研究プロローグ

コリン・マッケンジー助教授

 

  初めは「弁護士を目指し」1976年、オーストラリア国立大学に入学。勉強時間の9割が法律関係だったが、成績のほうは、「経済科目は全優、法律科目は…。」
4年の時、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で計量経済学の助手に採用されたことが一つのきっかけになった。当初は「ただ海外へ行きたかったから」だが、留学中に書いた論文がジャーナルや本に掲載され、研究者の楽しさを実感、しだいに経済学者への方向性が固まっていった。
 そのころ交際していた女性が日本に留学すると聞いて、自分も日本で勉強しようと計画。「愛の力は強くて」、日本への国費留学の切符を手に入れた。しかし、日本へ発つ2週間前に届いた彼女からの手紙には「さよなら」と。説得のため日本へは来たものの、よりはもどらなかった。失意の青年は、もうオーストラリアへ戻ろうかとも思ったが、指導教官らの励ましもあって、そのまま大阪外国語大学、京都大学経済研究所などで研究を積んだ。
 その間、経済企画庁の研修生時代に、今の奥さんである富子さんと知り合った。気乗り薄で出かけたセミナーが出会いの場となり、6ヶ月後には婚約、84年に結婚した。
 87年オーストラリア国立大学でPh.D.を取得、同大学経済学部の講師になったが、日本で教えてみたいという思いもあり、89年大阪大学経済学部へ、94年の創設時からOSIPPに。
 学生が入りやすいようにと研究室のドアはいつも開けっぱなし。いつ訪ねても気さくに丁寧に教えてくれる先生を、学生は親しみこめて「コリン」と呼ぶ。
 「私の研究のきっかけは愛かなあ。そう、愛は計量経済学より大切」と言うコリンだが、だからといって試験は甘いわけではないそうだ。


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