジョンを示した。



研究室紹介

黒澤満教授ゼミ(軍縮国際法、国際安全保障論)

核軍縮へ向け提言も活発に

 「冷戦が終わった今は、核軍縮を進める絶好の機会」と力を込める黒澤教授。軍縮に関し様々な動きの見られた昨年度は、文字どおり世界を飛び回って活動した。
 フィンランドや米国、中国では会議で報告に立ち、包括的核実験禁止条約を 交渉中だったジュネーブ軍縮会議や米国務省、同エネルギー省などでは情報収集を、またウィーンで開かれた国際原子力機関総会にも出席している。
 ほぼ毎年参加している国連軍縮会議の開催地・広島では、地元のNGOからも 国際法の見地からの意見を求められる立場。
 短期的な対応に終始しがちな行政府と、理想論に偏りがちな非同盟組織、「具体的な道筋を示してその両者を結び付けるのが私の役割」という。
 この「具体的な道筋」の例を示 しているのが、昨年6月から8回にわたって全国紙に掲載されている論文(朝日新聞朝刊)。兵器用核分裂性物質の生産停 止など「まず必要な6つの措置」や「ジュネーブ軍縮大使の任期延長を」といった制度面の改革など、毎回積極的な提言を行っており、関係省庁からも反応が寄せられるという。 OSIPPで黒澤教授を指導教官としている学生は、社会人とスイス人留学生各1名を含む11名(96年度)「全員発表、全員質問」を義務づけた研究会を数ヵ月ごとに開くという厳しい指導もある一方、泊りがけでスキーやテニスに出かけ、教授自ら御自慢の腕を披露、学生との談笑に加わることもあるという気さくな雰囲気もあるとか
 「学生はどんどん海外に出て国際的な視野をもってもらいたい」という黒澤教授。「例えば日本では核兵器をつくるなど想像もできないが、海外では『日本のH2ロケットはICBMと一緒、核弾頭さえつければ核ミサイルになる』と指摘される。日本の国際的信頼がどういうものか実感すべき」という。種々の提言は 、現実を冷静に見るこの眼に支えられてこその重みと改めて気付かされる。

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