欧州の安全保障、政策担当者と意見交換



   津守滋教授、ウィーンなど5都市訪欧

 システム統合講座の津守滋教授(国際安全保障論)は 1996年11月9-16日ウィーン、ブリュッセルなど欧州5都市を訪問、欧州安保協力機構(OSCE)、 北大西洋条約機構(NATO)などで政策担当者と欧州安全保障について意見交換をした。またベルリンでは独外務省が主催した中・東欧や旧ソ連諸国の若手外交官 のためのセミナーに講師として出席、アジア・太平洋の安全保障について講演し北東アジアの安全保障のためのサブリージョナルな枠組みの必要性を説いた。  
同教授によると、今回の訪欧では、NATOやOSCEが和平履行の主体となっているボスニア問題や、ザイールへの多国籍軍派遣の是非、さらにNATOの東方拡大などが中心的な研究テーマとなった、という。
 特にボスニアに展開されている「平和履行部隊(IFOR) 」については「デイトン合意」で定められた撤退期限( 12月20日) が迫っていたことなどから欧州での関心が高く、いくつかの選択肢(@完全撤退、A6万人のままの規模で残留、B必要最小限の治安維持ができる程度に縮小、C治安維持に加え、一定の抑止力を持つレベルに縮小)について各メリットや米国・ドイツなど各国の意向、駐留経費の負担などの内政事情、さらにはIFORと国連の関係などについて討論した。

またザイールへの多国籍軍派遣については、仏英の間にあった認識の相違や国連安全保障理事会での決議採択に至る障害などをめぐって意見の交換が行われ、直接的国益の絡まない地域への介入のあり方などが論じられた、という。
 ベルリンでは、同セミナーのほか、トムシャット・フンボルト大学教授(国際法)やハフテンドルン・ベルリン自由大学教授(国際政治学)らとの意見交換会も行われ=写真=(中央が津守氏 ) 、同教授は「欧州の安全保障構造のあり方をさぐる上で、有益な訪欧だった」としている。


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