研究室紹介 蝋山昌一教授ゼミ (金融論・証券論) 


 活発な政策提言活動でも知られる蝋山教授。今年度は、住専問題などに端を発した金融システム・金融行政の改革問題について取り組み、その成果は自身が 研究会員である政策提言集団「政策構想フォーラム」の提言『これからの金融システムと金融行政―大蔵省解体論を中心に―』に反映されている。
 現在、銀行が担っている決済業務と資産運用業務について両機能は制度的に分離されるべきであり、公共的性格の強い決済業務は厳しい規制の下に安全な運用を、資産運用業務は自己責任において他の機関投資家などと自由競争を図るべきとするこの提言は、蝋山教授自身により、『論争』1996年9月号(東洋経済新 報社)誌上で展開されている。
 他国でも例がないこの制度の提案を「実行不可能」とする意見に対しては、「改革を検討する際、ある理想を基準としてもつことが大切。提言した制度そのままの実現が困難としても自己資本比率の改革など部分的に反映させることは可能」という。
また、日本の証券市場の改革についても、証券取引審議会総合部会(大蔵大 臣の諮問機関)座長として6月より審議を続けており、11月末に『総合部会・ 論点整理』を公表した。今後はこの整理に沿って、1997年6月中の具体的改革措置提言をめざしている。
 OSIPPで蝋山教授を指導教官としている学生は現在8名。銀行や保険会社からの派遣など3人の社会人と、中国・米国からの留学生3人を含み大学院生の多 様性が特徴であるOSIPPの縮図のような構成となっている。蝋山教授は「知性を高める知的訓練を行うには様々なタイプの人間がいたほうがよい。社会人、外国人と限定せずに受け入れる制度は、その点で理想に近い」と評価する。
 入学の前年に勉強のアドバイスを求めて突然、蝋山教授を訪ねた経験のある中国人留学生コ・シンさん(M1)は「日本語も金融論の知識もおぼつかなく、 予約さえしていなかった私を温かく迎えて下さった蝋山先生は本当にオープンな人と感じた」と語る。
 「学生にモティベーションがある限り世の中に通用するようになるための手伝いをしたい」という蝋山教授。日本の諸制度の検討に際し、経済学と実務の世界を結ぶ「チャネル」となれる貴重な存在として、今後も活躍が期待されている。

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